機動戦士ガンダム U.C. HARD GRAPH 名も無き新米士官の軌跡   作:きゅっぱち

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これ、ガンダムSSだよな……………?

MS全然解説してねぇ……。


登場兵器紹介 通常兵器 ジオン編

個人携行用火器

 

 

M-32 NABAN Type 62 ナバン62式拳銃

口径:9mm

装弾数:8+1発

 ズックス社製のハンドガン。本来は大砲のネジ式閉鎖機を締めつけるための機構などとしても使われていたトグル式の給弾方式を採用しており、支点で二つに曲がって伸縮する独特なトグルアクション機構の動きから、尺取虫という通称があった。トリガーガード後部左側面にあるボタンを押しながら弾倉をグリップに装填し、トグルを後ろに引き上げて離すことで第一弾が装填される。薬室に実弾が装弾されているときはエキストラクターが上に持ち上がって装填状態であることを表示する。この状態でセーフティ・レバーを下に押し下げるとシアーバーがロックされて安全装置がかかる。最終弾を撃つとトグルが持ち上がった状態で保持されるので、弾倉交換後トグルを少し後ろに押し下げて離すと保持が解除され、再度初弾が装填される。不発が発生した場合、再度ストライカーをコッキングする手段は無いので、トグルを引いて不発弾を排莢することになる。そのため弾詰まり(ジャム)を起こしても上のレバーを引きすぐに次弾を装填できる。

 主に無重力下や低重力下での利用を考えられた銃であるため、地上で使われたのは大戦初期のみであるらしい。ジオン軍人は連邦と比べかなり個人的な兵装の自由が認められていたためあまり使われなかったのが実情である。

 また、その作動方式から重力下では射手の顔に向け排出された空薬莢が飛ぶため、一部部隊では使用が禁止される程だったが、その特徴的な形状から尉官クラスの将校によく好まれ使用された。

 本体はドイツのハンドガン、ワルサーP38、ルガーP08を参考にされている。またその独特のデザインは連邦軍兵士から"グレイゴースト"と呼ばれ、鹵獲し戦利品にするのがある種のステータスとなっていた。尚、銃身が固定される温故知新スタイルの設計の為命中精度は高いが、精密な作りである事から部品点数が多く整備性の問題と、地球の砂塵等が多い環境の中運用され、整備不足等から本来の性能を発揮しきる事は出来ず、「威嚇射撃8発、必中投擲1発」というジョークが生まれた。全弾撃ち尽くしても命中せず、最後には銃を投げつけてようやく当たるという意味である。

 

 

 

M-223 ヴァルタP08 ハンドガン

口径:9mm

装弾数:7+1発 or 41+1発

 ズックス社製のMSパイロットから歩兵まで支給されている後期の正式採用拳銃。リング型トリガー、内蔵式ハンマーとナバンに続きまたもや独特のフォルムを有する。分類上はハンドガンであるが、フルオートによる連射機能、その時のためのストックも用意され、マシンピストルに近い性能である。サプレッサー、41連ドラムマガジンと、オプションも豊富にそろっている。

 大戦後期に生産され始めたため、あまり普及はしなかったが、ナバンでの不満点を解消した設計となったため、"一年戦争"後もジオン共和国軍により使用され続けた。

 

 

M-249 タウロス 短機関銃

口径:9mm

装弾数:36+1発

 ブリッツ社製のジオン軍正式採用のサブマシンガン(SMG)。主に特殊部隊に配備されたが、その取り回しの良さから後にMSパイロットにも優先的に配備された。Vz-61 "スコーピオン"を参考に開発されたと言われ、クローズドボルトに直結したデコッキングレバーと構造は非常にシンプルで信頼性が高い。地上でも運用されたが、主に無重力、低重力下での運用を最優先に考えられ、レートリデューサーと呼ばれる、連射速度こそ低減するが一種のショックアブゾーバーとしても機能するメカニズムを備える低反動なSMG。トリガーの引き方でセミオート、フルオートの変更が出来、フルオート時には毎分800発で連射可能。これはSMGとしてかなり連射速度を抑えられている。またセミオート時においても高い命中精度を誇る。ストックは折り畳みかつ引き出し式でかなりコンパクト。またダブルカラムマガジンの採用により装弾数はサイズからしたら多めの36発とかなりのハイパフォーマンスを誇る。弾丸はハンドガンと共用の9mmパラベラム弾を使用している。フォアグリップはなく、代わりに強固に装着されたマガジンを持つ。本体部銃身の一部がバレルジャケットになっており、初期は火傷する者が後を絶たなかった。

