IS/SLASH!   作:ダレトコ

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第十六話~三竦み~

あのクラス代表戦から、早一ヶ月。

箒も無事に学校に復帰し、本人が引くほど盛大な歓迎を以って、箒の復学は迎えられた。

いやはや、ホント人生何が起こるかわかったもんじゃない。あの箒が今や学校中の人気者だなんて、ここに来た当初は考えられられなかったからな。いや、いいことだとも。なんだかんだで、俺も新しい人気者のテコ入れにより前ほど注目されることがなくなり、自由時間の度に妙な連中に付きまとわれることも減った。あのセシリアとの決闘騒ぎ以降あまり目立つような立場に身を置かれることがなかったのも大きい。

……尤も、全くなくなったわけじゃないんだけどな。

 

そう、残念ながら、なにもかも順風満帆といったわけではなかった。

まず一番最初は、箒……いや、『俺と箒』のことだ。

考えてみて欲しい、あの一に鍛錬、二に修行の箒が、仕方がないとはいえ2週間もベッドに縛られ続けたことでどれだけ鬱積が溜まっていたかということを。あの集団見舞い以降入れ替わりで押しかけた箒の追っかけも、箒のストレスの蓄積に拍車をかけた。こいつが入院中に爆発しなかったのは、本当奇蹟としか呼びようがない。

だが、いっそのこと爆発してしまったほうが良かったのかもしれん。だって、その結果俺がこいつの鬱憤を一人で引き受けなくてはならなくなったのだから。

 

箒が復学して最初にしたことは、まだ夜も明けない未明、寮の部屋で寝ていた俺の首根っこを捕まえ、道場に強制連行することだった。

で、いつもの如く手合わせしたんだが、2週間のブランクは相応に箒の体から切れを奪っており、戦いの流れは珍しくずっとこっちに傾いていた。しかし、負けず嫌いの箒が当然それで納得するはずもなく、いつになく食い下がった。俺もあの箒相手に一方的な展開に持ち込めたことに気を大きくして、ついつい乗ってしまった。

それが、いけなかった。俺達の勝負は結局その日剣道部が朝練にくるまで長引き、今まで何とか誰にも知られずに続けていた早朝鍛錬の現場をとうとう押さえられてしまったのだ。

そこから後は……もう大変だった。剣道部部長の執拗な勧誘を振り切ったまではまだいい方で、その一日後には『IS学園のサムライカップル?!』なんていかにも頭の悪そうな見出しの新聞が出回り、何故か鈴にこの内容について詰め寄られ、最後には『新聞部、ミナゴロシ』なんて呟きながら、どこから持ってきたのかわからないポン刀引っ掴んでどこかへ駆け出そうとする箒を鈴とセシリアの3人がかりで必死で取り押さえる羽目になった。

このいかにもアホらしい騒ぎのお陰で、箒はまたしても剣道部に入部する機会を逃した。まぁ、引き続き部長からしきりにモーションかけられているようだし、箒のほうも前ほど他人を邪険にしなくなったので、箒の剣道部入部に関してはもう時間の問題のような気もする。俺の方にまで飛び火してきたのは流石に計算外だったが。

 

白煉も、気がついたら戻ってきていた。

やはり、あの灰色のISを差し向けてきたのは、束さんだった。

ただそれ自体は束さん本人の意思ではなく、現在束さんをサポートしている自立AIの独断によるものだったらしい。

 

「どの道迷惑な話だよな。自分で作ったもんの手綱くらいしっかり握っとけってんだ」

 

『識別名『黒煌』。私と同時期に開発されたAIで、サポートよりも単独による情報工作を得意とする個体なのですが……優秀ではあるのですが、癖が強く開発当初から私達の中では一番の問題児でした』

 

「お前以上に癖のあるAIとか想像できないな。って、私『達』? お前とそいつの他にも束さん謹製のAIがいるのか?」

 

『はい。現在世に出てはいませんが、死蔵を嫌うマイスターのことです、気分次第では今後会う機会もあるかもしれません』

 

