IS 喜んで引き立て役となりましょう!   作:ゆ~き

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20.相手と仲良くするにはまず共通の敵を作れ。

 

 

 

 相手と仲良くするにはまず共通の敵を作れ。

 

 

 

 とはよく言ったものだ。

 例えば俺を悪者にして俺に対する文句をみんなで言い合う。

 そうすると何となく同じ悩みを持つ仲間意識のようなものが生まれる。

 人の悪口を肴にしやがってと思うが、クラスが一つにまとまるのを促進してくれたということもまた確かだ。

 俺のいないところで何を言っているかまでは知らないし、別に知る気もない。だが連中は俺の目の前で俺を諸悪の根源であるかのように扱っている。三十人もいれば反応はいろいろ違っているだろうと普通は思うのだが、クラスメイト連中は皆揃って俺を同じようにぞんざいに扱う。どう考えても俺に対する共通認識がある。

 例外は谷本、布仏、岸原くらいだろうか。まあこのへんはまた別の意味で面倒だが。

 だが他のクラスの様子も見聞きするようになって、一年一組の団結度は他のクラスよりも明らかに高いと感じていた。

 

 二組は相当にまとまりがない。なるほど他人に興味のない鈴が放り込まれるのももっともだという次元で、二組の人々は基本自分と自分に関わることが第一であり全てだそうだ。

 鈴が部屋の相方ハミルトンから聞いた話なのでどこまで本当かは分からないが、自分に関係ないと思っているリーグマッチは誰もまるで気にしていないとのことである。元代表ハミルトン自身も母国から言われて代表に立候補しただけであり、人前で晒し者になることをよく思っていないようだった。

 

 そして四組も別の意味でまとまっていない。四組は二組ほど個人主義というわけではないが、数人のグループで固まっているそうである。

 こちらも俺が見たわけではなく四組代表が言っていたという布仏さん情報だが、狭く深くという感じらしい。いつも一緒に行動するグループ内では仲良くしているそうだが、グループ同士となると大して交流もないとのことだ。

 ためにクラス全体という意識が希薄になっていて、二組と同じくリーグマッチには興味さえ示していない。

 

 一方で三組五組はリーダーによって統制されていて、リーグマッチにも気づいて色気を出している。

 両方を見比べた俺の感想だと、三組代表が大統領、五組代表が皇帝、というところだろうか。

 どちらもリーダーシップを発揮しているが、そのやり方は違っていた。

 三組代表は調整型で、自分を誇るような真似をしない。自らが前に出るという行動によってクラスの支持を得ているようだった、確かに一人で俺に話しかけてきたりしている。

 だが五組代表は王様型で、常に取り巻きを引き連れている。本人の言によるとクラス内でのリーダー争いに勝って代表になったとのことで、文字通り力で勝ち取ったその座である。従えている、という表現がふさわしい振る舞いだった。

 

 じゃあ我らが一組はどうなんだと聞かれると、自分がその中にいるというのもあるが正直よく分からない。

 代表は一夏だがクラスをまとめる気持ちなど一ミリもない。俺もクラスメイト連中には好き勝手されていてとてもリーダーシップを発揮できているとは言えない。

 だが不思議なことにクラス内は非常に仲がいい。一夏をめぐるライバルなはずなのに、一夏と関係ないところでは普通に会話し友達のように笑っている。それどころか一夏対策会議で揃って頭を悩ませるというよく分からない光景まで広がっている。

 入学当初は孤立するんじゃないかと危ぶんでいた篠ノ之さんでさえも、今や普通に馴染んでいる。最初の整備班会議では鏡さんと連携して保身に走るという行為までやってのけていた。

 まあ実は裏では陰湿な争いが繰り広げられているのかもしれないが、少なくとも今の雰囲気を全員が大事にしようとしているのは俺にでも分かる。

 その結果俺を極悪人扱いして小芝居まで始めるのは非常にいただけないが、一夏のために一つにまとまってくれるのは悪いことではない。

 今の一組をあえて表現するなら全体主義とでも言えばいいだろうか。

 

 そして今、クラスがさらに一つとなれる事件が起こっていた。

 すなわち、凰鈴音という外敵の出現だ。

 

 

 

 

 