 

 

 

M-312 ガーベル アサルトカービン

口径:5.56mm

装弾数:28+1発

 ブリッツ社製の無重力下、真空下での運用を前提に開発されたアサルトカービン。見た目は大型のサブマシンガン程で、取り回しが容易な事から地上戦でも用いられた。しかし地上の湿気などによる作動不良に悩まされた様である。タワーマガジンを採用する事により装弾数は低下したがマガジン携行数を増やす事に成功している。これもSMGと同じくマガジンをフォアグリップの代わりにする設計である。ストックは折りたたみ式のスケルトンストックで、1Gに慣れないジオン兵の負担をなるべく減らすよう軽量化がなされている。

 地球連邦軍のアサルトライフルと比べるとその設計思想の差が色濃く反映されている代表と言えよう。

 因みにガーベルとはドイツ語でフォークの事。

 

 

マズラ MG-74

口径:5.56mm

装弾数:120×2+1発

 マズラ社製の個人携行可能な分隊支援火器に近い機関銃。旧世紀の機関銃MG-3を参考に開発された。トリガーセーフティと呼ばれる1度軽く引き金を引くことでセーフティが解除される機構を採用し、即戦能力が高めてある。大型のドラムマガジンを2つ装着可能で、連射速度毎分1200発でフルオート射撃のみが可能。

 "ワッパ"の武装ラックに懸架するために開発されたため、ストックなどもなく、一応は取り外して使えるも命中率は低い。長い銃身の約半分が空冷式バレルジャケットとなっており、"ワッパ"の機動性と合わせ継戦能力は高い。

 

 

M-49 ラングベル 対戦車ロケットランチャー

口径:84mm

 H&L社製の後込め式対戦車ロケットランチャー。主に1G下での運用を前提に開発され、重力戦線に投入された。コンパクトに縮められ、使用時にフォアグリップを握り引き延ばし射撃体制へ移行する。サイトはバッテリー式のレーザーセンサーサイトが標準装備されており、ロックオンし射撃する事で高い命中率を誇る。

 比較的小型でありながらも攻撃力は十分に高く、地球連邦軍主力戦車である"61式主力戦車"の上面、後面を貫通させる事が出来る。側面でも前期生産型の車輌なら中破させられる威力を持つ。これも"ワッパ"の武装ラックに懸架可能で、その機動力、ジャンプ力を最大限に用いたトップアタックにより車両に対し多大な戦果をあげた。

 

 

M-32 ハンドグレネード

 ラッツリバー社製の爆風半径10mの柄付き爆風破砕手榴弾(ポテトマッシャー)。本体は2つの鋼鉄製弾殻からなり、内部に施された弾片ライナーの働きにより爆発時に約800の弾片に分散する。大きさが大きく、携行数は減ったものの、柄がついているため遠投しやすい。柄が付いていないアップル型や、地雷としても使えるディスク型と呼ばれる物も用意されており、そこは個人で選択する事が出来た。いずれも尖った特徴があるも携行性に難があった。

 MS用のサイズの物も含め連邦の物は円筒型に統一されているため、ジオン軍の試行錯誤が伺える。

 

 

 

車輌

 

 

 

PVN.4/3 ワッパ 機動浮遊機

全長:5.5m

全高:2.7m

全幅:2.1m

ファン直径:1.1m

 "ワッパ"はコロニー内での迅速な移動をするためにZAS社とジオニック社に共同開発された機動浮遊プラットフォームを連絡・偵察任務用の軍用機として強化発展させたものである。

