~~~~~~side「シャルル」
嘘、でしょ……?
試合開始の電子音と同時、真っ直ぐラウラに突っ込んでいき、そのまま『シュバルツェア・レーゲン』と交戦状態になった一夏の後を追おうとした僕は、箒の駆る『打鉄』に行く手を阻まれていた。
こうなることは想定済みだったし、例え相手が誰だろうと一夏を守るために突破していく覚悟はしていた筈だった。そう、筈だったのに……。
体が動かない。別にシュバルツェア・レーゲンの『AIC』を受けたわけでもなんでもないのに、
僕は箒と対峙した途端指一本動かせなくなっていた。
これは、なんだ?
僕が、呑まれてる? そんな筈はない、これでも一応、本国で代表候補生としての訓練は受けてきている、その中には、国家代表クラスの対戦相手との戦闘も含まれていた。いくら箒が強くたって、いくらなんでも百戦錬磨の国家代表に及ぶほど強い筈はない。そもそも箒の実働経験を考えれば、僕に負ける要素なんてないのだ。
……まぁ、実働経験で測れない相手だからこそ、厄介っていうのはあるね。
既にアサルトライフル『ヴェント』は展開している。
『打鉄』は防御型の機体、射撃武装を積めないわけではないが、箒はそれらの武器の取り回しが苦手らしく積んでいないとの話は聞いている。だから後はこの引き金を引き絞れば、一方的に攻撃できる。
なのに、引き金に掛けられた指は震えて中々動いてくれない。これはもう、実力差がどうとか、そういう理屈の問題じゃない。生物としての本能が、アレを刺激するなと訴えているのだ。
本当、同じ年代の女の子相手にこんな感情を抱くなんて、我ながら失礼だと思うけど。でも、そうとしか説明がつかない。
「……来ないの?」
しかし、このまま睨み合いを続ける訳にはいかない。
元々一夏の『白式』は『シュバルツェア・レーゲン』と相性が悪い。今こそ一夏とラウラは膠着状態のように見えるが、一夏は最初の一撃から一度も自分の間合いに入れていない。本人は策があると言っていたけど、正直なところ僕はそれは一夏の虚勢だと予想していた。
だから、一刻も早く、目の前の敵を下して一夏の元に行く。しかしそのための攻撃が仕掛けられない僕は、言葉で相手を煽ることにした。流石に仕掛けられれば体だって反射的に対応せざるを得なくなる筈だ。
「一夏とは、あの独逸の小娘を先に譲る約束をしている。このような事態になったところでそれを反故にする気はない……それに、それはこちらの台詞だ。この程度の重圧に呑まれているようで、お前は一夏の隣に立って戦えると思っているのか?」
……見破られてたか。でも、結果的には発破をかけて貰う形になった。僕にだってプライドがある、そこまで言われて黙っている気はない。引き金に掛かる指の震えが止まる。箒はそれを見て、満足そうに微笑んだ。
「そうだ。斃すべき敵というのは、そうでなくてはいけない……これはあくまで試合などという甘えは捨てろ。戦いとは命のやり取り、負ければ死して屍になる。それくらいの覚悟がなくては、いざというとき先程のような無様を晒すぞ」
「その意見は……極端じゃないかな……!」
言葉と同時に引き金を引く。
射線は確実に箒を捉えていた、当たる。
そう確信したところで渇いた金属音が響き、箒を捉えていた筈の銃弾が宙に舞い上がる。
「っ! ブレードで……」
「やはり盾を使った戦闘は性にあわなくてな、千冬さんに無理を言って用意してもらい、射撃武器の代わりにインストールしたんだが……やはり使い勝手がいい」
そう言って箒が取り出し、僕の銃撃を弾いたのは、一本のブレード。
右手で既に持っている大型の近接ブレードと比べると半分ほどの刀身を持つ、やはり刀状の鍔のない、無骨な金属のブレードだった。
「……なら!」
『ヴェント』を箒に向けたまま、引き金を引きそのまま絞る。
連続で銃弾が射出され、零れ弾が舗装されていないアリーナの床に突き刺さり砂埃を上げる。
それにより箒の姿が見えなくなるが、ISのハイパーセンサーの熱源探知により位置は掴んでいる、一つマガジンを使い切るまで『ヴェント』による掃射を続ける。
