緋弾のアリア 転生者はハートネット   作:狭霧 蓮

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ちょこっとだけ理子の過去を……そして、ハヤトの無双回!


5弾 強襲科……悲劇の返り討ち(相手が

理子の過去は凄惨なものである……あいつ自身ではなくその凄惨な行いを笑いながら話してきたブラドから聞いたので真実なのだろうと思うが……。

 

まぁ、オレには「だからどうした」と言う反応はできない……なんだかんだ言ってオレもハートネット家の落ちこぼれだったからな。

天道家の跡継ぎはナシルで決まってる……ナシルってのは、ちとブラコン気味なオレの実妹である。

 

天道家に伝わる閃術を修めており、神速の早撃ちに高名なリロード法(おっぱいリロード)を習得していて、トップクラスの異能使いな……金髪巨乳美少女だ。

 

ガチの喧嘩はした事もないし……したくもない。

 

と言うか……なんだかんだ言ってオレ……あいつには甘いんだよな、本当に大甘である。

ブラコン気味とは言ったがオレもシスコンのヶがあるからあいつもブラコンなのだろうな……お互いを大事に、尊重しあうからこそ……愛情が強く、深くなるのだろうか?

 

……とまあ、オレの家族のことは路端に置いておく。

 

理子は、ボロ布を服の代わりに着せられて檻の中で飼われるような生活をしていた……ブラドは彼女の事を繁殖用牝犬(ブルード・ビッチ)と呼んでいたそうだ。

理子の体格が小さいのはろくな食事も与えられず、栄養不足のために体が成長阻害されていたから。

そして、ブラドの娘であるヒルダの熾烈な虐待も理子の心に歪みを作る原因となったと聞いた……理子はヒルダに玩具のように乱暴に扱われたそうだ。

つまりは人として扱われない交配用の牝犬よりも酷い扱いをブラドによって受けていた過去が理子にある訳だ。

そんな中で理子は隙を着きブラドの元から逃げ出して、シャーロック……トドのつまり、教授(プロフェシオン)と出会い伊・Uに入学したと聞いている。

 

貪欲に努力して力を取り込み続けた理子と俺が出会ったのは教授(プロフェシオン)がオレに試練として与えたブラドとの決闘に挑んだのがきっかけだった。

 

その時に次元と五ェ門、理子と組んでブラドを追い詰めたものの……時間切れで引き分けとなった。

 

その時使ってた前の「S&W M29」がとある事情で破壊された時、母さんから教わったゼロ距離射程閃術の天龍星撃(トルネード・インパクト)を叩き込んだのだが……ブラドは後ずさりして膝を折り、暫くしたら復活してたのは嫌な思い出だ。

 

メインの攻めは理子を中心に行い、オレと次元に五ェ門のサポートがあったが一度はブラドを退けた理子の頑張りを評価してブラドの奴は彼女に完全開放の条件として「初代アルセーヌ・ルパンを超えろ」と告げて、当の本人は教授(プロフェシオン)の軍門に下った。

 

しかし……ブラドの言い方には裏がある……奴はハナから理子との約束を守る気はない。

おそらく、今は放し飼いにして様子見にしてるはずだ……奴の中ではな。

 

だからこそ、初代アルセーヌ・ルパンが斃せなかったブラドを倒して理子は初めて初代ルパンを超えたことになるのだろうが、彼女はアリア……つまり、今代のシャーロック・ホームズ4世のアリアを斃す事で初代ルパンを超えた事を証明しようとしている。

 

アリアはオレの幼馴染でSランクの武偵。

そう簡単にやられるタマじゃないとは思うが……子供の頃からの猪突猛進気味の悪癖はまだ治ってないようなのでちと心配だ……ホントにな。

 

だからこそHSSのキンジをアリアのパートナーに仕立て上げたいオレである……一応と言うか、理由はちゃんとある。

言いたくはないが、アリアとオレの実力差が大きすぎるのだ……致命的なほどに……な。

 

オレの動きにアリアはついて来れないのだ……ぶっちゃけた話だが、オレは他の人間と合わせて動くのが苦手だ。

誰にでも合わせることができるリサが例外なだけでオレは基本的に多対一の戦闘が得意だ。

リサも単体での戦闘力が俺に合わせられるくらいだから誰にでも合わせることができるのだろうがな……。

 

チームワークが大事な武偵の強襲で、もしも協調性の乏しいオレが同じく協調性の乏しいアリアと組んだら……敵に致命的な隙を突かれて「dead end」になりかねんだろう?