 落ち着いたはいいが今度は挙動不審になってしまった岸原さんを連れて医務室に入ると、部屋の中は一色の空気に包まれていた。明確に喜怒哀楽の怒だ。

 誰も彼もが怒った顔を見せている。なんと布仏さんまでが頬を膨らませている。まあ全く怖さは感じないが。

 いや、怒った顔をしていないのが二人だけいた。一人は谷本さんだ。こんな場所でなぜか床に正座して鷹月さんの説教を受けている。目を閉じて眉間にしわを寄せ歯を食いしばり、嵐が通り過ぎるのをじっと耐えているようだった。

 そしてもう一人はもちろん、この場の主役であるオルコットだ。ベッドの上で上体を起こし、申し訳なさそうな顔で周囲を見つめていた。

 意識も戻り、周りの様子からして体の方も大丈夫なのだろう。

 

「おせーぞ智希、何やってたんだよ」

 

 一夏の問いに答える前に、俺は周囲を見渡して鏡さんを見た。鏡さんは即目をそらした。

 逃げた上に事情さえ説明していないというのか。

 

「ちょっといろいろあって。少し具体的に言うとまた織斑先生に捕まってた」

「そ、そうだったのか。それはすまん」

「それで、オルコットさんは大丈夫なの?」

「甲斐田さん……」

 

 後ろにいる岸原さんが俺の腕を何度も引っ張っている。

 自分のせいだと言いたいのだろうが、俺はもうそのへんはどうでもいい。

 というか俺の腕を引っ張らず口に出せと言いたい。

 

「ああ、セシリアの体はなんともないそうだ。さすがはISの絶対防御ってところだな」

「念のため一日安静にと言われてるけど、校医の先生の言い方からして特に問題もなさそうよ」

 

 オルコットの代わりに一夏が答え、鷹月さんが補足した。

 視界の端で天敵から解放された谷本さんが胸に手を当て大きく安堵の息を吐いている。

 

「そう。よかったねオルコットさん」

「甲斐田さん……」

「鈴の奴マジふざけんなだよな。あれだけ押し通してまだ何が気に入らないって言うんだよ」

 

 鈴の気に入らない相手はもちろん今俺の目の前で憤っている男だ。

 

「甲斐田さん、その……」

「まあまあまあ、オルコットさんのやったことはまるっきり無駄ってわけじゃないわ。いや、それどころか相当に有用よ。だって織斑君の対戦相手の戦闘情報なんだから」

「鷹月さん?」

「今織斑君から聞いたわ。リーグマッチに凰さんが出てくるの決まりだそうね」

「ごめん」

「甲斐田君にどうにかできるようなことじゃないでしょ。というかそもそも今回に限ってだけど甲斐田君に責任はないし。それよりも決まったからには対策を考えないと」

 

 相変わらず俺に一言多い気もするが、鷹月さんにしては珍しくポジティブだ。

 ああ、視線からして同じ指揮班のオルコットを気遣ってのことか。オルコットが弱々しくも嬉しそうな顔を見せている。

 

「セシリア、カタキは俺が取る。決してお前のやったことを無駄にはしない」

「一夏さん……」

 

 一夏に真剣な顔で見つめられて、オルコットが陶酔の表情に変わった。

 鷹月さんが呆れ顔になり、一方周囲は羨ましそうに見ている。谷本さんがなぜか頷きながらメモを取っていた。

 

「あー、まあそういうわけだから、オルコットさんはさっきの模擬戦での凰さんの情報を私達に教えてほしい。嫌なことを思い出させて悪いとは思うんだけど、無駄にしないためにもちょっと我慢してお願い」

「いいえ、負けたのは全てわたくしの実力ですわ。それにこの経験が一夏さんのお役に立てるのであれば、喜んで」

「ありがとうセシリア、よろしく頼む」

 

 場は一転して和やかな空気になる。

 殺伐としたままであれば俺も言い方に気を遣おうと思ったが、鷹月さんがそれをやってくれた。

 であれば今の俺の役割はこうだ。

 

「ではですね、まず……」

「ちょっと待った」

 

 俺の発言に、周囲の視線が俺に向く。みんな不思議そうな顔だ。いや、ただ一人、鷹月さんだけが気づいたようで、口が小さく開いた。

 

「甲斐田さん?」

「オルコットさん、何勝手なことしてるの?」

 

 一瞬で周囲から俺に鋭い視線が突き刺さる。

 まあいい雰囲気をぶち壊しにするのだから当然と言えば当然の話だが。

 