「これで、どう?」
単発で防げても、一分間に800発近くの弾丸を吐き出すアサルトライフルの掃射を、シールドなら
まだしもブレードで防ぐなんて芸当が出来るわけが……
「……なんだ? それで終わりか?」
「なっ……」
ない、と思ったところで、僕は自分の思惑が外されたことを嫌でも思い知ることになり、そんな状況でないにも拘らず思わずポカンとしてしまう。
砂煙の中から飛び出してきた箒は、全くの無傷だった。箒は箒の機体の代わりに全ての銃弾を受け止めたと思われる、先程見せた二本のボロボロになったショートブレードを格納すると、地面に突き刺していたロングブレードを手に取り真っ直ぐこちらに向かってきていた。
「……くっ!」
一瞬呆けていたのは致命的な隙。
それでも打鉄の機体の鈍重さが幸いし、僕はハイパーセンサーでも追えない程高速で迫ってくる刃に捉えられる紙一重のところで後ろに跳ぶ様にスラスターを展開、空に逃げる。
そして下がり際に右手のヴェントを連射しつつ、マガジンを使い切った左手のヴェントを手の中でクルリと回し、アサルトカノン『ガルム』に変更。フルメタルジャケット弾をばら撒く『ヴェント』と違い榴弾を装填しているそれを迷わず箒に向けて叩き込む。
爆発が巻き起こり、箒は為すすべなくそれに包まれる。
それでも安心は出来ない、地面に絶えず落ちる金属の音から相変わらず『ヴェント』による掃射は弾かれているようだし、炸薬弾も明らかに着弾前に落とされた、爆発するタイミングが早すぎる。
爆炎による煙が晴れると、そこには流石に無傷とはいかなかったようだが、それでもあの規模の攻撃を受けたにしては軽傷の『打鉄』が姿を現す。
……全く、ここまで規格外だと呆れるのを通り越して笑い出しそうになっちゃうな。
しかし、飛行が上手くないというのは本当のようだ。
箒は地上から50メートル程浮き上がった僕のラファールを追ってくる気配はなく、何も言わずに先程の攻撃を受けるのに使用したショートブレードを格納しながら空にいる僕を見つめている。
……どうする?
未だラウラと交戦している一夏の方を確認する。
まだ緊急を要するような事態にはなっていないが、それでも攻め手を欠いて苦戦している様子がわかった。
助けに行きたいが、これほどの実力を持つ箒を放置しておくのも危ない。
そんなことを考えているのがばれたのか、箒は不敵に微笑むと、
「行きたいのであれば私を斃せ。さもなくば、お前は最後に私に背を向けたことを必ず後悔する事になるぞ」
そう言い放ち、再び地面に刺したロングブレードを抜き放つ。
くっ、やっぱり放置は出来ない、彼女にはここで倒れて貰う!
もう一度『ガルム』を掃射、爆発を確認してから収納した『ヴェント』をコールしリロード、いつでも使える状態にした後直ぐに再び収納。一度無手になってから重機関銃『デザートフォックス』を呼び出す。
「……器用なものだな、それだけの動作をこの一瞬で行うとは」
「器用さで言えばアサルトライフルの掃射をブレードだけで弾く君には負けると思うけど」
やはり銃弾を左手のショートブレードで弾き、爆煙を切り払うように姿を見せた箒に機関銃を向ける。
……これに装填されているのは、『高速徹甲弾』。ブレードで弾丸を弾いているのなら、とことんそれに負担をかけて手持ちのそれを消耗させる。ショートブレードのストックがなくなれば、箒に僕の攻撃を防ぐ術はない。
「……ふむ、あくまで遠距離から小道具で攻め立てる気か。互いに鎬を削れん戦いには興が乗らないが、まぁ、あちらのケリがつくまでの暇潰し位には丁度良い。さて、では私の『篠ノ之二瀧流』がどこまでお前の小細工に通用するか、とくと見届けて貰うとしようか!」
……正直なところ、こんな箒の弱みに付け込んだ一方的な展開、いい加減箒の気を害するんじゃないかと思っていたのだが、どういう訳か自分の手の届かないところから一方的に攻撃されている筈の箒はむしろやる気になっているようだ。っていうか、僕の知ってる箒とテンションが違う。彼女って、こんな饒舌だったっけ?