「ああいう形で会うのは二度と御免だけどな。で、白煉。結構お前にしては調べるのに時間かかったみたいだけど、なんかあったのか?」

 

『申し訳在りません、マスター。どうやら先日の『黒煌』が、再びマイスターの指示を受けて暗躍しているという情報を入手したので、探りを入れていたのです。ただ情報戦では向こうに分があります、あまり大したことはわからなかったのですが」

 

「束さんが、またなんか企んでるのか?」

 

『はい。詳細は不明ですが、狙いは再びこの『IS学園』のようです。念のため、普段から身の回りに気を配るようお願い致します』

 

「ああ……」

 

こんな感じで、今でさえ大変だっていうのに早くも行く先にさえ暗雲が漂い始める始末だ。

一応この件は千冬姉には相談したが、それだけであの束さんのやろうとしていることを未然に防ぐのは無理なような気もしてきた。

あの人は見た目ほんわりしているようで、中身がとんでもない切れ者なので思考が全く読めない。実直で裏のない千冬姉にとっては、味方なら心強いが逆に敵に回すとこの上ない厄介な存在だろう。

 

それに千冬姉といえば、鈴だ。

箒に対しては例の新聞騒動で少し険悪になったものの、新聞部のでっちあげであることが判明しすぐに和解して、今のところ引き続き言葉足らずの箒を俺と二人でフォローしてくれているものの、千冬姉に対しては以前のままだった。

この件は当然既に千冬姉にも確認を取ったが、頑なに喋る気配がない。だがそこには確かに鈴に対する負い目のようなものが感じられて、千冬姉が鈴との約束を破ったということが事実なのではないかというのはひしひしと感じらた。

そして同時に、この件は俺が迂闊に踏み込むのは非常に危険なものであることも今更ながら実感している。ここまで千冬姉が口を割らないのは、この話に俺が無関係でないからのような気がするからだ。

 

とまぁ、色々問題がある中で、さらに「新しい火種」がこの学園にやってくることを聞いたのは、いつものように鈴が転校してきてから放課後にたまに行っていた、専用機持ちの一年二人と自主訓練が終わり寮に戻る時だった。

 

 

 

 

「あー! もう、なんで勝てないのよ! 一夏、アレ禁止! 光る剣禁止!」

 

「別にいいけどその場合お前も龍咆と双天牙月禁止だからな。俺だって対セシリア戦の勝率どんどん落ちてんだからこれ以上負けれるか」

 

「双天牙月に対応できませんわ……もっとビットを制御しながら自身の制動をしっかり行うノウハウを早く掴みませんと」

 

三人で擬似的な試合を行った帰り道での会話。

俺達の対戦結果は、見事なまでの三竦みだった。それは機体の相性によるものもあるし、搭乗者の得意不得意も大きく関わっている。

 

俺の白式は、基本的に地上での格闘戦には滅法強い。そうでなくても可変展開スラスターによる自由かつ俊敏な機動を持つ上に、対IS戦においては一撃必殺の武装を持つからだ。よって、アウトレンジの攻撃法すらあるものの、いずれも火力不足なため基本的にはそれは牽制程度で用い最後には接敵して殴るのがメインの『甲龍』相手だと非常にやりやすい。なにせ向こうが痺れを切らして飛び込んでくるのに合わせて『零落白夜』を発動させるだけでいい。鈴も当然そうやすやすとは斬らせないが、なにせ零落白夜はシールドで防御不能な上掠っただけでISを戦闘不能に追い込む。思い上がる気はないが、少なくとも今のところ知り合いで単純な斬り合いで一発も俺を相手に貰わないなんて芸当が出来るのは千冬姉くらいしか思いつかない。

 

対し、『ブルーティアーズ』は始終一方的にアウトレンジから攻め立てられるのでやりにくいことこの上ない。最初の決闘の時こそ向こうが油断していたのもあり、スラスターによる制動で弾幕にも対応できたが、セシリアはビットの布陣の構成については天才的で、訓練を重ねるうちにどんどん『物理的にどんな動きをしようが回避できない』弾幕の構成技術が高まっていった。最近ではあの白煉にさえ、