「鈴に喧嘩売られて買っちゃった? 鈴って基本他人に興味のない人間だから、こっちから何かをしないと喧嘩売ってくるまではしてこないと思うんだけど」

「そ、それは……」

 

 周囲の視線が怒りに変わる。俺を鈴側の人間だと感じているのだろう。鈴に対する怒りの感情が俺に向いている。

 

「違うのかな。じゃあ全部作戦通り? 鈴の戦闘情報を得るためにわざと鈴を煽って喧嘩したの? だったら僕はそんなことするって聞いてないんだけど。この前何かをするときは指揮班だけでも合意を取ってやろうって決めたよね?」

「そのようなつもりはありませんでした……」

 

 オルコットが下を向き、周囲も気づいたようで俺に対する視線が和らいだ。

 要するに、俺はオルコットのスタンドプレーを責めている。

 俺だって鈴の暴走対策についても一応指揮班に話と報告はしている。

 有用無用を語る前に何やらかしてくれてるんだということだ。

 

「それならどうして? 知り合って一週間、まだ面識あるかないかぐらいの関係だと思うんだけど、喧嘩までするってよっぽどのことだよね?」

「それはつい……」

 

 オルコットの首が下へ下へと降りて行き、声もか細くなっていく。

 

「感情に任せてってこと? それオルコットさんは二回目だよね。つまり一夏のときと同じことを繰り返したのか。それなら……」

「いい加減にしろよ」

 

 突然、一夏に胸ぐらを掴まれた。至近距離にある一夏の目から怒りの感情が飛んでくる。

 もちろん煽ったのは俺だ。

 

「どうしてセシリアが怒ったかって、そんなの決まってるだろ。許せなかったからだ」

「それは何に対して? 自分を馬鹿にしたから?」

「お前絶対分かっててわざと言ってるだろ。自分じゃないからだ」

「じゃあ誰を? オルコットさん」

 

 水を向けられて、オルコットがハッとして顔を上げる。そして真っ直ぐに俺を見すえた。

 

「みなさんを、いえ、我らが一組をあざ笑われたからです。一組には弱い人間しかいない、だからこうやって醜く群れていると」

 

 どこまでも予想通り過ぎてため息が出た。一夏が俺を掴んでいた手を離す。

 お互い様なただの喧嘩なら、同情はあってもこうまで一方的に鈴の方に敵意が向くことはない。だから鈴はオルコットごとその場にいた全員を罵ったのだろうと思ったが、案の定だった。

 そしていかにも感情の高ぶった鈴が言いそうな台詞だ。もちろん売り言葉に買い言葉な面はあっただろう。だがそこまで言われてはオルコットも引き下がれないし、周りも止めるどころか煽ったに違いない。

 

「なるほどね。そして見事にそれを証明してしまったと」

「てめえ」

 

 再び一夏が俺の胸ぐらをつかみ、オルコットは下を向いた。

 俺が何をしてくれているんだというのはそういうことだ。無為無策に突っ込んでわざわざ鈴の自論に根拠を与えてどうする。

 

「でも事実は事実だ。暴論を言った鈴が勝って、オルコットさんは負けた。これはもう覆すことができない。それだけはまず認めないといけない」

「だったら何だってんだ。鈴の方が正しいとでも言いたいのか?」

「ここで諦めるならそうだね。でも僕らにはまだ挽回のチャンスがある」

 

 俺の声と目を受けて、一夏の手の力が抜けた。

 

「そうか、そういうことか。俺が示せばいいんだな。俺がリーグマッチで鈴に勝って、セシリアが、みんなが正しいってことを」

「個人の力だけで戦ったオルコットさんは負けたけど、クラスの助けを借りて戦った一夏は勝てた。確かに一人一人の力は弱いかもしれないけど、みんなの力を合わせれば強い個人以上のことができる。そしてそれは少しも醜い姿ではない。十分じゃないかな」

「甲斐田さん!」

 

