Sword Art Online ”Camellia”   作:りこぴん

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久々の投稿となってしまい申し訳ありません。
大まかなストーリーは考えていたのですが、細かな言い回しに悩んで結局進まない状態が続いていました。
これからは悩むより書いてみる精神で、少しずつ頑張りたいと思います。


天空の翼

数日後、ボス攻略戦を明日に控えたアスナはキャロルの元を訪ねていた。

寒さに身震いしながら勝手知ったる雪道を進み、日を受けオレンジ色に輝くキャロルの家のドアを叩く。

 

「キャロル、いますか......?アスナです」

 

一瞬の静寂。

そして微かな音と共にドアが内側から開かれる。

 

「アスナ?どうかしましたか?」

 

現れたキャロルは、不思議そうな表情をしつつも中へと通してくれた。

その表情も当たり前だ。今日は本来訪ねる予定もなく、明日のボス攻略に向けて各自準備をする予定だったのだから。

申し訳なさを感じつつ家に入ると、いつもホコリ一つない長机の上には、一面に紙が広がっていた。

湯気を立てる飲みかけのコーヒーが、キャロルが直前までそこで何かをしていたことを示している。

 

「あ、申し訳ありません。すぐ片付けます」

「い、いえ!気にしないでください!」

 

視線に気付いたのか片付けようとするキャロルを慌てて引き止める。

急に尋ねた上に作業を中断させたのでは、罪悪感が限界を超えそうだった。

 

「そうですか?では、机はありませんが此方へどうぞ」

 

示された暖炉の前に置かれたソファに腰を下ろすと、キャロルも隣へと腰を下ろす。

何時もより大分近い距離。ソファが来客用ではないのもあり、もう少し寄れば肩が触れてしまいそうだった。

その距離感に落ち着かなさを感じつつどう切り出そうか考えていると、不意にキャロルが此方を向く。

 

「アスナ......大丈夫ですか?何だか元気がないように思えますが」

 

気遣わしげな表情に優しい声色。

見透かされていたことに思わず心臓が跳ねる。

距離は更に縮まり、その整った睫毛の一本までよく見えるようだった。

 

 

「私の勘違いなら良いのですが......もし不安なことがあるなら話してみてはくれませんか?一緒に悩むくらいなら出来ますから」

 

諭すように、優しく腿に手を当てられる。

その揺蕩う海のような瞳に見つめられると、まるで全て見通されているような錯覚を感じる。

しかしキャロルの纏う雰囲気は何処までも優しく、アスナの気持ちは自然と落ち着いていた。

 

「......私は、一緒に戦う皆でこのゲームをクリアしたいんです」

 

一度口にしてしまえば、あとは容易かった。

 

「でも上の階層に行くにつれて、ボスが強くなってゆくのがわかるんです。今まで殆ど犠牲者無く来れましたが、もしかしたらがあるかもしれない。......リーダーである私のミスで、出てしまうかもしれない」

 

ヒースクリフには勿論のこと、キリトにすら打ち明けられず、ずっと胸の奥に仕舞い続けていた感情が溢れ出す。

 

「私のミスのせいで他の人の命を、人生を終わらせてしまうかもしれない。そう考えると怖くて堪らないんです」

 

いくら血盟騎士団副団長といえど、アスナはまだ二十歳にも満たない少女。

人の死を仕方のないことだと割り切る事など、出来るはずもない。

ずっと考えないようにしてきた事だ。しかしキャロルという捌け口を得て、今その感情が抑えきれなくなっていた。

 

「こんなのリーダー失格だって分かってるんです!でも一度考えると止まらなくて......悪い事ばかりっ、頭の中に......!」

 

 ふわり、と。

 甘い香りが鼻腔をくすぐる。

 それがキャロルに抱き締められているのだと気付くのに、それほど時間は掛からなかった。

 

「アスナは強いですね」

 

「え......?」

 

 キャロルは優しく頭を撫でてくれる。

 その手はとても柔らかく、少しくすぐったくもあった。

 