 機体の前後に駆動用の推進ファンを装備した基本1人乗りのホバーバイクである。動力は機体底部の4基の小型高出力パワーパックであり、通常時は地表2〜3mを飛翔するが、ファンに使用された専用モーターの高出力と合間って短時間なら十数m単位の上昇も可能であった。操縦はほぼ自動化されており、一本のグリップに2つのフットペダル、また体重移動によって行う。構造は簡略化による恩恵からシンプルかつ頑丈で、改造、修理も容易であり、地球上の悪環境の中でも故障は少なかった。

 武装は操縦者頭上のフレームアンテナ前部ブーム式懸架式機関銃架に"マズラ"MG-74/S 車載用短銃身機関銃、"ラングベル"対戦車ロケットランチャーを装備可能。現地改修が最も為された兵器であり、対人攻撃用ワイヤーカッターや着陸脚をスキー板にする、最大6人を抱えて飛べるその推力に目を付け、担架を増設したものもあった。

 

 

 

B.M.C. Z78/2 汎用中型オートバイ

ただのバイク。

 

 

 

PVN.3/2 サウロペルタ 軽機動車

全長:3.6m

全高:1.5m

全幅:1.6m

 ジオン軍正式採用、ジオニックトヨタ社製の高機動電気駆動車。コロニー内で用いられるただのエレカとは違い、高出力かつ高機動の特性を合わせ持つ汎用軍事車輌として連邦軍の"ラコタ"を参考に開発された。動力分散型モーターを各タイヤに一つ搭載するインホイールモーター型四輪駆動方式を採用、1G下でも高い機動力を発揮する。

 資源の少ないジオンは物資をあまり割くわけにもいかず、低コストかつ量産性に重きが置かれたが、それが功を奏しシンプルかつあらゆる環境に対応可能な軽機動車として完成し、戦後も長きに渡り人類の友としてあり続けた傑作車輌。装甲こそ無いに等しい軽車輌であるが、その荒地をものともしない高い機動性に走破性、ミッションが完全に水没しようとも動き続けるという耐久性、簡単な道具に少人数で直ぐ様修理が出来る整備性など、その性能は驚愕の一言に値する。軍用車輌であるため、標準装備として"マズラ"MG-74/Sを搭載する。

 名前の"サウロペルタ"とは小型の草食恐竜から取られている。復活した宇宙生まれの恐竜は、かつて栄えた地球の上を、再び跳ね回るのである。

 

 

 

PVN.44/1 ヴィーゼル 水陸両用装輪偵察警戒車

 ジオン軍が正式採用したジオニックトヨタ社製APC。水陸両用のため地上では独立六輪駆動で移動し、波高2m以内ならばスクリューによる水上行動が可能。武装は20mm機関砲を装備した旋回式ターレットに、正面方向へ7.62mm機関銃が一門、スモークディスチャージャーを装備、計7人を乗せ戦場での迅速な展開が可能。

 ジオン軍の地上侵略を影から支えた立役者。コスト削減と機動力の向上という観点から装甲は余り厚くは無く、5.56mm弾をストップするものの、連邦軍主力戦車"61式主力戦車"に搭載された13.2mm機銃に耐えることは出来なかった。そのため、ジオン地上軍歩兵部隊の損耗率はかなり高いものであった。

 

 

 

M-1 マゼラ・アイン 空挺戦車

全高 2.4m

全長 7.7m

全幅 3.4m

武装 133mm戦車砲×1

使用弾種 成型炸薬弾(HEAT)

装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)

車載機関銃 マズラMG-74機関砲×2

 マズラ社製の空挺戦車。ジオン公国で仕様されていたコロニーでの運用を目的に開発されたM1 MBTを改良、1G下での空挺に耐えられる戦車として再設計したもの。乗員は4名。地球降下作戦においても、強襲用戦力として大量に投入された。名前に「マゼラ」を冠するが、"マゼラ・アタック"とは全く別の車種である。