 オルコットの声とともに、歓声が上がった。

 一夏はもちろん、周りのクラスメイト達も拳を握ってやる気を見せている。

 どうこう言っても、鈴は口にするだけの実力を持っている。オルコットで負けるのだ、他の連中も自分は勝てるなどとは思わないだろう。

 だが自分達の力で初心者の一夏を勝たせることによって、その程度の差など大したことではないと示すことができる。周囲の協力があれば埋められる程度のものだと。

 実際には鈴も恐れる一夏の才能や、じゃあ鈴が周囲の協力を得たらどうなるのかという話があるのだが、当然俺はそんな水を差すようなことは言わない。

 そして鈴への協力を封じるのがこれからの俺の役割だ。

 

「セシリア頼む、全部話してくれ」

「喜んで!」

「オルコットさん、あたし達も分析するのでちょっときついこと言うけど、別に悪意があるわけじゃないからね」

「もちろん分かっていますわ。むしろ不甲斐なかったのはわたくし自身です。何でもおっしゃってください」

 

 そして熱意溢れる鈴対策会議が始まった。

 もうこの場で俺がやることはない。戦術を考えるのはパイロット連中の方が適している。

 一番の目的は一夏のモチベーションだったがそれは十分に果たせた。

 ならば次にやることは決まっている。

 

「行くのか」

 

 と、そっと医務室から抜け出そうとすると入り口脇に篠ノ之さんが腕を組んで立っていた。そういえば一夏の側にいなかったが、珍しいこともあるものだ。

 

「篠ノ之さんはあっちに加わらないの?」

「前にも言った通り、私は心情的に凰に近い。だからあそこまで熱を入れられない」

「ふーん。まあいいけど、それで一夏の隣を失わないようにね」

「茶化すな。それよりも一つ言っておきたいことがある」

 

 特に興味もなく通り過ぎようとした俺を、篠ノ之さんの声が呼び止める。

 

「オルコットもまた一夏側の人間で、凰はそれを分かっていた。だからここまでの事態に発展した」

「そういうことか」

 

 言いながら篠ノ之さんの視線はオルコットを向いていた。

 なるほど、この二人はそういうところでもライバル関係にあったのか。

 

「どうやら専用機を乗りこなすというのはそう簡単なことではないらしい。想像だが凰の入学が遅れたのはおそらくそのせいだろう。凰の顔色が変わったのは一夏とオルコットと三人で専用機についての会話をした後だった」

「それだけで一ヶ月かかったわけじゃないだろうけど、にしても目の前の相手が三十分で乗りこなせたと知ったらそれは嫉妬するか」

 

 初めて専用機に乗った日、オルコットの助言で一夏はあっという間に専用機を乗りこなせるようになった。

 あの時俺はできるのならさっさとやれと思ったが、どうやらあっという間にできてしまうのは驚異的な出来事だったらしい。

 オルコットも普通にしていたのでそれが当たり前だと思っていたが、オルコットもまた規格外の人間だったようだ。

 動かす、動く、というのは俺も感覚として分かる。それは理詰めの技術というよりは感覚的な話だ。低次元な話で言えば自転車に乗れるようになることだろう。最初は二輪しかないのにどうやってバランスを取ればいいと思うが、一度分かってしまえば以後は意識することさえ必要ない。そしてそれは一瞬でできるようになるのもいれば、なかなかできない者もいる。そういうことだ。

 

「オルコットもまた凰にとって許すことのできない相手だったという話だな」

「だから熱が入って相手が気絶するまでやってしまったと。ありがとう。いい話を聞けた」

「お前のことだからそう言うと思ったぞ。まあ凰の自分勝手な嫉妬だ。とばっちりを受けたオルコットのためにもいいように使ってやれ」

 

 俺を見て笑った後篠ノ之さんはまたオルコットの方を向いた。鈴と違ってオルコットが才能ある憎い相手というわけではないようだ。稀代の天才が姉にいればまた違った光景が見えるのだろうか。

 つられて俺も見てみると、オルコットは熱心に語っている。時折挟まれる質問に答えながら、オルコットは理路整然と自分の体験を話していた。感性は似ていてもオルコットは一夏と違って論理性も持っている。そして自分の感性のみで話すと他人には伝わらないことを理解しているようで、普段はどちらかと言うと理屈優先な話し方をしていた。それだけに自分の感性を理解してくれる一夏に惹かれてしまったというのもあるのだろう。

 