「その責任を感じていながらリーダーを引き受けているアスナは、とても強いです。普通なら、その責任の重さに逃げ出しても不思議じゃない」

 

「それは」

 

血盟騎士団副団長という、決して逃げる事の許されない立場にいるから。

しかしキャロルは、言おうとしたことが分かっているかのように優しく言葉を遮る。

 

「それは誰にでも出来ることではありません。......ですが、リーダーだからといって全てを抱え込む必要はないのです。アスナは一人じゃない」

 

「キャロル......」

 

「困ったら、頼ってください。私は勿論、キリト達だってきっと力になってくれます。私達は仲間でもあり、友人でもあるのですから」

 

決して大きくはない、けれど力強さを感じさせる声でキャロルは告げる。

そして少し間を置いて、悪戯っぽい笑顔を浮かべた。

 

「まぁ、個人的には私を頼ってくれると嬉しいですけどね」

 

「......ふふ」

 

釣られて自然と笑いが漏れる。

と同時にアスナは気付いていた。

心の奥底で、自分すら気付いていなかった想い。

自分の足を、無意識にキャロルの所まで持ってきたそれの正体。

 

私は言って欲しかったんだ。

頼っても良いのだと、全てを自分一人で抱え込まなくても良いのだと。

強がらずありのままを曝け出せる、キャロルにだからこそ。

 

「ありがとう、キャロル。お陰で楽になれた気がします」

 

胸の奥に燻っていた暗い気持ちは、すっかり何処かへと消えていた。

キャロルはそれは良かった、と笑うと手を離す。

 

あ.....。

その温もりが失われてしまったことに思わず内心声が漏れる。

と、離れようとした手の動きが止まった。

不審に思い見上げると、そこには笑いを堪えるような表情のキャロルの姿があった。

 

「やっぱり、もう少し撫でていても良いですか?アスナの髪はとても手触りが良くて......」

 

まさか顔に出てたの!?

ぼんっと音が出るんじゃないかというくらい一気に顔が赤くなったのを感じる。

恥ずかしすぎる......!

 

「うぅ......ど、どうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

キャロルは何も気にしていないかのようにアスナの肩を寄せると、優しく頭を撫で始める。

しかし肩に頬を寄せたアスナは気づいてしまった。

キャロルの体が笑うのを堪えているかのように微かに震えていることを。

 

「キャロルは案外、意地悪です......」

 

「さて、何のことでしょう?」

 

最後の反抗さえさらりと流されてしまったアスナは、恥ずかしさを誤魔化すようにキャロルにもたれ掛かるのだった。

 

 

 

翌日。アスナは緊張した面持ちで一同の前で話していた。

緊張、といっても昨日までの負の感情はもうない。

どちらかといえば戦いに向けて身が引き締まる、心地よい感覚だった。

 

「以上です。作戦に変更点はありません。何か質問等有りますか?......無いようなら次に、サブリーダーを決めたいと思います」

 

そう宣言すると、アスナは辺りを見回した。

サブリーダーとなれば、咄嗟の時に迷わず選択を委ねられる存在が良い。

そうなると軍は勿論、青龍連合等にも任せるわけには行かない。

かといってキリトくんに委ねるのは他のプレイヤーが納得しないだろうし、何よりキリトくんが可哀想。

そうなると――アスナの目は、自然にキャロルの方を向いていた。

 

「キャロル、お願い出来ますか?」

 

キャロルは一瞬驚いたように目を見張る。

半ば無意識のうちに口に出してから、アスナはハッとした。

キャロルは人付き合いを苦手としている。そんな彼女に人の前に立って戦えというのは余りに酷ではないか。

それに彼女は、今回久しぶりに最前線の戦いに出るというのに。

 

「......わかりました」

 

取り消そうとしてしかし、それより先にキャロルは真剣な表情で頷いた。

血盟騎士団の面々とは、あれから何度か顔を合わせているため納得したような表情を浮かべる。

しかしその他の人々は、初めて見るキャロルの姿に不安を隠せない様子だった。

しかしキャロルは、向かい風なその場の空気に怯むことなく一歩前に出る。

 

