緋弾のアリア 転生者はハートネット   作:狭霧 蓮

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アリアとちょこっとだけ原作主人公の登場……キンジ、強く生きろよ(違


2弾 新学期……幼馴染はアリア

春の陽気はまだ少し遠い4月1日、オレとリサは一週間

泊まっていた都内の某高級ホテルのチェックアウトを済ませてから東京武偵高校に向っていた。

 

「今日から登校ですね、ご主人様!」

 

「ああ、そうだな。俺たちのクラスは2年A組だったか?」

 

「そうですね、えっと……はい。その通りです」

 

リサは立ち止まり、「ある物」が仕込まれている防弾トランクからA4サイズのプリントを取り出すと確認してくれる。

 

プリントをしまい、防弾トランクを片手に持つリサの横顔を眺めて視線をずらして彼女が片手に持つ日傘に目を向ける。

 

日を避けるようにリサがさしている彼女の師匠からの餞別だと言う武装日傘……フレームがフランスで生み出されたイナーシャ式の半自動(セミオート)ショットガンの「フランキ・スパス12」を改造した物なのは気のせい……じゃないよなコレ。

 

紫外線カットの布地はツイスト・ナノ・ゲブラー(以下TNK)で編まれているし、それが三層になっているので防弾性も推して知るべしだ。

 

リサと模擬戦する時も彼女はこの武装日傘を好んで使っていた……攻防一体の武器なので相手取ると実に厄介だった。

 

リサは軽々とそれを片手で持ち上げてるがそれ、軽く4kg超えてるはずなんだがな……まぁ出逢ってからもう「リサだから」にも慣れてきたし気にはしてない。

 

……が、周囲の視線が痛いな。

 

オレの服装は武偵高の防弾制服に防弾ブレザー。その上に臙脂色のアルスターコートを着ている……ちなみに、このコートは重量がかなりあってな……大体8kgはある。

 

まぁ、リサの格好も目を惹く理由だろう。

 

TNKの布地で作られた防弾制服を彼女なりにメイドっぽく改造しているからな……ヴィクトリアン調のメイド服を好むリサらしく、スカートはロングスカートだ。

 

制服の上に装備している腰のベルトにはノーカスタムのガバメントが収められたホルスターとベルト固定されたポーチには予備弾倉(スペア・マガジン)がしまわれている。

 

その背中にはスリングて吊るしたブローニングM1918(以下BAR)を持っていて布で隠してはあるが、長物の特徴は隠せていないな。

スリングを締めてるためにその……なんだ……リサの大きな胸が乳袋みたく盛り上がっている。

それを食い入るように見ている側道の男どもに鉛玉をくれてやりたくなる衝動を抑えながら……俺たちは武偵高に辿り着いた。

 

門をくぐり、周囲の視線に不快感を感じながら俺は教務課(マスターズ)に向かった。

そんなに珍しいか……朱金髪の長髪男子て?

 

 

 

 

教務課で武偵徽章を受け取り、始業式に出席するために体育館に向かう。

 

道中、リサは充てられたロッカーに武装日傘と防弾トランクをロッカーに入れて体育館に向かった。

 

そして、無個性な……特徴の掴めない校長のありがたいのかどうでも良いのかもわからない話を聞いて始業式が、終わる。

 

オレとリサは他の生徒とは別のルートで教室に向かう。

 

担任の高天原ゆかり先生がサプライズ形式で紹介したいようだ。

 

で、オレとリサの隣には……あいつ(・・・)がいた。

 

「あ、あんた……もしかしなくても……ハヤトじゃない!?あんたごときが生きてたの!?」

 

大体5年ぶりに会うだろうか、目の前の「小学生(ちびっ子)みたいな高校生」は……うちと同じ「H」のイニシャルを持つ、うちよりも高名な貴族の出身でイギリスで名を知らぬ者はいない鬼武偵でオレの「一応」幼馴染の……神崎・H・アリアだった。

 

「なんだ、お前もちゃんと生きてたんだな。まぁ、そのなりなら大抵の銃弾や刃物ならしゃがむだけで避けれるだろうな……ってうお!?」

 

ガキィンッ!

 

オレの皮肉に反応してアリアは背中から抜いた小太刀二刀流で俺に切りかかってきたのだが、タダでは斬られまいとコートの裏からオートクレール……ではなく、ただの剣を二本引っ張して切り結ぶ。

 

「うそっ!」

 

切りかかってきたアリアは勝手に驚いている。

そりゃ、ロンドン武偵高にいた頃のオレだったらこの切り込みに対応できず防弾制服の上から肝臓付近をぶん殴られて悶え、こいつの足元で転げ回っていたことだろう。

 

「相変わらず短気だな、アリアは……」

 

「……」

 

アリアは我に帰るが、刀は納めない。

それに何かを企むように考える仕草までしている……マズイぞ……この表情のアリアは大概、面倒なことを考えているそんな表情だ……ッ!