 

『回避可能な機動パターンが存在しません。諦めてください』

 

と、匙を投げさせるほど上達した。お陰で俺の対セシリア戦の成績は右肩下がりだ、これで空さえ飛べればビットを直接狙える上に白煉曰くセシリアとの初戦で用いた『偏向』が大分狙い安くなるらしいので、若干結果も違ってくるのだが。

 

そして、セシリアの駆る『ブルーティアーズ』は、鈴の『甲龍』との対戦成績がすこぶる悪い。

原因は本人も言っていた双天牙月、それに龍咆の存在だ。『プルーティアーズ』は子機であるビットの制御中はそちらに意識を取られ、どうしても本体の制御が疎かになる。そこをこういった飛び道具で狙い撃ちされ、そちらに意識を向けた瞬間に折角構築したビットの布陣が崩れ、その一瞬の隙を突かれて懐に飛び込まれそのまま距離をとれないまま撃墜されるパターンが殆どだ。特に双天牙月は一定時間滞空して相手を追い回す上、ビットに性能で劣る分構造が頑強なためレーザーの一発や二発ではビクともせず、さらに連続使用が可能なためビットの制御を絶えず掻き乱すことが出来るというセシリアとは特に相性の悪い武装となってしまっている。

 

「セシリアは勿論ビット制御しながらの機体制御も習得しなきゃだけど、それ以前に格闘戦をもうちょい頑張った方がいいと思うわ。一応格闘用の装備あるのに出す間もなく終了ってあんまりだと思うの」

 

「う……そうですわね。わたくし、やはりクラス代表戦で貴女と戦わなくて良かったのかもしれませんわね。今の結果を見てる限りでは勝てた気がしませんもの」

 

「ふふーん、そうでしょ。あーあ、惜しかったわねぇ、あのゴリラさえこなければ、一年最強はあたしのものになってたっていうのに」

 

「くっ……」

 

「あんまいい気になるなよ鈴。結局最後まで箒は手を抜いてたことを忘れんなよ。大体、クラス代表は俺になった可能性もあった、その場合お前は『素人同然のIS乗りに10秒で倒された代表候補生』として歴史に名を残すことになったんだからな」

 

「なっ、流石に10秒で負けたことはないでしょ、馬鹿にすんな!」

 

「この前の試合の結果をもう忘れたのか。先手必勝なんて言って無策のまま突っ込んできてそのまま零落白夜のカウンターで轟沈。8.23秒、IS史上でも5本の指に入る試合時間だと山田先生も関心していたぞ」

 

それでもこの上があるというのだから凄い。ちなみにこれより上の記録を打ち立てたのは言うまでもなく俺の姉だったりする。

 

「うぐっ……でも今回は大分粘ったじゃない!」

 

「あんなのが粘った内に入るか! ったく、こっちの足元みやがって」

 

今日の鈴との演習は本当に酷かった、いい加減こいつも近づいたらいけないと悟り始めたのか、アウトレンジの攻撃手段を用いる頻度が大分上がってきたのだが、今回は本当に上空から龍咆だけで攻めてきたのだ。セシリアのそれと違い精度の欠片もない砲撃をボンボン撃ちながら飛び回る鈴を見て何もかもどうでもよくなった俺は、「URYYYYYYY!」と奇声を上げながらひたすら変態機動で砲撃をかわす振りをして遊ぶ方向にやる気をシフトした。そんな俺の様子を見てブチ切れた鈴は一層龍咆を乱射しまくり、最後は砲撃の多用によるSE切れという何とも締まらない終わりだった。

 

「大体お前も人のこという前にちったあ射撃の練習しろよ、ここぞって時はきっちり当てる癖に、意識して狙えば狙うほど当たらなくなるってどういうことだよ」

 

「ぶ、武装はあくまで牽制用だもん! あんたみたいなイレギュラー相手じゃない限り通用するから問題ないわ!」

 