 と、ふと視線を感じて目をやると、鷹月さんがこちらを見ていた。

 俺と目が合って、鷹月さんは慌てて目をそらす。

 失礼な、と思う以前に、俺は鷹月さんの表情に疑問を持った。なぜなら鷹月さんが少し悔しそうな顔をしているように見えたからだ。

 もしかして自分がクラスメイトを煽るつもりだったのに、俺に先を越されたなどと思っているのだろうか。俺としては以前の篠ノ之箒発火事件の際の埋め合わせで、憎まれ役を買って出たつもりだったのだが。

 面倒な、と思ったが、まあ鷹月さんなら文句があれば迷うことなく俺に言ってくるだろう。何しろ俺に対する言動がクラス一厳しい人間だ。

 つつかなくても藪の中から勝手に襲ってくると結論づけて、俺は医務室を後にする。

 いってらっしゃい、という布仏さんの声が俺の背中に飛んできた。

 

 そして意気揚々と俺は鈴の部屋へと向かい、その途中で重大な事実に気がつく。

 すなわち、オルコットのスタンドプレーを責めた矢先に自分が同じことをしてどうするのかと。

 これで失敗でもした日には白い目どころではない。

 迷うことなく俺は即引き返して自分の部屋へと戻った。

 

「お前いつの間にか医務室から消えてたけどどこ行ってたんだ?」

 

 しばらくして戻ってきた一夏に聞かれたが、俺は曖昧に笑って誤魔化した。

 

 

 

 

 

 それから鈴は俺達から逃げ続けていた。

 一夏はもちろん、俺が部屋に行っても居留守を使って会おうとしなかった。

 応対するハミルトンの態度からして明らかに部屋の中にいる。

 鈴に付き合うハミルトンも相当に人がいいと思うが、部屋にはいないどこへ行ったか分からないの一点張りで、部屋の中へは入れてもらえなかった。

 俺としてもハミルトンが本当に困った顔をしているので無理に押し入ることもためらわれ、やむなく引き返すしかなかった。今のところハミルトンはどちらかというとこちらに同情しているような様子なので、板挟みの余り鈴側に付かれては困るのだ。

 

 そして一夏はもう完全に怒っている。

 もちろん煽った俺のせいもあるが、そもそも一夏は是非を誤魔化す曖昧な態度を取られるのを大いに嫌う。

 自分は悪くないでもはっきりと明言すればまだ違うのだが、何も言わないどころか会おうとさえしないというのが一夏にとって非常に気に入らない対応だった。

 鈴が謝ってくるまでこちらからは話しかけないと、すっかりご立腹状態だ。

 

 だが俺はそのままでいいというわけにはいかない。

 何しろリーグマッチで一夏と対戦することが確定してしまっている。何の策もなくそのままぶつかっては勝ち目の薄い相手なのだ。

 オルコットの時と同様、相応の対策が必要だ。そしてもう先輩達がいない以上、それは俺自身の手でやらなければならない。

 戦術面はオルコットの暴走のおかげである程度対策を立てられる。つまり俺がすべきはそれ以外の部分だ。

 しかし、まず逃げ続けている鈴を捕まえることからして難点だった。

 

 そこで俺は一計を案じる。

 いくら俺達から逃げようと鈴も授業には出なければならない。ならばそこを急襲すればいい。

 なんだかんだ言っても、鈴もまた優等生だ。気分が乗らないからといって授業をサボるような真似はしたりしない。休み時間は教室から逃げられるので、朝一ホームルーム前を狙うことにする。

 幸いにしてその日一組は一時間目の授業が別の教室だった。そういう時織斑先生はホームルームごとその教室でやる。すなわち俺の天敵が物理的に遠くにいるので、すぐ邪魔されることはない。俺は遅刻確定だが魔剣の一撃などこの際我慢する。

 そして二組の担任の先生が教室へやってくるのを谷本さん布仏さんに邪魔してもらうことにした。二人ともお願いしたら二つ返事で快く承諾してくれた。クラスではフリーダムさで一二位を誇る彼女達だ。真面目に授業に出るよりもおもしろそうなことを優先するのにためらいはなかった。

 

 織斑先生に読まれるかどうかも考えてみたが、二度目はなくとも一度きりならば使えると判断した。

 俺と同室の一夏だけにはあえてこれからやることを伝えず、気分が悪いから先に行ってくれと言っておいた。ついでに衛生班繋がりで谷本さんに様子を見てもらって今日の授業に出るか考えるという話にした。だから俺達が来なくても、疑念は持たれるかもしれないが、れっきとした理由がある以上織斑先生は即動けない。このIS学園内で携帯は教師といえど使用禁止だし、PHSの類も決まった場所でしか使えないことを俺は書類整理のおかげで知っている。だから織斑先生はどちらにしても一度職員室に戻る必要があるので、たとえすぐバレたとしても時間はある程度稼げる。