 

この妙な間の中でリサは若干臨戦態勢。担任の高天原先生は顔面蒼白でおろおろしている……高天原先生って、切ったが張ったが日常らしいこの武偵高では珍しいタイプの気が弱い女性か……なんでこの学校の教師やってんだ?

 

「あ、あのぅ……」

 

涙目の先生のつぶやきにオレはため息を吐き、自分から剣を納める。

アリアはふふんっという感じでのドヤ顔しながら小太刀を納めていた……お前いったい何やったんだよ。

 

ジト目で睨んでいるとアリアと目があったので……

 

『……ふんッ!』

 

お互い、同じようなタイミングでそっぽを向く。

 

高天原先生はやはりと言うか何というか……おろおろしていた……「血塗れゆとり(ブラッディー・ゆとり)」……今や面影なしっとな。

 

 

 

 

転校してきたと言うことでアリア、オレとリサの順番で自己紹介した後。

 

二人の美少女に男子達が沸いて、オレには女子達が沸いた……思わず「颶焔の器」の真空防壁を生み出して黄色い悲鳴をシャットアウトした位の声量で……鼓膜にはやさしくない物だった……で……

 

「先生。あたし、あいつの隣がいい」

 

ズルリと、席から落ちる冴えない黒髪男子を指差しながらアリアはいきなりそう告げる。

とりあえず、あの生徒には同情しておこう。

 

「ハヤト、あんたはあたしの隣に座りなさい!」

 

……何でだよと言うわけにもいかんので……

 

「無茶言うな。先に座ってた子たちはどうなる」

 

と言うオレの抗議にアリアは形のいい眉をギギンッと釣り上げながら「ハヤトのくせに生意気だ!」と言い出した。

 

……生意気はどっちだよと言おうとしたら、拳銃……ガバメントに手をかけそうになるアリアに頭を抑えながら……

 

「わかった、好きにしろ」

 

オレは他の生徒の被害が出ないうちに素直に折れておこうと思う。

全く。H家の人々はどこか子供っぽく、子供みたいにプライドが高い……マジに勘弁してほしいぞ。

 

しかも、こいつ……まだあの問題(・・・・)を解決してないかもな……

 

「キンジ、これ。さっきのベルト」

 

アリアはつかつかと歩いていき、持っていたベルトを男子生徒に投げる。

 

それを見た金髪のアリアにも負けない位のちびっ子が席を立ち、騒ぎ出すのを尻目にオレはリサに声をかける。

 

「リサ、すまんがオレの幼馴染殿のワガママに付き合うことにするが、問題ないな?」

「はい!リサはわかっています……ご主人様ですから!」

「ば、バカ!?声がでかい!」

 

……あ。

 

顔を紅潮させてのそのセリフはマジでやめてください、リサさん。 恐る恐る振り返ると教室はシーンとなっていた。

 

「ご、ご主人様?」

 

青い顔でキンジと言う男子生徒の隣に座っていたガタイのいいツンツン頭が呟いた。

 

「はい!ハヤト様はリサのご主人様なのです!」

 

教室はさらに静まる。 一部の男子は血涙を流してオレを睨んでいた。 何故だ?

 

「あー、何でしょう。 ミドルネーム教えとくべきですかね。 オレはハートネット家出身です。取り敢えずよろしくお願いしますね」

 

さらに沈黙――な、何故だ!?

 

「ハートネット家? それって、黒猫(シャ・ノワール)二つ名(ダブルネーム)を持つ三代目トレイン・ハートネットの!?」

 

「は、はい」

 

こうなるから言いたくはなかったのだ。 おれにはまともな友達はいない。家柄を明かすとみんなが遠巻きにオレに羨望間を持って接してくる。

でもオレには両親のようなカリスマや、才覚はない。だからみんなオレに幻滅して。

 

「ご主人様……」

「ッ!」

 

いつの間にかリサがオレに抱きついてきていた。

リサの鼓動を感じる。 そうだ、もうあの頃のオレじゃないハートネットの名を持つことを誇れるくらいに己を鍛え上げた!