 

それも含めるからこそアリアとは組めないのだ。

 

「あんた、一体どうやって無傷で地雷を回避したのよ!?答えなさい!」

 

「だぁぁ、うっせぇよ!」

 

オレは朝から元気につかみ掛かってくるアリアの手を払い、躱す。

 

オレが対人地雷を踏んで爆発した……どうやら、その痕跡が残っていたらしい……のでアリアはトリックというかどうやって逃れたんだと問い詰めてきているのだ……って!?

 

「ご主人さまぁぁぁっ!」

 

「ファッ!?リサざぁおぶるぼふぉ!?」

 

死角から飛び込んできたリサの低空ダイビングショルダータックルがオレの鳩尾にめり込んでクリーンヒットした……意味のわからん文字の羅列が口から出たのは……それほどの威力だったと察して欲しい。

 

教室の床でのたうち回るオレに器用に抱きついてくるリサは……何かをオレから補充している感じがするが……なんだこれ?

 

「リサは……リサはとても悲しく、寂しかったのです!今の一時くらいは甘えさせてください、ご主人様!」

 

おい、リサ……「自分の行い反省してるのか?」とも思ったがオレはその言葉を呑み込む。

リサは本当に素直なメイドで、とても甘えん坊なのだ……ちょっと今回は厳しすぎたかもしれないな……と人知れず反省しながら今後のことはまた考えるとしよう。

 

「わかったよ、リサ。明日からは一緒に登校しような」

 

「はいっ、ご主人様!」

 

腹の痛みも引いたので立ち上がると、オレはリサの手を取って立たせてやる。

 

「で、アリア。武偵なら今朝のトリックについては自分で考えて推理しろ……これはオレからの宿題だ」

 

「なんですって!?」

 

「お前なぁ……質問してきたキンジに「太陽はなぜ登る?月はなぜ沈む?」って言ったんだろ?」

 

アリアにオレは質問に質問で返すくらいなら自分で調べろ……と遠回しに伝える。

自分の事を棚に上げて質問攻めってのはこっちが納得できないからな。

オレの言葉にアリアはぐぅの音も出ないようで……

 

「わかったわよ!あんたのこと……隅々まで詳細に調べ上げてやるんだから……首洗って待ってなさいよ、いいわねっ!?」

 

そう言うとアリアは自分の席に戻っていった……どうやら一般教科の授業が始まる時間だな。

 

オレはリサを席に座らせて自身も教科書を出して準備をするのであった。

 

 

 

 

一般教科の授業が終わった午後からの時間。アリアはキンジの受けた探偵科(インケスタ)の依頼と内容についてを調べると言って強襲科(アサルト)の授業はパスするとのことだった。

 

で、オレは衛生科(メディカ)からリサが強襲科の見学に来るというのでエスコート役を買って出たというわけなのだが……リサは射撃レーンを見て目を輝かせて背負っていた「ブローニング M1918」……BARを構えると高得点ゾーンに弾丸を矢継ぎ早に叩き込んでいく……相変わらずすごい光景だよ……本当に。

 

「えらいメディックDA候補もおったもんやなぁ」

 

「あ、蘭豹先生。こんにちは」

 

野太刀などの大刀を背に5本ほど背負った蘭豹教諭がリサを見て感心していたのでオレは失礼のないようにと挨拶をした。

 

「せや、天道。お前、この後暇か?」

 

「はい、予定はありませんが……何かご用ですか?」

 

「ちと、な……ここ最近強襲科(アサルト)のガキどもに刺激が足りひんでなぁ……お前によこす手筈やった寮のボヤも不完全燃焼のガキ共のフラストレーションの捌け口になってもうたみたいでなぁ」

 

……教諭の言いたいことが理解できないぞ?

 

「お前、神崎と私闘やったな?」

 

「……ええ、まぁ……」

 

「あれな、ウチも観戦してたんやで?」

 

マジかよ……ってことは……

 

「察しのいい天道にウチから課題や。強襲科(アサルト)伝統の10人抜き(テン・ブレイク)に挑戦してもらうで?」

 

「いつですか?」

 

俺が恐る恐る聞くと、蘭豹先生はニヤリと嗤いながら……

 

「んなもん、今からに決まっとるやろ?」

 

 

 

 

「て、てめぇは!?」

 

オレの目の前にはC装備に身を包んだ屈強な強襲科(アサルト)所属の男子生徒がいる。

 

彼らの平均の武偵ランクはBらしい。

 

そして、前列で声を上げている強化プラスチック製のヘルメットを被っている奴には見覚えがあるぞ……確かオレが試験で〆た奴だ。

 