 どんなに疑わしくても、先に理由まで報告している以上谷本さん布仏さんがやってくるまで織斑先生は基本待つしかない。クラスメイト達にも口裏を合わせるように、そしてできる限り引き止めるように言ってあるし、織斑先生がしびれを切らすまでは俺の時間だ。

 もちろんこれで俺に前科がつくので、二度目はないが。

 

 

 

 それでも何もかも読まれているのではないかという一抹の恐怖を抱え、俺はまず自分の教室へと向かう。

 そして幸いなことに、教室も廊下も無人だった。

 谷本さん布仏さんも二組の担任の先生を抑えてくれているようだ。全部任せろと言うのでどうやったかまでは知らないが。

 だがこれで第一にして最大の関門は突破できた。もちろんこれからが本番だが、俺も勝算があるからこそここまでの無茶をしている。

 二組の教室の扉の前で一呼吸を入れて、俺は勢いよく扉を開けた。

 教室中の視線が一斉に俺に注がれる。俺は鈴を見る。目が合って、鈴はすぐ俺から目をそらした。

 この瞬間俺の中で勝負が決まった。

 

「やあ鈴、おはよう」

「……」

 

 鈴は顔を背けたまま何も答えない。だがもう逃げられない。

 

「ようやく一夏のことを諦める気になったんだね」

「!!」

 

 反射的とも言える速度で、鈴は俺に驚いた顔を見せる。俺は笑って返す。

 

「でもそれは仕方ないと思うよ。だって鈴は自分が一番でないと我慢できないからね。目の前にそれを邪魔する人間がいたら、たとえ一夏であろうと乗り越えないといけないのはよく分かるよ」

「あたしはそういうつもりじゃ……」

 

 心外だ、という顔を一瞬見せるも、笑ったままの俺を見て語尾がすぼんでいく。俺が鈴の行動を理解しているのが分かったのだろう。

 

「僕は別に鈴のことを責めるつもりはないよ。鈴が一番を目指す限り絶対に起こったことだし。同じ土俵に立つ以上、これはどうしても避けられないことだ」

「どうして一夏はISを動かせたりしたのよ……」

 

 下を向いて、鈴が本音を漏らす。

 良くも悪くも鈴は自分に正直だ。自分の気持ちを押し殺して行動することができない。俺が責め立てれば理屈抜きで感情的に反発するのは分かりきっている。だから俺は鈴を否定しない。

 

「でも事実は事実だ。鈴もそれが分かったからこそ一夏と決別する気になったんだよね。それは仕方のないことだ」

「だからあたしはそんなつもりじゃ!」

 

 今度は強い口調で、だが悲痛なまでの感情が俺に飛んできた。

 

「別にいいんじゃない。一夏でなくとも鈴なら好きになってくれる人はいるよ。ISなんて使えなくて鈴に優しい人が」

「違う! あたしは一夏じゃなきゃダメなのよ! 一夏がいるからあたしはがんばれるんだから!」

 

 そして俺は鈴に気づかせる。一夏が側にいなくて上を目指す意味はあるのかと。

 鈴が努力をするのは何のためか。全て自分のためであるのなら、極論他者は必要ない。他人など関係ない。

 だが鈴は一番を目指す。そこには自分より下の人間がいて、自分を賞賛してくれる一夏の存在がある。

 元々は違ったのかもしれない。だが何年もの年月をかけて、鈴の原動力は一夏に大きく依存するようになっていた。

 

「でもさ、それを選んだのは鈴だよ。一夏が鈴を見限ったんじゃない。鈴がもう自分とは相容れないと一夏を諦めることにしたんだから」

「あたしは諦めてなんか……」

 

 否定しながらも、鈴の言葉は弱い。

 感情的なことにしても、一夏を否定している自分がいるのは分かっている。

 

「じゃあ今回のことはちょうどいいね。リーグマッチで一夏を叩きのめして、新しい自分として出発できる。すっぱり吹っ切れていいと思うよ」

「そんな……」

 

