緋弾のアリア 転生者はハートネット   作:狭霧 蓮

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リサ、満を持して登場!


プロローグ その2……その名はリサ

オレは過去を振り返っていた。

あ、どうも。オレ、ことハヤトです。

転生してからもう15年経って厨二病真っ盛り……とわいかない年齢になりまして……今は見知らぬ土地で戦闘訓練に勤しんでおります、はい。

2歳頃から自分に与えられた潜在能力を探り始めて正体は一応つかめました……13年かけて掴んだ正体でしたけどね!

まずタキオン掌握因子とはなんなのか……噛み砕いて言うとどこぞのカブトライダーの使うクロックアップみたいなものでした。しかし、まだ体にタキオン掌握因子が慣れてないので目にしかタキオン粒子流せません。

それにタキオン粒子はオレの魔力から生成されるので乱用できないって弱点があるのでそうそう長くは使えない感じかね?

 

魔力の使いすぎはオレの寿命を削りかねないから……多用は無用ってね。

 

次に颶焔の器。これは風属性と炎属性を合わせた物だと思う。この能力はどうやら俺の体内にある異能機関『幻器』を通して魔力を使うことで風もしくは炎を体外に放出できる異能のようだ。

圧縮と増幅とかの工夫次第ではかなり使えそうな異能だな……攻撃に防御、サポートや捕縛にも応用が効きそうだから探求と研鑽の価値がある異能だと俺の師匠であるシャーロ……教授(プロフェシオン)から評価をもらった。

知りたがりの猿真似道化は異能トレース能力だった。しかし、扱うにはかなり根気がいる物だとわかった。

すぐにモノにできれば苦労はないともいえるが……この猿真似道化に関しては気の遠くなるような反復練習の末にその異能をオレの身体能力に合わせて調整、習得できる異能だ。

大雑把に言えば「血汗にじむ努力をすればなんとかなる」能力ともいえる……これはいろんな意味でぶっ壊れな異能だと思うのだが……日々の努力と長い時間さえあればなんとかなるって結構使えるぞ!?

 

……まぁここまでの「検証に費やした時間」=「オレの年齢」だから自身の才覚の愚鈍さに嫌にもなる。

しかし、これは産んでくれた両親に対しての侮辱にもなってしまうのでネガティブに考えず前向きに捉えようと思う。

 

そして、オレは第Ⅳ種混成第Ⅰ種ステルスだ。

と言うのも『幻器』と言う異能機関を持つヒトが極端に少ないために魔力と呼ばれるチカラの源がまだ明確に解明されていないため、第Ⅳ種ステルスと言う扱いとなるらしい。

教授(プロフェシオン)からルーン魔術の師事を受けているので第Ⅰ種ステルスとしてもオレは扱われるわけだ。

まぁ……どんな枠分けだったかはややこしいから忘れてしまった。

 

オレは現在、伊・Uの根城として使われている太平洋のどこかの無人島にて教授(プロフェシオン)の指導の元に己を鍛えているのだ。

最初の頃は拉致られたばかりだったので混乱していたが、教授(プロフェシオン)がオレを拉致った理由を説明してくれて落ち着くことができた。

 

彼のいうことを要約すると、こうだ。

 

オレのお父様であるトレイン・ハートネット三世の頼みでオレを引き取り、鍛え上げる。

うちの両親も武偵。

とあるヤマを解決するために国外に出張る際、オレ一人を屋敷に残すのはキケンだと判断して教授(プロフェシオン)に預けることにしたようだ。

 

父さん……伊・Uも十二分にキケンだと思うのはオレが間違ってるのでしょうか?

 

たまにやってくる幹部クラスの人々と半ば強引に模擬戦させられて毎度死線を越えさせる超スパルタ戦闘訓練にシャーロック=サンの苛烈なしごきも加えて毎日死にかけてんだけどな……あれ?なんでだろ、目尻に汗が。

 

とにかく、基礎トレーニングと簡単な戦闘訓練(笑)で満足していた1年前のオレを殴りたくなってきた。 あと、3年前より髪の色が変化してる気もするんだけどな、父さんに似た茶髪が朱金髪になってきた気もするし目も青に緋が混じって薄い紫っぽくなってきた。

なんかの病気か? それとも色素が変わったのか?……原因不明なので近々教授(プロフェシオン)に相談するのもアリか?