「おいテメェら!こいつを倒したら蘭貓先生が神崎の連絡先渡してくれるらしいぞ!気合い入れていけ!」

 

『オォォォォッ!!』

 

仲間を鼓舞するために叫んでいるが……救い様のないロリコン共の巣窟なのか……強襲科(アサルト)は……はいはい、キンジはロリコンじゃないよな。

 

ちなみにオレの装備は普段の外套に防弾制服だけ(・・・・・・)だ……C装備は性に合わない。

 

「お手柔らかにお願いしますね……では……行きますよ?」

 

オレは先手必勝とばかりに仕掛ける……最初の犠牲者はだーれだっとな。

 

一番手近な相手との距離13m……を一瞬で詰めると、オレの至近距離(クロスレンジ)に持ち込む。

 

「うぉ!?」

 

相手は持っていたナイフをとっさに突き出すが、オレは斜に構えて左手でその右手首を掴み、引き寄せながら右肘を相手の鳩尾にC装備防弾ベストの上から叩き込む。

 

「惚けていてはいけませんよ……武偵は常在戦中なんですから」

 

「ぐぉろ!?」

 

重く当ててすぐに肘を引いたのでかなりのダメージを負ったはずだ……っておい。

体をくの字に折って吹っ飛んだ生徒はそのまま闘技場(コロッセオ)の壁に激突、沈黙した……ちょっとやりすぎたかな?

 

ちなみにオレの勝利条件は相手全員を砂の床に沈めることだ。

バックステップで距離を取りながら、絶界から「S&W M29」を引き出すと共に2発打ちながら飛来する数発、直撃コースの9mm弾を連鎖撃ち(チェイン)で撃ち弾く。

そして、直立姿勢で3発の「.44SP弾」を相手の生徒達に向けてぶっ放す。

 

「ぎゃっ!?」

 

「うぉ!?」

 

「のわッ!?」

 

得物の拳銃を手から弾き飛ばされた生徒たちの一瞬の隙も見逃さない。

拳銃が撃たれた衝撃で仰け反る奴の太腿にオレは容赦なく残りの1発を撃ち込んだ。

すると、撃たれた奴は銃弾に足を払われてコケる前に、伏臥姿勢で一瞬滞空する。

 

オレはそいつとの距離を詰めて……滞空している生徒の防弾ベストをオーバーヘッド気味に蹴りつけて非武装の2人めがけて弾き飛ばした。

ボウリングのピンみたく3人は仲良く吹っ飛ばされて折り重なる様に気絶。

 

外套を翻しながら.44SP弾を絶界から出して左手に握る。

 

……これで後の残りは6人だ。

 

「ひ、怯むな!奴は弾無しだ!」

 

半ば怒鳴る様に派手頭がゲキを飛ばす。

 

「リロードすればいいのでしょうが」

 

オレは空薬莢をシリンダーから排出すると、空いている左手で絶界から出した銃弾6発を空に投げる。

無造作に銃を振るい、ちゃきっと音がした頃には全弾シリンダーに納まっていた……いわゆる空中リロードだ。

 

シリンダーを銃に納めて飛来する弾丸を跳躍で躱すと共にオレは2発を空中で撃つ。

オレの銃弾はこちらに標準を合わせていた2人の拳銃、その銃口に食い込む。

相手の拳銃は銃口に弾が詰まったことにより発砲と共に内部で高圧ガスが逃げ場をなくして銃身が膨張、破裂した。

 

「なんだよ!?こいつ!?」

 

「うわっ!?」

 

オレは着地と同時に動く。

着地先に置くように撃たれた銃弾をくぐる様に左手で片手側転しながら4発射撃と同時に銃弾を避ける。

オレが撃った時には武器破壊(アーム・ロスト)でナイフを構える2人を撃っておいた……腕と腹を撃って動きを封じながら距離を詰めた。

銃のグリップをハンマー代わりにしながら相手のヘルメットが側頭部をぶん殴り、頭を揺らす。

脳震盪で白目をむいた大男をもう1人に向けて蹴っ飛ばしながら空に弾薬をばらまいてシリンダーから空薬莢を排出。

そしてその場で小さく回転してリボルバーにリロードしながら外套を翻してコルト・ガバメントを絶界から引き出すと3連バーストにレセプターを切り替え牽制程度に撃ち込み、スライドオープンになるまで撃ち続けた。

 

生き残りの生徒たち4人は足元に計16発の.45ACP弾が飛来してパニクり、雑なコサックダンスを踊るという醜態をさらしている……追い打ちをかけるように.44マグナム(リボルバー)が轟音と共に火を噴いて意識を刈る死神が這い寄るように弾丸が放たれる。