僕が箒の様子にと戸惑っているうちに、打鉄の量子格納した装備を取り出していることを表す灰色のノイズが箒を取り囲むように展開、それが晴れると同時に姿を現したのは、
「……ま、まだあんなに」
箒を囲み守るように地面に突き立った総数25本のショートブレード。
箒はまた手にしたロングブレードを自分の正面に突き刺すと、ショートブレードを空いた右手でその中の一本を引き抜き、その際の腰を低くし屈んだ状態を維持しながら僕と向き合う。
「私にはお前のように拡張領域から高速で武器を呼び寄せる技能がない、恐らくこちらの方が速いだろう。さあ、こちらの準備は万端だが、そちらはまだ待って欲しいのか?」
「!」
そうだ、呆けてる場合じゃない。こうしてる間にも一夏は追い詰められているかもしれないんだ。
「行くよ箒! 悪いけれど、これで決めさせて貰う!」
「出来るものならな!」
『デザートフォックス』の安全装置を解除、同時にフルオート射撃が開始される。
戦車の装甲もたやすく貫く徹甲弾の一斉掃射、いくらIS専用に製造されたブレードとはいえそう何発も弾けはしない。実際、箒を守るように地面に突き立ったショートブレードが根元から吹き飛ぶように消えて……
「な……」
いや、折れている訳じゃない、本当に『消えている』。
箒は屈みながらまるで踊るような流麗な機動で、折れたショートブレードを捨て、地面に突き立ったショートブレードを引き抜くのを繰り返し、最低限の移動で徹甲弾の弾幕を避け、受け流し、弾き落としていた。
しかし、その一連の動作が完全に目で追えず、結果的に地面に突き立ったショートブレードが次々に消えていっているように見えるのだ。
アリーナの観客席から、ほう、と箒の動きに魅入られたような声が上がるのがわかる。
気持ちはわかる。実際僕もこうして対峙している側でなければ、この剣の舞に目を奪われただろう。
しかし、これで虎の子の『デザート・フォックス』の攻撃を無効にされている身としては、目の前の光景は悪夢か何かとしか思えない。
その後も、しきりに立ち居位置を変え、なんとか箒に攻撃を当てようとするも、決定打となる一撃は与えられず。『デザートフォックス』が空になったマガジンを吐き出したのと、箒が手にした、最後のショートブレードが根元から折れたのは、全くの同時だった。
「ま、まさかここまでとは……」
弾薬を吐き出し終わった『デザートフォックス』を、『ヴェント』に変更しつつ、僕は背中から冷や汗が吹き出るのを感じていた。
箒は満身創痍だ。いくらなんでも、重機関銃から放たれる弾丸の嵐をブレードだけで凌ぎ切れるなんて虫のいい話はない。
しかし、倒れてはいない。機体こそそこらじゅうが徹甲弾によって虫食いのように抉れ、SEも多くは残ってはいないだろうが、それでも『打鉄』は未だ戦闘状態を維持していた。
こんなことは、今までなかった。軍用ISならいざ知らず、競技用にリミッターがかけられSEにも制限があるISバトルにおける戦闘で、あれだけの攻撃を受けて尚動けた相手を僕は他に知らない。
ここに来るまでの演習じゃ、そもそも各武装の弾薬を使い切るなんて事態にさえなったことがないのだ。だからこそ、戦慄する。目の前の、自分の未知の領域にいる敵に。
「だけど、これでブレードは全部……!」
破壊した。そう確信し、少し罪悪感を覚えながらも手にした『ヴェント』を箒に向け止めを刺そうと引き金に指を掛けるが、
「そんな……一体、何本積んで……!」
またしても箒を守るように地面に突き立つショートブレードを目にして指の震えが再発する。
「さて……いくらだろうな? 自分でも確認していないからわからんのだ、後十かもしれんし、百かもしれん。千というのも捨てがたい」
先程の激しい機動の反動か、肩で息をしながらも表情だけは余裕を失わない箒が、ニヤリと笑いながら次を寄越せとばかりにショートブレードを構える。
……時間が……!