「今回サブリーダーを務めさせて頂くキャロルと申します。若輩者ですが、精一杯尽力しますのでどうかよろしくお願いします」

 

落ち着き払った声と共に頭が下げられ、その場の空気がいくらか緩む。

それゆえか、不満を表立って言葉にする人物は現れなかった。

 

「では、出発します」

 

アスナの一声により、各自はそれぞれに席を立ち始める。

その中からキャロルの姿を探すと、彼女は武器の具合を確かめるように眺めていた。

駆け足で近寄るアスナの姿に気づいたキャロルは振り向くと、アスナの行動を先んじるように唇に指を当てる。

謝ろうと思っていたアスナは、当てられた指に開きかけた口を閉じた。

キャロルは柔らかい微笑を浮かべると、指を下ろす。

 

「アスナの采配を信頼しています。一緒に頑張りましょう」

「......はい!」

 

すっかり見抜かれていたらしい。

キャロルは満足げに頷くと、剣を腰に差して歩き出す。

せめて、キャロルがサブリーダーで良かったと皆が思えるような戦いにしよう。

アスナは決意を新たに、迷宮区に向けて一歩踏み出した。

 

 

見るものを威圧するような巨大な扉。

中ではこの階層のボスが待ち構えているはずだ。

そんな死への入口を前に、各プレイヤーは緊張の面持ちで佇んでいた。

そんな中でもとりわけ前、扉の近くにアスナは立っている。

 

「それでは......開きます」

 

アスナが触れれば、扉は自動的に中へと向かって開き始めた。

光が中に差し込むと同時に、ボスの姿が顕になってゆく。

黄金の体毛に鷲の頭、翼、そして獅子の身体を持つ伝説上の怪物。

全身が顕になり、化物が吠えると同時に体力、そして――"Gryphonian"の文字が出現する。

アスナはその咆哮が終わるよりも早く走り出していた。

遅れて、全体の半数近くのプレイヤーが彼女を追いかける。

作戦は非常にシンプルなものだ。

まずアスナ率いる攻撃力の高い一陣がボスと接敵し、体力を削る。

味方の疲弊具合を見つつ、ある程度の所まで来たら合図と共にキャロルの率いる二陣と交代、防御力の優れた第二陣の援護の元体力を回復する。

その後様子を見つつ再び第一陣がスイッチ、それをボスを討伐するまで繰り返す。

しかしこれには双方の連携が不可欠であり、特にリーダーであるアスナ、キャロルの指示のタイミングが鍵を握っていた。

出来るだけそれぞれのギルドについて半々になるように割り振り連携の強化を図ってはいるが、一度崩れてしまうとそのまま崩壊してしまう危険性も孕んでいる。

 

ここは最初の士気が鍵を握っている。

そう考えたアスナは、突撃の勢いそのままにボスに向けてスキルを発動した。

まるで彗星の如き光がアスナを包み、光の尾を残しながらボスに向けて突撃する。

最上位細剣技、フラッシング・ペネトレイター。

本来なら敵を貫通するほどの威力が込められた技、貫通こそしないものの一撃を足に受けたボスは大きく蹌踉めく。

 

「うおおぉぉぉ!!」

 

体勢の崩れたボス相手に、キリトを筆頭とした第一陣が斬りかかる。

それを皮切りに、ボス攻略戦は始まった。

 

 

開幕の動きは理想に近かった。

ボスが倒れている間に、猛攻によってHPバー一本目の七割近くが削れる。

体勢が直る前にと、プレイヤーの攻撃は更に苛烈さを増す。

誰もが攻撃を竸っていたその瞬間。しかしグリフォニアンは体勢を立て直すと後ろ足のみで立ち上がった。

 

「攻撃来ます!引いてくださいっ!」

 

