神様転生した者だけど毎日が苦痛   作:八雲 紅

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ラウラとν-13ってそっくりだよな
とふと思った今日の昼
イマサラタウン


厄介事の第30話

織斑先生とボーデヴィッヒのやりとりを目撃し、厄介事をなすりつけられた俺は当初の目的地である整備室に来ていた。

 

 

「あ……」

 

「どうも」

 

 

なにやら作業中だった更識さんと軽く挨拶を交わし、俺は機体を置く所定の場所に四天を無人で展開させる。

そして展開した四天にその辺から伸びているケーブルを接続していく。

 

今日ここに来たのは四天の武装が増えたので学園でも武装を編集できるようにするために、まずは四天を学園の整備のプログラムにアクセスして色々設定するためだ。

 

 

「……?」

 

さっきからやけに更識さんからの視線を感じるのだが、何故だろう。

うーむ。変な気配は感じないから問題は無いんだろうけど。

 

 

 

武装は作られ次第ラビアンローズが作った外部の記憶領域に入れられ、そこに四天がアクセスして好きな武装を出したり入れたりできるようになる。

ISの生体認証を使っているのでセキュリティは万全。この記憶領域にアクセスできるのは俺と製作者の輝さんだけだ。

 

 

さーて、後は整備室のパソコンを使ってこの右手にあります武装専用の記憶領域へのアクセスを可能にするディスクを四天に読み込ませればあら不思議。

設定が完了すれば俺のパソコンで四天の武装を編集できちゃいます。

武装だけでなく換装もパソコン一つで出来たらいいんだけどなぁ。

 

「……あらら?」

 

と、ここで問題発生。

整備室のパソコンのパスワードが分からない。

パソコンを開くのは問題無いがIS関係についてのデータを開けばガッデム。パスワード入力画面に遭遇しちまった。

 

パスワード?なんだろうか。

下手に変なの入力したら爆発しそうだな。

 

 

「……なにかあったの?」

 

パソコンの前で考え込んでいたら更識さんが声をかけてきた。

おお、救世主登場。

 

更識さんに事情を話すと彼女はカタカタとキーボードを操作し、パスワードを解除してくれた。

更識さんはここの設備を普段から使っているから知っていた、とのこと。

 

「……これで、大丈夫」

 

「ありがとう」

 

「気にしないで」

 

更識さんに礼を述べ、俺は作業に取り掛かる。更識さんも戻っていった。

 

ディスクを四天に読み込ませ、試しに記憶領域へアクセス。

 

 

四天

【装備中】

ビーム拳銃 召雷×2

ビームショットライフル 散雷×1

近接ブレード 篝火×1

アサルトライフル 泉花×1

 

【ボックス】

サブマシンガン 流花×2

ハンドガン 花綾×2

近接ブレード 篝火×1

 

 

ざっと一覧に目を通すが新しい武器は特に無いようだ。

四天はあらゆる状況に対応できるのを目標に作られた機体だ。

換装後の武装も流用できる。

暁が持っていた散雷を装備しているのがいい例だ。

 

確認を終え、作業が終わった。

役目を終えたディスクを回収し、四天の元へ。

 

 

「……あ、ごめんね」

 

「別にいいよ。減るもんじゃないし」

 

と、そこには四天を熱心に観察していた更識さんがいた。

 

 

「いい機体だね」

 

「俺の相棒だからな」

 

俺は少し自慢気になりながら四天の装甲に手を触れる。

 

「でも正直こいつの性能頼りなとこもある。まだ俺はこいつを使いこなせちゃいない。だからこそ、俺は強くならなくちゃいけないんだ」

 

まぁ、男代表だからなめられないためってのもあるけどね。

と、付け加える。

 

「…………」

 

更識さんは黙って俺の話を聞いていた。

 

……しまった。機体の話にしろ俺の話にしろ完全に地雷じゃねーか。機体はもちろん、更識さんが指南役受けてくれなかった事への当てつけに聞こえるし。

すっごい嫌味な奴に見えてるのかな俺。

 

 

「……如月くん」

 

「ハイなんでございましょう」

 

唐突に更識さんに声をかけられて変な返事になった。

殴られますかね、これは。殴られても文句言えない。

 

 

「……ISのこと、教えてあげてもいいよ」

 

「…………はい?」

 

なんだ?今もの凄いありえない言葉が聞こえてきた気がしますが。

……え?マジで?