 

6発撃って2人に、肩腹膝に3発づつ下から上に叩き込んで転倒させて戦闘不能に。

使っている弾丸は情けをかけるつもりはないが、弱装弾なのでそこまでのダメージはないはずだ。

 

弾切れになり、ガバメント、.44マグナムを両人差し指に吊るしながら絶界からバラの.44SP弾とガバメントの弾倉(ノーマルマガジン)を引き出して手に取り、空に投げるとオレはその場で宙返り。

弾倉を落とし、回転弾倉(シリンダー)から空薬莢を排出して宙でグリップを握りなおしてクロスさせるように腕を振るう。

 

かしゃんちゃきっ

 

弾薬をそれぞれに再装填(リロード)

 

オレは着地と同時に向かってくる相手の撃ってきた9mm弾十数発を再び.44SP弾3発での連鎖撃ち(チェイン)で防ぎながら単発のレセプターに切り替えたガバメントの.45ACP弾6発を浴びせつつ懐に潜り込みその場で小さく回転すると右肘で鳩尾を殴り、リボルバーのグリップでヘルメット越しに鼻頭を強打。

 

「ぐあ!?」

 

吹っ飛ばされたそいつは鼻血を垂れ流しながら意識を失ったのか背中から砂の床に落ちて沈黙した。

 

「さて、後は貴方だけですが?」

 

「ち、チクショウ!」

 

「ヤケを起こしても戦局は変わらないでしょうが……はぁ……」

 

オレはナイフを片手に闘牛のごとく突撃してきた派手頭を迎え討つように外套を翻しつつ絶界に二挺の拳銃を収納しつつ二振りの剣を引き出して、流星のように光る漆黒と白銀の剣閃を煌めかせた。

 

キンッ……ぽとり

 

その場で小さく回転しながら装飾剣(クライスト)を上段めがけて閃かせ、ナイフの刀身を斬り折る。

そして、相手の首筋に半回転で迫る聖宝剣(オートクレール)を寸止めした。

 

「……まだやるかい?」

 

オレがちろっと殺気を立てると、顔面蒼白の派手頭はそのまま意識を失うように後ろに倒れた……やべ、殺気を立てすぎたか。

 

剣気に飲まれて意識を失ったのだ……これで生き残りはゼロだな。

 

「そこまで……課題クリア、ええもん見せてもらったわ。おおきにな、天道」

 

格の違い……蘭豹先生はこれを見せたかったのだろう。

 

「しゃーけど、もうちょい本気出してほしかったなぁ……」

 

「あれに関してはまだ調整出来てないので使えません。……ので悪しからず本当に勘弁してください」

 

先生はオレのルーン魔術(ステルス)について言っているのだろう……だがしかしだ。

完全に対人の調整が終わったわけではない……あの試験で南郷先生を完全に感電させることができなかったのはいい経験になった。

 

「わかっとる、わかっとるわ。あれの類は死亡事故も起こりよるさかいにな……しょーみ、使わんのは正解やで?」

 

そんな物騒なことを微笑みながら言ってくる蘭豹先生は……そんな顔もできるのかと言いたくなるほどに美人になっていた。

 

「おう、クソガキども!今のがSランク武偵の実力や!これくらいを目標に死ぬ気でやれよ……ええなぁ!?」

 

……前言撤回。

 

蘭豹先生は美人ではない……残念な美人としておこうと思う。

気絶した生徒たちの襟部分を乱雑にまとめて掴むと彼女はずるずると引きずり、救護科(アンビュラス)に纏めて連れて行った。

血の気の多さは強襲科(ここ)向きの性格だな……それにあの怪力……人間バンカーバスターのあだ名は伊達じゃないってな。

 

「ご主人様はやっぱりリサの勇者様なのです!お強いです!」

 

観戦していたリサは開口一番にオレを讃えてくれるが、この程度で褒められても気恥ずかしいだけなのだ……相手の平均武偵ランクがBなのだから勝って当然……だとアリアには言われそうだしな。

 

そんなことと反省点も考えながらリサを連れてオレは闘技場(コロッセオ)を後にするのであった。

 

(続く)




と言うわけで最新話です。

そして、ヒロインのアンケートも実施いたします。

詳細は活動報告に書いておきますので、アンケートの回答は活動報告のコメント欄にお願いしますね。
間違っても感想欄に回答を書かないようにお願いします……

では、批判と感想、 評価も首を長くして待っておきます。
次の話でお会いいたしましょう。

では

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