アスナの悲鳴にも近い指示が届き、慌てて攻撃をやめるもグリフォニアンは既に攻撃態勢へと入っていた。

鋭い刃のような爪が、攻撃を止めなかったプレイヤー達へと襲いかかる。

辛うじて直撃は免れたものの、攻撃を受けたプレイヤーの体力はイエローを示していた。

中にはレッドに到達するかどうか、というプレイヤーの姿もある。

 

「......交代します!」

 

限界と判断したアスナはそう指示を飛ばすと、自らは隙を作るべくグリフォンへと突撃する。

攻撃後の硬直を狙い、鋭い一撃がグリフォニアンに突き刺さる。

アスナにターゲットが移動した隙に負傷したプレイヤーは大きく後退を始めた。

しかしダウンには一歩足りず、自身はスキルの硬直で動くことが出来ない。

こんなとき、もし――

 

「アスナ!」

 

耳に届いた声に、アスナは直感的に身体を捻った。

そこに滑り込むようにキャロルが現れる。

阿吽の呼吸でスイッチを成功させたキャロルは、そのままスキルモーションに入る。

長剣単発技"サークルブレード"。

自身を軸に大きく振るわれた長剣は、細剣が突き刺さった場所に寸分違わず命中した。

 

「うらああぁぁ!!」

 

足を崩したグリフォニアンに向かってエギルの巨大な斧が振るわれ、敵は再び大きくダウンした。

それを横目で見届けながら、アスナは素早く離脱する。

 

「キャロル!よろしくお願いします!」

「任せてください。第二陣、前へ!」

 

キャロルの掛け声に合わせて、第二陣が入れ替わるように攻撃に入った。

事前の作戦通り。まごつくと考えていた交代がスムーズに終わった分、むしろ状況は良いと考えても良い。

ポーションを口に含み、体力回復を待ちながら二陣に目を遣る。

第一陣より防御に重きを置いた第二陣は、攻撃力という面では第一陣にはとても及ばないはずだった。

しかしボスの体力は既に最初の体力バーを削りきろうとしている、それは想定していた時間を大幅に短縮していた。

第二陣は攻撃力だけで押し切っていた第一陣とは違い、組織的な動きを持って迎撃に当たり、此方が回復する時間を稼ぎつつ攻撃の手を緩めずにいる。

価値観やプライドも違うメンバーを、苦手と言いながらそれだけ纏めているキャロル。

 

「......遠いなぁ」

 

目指しているキャロルの横は遥か遠く、まだその背中すら見つけられていないように感じる。

でも諦めるつもりなんてない。

まだ限界も何も見えていないのに立ち止まることなんてあるはずもなかった。

自分の中の意志が再び燃え上がるのを感じつつ、アスナは振り返る。

 

「第一陣、出ます!私に続いてください!」

 

心なしか先ほどより大きくなった返事を背に、アスナは走り出した。

 

 

 

グリフォニアンの繰り出す苛烈な攻撃を、壁役の戦士達が盾で受け止める。

生まれた隙を逃さず、プレイヤー達が一斉にスキルを繰り出す。

序盤に乱れたものの、そこからのアスナの采配は見事なものだった。

言い方は悪いが、手柄を求めていたプレイヤー達があの一件で攻撃を受け、冷静になったのもあるだろう。

攻撃をきちんと処理し、隙に攻撃するという当初の作戦がほぼ達成出来るようになっている。

第二陣との交代も頻度が減り、場の雰囲気は張り詰めつつもこのまま終わるだろう、といった様子が見て取れた。

アスナの指示通りに来た攻撃はいなされ、より激しい攻撃がグリフォニアンへと命中する。

グリフォニアンの体力バーの最後の一本が、半分を切った。

 

次の瞬間だった。

 

『---ッ!』

 

身を凍らせるようなその咆哮に、最前線のプレイヤー達の動きが一瞬止まった。

その隙をついて、グリフォニアンは今まで飛ぶことのなかったはるか上空へと飛び上がる。

 

「一旦引いてください!」

 

硬直が解けたプレイヤー達が、慌てて防衛線へと逃げもどる。

そんな最中、空中から凄まじいスピードで滑降してきたグリフォニアンがプレイヤー達へと襲いかかった。

 