 

彼ならなんらかのことは知ってる気がする……だって教授だしな……決めつけが過ぎるって?これくらいは言わしてくれよバーニィ。

 

……まぁ愚痴ったところで仕方ないな。

 

さて、休憩タイムもそろそろ切り上げて自主練に戻るか。

 

 

 

 

「さて、ハヤト。 君に紹介したい女性がいるが少しいいかね?」

「いつも有無なしに模擬戦させてるだろうが、あんたは」

「なんのことかね?それはまぁ端に置いておきたまえ。 リサ君、入って来なさい」

 

トボける教授(プロフェシオン)が手招きして「はい!」と若干気合の入った少女の声が聞こえてきた。

オレは彼女を見て……思わず惚けてしまった。

 

まっすぐに整えられた長い不思議な色合いの金髪。

モデルのように整った愛らしい顔立ちとグラマラスかつスリムな体型にではなく、彼女から感じられる純粋さにオレは心惹かれた。

 

「リサ・アヴェ・デュ・アンクです。 リサとお呼びください!」

「えっと、オレはハヤト。 天道・H・ハヤトです」

 

オレはリサ、彼女に一目惚れしてしまったようだ。 心臓のを落ち着かせようと必死に動悸を抑えるが暴走したように心臓は早鐘を打ち続ける。

 

「リサ君。 彼は君にかつて助言したが、『西から来る初心で恥ずかしがり屋な貴族の少年』だよ」

そのことばにリサが反応して「あなたが……」と呟くや否やオレに抱きついてきたってアイェェェッ!?ナンデ!?

 

「リサは、リサは。 リサのご主人様をずっと、お待ちしておりました! 末永くリサをお可愛がりください!!」

 

目がハートになっているリサにオレは目を白黒させることしかできない。 一体どういうことなんだ!?誰か説明してくれ〜!?

 

「……これより緋色の運命が動き出す。 ハヤト君、君はどんな選択をするのかな?」

 

シャーロックのつぶやきは大混乱状態のオレには聞こえなかった。 これがオレと「万能侍女(メイド) 」と呼ばれ恐れられる史上最狂メイド……リサとの出会いだった

 

そして時は流れて、オレがこの伊・Uの根城に来て迎える冬。 2月中頃である。

例のごとくオレは射撃訓練場で弾道の見切りの練習をしている。

 

オレと向かい合うようにM60重機関銃を設置してあり、オレは引き金を引くために足元のペダルを踏む。

するとフルオートの弾丸が俺に向かって銃口から飛来する。

ペダルを踏むと機関銃の引き金が引かれるのだ。

オレはペダルを離して「S&W M29 .44マグナム(6.5インチモデル)」を右手で構える。

そして、オレは眼に体内で生成したタキオン粒子を流して見える周りの景色を置き去りにするようなスーパースローに変える。

 

これはどこぞのライダーたちのクロックアップ……つまりは超高速の「動き」を見ることができるようになる能力の模倣だ。

彼らのようにタキオン粒子を体内に流動させて動こうとすると間違いなく体が空気抵抗とその速度に耐え切れず蒸発するだろう。

 

だからオレはこの能力を単なる視覚強化に使うことにしたというわけだ。

話が逸れた……オレはそんなことを考えながら.44マグナムの引き金を引く。

 

ドゥッ!ドゥッ!ドゥッ!ドドドンッ!

 

バヂバチバチバチッ!

 

30発の7.62mmNATO弾をオレは6発の.44マグナム弾で弾く。 これはオレ命名の「ディフェンス・カートリッジ チェイン」だ。

オレは迫ってくる7.62mmNATO弾の弾道を完全に見切り、.44マグナムの6発連射でその全てのNATO弾を弾く曲芸射撃だ。

シャーロックが銃の応用の際に見せてくれた技を猿真似道化でオレなりにコピーした結果、こんな曲芸射撃になってしまった。 まあ、使い所はあるから問題ないけどな……どこでつかうのかは知らん。

NATO弾5発に対して1発の弾数で弾けるとは……やっぱマグナム弾はパワーが違うな……そのかわり反動(リコイル)がでかいが。

 