 ジオン公国には戦車開発、運用のノウハウは少なく、また空挺戦車として装甲も薄いため、その能力は"61式主力戦車"に遠く及ばず、"61式主力戦車"1輌に対し4輌でかかれ、と言われるほどだった。実際に撃破された車輌は多く、その運用は"マゼラ・アタック"の量産後鳴りを潜め、空挺作戦に投入されたという情報も残っていない。

 発展型として主砲の最大仰角を高く取れるようにし、大型の主砲同軸機関銃を搭載したモデルも開発されたが、攻撃性能自体は高まったものの正面装甲は更に薄くなり、内部居住性も悪化、また左右非対称の設計から整備性が落ちたため地上侵略時において採用には至らなかった。

 

 

 

PVN.42/4 マゼラ・アタック 強襲戦車

全長 10.2m

重量 62t

動力源 ガスタービン・エンジン

武装 175mm無反動砲×1

3連装35mm機関砲×1

スモークディスチャージャー

主砲同軸機関銃 マズラMG-74機関砲

使用弾種 成型炸薬弾(HEAT)

装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)

 マズラ社製の強襲戦車。ジオン公国軍の地球降下作戦に先立ち、高価で量を揃えることが難しいMSを補う兵器として、他の陸上・航空兵器と共に開発された。常に不足しがちだったMSの数を補い、実質的なジオン軍地上部隊の中核として一年戦争を戦った。

 主力戦車である地球連邦軍の"61式主力戦車"と異なり、MSを火力支援するコンセプトで開発された自走砲に近い戦闘車輌で、戦車としては非常に高い位置に設置された砲塔は旋回しない。ので戦車というより突撃砲などに近い。

 本車は車体部"マゼラ・ベース"とVTOL機能を持つ砲塔部"マゼラ・トップ"からなる複合兵器である。"マゼラベース"は無人で、マゼラ・トップの乗員一人で運用できるが、"マゼラ・ベース"にも運転席は設けてあるため操縦可能な上、APCとして約10名乗車させる事ができる。"マゼラ・トップ"が一時的に飛行して空中から射撃することも可能だが、一度分離すると現地での再接続はできず、飛行時間も5分と極端なまでに短く、また飛行中は175mm砲の命中率も極度に低下するという弱点があった。

 しかしこの特異なメカニズムのため取りうる戦術の幅は広く、運用によってはMSに匹敵する戦力となった。

 また"マゼラ・トップ"の搭載砲を降ろし、"ザクII"用の携行兵器ZIM/M・T-K175C"マゼラ・トップ砲"として使用することもできる。

 ミノフスキー粒子散布下における運用を考えられた設計から、目視による索敵に重点を置かれた設計から、車体のサイズは戦車としてはかなり大きく、遠くを見る為に車高も高い。また、上部は"マゼラ・トップ"として飛行する関係上、飛ぶには小さ過ぎるが、戦車としては致命的に大きな翼前面投影面積は大きく、キャノピー含め装甲も薄い問題があった。その為、1年戦争中に設計はそのままスケールダウンが度々行われ、形はそのままに分離機能を排したモデルも生産された様である。

 現地改修機も多く、主翼基部に機関砲を増設したものや、逆に分離機能を廃し強力な主砲を載せる事で、完全な突撃砲に改造された物などかなりあった。

 派生機として、"マゼラ・ベース"に"ザク"の上半身を乗せた"ザクタンク"がある。またエンジンを交換、月面での使用を可能にした改造を施した物や、分離機能を排除し"マゼラ・トップ"のコックピット部にカメラセンサーを据え付けたもの、対空戦車に改装された"マゼラ・フラック"、自走迫撃砲"マゼラ・ベルファー"などがある。

 

 

 

航空機

 

 

 