相手は満身創痍、いくらブレードが残ってたってSEがもつ筈がない。もう一手合いもすれば今度こそ終わる。そう頭は判断するも、違う部分がそんな理屈で倒せる相手ならとっくの昔に終わっている筈、ブレードが残っている限り、いや、仮になくなったとしてもこの相手はどこまでも食いついてくると訴える。
短時間での突破は無理。そんな考えが頭をよぎった僕に追い討ちをかけるように、状況はさらに悪化する。
ラウラの苛烈な猛攻を掻い潜り、僕達が戦っている間に『シュバルツェア・レーゲン』のワイヤーブレードを3本切断した一夏の『白式』が、とうとうブレードを持った右腕を残ったワイヤーによって絡めとられた。
「……!」
即座に左腕でワイヤーを掴み、一夏は脱出を図ろうとしているが、手間取っているうちにラウラが『瞬時加速』を使用。一気に距離を詰め、一夏に向けて右手を突き出す。それと同時に、まるで石になったように停止する『白式』。
動けない一夏に、黒い手刀が紫色の閃光を瞬かせながら突き刺さる。
「……やめろ!」
その人に手を出すな!
そう思った瞬間、反射的に体が動いた。先程まで遠くにいた筈のラウラが、あっという間に目前に迫る。
「馬鹿なっ……『瞬時加速』だと! データにはなかった筈だ!」
「今試したからね!」
驚きながらもレールカノンを発射して対応するラウラも流石だが、装備の即時換装は僕の十八番だ。
実体シールドをコールして防御する。レールカノンの威力とこちらが高速で突進していた反動で実体シールドが一発でひしゃげ使い物にならなくなるが、それも計算の内。シールドをパージ、その下に隠していた真打を構える。
「!」
ラウラもそれに気がついたのか、今度は僕に対して右腕を突き出す。それだけで、高速機動を行っていた僕の『ラファール・リヴァイブ・カスタム』の動きが止まる。けれど、
「がっ……!」
同時に、一夏に掛けられていた『AIC』が解除される。僕に気をとられ一夏に対する注意が疎かになったラウラは、一夏のブレードによる一撃を回避できず、肩部装甲が抉り取られる。
「織斑一夏ッ! 貴様ァ!」
「いいのか? 俺に気をとられすぎてさ!」
「しまっ……!」
『AIC』は、複数を拘束できないだけでなく、対象に対しての集中力が途切れると維持できなくなるらしい。僕に対する拘束も解除され、至近距離にいるラウラに手にした『それ』を突きつける。
『灰色の鱗殻』。
炸薬の爆発の衝撃で、ISの装甲に用いられる特殊合金で造られた金属杭を対象に撃ち込む、『盾殺し』の通り名を持つデュノア謹製のパイルバンカー。手持ちの装備、いや、第二世代機の中でも最大の威力を誇り、通り名が示す通りISのシールドを容易く打ち破り、衝突時のインパクトだけで絶対防御を発動させて余りある火力を持つそれで、僕は無防備なラウラを捉え、トリガーを引き絞ろうとしたところで、
「――――残念だ、シャルル」
猛烈な、寒気に襲われ。
僕は反射的に、声が響いた背後に腕の骨が急な方向転換と手にした武装の重みで軋みをあげるのにも構わず、『灰色の鱗殻』を叩き込んだ。
「ぐっ!」
いつの間にか影のように直ぐそこに迫っていた箒の左肩に楔が突き刺さったのを確認、そのままトリガーを押し込む。
ドンッ!