 

「もう一度言う。オレは天道・ハートネット・ハヤト! 貴族だろうが平民だろうがオレはオレだ。 少しみんなと価値観がずれるかもしれないが気兼ねなく任務(クエスト)に、遊びに誘ってくれ!」

 

オレはそれだけをみんなに伝えた。

そんな俺がテンパってるのをよそに ずぎゅぎゅんッ! と銃声が聞こえた。 その発生源は、アリアだった。

教室の空気が凍る。

 

「恋愛なんて……くっだらない!」

 

キンキンキキーン……静かな教室に床に落ちる空薬莢の音がいやに響く。

アリアの撃った銃弾が命中した場所には.45ACP弾の弾痕が刻まれていた。 子供みたいなアリアの弱点……こいつにその手の話はご法度だ。

オレもからかい半分で恋話をしたらメヌエットの前で撃たれた記憶が新しい……今でも思い出せるがな。

 

「全員覚えておきなさい!そういうバカなことを言う奴には……風穴あげるわよ!」

 

……これがアリアの武偵高デビューのセリフだったと言うのは……笑い話ではない。

 

 

アリアがコルト・ガバメントによる二挺拳銃で弾丸を全自動射撃(フルオート)で放つ……が、俺はその弾丸16発をS&W .44マグナムの連鎖撃ち(チェイン)で6発全弾であらぬ方向に弾き飛ばす。

銃は小手調と言わんばかりにアリアはガバメント二挺拳銃をホルスターに収納しながら背中から小太刀二刀を引っ張り出す。

俺はコートの内の絶界に.44マグナムを放り込みながら手を突っ込んで二本の柄を掴むとそれを引きずり出して……

 

「ふ……んッ!」

「えいやっ!!」

 

ギギギギィンッ! 強襲科(アサルト)の体育館内部にある訓練場内で剣戟が奏でる不愉快な響き……観客(オーディエンス)の前に剣閃の閃きがライトの光を反射して場を静寂に包む。

オレの聖宝剣(オート・クレール)装飾剣(クライスト)のでの二刀流(トゥー・ソード)を振るい、アリアの小太刀二刀流で斬り合っている。

オレは現在、ピンクのちびっ子……アリアと模擬戦の真っ最中である。

 

模擬戦のルールは簡単。相手をぶちのめした方が勝ち……だ。

 

なぜこうなった……とオレはアリアの小太刀を上体反らし(スウェイ)で躱しながら小一時間ほど前のやり取りを思い出していた。

 

 

 

 

遡ること一時間ほど前の昼時。

 

オレはリサの作って持参してくれていた弁当をリサが仲良くなった幾人かの女子生徒と共に食べていた。

オレは基本的に女性の相手をする時は聞きに徹して、意見を言うタイミングを計る流儀(スタイル)で話をする。

 

「で、ハヤトくんってリサちゃんと付き合ってるの!?」

 

……いきなり追及されるとは予想外だったが、オレは冷静にそれを否定する。

 

「付き合ってる……と言われても困りますね……僕はまだ未成年。まだ(・・)彼女と結婚することはできないですからね」

「リサはご主人様に奉仕できるだけで幸せなのです!」

 

……話を振ってきた鷹根さんは「メイドと主人の危ない関係なのね!」と一方的な決めつけて熱く語っている。

その様子をオレは微苦笑で流すことしかできなかった……が、さすがに否定すべきところは否定した。

 

そんなやり取りをしつつ、弁当を突いていると……ピシャリッと引き戸が開けられてズカズカとこちらに向かってくる足音が聞こえたので振り返るとそこには幼馴染殿が仁王立ちでこっちを睨んでいた。

 

「あんた、自分のメイドに加えて女の子3人もはべらして……どう言うつもりよ!」

 

一応アリアも誘ってやろうと思っていたが、こいつ……昼休みが始まってすぐに教室から飛び出して行ってしまった。そのため誘うことができなかったのだが……

 

「アリア、侍らすというのはさすがに誤解だと思うが?」

 

オレはあくまでも冷静にアリアに対応する。が、しかし幼馴染殿は納得がいかないようで地団駄を踏む。

 

リサに鷹根さん、早川さんと安根崎さんの相手を任せて……リサに仕込んでおいた女子の好きそうな話題で釣ってもらう。

 

「なんですって!?」

「確かにオレにはリサがいる。でもこの3人と食事をするのは(はべ)らしているということなのか?彼女たちがオレとリサを誘ってくれたんだぞ?」

 

オレはやましいことがないので真っ正面からアリアに食らいつく。もしも、やましい考えをしているなら真正面からアリアに答えられるはずもない。

 

「まぁ座れよアリア」

「ふんッ!」

 

隣の席から椅子を拝借して、アリアの席を作る。

アリアはそっぽを向きながらも自分の席から弁当を持ってくると、すぐに食べ始めて弁当の容器を空にしてしまう……つかアリア。弁当箱ちっさくねぇか?