DFA-03 ドップ 艦載戦闘機

全高:12.1m

全長:9.2m

全備重量:5.2t

武装 30mm機関砲×2

6連装ミサイルランチャー×2

チャフ・フレアディスペンサー

 "ドップ"は、ジオン公国軍が地上侵攻作戦のためにコーダ社に委託し急造した大気圏内用艦載機(CATOBAR)。少尉からの愛称は"緑のアヒル"。

 武装は30mm機関砲を機体中央部に、6連装ミサイルランチャーを備えた武装ポッドが、2枚の垂直尾翼の付け根に左右一基ずつ装備されていた。戦闘機でありながらかなりの火力を持ち、攻撃機としての運用も可能な多目的戦闘機(マルチロール・ファイター)である。

 スペースコロニー国家であるジオン公国の技術者たちは、大気圏内航空機に関するノウハウも試験飛行を行う場所もなかったため、コンピューターシミュレーションによって本機を開発したといわれており、試験飛行の際には試作1~4号機までがことごとく墜落したと記録されている。飛行に成功した5号機も既にU.C. 0079 3.3という遅さだった。

 空力特性がきわめて悪い機体を、大推力のエンジンと多数の姿勢制御バーニアで強引に飛翔させるという航空機より航宙機に近い技術で設計されているため、運動性は高いものの航続距離は短く、長距離移動運用には母艦となる"ガウ"級攻撃空母等のサポートが欠かせない。

 飛行を揚力にほぼ頼らない機体であるが、これによる利点もあり、戦闘で主翼を破壊されてもこの機体特性お陰で墜落を免れた例もあり、またその推力から艦載機でありながら不整地での離着陸も可能というとんでもない特性を備えており、正にジオンの要求に応えた万能機であった。

 大きな特徴としては、ミノフスキー粒子散布環境下の有視界戦闘を前提に設計されており、操縦席が機体から上方に大きく突出し、キャノピーも大きく前方視界が広く取られている。下方視界も考慮に入れられており、操縦席前部、昇降装置付近もグラス化されており、対地監視も熟す。この設計は"ルッグン"、"ドーラ"にも引き継がれた。しかし、この航宙機寄りとも呼べるコクピット前面にコンソール及びコクピットシート、昇降装置を集中させた設計の弊害は如実に現れており、航空制御装置や火器管制装置等を始めとするアヴィオニクスや生命維持装置がパイロットシート後部に詰め込まれる形となり、ドッグファイトに必要不可欠な後方視界がゼロに近いという構造的欠陥を抱える形となってしまっている。

 本機は、膠着化していく地球上の戦闘において、国力の乏しいジオン公国軍の主力多目的戦闘機として活躍していくようになる。"ドップ"のみで編隊を組んで敵部隊を攻撃した他、陸戦型MSと共同作戦をとる事もあった。機体サイズからしたらかなり小さな主翼は逆ガルウィングであり、格納時には折り畳む事が出来た。これによりランディグギアも艦載機にしては小型化されており、かなりコンパクトな印象を与える。その為か、更に小さく再設計し、変形機構を持たせ、機体そのものをまるで"コア・ファイター"の様に小さく折り畳み、MSの脱出機能として設計されたものも存在すると言う証言があるが、不確かである。

 航宙機に近い設計が功を奏したのか、低空から成層圏近くまで、また、地上のあらゆる所で確認され、HLVの打ち上げ、降下、連絡機や戦艦の大気圏離脱の援護もこなし、迎撃に上がった連邦軍との空戦も多発した。本機は旋回性能こそ低いが、大推力から来るダッシュ力は決して侮れるものでは無く、高速の一撃離脱戦法に地球連邦空軍は大いに苦しめられた。

 

 

 

YS-11 ド・ダイYS 重爆撃機

 コーダ社が主導となり開発が行われた"MSへの航空支援機計画"で開発された、機首に8連装対地ミサイルランチャーを装備した重爆撃機。

 主に開発され普及したYS型は機体前面に8連装ミサイルランチャーを装備する爆撃機であり、また貨物室を持たず、機体上面に貨物をむき出しで固定するフラットヘッド型と呼ばれる輸送機でもあった。宇宙世紀の輸送機に主に見られる共通点として機体上面から吸入した空気を下面から噴出しすることでVTOLが可能になっている。また、最前線での戦術輸送を考慮して大口径のもの2発、小型のもの8発、計10発ものロケットブースターを備えており緊急離陸が可能。そのため即応能力も高く、MS突入前の露払いとしても多く用いられた。