「いつでもセシリアみたいな相性のいい奴と戦れると思うなよ。大体『相手が誰々じゃなければ』なんて言ってるようじゃいつまで経っても一年最強なんて名乗れんぞ」

 

「ぐっ……」

 

黙ってしまう鈴。ふっ、空しい勝利だ涙が出そう。

というのも、こうやってあれこれ指摘することがあるということは、逆に言えばこいつらにはまだ努力すれば伸び代があることを意味する。毎回、訓練の度にこういった反省会的な会話はするのだが、俺に関するそういう話題は殆ど上がった試が無い。

だって、そもそも指摘しようがない。装備は雪片一つのみ、おまけになにかしらの補助がなければ空すら満足に飛べないときている。こんな機体で空を自由に飛びまわり多彩な遠距離攻撃手段を持つ相手に勝てないからどうしようなんて聞かれたところで、そこは装備増設しろよと言う位しかないに決まってる。そんなことが出来ればそもそも苦労しない、とっくの昔に空中サーフィン用のビットの一つでも増設している。

 

「そうですわね。また代表候補生が転校してくるという話もありますし、現状に満足していたらあっという間に足元を掬われますわよ」

 

「セシリアまで……ま、言うとおりだけどさ。そもそも満足なんてしてないって、こんな奴に負け続けなんてあたしのプライドが許さないしね」

 

「こんな奴だとぅ……って、待て鈴、今セシリアが何か俺の知らない大事なこと言った気がする」

 

代表候補生が転校? 初めて聞く話題だ、こんな時期に転校って変な話だな。

まぁ鈴のケースもあるしこの業界では珍しくないことなのかもしれんが。

 

「ああ、そのことか。あたしも聞いてるわ、何でも欧州から二人来るって話よ」

 

セシリアの話を聞いて思い出したのか、あーそういえば、みたいな顔で俺の疑問に答えたのは鈴だ。

 

「俺は初めて聞いたんだが」

 

「こういうことは最初にクラス代表に話がくるのよ。お前のクラスに入っても問題なく受け入れられるように下地を整えておけってね。ったく、面倒な話よね。代表候補生ってだけでクラス代表なんて押し付けられる身にもなってみろってのよ」

 

まぁ口ではそういってもなんだかんだできちっとやるのがお前らしいけどな。そう考えれば割と適任な様な気がしなくも無い。

 

「力を持っているものに相応の責任が伴うのは当然の事ですわ。鈴さんは、それをもう少し自覚すべきです」

 

しかし鈴のそういうところを付き合いが短いため良く知らないがために、やれやれといった様子で首を振る鈴を、半眼で嗜めるセシリア。

相変わらず堅いよなぁ。この手のセシリアの小言は最近俺にも多いだけに、つい鈴に同情してしまう。いや、セシリアが全うなこと言ってるのは理解してるんだけどね。

 

「わーかってるってば。専用機持ってるだけの奴なんて思われるのも癪だし、やることはやるわよ。そんなガミガミ言わないでよ」

 

鈴も煩そうに手を振る。

この二人はいまいちお互いの第一印象がアレだったのもあり相性がよくない。尤も実力はお互いに認めており、鈴と千冬姉みたいな断崖絶壁といった感じではないので、完全に性格的な問題なのだろう。

 

「本当にわかって……いえ、二組を見ていれば確かに貴女が上手く彼女達をまとめているのはわかりますし、心配する事もないのはわかるのですけれども……」

 

何か釈然としないといった様子で唇を噛むセシリア。

気持はわからなくもない。セシリアも確かに努力してはいるのだが、いかんせん一組はエリート集団という割には自由な連中が多く、皆セシリアのことを認めてはいるものの連帯感には今一つ欠ける。その事はセシリア自身自覚しているようで、何度も俺に対して相談してきたことだ。だからこそ、転校してきて間もない上代表候補生としての自覚も足りない鈴が自分より上手くやっていることが納得出来ないんだろう。

 

「……ったく、だから肩の力抜けっつってんだろ。鈴には鈴の、お前にはお前のやり方がある。お前の国ではどういう言い方をするのかは知らないけど、今のお前は『他人の飯が白く』見えてるだけだぞ」