どうせまだ足りないだろう……おまえ結構大食いなのに。

……そう思い、オレはコートの裏から絶界を通してあるものを取り出してずいっと、アリアに差し出す。

 

「こ、これ……ももまん?」

「お前、これ好きだっただろ?」

 

オレが絶界から取り出したのはアリアが好きな食べ物のももまんである。

子供の頃「H」家の人と共に行った旅行先の高級飯店で食べ飲茶に出ていたももまんをアリアは好んで食べていたのを思い出して、登校途中のコンビニで見つけたももまんを見て食べたくなり、買っておいたものだ。

 

……まさかこいつこんなに早く、しかも日本で会うとは思ってもみなかったからなぁ……。

アリアはオレの手からももまんを奪うようにぶん取るとはむはむとももまんを頰張る。

 

「もうちょいゆっくり食えよ……」

 

オレは呆れたが、アリアは構うことなくあっという間に自分の拳よりも大きなももまんを平らげていた。

 

「ハヤトにしては気が効くわね……ぁりがとぅ……」

 

もじもじしながら皮肉と小さな声で礼を言うアリア……もうちょい大きな声で言えよとは言はない。

こいつは俺に対してはいつもこんな態度だからな……なれたんだよ。

口元についていた餡子に苦笑いしながらオレは出したハンカチで拭ってやると、アリアはいつもの赤面壁を発揮させて真っ赤になる。

 

「で、アリア。オレに何か用があったのか?」

 

オレはアリアに用件を聞くと、少し間をおいて我に返って落ち着いたアリアが語り出した。

 

「……あんた、「武偵殺し」の案件知ってるでしょ?」

「ああ。オレが行方不明になった事件だな」

 

その事件についてはオレも知っている……カナさんとオレが伊・Uに拉致られたあの事件だ。

 

話を聞くと、どうやらアリアは被害者であるオレに話を聞きに来たそうだ。

オレはアリアに口の動きを見ろと瞬き信号(ウィンキング)で伝えると……

 

「すまんが、オレは幽閉されてた。その組織について知ることはない……(アリア……もし、伊・Uについて調べてるならすぐに手を引け)」

 

オレは日本語で喋りつつ、口は英語で動かしてアリアに読取らせる。

危ない橋を渡ろうとする幼馴染を止めるつもりだったのだが……これはオレの中での一つの賭けだ。

ここで思い止まるならオレの勝ち……突き進むなら……アリアの覚悟を見極めることにしたのだ。

まぁ、多少手荒い(・・・・・)方法になるだろうけどな……。

 

「あんた……もしかして知ってんの……?」

「オレは何も知らない(知りたいなら、オレと模擬戦しろ)」

 

腹話術を使えばこんな風に話すことができるんだよな……

 

そして、昼過ぎの今から放課後までの強襲科(アサルト)の履修を活用して闘技場(コロッセオ)を借りたオレとアリアが一騎打ちに臨んでいる……というわけだ。

 

 

 

小太刀を構えて超人的な瞬発力でアリアは俺の懐に入り込んで来る。

それを迎え撃つようにオレの剣が振り下ろされて小太刀に滑らせる様に受け流されるが、そのまま一回転した俺の右手の剣がアリアに迫る。

 

「どうした?……踏み込みが甘いぞ!」

「ッ!?」

 

ガギィンッ!!

 

オレはアリアの小太刀をすべて捌き、はじき返していた。

アリアと彼女の制服は土まみれの泥だらけだった。

一方的に攻め立てるオレ。 楽しいか? んなわけねぇだろうが!!