 俺は鈴に具体的な光景を想像させる。リーグマッチで一夏が倒れ伏している姿。そしてそれからの自分。そこに明るい未来はあるのかと。

 

「僕も鈴が遠くに行っちゃうのは寂しいけど、これからの鈴の活躍を見守ることにするよ。一夏もしばらくは怒ってるだろうけど、自分から離れていった人に対していつまでもどうこう言うような奴じゃないから大丈夫」

「……」

 

 何が大丈夫だと言うのか。もちろん鈴がいなくても大丈夫という意味だ。俺も一夏も去る者は追わないという話だ。

 そして鈴はそれを十分に分かっている。一夏は追ってきたりしてくれない。

 

「といってもこっちは簡単に負けるつもりはないけどね。一夏も鈴が相手とか関係なく全力で戦うから、負けたからって文句言わないでね」

「……もうどうしようもないの?」

 

 もう全て終わったこととして軽く言った俺に対して、ようやく鈴の解決策が欲しいという感情が姿を見せた。

 俺はこれを引っ張り出したかった。

 

「どうしようもないって、こんなことをしたのは鈴だよ? じゃあ思ってたのと違うのならどうしたかったの?」

「それは……」

 

 感情的な衝動で、それは意図されたものではない。意図してやろうとするのならその前に俺が兆候に気づいている。

 表面上うまくいっていたので俺も見逃していたということはあるけれども。

 

「自分を取るか一夏を取るかって話でしょ。そして鈴は自分を選んだ。もしかして後悔したりしてる?」

「……」

 

 さっきからずっと鈴は下を向きっぱなしだ。

 だから俺は鈴の顔を上げてやることにする。

 

「じゃあ一夏に謝れば? きちんと誠実に謝れば一夏は許してくれるって鈴もよく知ってるよね?」

「……謝る?」

 

 そういえば、でもそれで本当に大丈夫なのかという不安げな顔を見せた。

 

「僕は正直甘すぎると思うけど、でも一夏ってほんと謝られるとあっさり許しちゃうよね。まあ僕みたいに誤魔化すとネチネチしつこいけど」

「そ、そうよね!」

 

 鈴の目に希望の火が灯る。

 鈴本人もよく一夏は甘いとこぼしているくらいだからはっきりと理解できている。

 一夏は謝ればまず許してくれてしかも根に持たない。俺のように心にこもらない謝罪に対しては実にしつこいが、相手の気持ちが伝われば簡単に水に流す。俺ですらそれでいいのかとたまに思うくらいだが。

 

「うん。自分の気持ちを正直に伝えて謝れば一夏は間違いなく許してくれると思うよ。てっきり覚悟があってやったのかと思ってたけど、そうじゃないのなら謝ればいいんじゃない?」

「あ……」

 

 そして鈴は重大な選択を迫られたことに気づいて顔を歪める。

 一夏に許してもらうためには自分の気持ちを正直に伝えなければならない。つまり嫉妬という醜い感情を一夏に対して吐き出さなければならないということだ。

 一夏に対して誤魔化しが絶対に通用しないのは鈴も分かっている。それは今鈴の目の前にいる人間が中学時代散々失敗してきているのを見ている。

 

「そうだ。今謝るで思い出したけど一夏もリーグマッチで絶対鈴に勝って謝らせるって言ってたよ。今さら一夏に話しかけづらいならそれを利用して謝るのもありかな?」

「ほんとに?」

 

 鈴の瞳が揺れる。きっとその心の中も揺れている。

 とどのつまり俺が鈴に伝えたかったのはこれだ。リーグマッチで一夏に負ければ全て丸く収まるぞという誘惑だ。

 もちろんこれは鈴のプライドを引き換えにすることなので、簡単に受け入れるわけがないのは分かっている。

 だが確実に鈴の心に迷いを作ることができる。たとえ勝つつもりで一夏と相対したとしても、絶対に心の片隅には残る。

 鈴が何もかも吹っ切って全力を出さないように、俺は鈴の心を縛る。

 

「本当だよ。でも鈴が強いのは知ってるからそううまくいくかは分からないけどね」

「と、智希、それならあんたが……」

「悪いけどそれはしない。だってこれは鈴の心の問題だから。覚悟を決めてやったのかと思ってたから宣戦布告に来たんだけど、そうじゃないならまずは自分の気持ちをはっきりさせないとね。もう鈴の気持ちは固まってるの?」