リボルバー状の機構部が回転。炸薬の爆発と、金属杭が打ち出される音が地響きのようにアリーナに伝わり、『打鉄』の肩から腕に掛けての装甲が、持っていたショートブレードごと衝撃で粉々に砕け散る。
体にも相当のダメージを負った筈にも拘らず、箒は尚右手のロングブレードを振り上げ尚僕に迫る。
「……くっ!」
とっさの判断で『灰色の鱗殻』を盾にし、退避のための時間を作ろうとするも、一瞬で縦に真っ二つに切断される。二撃目を近接用ブレード『ブレッド・スライサー』を展開し、受け流そうとするがそのあまりに重い一撃に手が痺れ、三撃めで弾き落とされた。
近接戦では望みが薄い。
すぐさまそう判断した僕は『ガルム』をコール、箒ではなく地面に向けて発射。
爆発で砂埃が巻き起こり、一瞬箒が怯んだ隙にスラスターを噴射させ退避、距離を置く。
……もう少しだったのに!
全て上手くいく筈だったのを、思わぬところからの妨害によって台無しにされ思わず歯噛みする。まさか、箒まで『瞬時加速』を使って追いついてくるなんて、予想すらしていなかった。
「さっきのあれか。いや、折角興が乗ってきたところでお前が逃げたので、少し腹がたってな。
絶対に逃がさんと念じたら出来た……IS自体は色々あってあまり好きではないのだが、あれはいいな、あの地面が縮むような感覚は生身では味わえん」
「……箒、僕は」
「言った筈だ、『行きたいのであれば私を斃せ』と……私も、あの小娘に思うところがないわけではない。お前の言いたいこともわからないではないが……かといってこうして組むことになった以上見捨てるような真似はしない。それに……」
箒はそこまで言いかけると、まるで戦意を失ったように構えていたブレードを降ろすと後方に残された一夏達を振り返る。
「これはあいつの役目だ。折角、久々にあいつがその気になっているのだ、結果がどうなるにしろ、見届けてやるのが友というものだろう?」
振り返りながらそんなことを言う箒の視線の先を追って、僕は背筋が凍った。
一夏は僕が起こした砂埃を利用してラウラの間合いから退避しようとしたようだが、ギリギリのところで『AIC』に捕まってしまったらしい、動きが止まってしまっていた。
そんな一夏に、ラウラはゆっくりと、肩のレールカノンの標準を合わせていく。狙いは『白式』の胸部、先程の手刀で装甲が灼け落ち、生身の箇所が剥き出しになってしまっているところ。あんなところにレールカノンを至近距離で撃ち込まれたりすれば、シールドの存在を見越してもかなり大掛かりな『絶対防御』が発動してしまう。間違いなく、そんなことになれば元々SE効率が良くない『白式』はSEが底をついてしまうだろう。
「一夏っ!」
とっさに助けに駆けつけようとするが、遅い。
いくら『瞬時加速』でも、これだけ距離が開いてしまえばレールカノンの弾より速くなんて動けない。
「終わりだ織斑一夏! 所詮、貴様もそこらの有象無象と同じ。教官の弟という肩書きに守られているだけの、取るに足りん存在に過ぎない」
顔を嘲笑に歪ませ、一夏を罵倒しながらレールカノンを作動させるラウラ。
そんな彼女の様子に、僕は心から怒りを覚える。
……君からすれば、取るに足りない存在だとしても。その人は、僕に『居場所』をくれたんだ!
でも、僕のそんな想いが、ラウラに届く筈もなく。
僕の『瞬時加速』は間に合わず、レールカノンの発射音がアリーナに響いた。
タイトルの黒鉄は意図的な誤字です、念のため。疾風と対比させるために二文字にしたかったというものです。
……箒が強すぎる? いやまぁ、どうか一応本作独自設定の適性Sの面目躍如ということで一つ。
次回やっとこさ一夏対ラウラになります。