 

「いいの?忙しいんじゃなかったっけ?」

 

「……たまには息抜きも必要だから」

 

なんということでしょう。驚きです。

諦めていた放課後の修羅場を回避できそうです。

息抜きついで?知らん、それでも嬉しい。

 

 

「ありがとう更識さん」

 

「……簪」

 

「へ?」

 

「更識さんは二人いるから、名前で呼んで」

 

頭を下げて礼を述べれば名前呼びの許可。

しかしこれは友好的な意味合いというよりは「更識」という名字が嫌いだという意味っぽい。

 

 

「じゃあ、簪さんで。よろしく、俺も鋼夜でいいよ」

 

「よろしく……鋼夜、くん」

 

「うん。で、簪さん。俺の訓練に付き合ってくれるお返しに俺も何かするよ。機体作るのとか手伝うよ?」

 

俺がそう提案すれば簪さんは驚いたような表情を見せた。

 

「……知ってたの?」

 

「失礼ながらのほほんさん……布仏さんから事情を聞いちゃったんだ」

 

簪さんはのほほんさんの名前が出た途端に何かを思いつめた表情をする。

……地雷踏んだ?

 

「…………」

 

「これでも一応俺も企業所属のISの操縦者だし、多分役には立つよ?」

 

内心で「やってしまった」と思うが今さら言葉を取り消す訳にはいかないので不自然にならないところで言葉を切る。

 

 

「……ありがとう」

 

何かを考える素振りをしたあと、顔を上げた簪さんは怒るでも不機嫌になるでもなく、そう言った。

 

「気持ちは嬉しいけど……私はもう少し一人で頑張ってみる」

 

……間違いなくお姉さんが絡んでるよなぁ。まぁ、家族の問題なので深入りはしないが。

 

「分かったよ。何かあったら協力するから」

 

「その時は……よろしく」

 

 

その後簪さんと二、三言会話をするがアリーナで一夏達が待っているのを思い出したので俺は四天を回収し、簪さんに挨拶をして整備室を出た。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

整備室で簪さんと分かれた俺はすぐさま隣の第三アリーナへ向かう。

話し込んで少し遅くなってしまった。

 

ISスーツに着替えて更衣室を出た時だった。

 

 

「あ」

 

「貴様は……!」

 

同じくISスーツに着替えていたボーデヴィッヒとエンカウントした。

グレーのISスーツに身を包んだ彼女は俺を目にした途端に不機嫌そうな顔になる。

 

「そこをどけ。私は織斑一夏に用がある」

 

俺は眼中に無いってか。

 

「別にいいけど、何をする気なんだ?」

 

「貴様には関係ない」

 

そう切り捨て、俺の脇を通り過ぎようとするボーデヴィッヒ。

ですが、そうは問屋が卸しません。

 

「一夏に喧嘩売るなら辞めとけ」

 

「……なんだと?」

 

俺の発言が気に障ったのか、怒りの感情を滲ませながらボーデヴィッヒがこちらへ振り向く。

 

それに対して俺は平然とした顔で返す。

 

「勝敗は関係なくても一夏と問題を起こした時点でお前は織斑先生から嫌われると思うぞ。いや、ボコボコにされるかもな」

 

「……っ、貴様!」

 

いや、だってたった一人の家族だし?