 大きく扁平な機体に大きな翼を持ち、また重量に比べて推力に余裕のあるエンジンが搭載されていた事からペイロードにかなりの余裕があったため、そこに目をつけた軍司令部は機体上部にMSを乗せ、戦場までの輸送や降下した大気圏突入カプセルからの回収などの任務を"ドーラ"などと供に行わせる事となった。更には熟練したパイロットのみであったがMSを乗せたままでも戦闘を行うことが出来ることが発見され、地上の不整地踏破能力が高い反面、平地での機動力にかける欠点を持つMSの行動範囲の拡大、MS・爆撃機両者にとって不得手であった対空戦闘が可能、"ド・ダイ"YSに被弾時でもMSが即座に離脱できるなど有用性の高さから"ザクII"、"グフ"などが搭乗し前線で運用された。また特に"グフ"の固定武装が空中戦において非常に有効活用出来たため、その組み合わせは互いのマイナス面を補い合える存在として非常に相性が良かったとされる。

 そのため"グフ"の中期生産型以降は製造の時点で"ド・ダイ"とのリンクプログラムを搭載してあった。本来中隊長用アンテナとされる額のマルチブレードアンテナが"グフ"に標準装備されているのはこのためである。またそのため"ド・ダイ"自体の通信機能もかなり強化されており、空中管制機的な運用も耐えうるレベルの性能を誇っていた。以後MS輸送・空中戦闘のための補助機体はサブ・フライト・システム(SFS)と呼ばれたが、"ド・ダイ"はその先駆けであり、その有用性所以その後広く利用されることとなった。

 連邦軍の空中輸送部隊にとってこの"ド・ダイ"とMSの連携は大変な脅威で、撃墜された"ミデア"輸送機もかなりあったとされる。ただし"ド・ダイ"自体は"コア・ファイター"や"TINコッド"などに搭載された機銃一連射で空中分解、または爆散する程度の脆弱な防御力であり、"ド・ダイ"側にも少なくない犠牲が出ていたと言うのもまた事実である。

 "ド・ダイ"を駆った有名なエースパイロットとしては、ジオン公国地球攻撃軍、ヨーロッパ方面第15戦術爆撃隊所属のヘルムート・ルッツ少尉がいる。彼は"オデッサ"作戦時に置いてでは、戦闘爆撃機"ド・ダイ"GAに搭乗し3日間のうち地上にいたのは補給と仮眠のための12時間程度で、あとは常に愛機とともに上空にいた、というほどのパイロットであり、『連邦の頭上に彼あり』とまで言われた。陽気で明るく、よく冗談を飛ばす人物として知られており、マ・クベ大佐に対し、『"コア・ファイター"が30機欲しい』と言ったというエピソードはあまりにも有名。通算スコアは戦闘車両を480両も撃破しており、"タンクキラー"として名を馳せる一方、爆撃機ながら敵戦闘機を14機撃墜しており、このスコアから、『ルーデルの再来』とも呼ばれていた。しかし、"オデッサ"作戦3日目のU.C. 0079 11.9に降着装置の故障により着陸に失敗し不慮の死を遂げた。

 バリエーションとして先行量産型でありコストのかかる"ガウ"に代わる完全な爆撃機として開発されていた"ド・ダイ"GA、爆撃能力を廃し、エンジン出力を強化輸送能力に特化させ、完全なMSキャリアーとなった"ド・ダイII"がある。

 

 

 