「危ない!!」

 

割って入った壁役のプレイヤーが、盾ごと吹き飛ばされる。

地面へと激突したプレイヤーの体力バーはみるみる減ってゆき、赤ゲージを僅かに残したところで止まった。

皆の視線がそれを追いかけて、止まった。

 

あんな攻撃、喰らったら一撃で死んでしまう。

 

「皆さん下がって!」

 

我先にと逃げもどるプレイヤー達を尻目にグリフォニアンは空中へと浮かび上がると、再び旋回を始めた。

光に晒された爪は鈍く輝きを放ち、鋭い目は次の獲物を探すかのようにプレイヤー達を見下ろす。

 

壁役のプレイヤーであのダメージ、自分の体力で喰らったら。

この盾は、この防具は。こんな貧弱な装備であの攻撃から命を守れるのか?

この戦いを、自分は死なずに終えられるのか?

 

「う、うわぁぁ!!」

 

防御を担っていたプレイヤーの一人が、その役目を放棄して逃げ出す。

そこからの崩壊は早かった。

恐怖が恐怖を呼び、その場の秩序は瞬く間に崩れ出す。

第一陣、第二陣共に逃げ出した者達が出口へ走り出す。あるいは転移結晶を用いて脱出する者の姿もあった。

 

「止まって、止まってください!バラバラに逃げるのは危険です!誰かが狙われたら......っ!」

 

そんなアスナの指示も、恐怖に支配されたプレイヤー達の耳には届かない。

そんな声を嘲笑うかのように、背を向け走るプレイヤーに向けてグリフォニアンが再び滑降を始める。

しかしバラけた戦線で、狙われているであろうプレイヤーを特定するのは不可能だった。

グリフォニアンが加速してゆく姿だけが、まるで死神のようにアスナの目に映る。

 

「ダメッ!」

 

思わず飛び出そうとしたアスナを遮るかのように、人影が射線上へと飛び出す。

キャロルだった。

 

自ら身を差し出すようにグリフォニアンの攻撃予測線上へと飛び出したキャロルは、剣を両手で握り締め低く構える。

 

「やめろ!」

 

キリトの声に我に返り、再び走り出す。

しかしグリフォニアンとキャロルはぶつかる寸前まで迫っており、間に合わないことは明らかだった。

 

「キャロル!!」

 

キャロルの剣が、スキルエフェクトの光を帯びる。

剣がスキル発動に伴い動き出した瞬間、キャロルは倒れるように姿勢を崩した。

長剣単発技"サークルブレード"。

本来水平に振るわれるはずだったその一撃は、崩れた体勢により下から振り上げるように垂直な円を描き、キャロルを貫くはずだった足を切り裂く。

 

『---ッ!』

 

グリフォニアンは悲鳴をあげ、その場で宙返りをするようにして後方へと墜落した。

キャロルは崩れかけた体勢を立て直すかのように手を付くが、そのまま倒れこむ。

途中で受け流しこそしたものの本来ならばプレイヤーを葬るような一撃。右手には負傷のエフェクトがかかり、また一撃をうけたキャロルの体力バーはレッドゾーンへと突入していた。

 

「やぁぁ--!」

「させるかぁぁ--!」

 

キャロルが身を呈して作ってくれた好機。逃せるはずがなかった。

敏捷の限界を超えんばかりの速度で飛び出した二人の剣が、飛び立とうとしていたグリフォニアンへと突き刺さる。

細剣最上技"フラッシング・ペネトレイター"、片手剣重単発攻撃"ヴォーパル・ストライク"。

両胸を貫かれたグリフォニアンの身体が、ぐらりと揺らぐ。

 

『---ッ!!』

 

その悲鳴が、最後の抵抗だった。

地へと倒れたグリフォニアンがポリゴンの結晶となって砕け散る。

死傷者、ゼロ。

こうしてボス攻略戦は、誰も犠牲を出すことなく終了した。




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