意識してな撃たないといけないのは仕方ないとして……対策も練らないといかんな……マグナムを使用する際は。

ふと、射撃場の入り口に気配を感じた俺はそちらを向く。そこにはリサがいた。

リサはクラシック調……ヴィクトリアンメイド服で清楚にきめているが、その腰には革ベルトで吊るした剣を下げてある。ベルト付属ホルスターには「コルト・ガバメント」が収められており背中にはスリングで吊るした「Browning M1918 」を背負っている。

 

……あの、どこの戦場に向かうんですか?オレのメイドさんは。

 

「これがリサの標準装備なのです!」

「お、おぅ」

 

俺はそう返すことしかできなかった。 今リサ、俺の心読まなかったか? 気のせいだよな?

 

「で、なんでそんなに重装備なんだ?」

「リサも射撃訓練しようかと思いまして。もうそろそろ時期ですから」

 

あぁ、そういうことか。

 

リサの言う時期とはオレと彼女が伊・Uを抜ける日が近いことを示している。

と言うのも、教授(プロフェシオン)が俺たちに教える事は全て教え終わったと告げてきたのである。

この世界に生まれ落ちて早くも16年。俺もそろそろ将来を考えて武偵高に行こうと思ったのだ。

武偵……武装探偵になるために必要な知識は多く取り込んだし、シャーロック本人が教える事はないというのだ。素直に指示に従って置いて問題はないだろうと思う。

 

ちなみにリサは俺についてくるらしい。身の回りのお世話は彼女の好きにやらせている。

彼女曰く俺は「運命のご主人様」だと言う……意味がわからんが、こんなに可愛いメイドさんが自分からついてきてくれるのだ……断る理由もないので一緒に行くと約束した……事については色々と後悔した。

俺はもう童貞ではない……と言うかリサに食われました(意味深)。

素の戦闘力も、お世話力も高いリサさんだったが、あっちまで戦闘力高いとは聞いてない。

昨今のメイド養成学校では生徒が望めば夜伽に関してもレクチャーするとかなんとか……リサからの情報なのであてにはできんがな。

 

しかもリサはナニだけの関係でもいいと言い出すからなんと言えばいいのやら。 「第2夫人の枠でもリサはご主人様に奉仕できるだけで幸せなのです!」と言われたのでどうしようかと頭を抱えている。 どうせオレは迫って来られたら押し返せないヘタレ野郎だと骨身にしみてわかった。

 

だからオレは誓う。リサを泣かす事だけは絶対にしない……と。

隣のレーンで機関銃を直立姿勢でぶっ放すリサの横顔はとても精悍で頼もしい、そんな横顔にオレは改めて彼女に惚れ直したのだった。

 

 

 

 

「さて、今日2月28日をもって君たちの伊・U内での学績は抹消されたよ。今までよく頑張ってきたね……君たちそれぞれには僕からの餞別を贈ろうと思う」

 

シャーロックはリサに箒をオレには臙脂色のアルスターコートを手渡してきた。 あと俺には黒鞘に収められた剣と黒いガンケース。

 

「なんだ、このケースは……玉手箱じゃないよな?」

「今ここでは開けないように。あとリサ君、ハヤト君を食すのは構わないが……」

「は、はい……なるべく抑えるように善処いたします……」

「R18な展開は期待すんなよ!?」

 

……リサは頬を紅潮させながらもじもじとする。わかりやすいな、おい食われんのはオレだからな!?

 

「さて、君たちの道は君たちで切り開きたまえ。 さぁ、華々しい花道を」

 

シャーロックは待機させていたヘリに乗り込むよう俺たちに促す。

オレはリサの手を取り、歩き出した。

 

教授(プロフェシオン)。今までお世話になりました。オレ……もっと強くなるよう努力します!」

「君ならあるいは――まぁいい。期待しているよ、天道・H・ハヤト君」

 

今日この日の門出を俺は忘れない。

 

リサは……オレが守る……と改めて誓うのであった。

 

(続く)




感想の乾燥から目をそらしながら今日はこの辺で!

感想、評価は首を長くして待ってます!

では次の話でお会いしましょう。

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