P01B ルッグン 戦術偵察機

全高 5.2m

全長 12.6m

全幅 29.2m

動力源 ベクタードノズル式VF24(推力48t)×2

武装 20ミリ連装機銃×2

固定式機関砲×4

小型爆弾

APS20レーダー(レドーム)×2

AP50前方監視レーダー×2

 ジオン軍の地球侵攻作戦際にコーダ社のエディ・ハイネマン技師に開発され、地球全土で広く用いられた戦術偵察機。無尾翼の全翼機で垂直尾翼状の観測ドームを持つ逆T字型の機体に、長大なビームで支えられたレドームがついた独特の形状をしている。推進機はベクタードノズル式で余剰推力が高く、垂直離着陸可能なVTOL機である。ミノフスキー粒子撒布下を大出力でねじ伏せる超高出力レーダー他、熱センサーや光学系機器による高い索敵機能を持つ。

 操縦席は機体前縁の正副独立したバブル型のキャノピー内部にある。大きくせり出したキャノピーのため下方監視も可能。"ドップ"の構造的欠陥である後方視界も改善され、観測ドームからは正副操縦席から椅子ごと移動することが出来る。また、レーダードームは上下反転が可能になっており、ミノフスキー・テリトリーにおける索敵の指向性を強める事が出来る野心的な設計である。

 両翼端には連装対空機銃を装備しているが、基本的には自衛用に用いられる。観測レドーム前面に固定式機関砲4門、他に胴体内に小型爆弾倉があり、爆撃も可能。本機は偵察機であるが、宙返りをするほど運動性能が高い。また"コア・ファイター"の機銃にある程度持ちこたえる防御力を持ち、限定的な空戦能力も備えていた。多くの改良機があるためジオン製航空機の中で最も完成度が高いといわれる。

 装備された推力48tのベクタードノズル式VF24のエンジン推力に目を付け、まるでSFSのように"ザクII"をぶら下げ空輸させた、という目撃証言があるも定かではない。

 

 

P01C ドーラ 小型空輸機

全高 5.2m

全長 12.6m

全幅 28.5m

 "ドーラ"は完成度の高かった"ルッグン"の高いエンジン推力に目を付け、それを元に小型の輸送機として再設計したものである。そのため武装は一切ないものの、MSこそ運ぶ事は出来ないが連絡機として使えるほど足の速い空輸機として完成した。

 "ルッグン"の時には既に完成していた機能は全てあるため、その性能の高さから凄まじい速度で拡大した戦線の兵站維持に貢献した影の立役者であるといえよう。

 

 

 

AAC/B-04 ガウ 攻撃空母

全長 62m

全備重量 980 t

武装 2連装メガ粒子砲×2

2連装砲

爆弾倉

対空機銃

 ジオン公国がコーダ社に委託し開発した大気圏内用大型輸送機兼爆撃機である。ミノフスキー型熱核反応炉2基を翼付け根に搭載し、その電力により熱核ジェットエンジン18基を駆動し、大気圏内においてはほぼ無限の航続距離がある。

 だが、コロニー内のシミュレーションのみで設計された機体であったため、"ドップ"と同じく揚力だけで飛行を支えるのは不可能であり、全速航行時でも下方ジェット噴射に全推力の三割を回していたと言う。因みに、ジオン地球侵略作戦の映像で"ドップ"とともによく確認されるが、実際に開発されたのも"キャリフォルニア・ベース"占領後であり、プロパガンダのための合成映像ではないかと後年指摘されている。

 陸上での長距離移動能力に乏しいMSを運用するために開発され、MSを胴体部に3機、"ドップ"戦闘機を両翼にそれぞれ4機搭載可能である。しかし一機にあらゆる性能を持たせたためコストは高く、そのお値段なんと"ミデア"輸送機を3機でもお釣りが来るほどである。そのため後に"ド・ダイ"YSを始めとするSFS、Sub Flight System(サブ・フライト・システム)に大部分が取って代わられる事となる。

 あたかも空飛ぶ空母のごとき威容と機動兵器搭載運用能力を持つことから「攻撃空母」と呼ばれる。対地攻撃に優れ、絨毯爆撃を市街地などで展開している。南米の連邦軍総司令部"ジャブロー"に対しては、「定期便」と呼ばれる爆撃をたびたび行っていた。また、"オデッサ"戦でも多数投入された。