 

力量の差が開きすぎて相手にならないのだ、Sランク武偵のアリアでも、俺には及ばない。

武器の質量(ウェイト)の差も全てがオレにアドバンテージがある。

 

「その程度で伊・Uに刃向かうのか?挑戦しようってのか?……舐めてんじゃねぇぞ……アリアッ!!」

「しまっ……キャアァッ!」

 

オレは切りかかってきたアリアの小太刀ひとつを弾き飛ばし、宙で身動きの取れない彼女を蹴り飛ばした。

完膚なきまでに叩き潰して、その自信をへし折ることにしたのだが。 正直言って、胸クソ悪いものである。

だが、この程度で伊・Uに立ち向かうのは死に急ぐようなものだ。

加減したくもなるが、ここは心を鬼にしてアリアに問いかけた。

 

「アリア、おまえは弱いよ。 おまえ自身が思ってる以上に、な? だから諦めて現実を見ろ。 それにおまえ、その様子じゃあまだパートナーを見つけてないな?」

 

アリアはビクリッとその言葉に反応した。

 

「諦めろ、ですって?」

 

「そうだ、諦めろ」

 

オレはあくまでも冷静にアリアに言う。

 

「諦めるなんて、無理よ!!」

 

アリアは自身を叱咤するように震える足で小太刀を支えにしながらも立ち上がる。

何がアリアをここまで突き動かすんだ。 いったい、何が……

 

「あたしがここで諦めたら、ママを助けることができないのよ!!だから、だから――諦められるわけないでしょ!?」

 

なん、だと?

 

「どう言う意味だ、アリア?」

「ママは、奴らの。 伊・Uに着せられた冤罪(・・)で懲役864年の判決が決まりそうなのよ! あたしにはもう……時間がないの!!」

 

あの人が、かなえさんが「武偵殺し」の冤罪(・・)で懲役の判決を言い渡しされただと?

 

「本当なのか、それは……?」

 

俺の声色から棘が抜ける

 

「……ええ。嘘じゃないわ」

 

オレは剣を絶界に納めて、アリアに向き直る。

 

「わかった、アリア。お前の推理では「伊・U」が真犯人だと言うんだな?」

「……そうよ、あいつらがママを」

 

アリアはギリギリと歯ぎしりして、血が滲むほどに拳を握り締めて悔しさと怒りをあらわにしている。

評価が甘いかもしれないが、オレの猛攻に耐え抜いたこのタフさを評価してアリアにこう告げる。

 

「仕方ないな。 約束通り、お前に話せることは全部話すよ。 あと、パートナー探しも手伝ってやる」

「え!?」

 

我ながら酷い手のひら返しだ……しかし、偽善と言われても良い。オレはアリアに手を貸すことにした……手荒い方法で見極めようとして蹴ってしまった罪滅ぼしだしな。

 

「パートナー探しって、あんたがパートナーになってくれたらいいじゃない! ハヤト、あんたSランクの武偵なんでしょ!?」

 

やっぱりそう考えていたのか……

 

「そりゃ俺がお前を手伝えばすぐに終わるかもしれん。 だがな、先に目をつけた奴に失礼だと思わないのか?」

 

「……あ、あんな強猥男……あんなケダモノ!!」

 

あのキンジって奴、アリアに何したんだ?

……まぁ気が向いたら話しかけてみるか。

 

「とりあえず、今すぐにオレと組むのは無しだぞ?それは最終手段としておけ」

 

オレはアリアを甘やかせるわけにもいかないので彼女の提案を一蹴した。

そして、アリアに「加減してたとは言え、蹴飛ばして悪かった」と謝罪してから別れて帰路を迎える。

リサは一足先に充てられた寮室に帰らせておいたので問題はない。

オレは蘭貓先生から指示された武偵高強襲科(アサルト)の寮を目指したのだった。

 

 

 

 

で、どうしてこうなった? オレは今充てられたはずの寮室に来た。

しかし……開かれたドアの向こうは真っ暗の煤まみれで壁には爆破痕と弾痕があり、ドアには黄色い立ち入り禁止のテープが貼られている。

 

……荷物を先に送ってなくてよかった。

 

どうやら俺がこの部屋に来る前、この寮室のルームメイト達が大ゲンカして手榴弾の投げ合いやら銃の撃ち合いになって……ボヤ騒ぎどころか部屋そのものが機能しなくなったようだ……シャレにならんぞこれは……

 

一応、抗議の電話を蘭豹先生にしたが、彼女は別の部屋に行けと指示を出してガチャンッ!バキッと最後に聞こえて……乱暴に電話を切っていた。電話の受話器に手を合わせつつオレは仕方なく指示された探偵科(インケスタ)の寮に向かう。

そして、その部屋には……アリアを強猥しようとした物好きがいるとは知らずにオレは辿り着いた部屋のチャイムを鳴らすのであった……

 

「俺はロリコンじゃねぇ!!」

 

(続く)




はい、どうも。

アリアさんと主人公のハヤトは……と言うわけで幼馴染です。
メヌエットさんに関しては……「いつか出したいなぁ」と思っております。

ちなみにアリアのガバメントはアニメ版と同じです。
では次の話でお会いしましょう

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