それにお前が一夏を恨んでる理由の原因であるあの事件を考えればこれくらい分かるだろうに。

 

表に出さないし公私を区別してるからだけど、織斑先生って本当に一夏を気にかけてるよ。

 

 

「それに今のお前は生徒であの人は教師だ。普通、教師が問題児にいい感情を持つか?軍でも一緒だろ。命令違反した部下をお前はどうする?どう思う?」

 

こちらに殴りかからんとする勢いのボーデヴィッヒだったが俺の指摘が効いたのか、怒りは引っ込み、次に若干だが怯えの感情を感じる。

 

大方、さっきの織斑先生とのやり取りを思い出したのだろう。

 

「また拒絶されるかもしれない」といった感じか?織斑先生が凄んだ時は遠くから見てただけだけど凄い動揺してたし。

 

「つーか軍人が民間人に手を出しちゃいけないでしょ」

 

「くっ……」

 

そしてトドメ。

俺の言葉を言い返せないのか、ボーデヴィッヒは恨めしそうにこちらを激しく睨みつける。

 

「……興が醒めた」

 

しばらく睨み合っていたがボーデヴィッヒの方が先に折れた。

彼女はくるり、と方向を変えるとその場から立ち去っていった。

 

 

……これでボーデヴィッヒも頭を冷やしてくれればいいんだが。

 

ていうか軍で例えるのって使いやすいな。

これからあいつが何かしようとするたびに軍例え使うか。

 

彼女が去ったのを確認し、俺は一夏達のところに向かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

(言っちゃった……)

 

多数の機器が並ぶ整備室に彼女、更識簪は居た。

 

(流石にいきなり過ぎたかな…)

 

彼女は無言で空中に浮かぶキーボードを叩く。

 

(でも彼……鋼夜くん、喜んでた)

 

エンターのボタンを押すと空中のディスプレイにエラーの赤文字が表示される。

 

(でも……私の事は本音から聞いたみたい)

 

再度、キーボードを操作して別のコードを入力してもエラーが表示される。

 

 

布仏本音。私の幼馴染みで大切な親友。

彼女とは最近話していない。

私が、避けているから。

だって、彼女は姉さんから何か言われているだろうから。

 

……まさか鋼夜くんも?

ううん、考え過ぎかな。

だって、彼は姉さんを知らなかった。

 

彼女の脳裏に、姉の姿が再び現れる。

自分よりずっと綺麗で、強くて、頭も良い、自分とは全く違う姉が、あの言葉を……。

 

自己嫌悪に陥りかけるが、頭を振ってその光景を脳から追い出す。

 

 

「……こんな時間」

 

そろそろアリーナが閉まる時間になった。

弐式製作があまり進まない事にため息をつきながら、簪は戸締まりをするために辺りを確認する。

 

「……あれ?」

 

ふと、簪はあるものを見つけた。

ISを設置する台座。先程まで鋼夜のISである四天が展開していた場所に一枚のディスクが落ちているのを。

普通なら気付くだろうが、あいにく作業に没頭していて気づかなかった。

 

「届けなきゃ……うん、届けないとダメだよね」

 

半ば自分に言い聞かせて彼女は落ちていたディスクを拾う。

一通り確認が終わった簪は整備室を後にした。

 

(そうだ……訓練の予定も話し合わないと)

 

自分でも不思議に思うくらい心を躍らせて彼女は寮へ帰っていった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ああ、疲れたぁ」

 

一夏達との訓練を終えた俺は軽くシャワーを浴びて着替えを済まし、寮の自室へ戻っていた。

 

自室に着き、部屋をノックする。

が、反応なし。

ノブを捻るが鍵が掛かっていた。

 

「あれ?のほほんさんいない……の…か」

 

 

ポケットから部屋の鍵を取り出してロックを外す。

うん、のほほんさんは居ないな。

のほほんさん(・・・・・・)は。

 

「…………」

 

ガチャリ、と俺は無言でドアを開ける。

いつもならつい癖で誰もいなくても「ただいま」と言ってしまう自分だが今は違う。

 

「おかえりなさ~い」

 

「……」

 

「ご飯にします?お風呂にします?それともわ・た・し?」

 

 

そこには裸エプロンの生徒会長がいた。

 

バァン!

 

俺はドアを勢い良く閉じた。

 




ほーらみんな大好きなフラグだよ(恋愛とは言っていない)

遊戯王……ついにやっちゃったよ
つい衝動的に書いちゃったよ
向こうもよろしくです

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