 前方にMSの発進口を設けたため、MS降下時には速度を落とさねばならず、"ジャブロー"強襲作戦では連邦軍の良い標的となったという。また、同作戦中の"ガウ"は"ドップ"を搭載せず、艦載機発進口のカタパルト上部に多数の空対地ミサイルランチャーを仮設。MS隊降下の露払いとして"ジャブロー"にミサイル攻撃を仕掛けた。護衛の"ドップ"部隊は最初から"ガウ"の周囲を飛翔している。

 特筆すべき事項として、宇宙往還機の母艦機能がある。大気圏突入カプセル"コムサイ"の空中収容とブースターなしでの弾道飛行のための自力発進が可能。航続距離の短い"コムサイ"を連邦軍制空圏手前で回収し、弾道軌道で味方基地近辺に送り出すことで"コムサイ"の生存率は著しく向上したとされる。

 また、終戦までに約60機前後が生産されており、装備の違いによりいくつかのバリエーションが存在するという説もある。

 

 

 

VCA-02 ファットアンクル 輸送機

 コストの高いガウに替わる輸送機としてコーダ社に開発された超大型輸送ヘリコプター。機体前方にハッチがあり、MSなら3機直立させながら輸送が可能。両端に取り付けられたローターをエンジンごと折りたたむことができるため、大型機でありながら駐機スペースが小さい。武装は自衛用の連装機関砲3基のみとなっている。

 大型機ではあるが、約2名の乗員で運用される。搬出入は、正面の観音開き扉だけとされていたが、後年再設計の際に後部にスロープ兼用ハッチが追加された。また、サイドハッチも追加された物は"ファットアンクル改"とされた。

 

 

 

水上艦艇

 

 

 

PHV-02 シーランス ホバークラフト

 MIP社が開発した水上快速艇。高速巡航時には、ホバークラフトと2基のジェットエンジンにより水上を滑空する事ができる。

 連絡艇として使われる他、機体上部正面コクピットに20mm2連装機関砲に対艦ロケットポッド、大型魚雷を2発搭載し、その速力を活かし敵船団へ浸透、雷撃を行う事も可能。しかし走行時の安定性は高くなく、装甲と呼べる装甲も無いため、その被撃墜数は決して少なくなかったとされる。

 

 

 

潜水艦

 

 

ユーコン級攻撃型潜水艦(U型潜水艦)

武装 3連装魚雷発射管×2

VLS×8

 一年戦争中に地球連邦軍が開発を進めていた原子力ミサイル潜水艦であった次期主力潜水艦Ⅷ型を鹵獲し、MS運用能力を持たせた物。

 U.C. 0079 3.13、ジオン公国軍は、連邦軍の防衛部隊がコロニー落としによる被災地復旧に駆り出されていた隙をついて、北米大陸最大の拠点である"キャリフォルニア・ベース"をほぼ無傷で制圧。"キャリフォルニア・ベース"には、近日進水予定であった次期主力潜水艦Ⅷ型を含む多数の潜水艦が残されており、ジオン公国軍はこれらの潜水艦群と工厰を手中に収めた。

 ジオン公国軍突撃機動軍の総司令官キシリア・ザビ少将は、これらの潜水艦にMS運用能力を付加するなどの改装を施して自軍の潜水艦隊を設立する計画を立案し、ただちに改装作業を開始させる。

 U.C. 0079 6月、Ⅷ型潜水艦を改装した"ユーコン"級攻撃型潜水艦が完成し、"ユーコン"級3隻より成るジオン公国軍初の潜水艦隊を編制。ジオン公国突撃機動軍戦略海洋諜報部隊として北太平洋に配備した。

 その後、U.C, 0079 7月には全てのⅧ型潜水艦が"ユーコン"級潜水艦に改装され、大西洋、インド洋、北極海にも戦略海洋諜報部隊の配備が完了。様々な作戦に従事し、僅かに残った連邦海軍の水上艦隊や沿岸基地に大打撃を与えたという。




順次追加します。もしかしたらMS解説もここでやるかも。

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