 

そう言いながら優しく背中を手の甲でポンポン叩く。一応ニュアンスはわかったのかセシリアは恥ずかしそうに赤くなり、そんな様子を鈴は面白くなさそうに見てくる。

 

「……前から思ってたんだけどさ、一夏ってセシリアに対して甘くない?」

 

そして唐突にそんなことを呟く。

いきなり何を言い出しやがるかこいつは。

 

「だってさー、普段から食堂で一緒にご飯食べる時とか椅子を引いてあげたり、何も言わなくてもお冷取りにいってあげたりしてるじゃない。あたしには一度だってそんなことしてくれたことないのにさー」

 

あーそういう事ね。この面子では最近良く飯に行ったりするので、鈴からすればそういう時の自分の扱いがセシリアと違うのが面白くないのだろう。尤もこちらの答えは決まっている。

 

「そりゃあな。セシリアは同じクラスで勉強見てもらってるし、色々借りがある。お前みたいに人の煮込み蕎麦に七味爆撃を喰らわせたり、人の定食の唐揚げを横から掠め取ったりもしないしな。それに……」

 

要するに日頃の行いの差である。

自分に良くしてくれる奴に甘くなるのは人として自然なことではないのか。

大体、鈴に対してそんな真似をしたところで気持悪い奴されて終わりだという認識があった、だからこそ鈴のこの言葉は俺としては意外なもので、それを指摘しようと口を開きかけたのだが、

 

「一夏さんは紳士として振舞っているだけですわ。自分が淑女として振舞っていないのを棚に上げて、その言い分はどうかと思いますわよ」

 

セシリアが先に反論した。

……あれ、なんでそんな棘々してるんだセシリア、ここってお前が怒るところじゃないだろ?

 

「……何よ、あんたに一夏の何がわかるっていうの?」

 

「そちらこそ、長くお付き合いしている割には一夏さんのことをわかっていらっしゃらないのではないかしら」

 

うん? なんだか雲行きが怪しくなってきたな。

全くなんだってんだ、俺が何をした。

 

「そこまで。お前らが『俺』を勝手に決めるな。俺のやり方に文句があるなら俺に言え」

 

大事になる前に間に割って入る。

タイミングは丁度良く、二人ともさらに口を開こうとしたところで言いよどみ、気まずそうに視線を逸らす。

正直集中放火も覚悟したのだが、二人とも俺に言いたいことはないらしい。

セシリアはともかく、鈴がこういう拗ね方をするのはらしくない。

箒じゃないけれど、こいつも一年間会っていない間に何か変わったということなんだろうか。

 

「……そうよね、ごめん。ちょっと頭冷やしてくる」

 

「申し訳ありません、一夏さん。横から余計なことを言ってしまいましたわ……もう、わたくしったらどうしてこんな……」

 

そして二人とも恥ずかしそうに俺から離れていってしまう。

なんというか、アレだ。別に俺は何も悪いことはしていない筈なのに、無性に罪悪感に駆られるこの空気はなんだろう。ISでの戦闘はこれでもかってくらいの三竦みなのに、生身の俺達の関係はISみたいに単純にはいってくれそうにない。

ったくもう、これだから女の子ってのは……やめよう、何かこのままでは口癖として定着してしまいそうだ。

俺はこの事を今考えるのをやめ、後で箒に相談してみることにした。

 

……数時間後、『全く、お前という奴は』と呆れ顔の箒に正座をさせられ、詰られる俺の姿があった。

だが結局、箒も肝心の事は自分で気づくべきだと教えてくれなかった。

なんだよ、気づけるんだったら最初から聞いてねぇんだよ、とは言えなかった。

その時の箒は、怒ってこそいなかったがなんか怖かったからだ……どうせヘタレさ、詰るがいいさ。

 

 




ワンサマ鈍感回。次回欧州転校組二人の登場になります。
日常編はもっとしっかりがっつりやりたいものなんですが……技術というか、発想のなさが悔やまれます。

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