「それは……」

「じゃあやっぱり駄目だ。曖昧な気持ちじゃ一夏は許してくれないしね。まずは自分の気持ちを整理して、それからだ」

 

 鈴は俺にすがろうとするが、俺ははっきりと拒絶する。

 もうほとんど傾いているので、多分このまま押せば自分の罪を認めるだろう。だがここまで来たら鈴にすっきりした気持ちでリーグマッチに向かわせるわけにはいかない。既に一夏と対戦することが決まっているので、元気になって一夏を鍛えてやる的な気持ちでボコボコにされても困るのだ。

 

「だめ?」

「あのさ、鈴ってまだ本当に謝る気ないよね。一夏が怒ってるのは昨日うちのクラスのオルコットさんにやってくれたことも含まれてるんだからね。そういうのも含めて自分の気持ちを整理できてる?」

「あ……」

 

 今さらながら鈴は事の重大さに気づいて、顔が青ざめる。

 今までは自分への言い訳で頭がいっぱいだったのだろうが、一度罪を認めてしまえば全てが自分へと押しかかってくる。

 

「まあ一夏への感情を同じタイプのオルコットさんにぶつけただけだってのは分かってるけどさ、だからってあそこまでやるっていうのはね」

「あんた、そこまで……」

 

 呆然とした顔で、鈴は俺を見つめる。

 篠ノ之さんに聞かなければきっと分からなかっただろうが、一度知ったことはもう常識になるのだ。

 

「だから中途半端な甘い気持ちで来られても僕としても協力する気にはなれないって話。まあ遅くてもリーグマッチで決着はつけられるから、それまでに気持ち固めといてね。じゃ」

「智希……」

 

 鈴が決断できないのを百も承知で、俺は笑って鈴に手を振り背を向けた。

 いや、本心で謝りたいと思っても鈴は一夏に話しかけられないだろう。頭の中で一夏なら許してくれると分かっていても、一夏に拒絶されてしまうのが怖いからだ。

 これまでも鈴は怖くて一歩を踏み出せなかった。まして今回は鈴に対して一夏が怒っている。躊躇させてしまう恐怖が尋常ではないだろう。

 そしてリーグマッチで負けてしまえば謝れるという甘い罠。ついつい先延ばしにしてしまうには十分な材料が揃っている。

 鈴にはそのままモヤモヤした気持ちでリーグマッチに出てきてもらう。

 こちらは尻拭いで興味もないカナダ旅行までする羽目になったのだ。鈴にもそれなりの対価を支払ってもらおう。

 

「甲斐田君」

 

 二組の教室を出ると、ハミルトンが追ってきた。

 

「そういうわけだから、鈴のことは放っておいてね。薄情だと思うだろうけど」

「ううん、これは鈴の問題だから他人がとやかく言うことじゃないもの。それよりもお礼を言いたくて」

 

 意外とハミルトンはドライだった。そこまでやっておいて放り出すのかと文句を言われると思っていたのだが。

 やはり二組は個人主義で他人に干渉しないのが普通なのだろうか。

 

「別にお礼言われるようなことはしてないよ。こっちだって鈴に振り回されて頭にきてるってのがあるし」

「そっちじゃなくて、中国とカナダの間に入ってくれたこと。甲斐田君が間に入ってくれたおかげで関係者みんな納得してあたしの国も手のひら返して喜んでて」

「ああそれか。それ織斑先生で僕じゃないよ」

「えっ? 織斑先生は甲斐田君達が自分から申し出てくれたって言ってたけど」

 

 確かに一夏が言質を取られてしまったのは事実だが、まさか美談にまでされてしまうとは。

 その方が受けがいいのも分かるけれど。

 

「あー、まあそのへんはいろいろあって。でも言い出したのは一夏だから」

「わざわざそんなこと言わなくてもあたしは分かってるよ。甲斐田君が綺麗に収めるために動いてくれたって。鈴から聞いてるけど甲斐田君はそういう立ち回りが得意なんだってね。確かに今のを見てても交渉ごととか得意そう」

「は?」

 

 また意味の分からないことを言われてしまった。

 もし交渉ごとが得意だとしてその場に引き出されたら、俺はカナダ旅行など全力で回避するのだが。

 

「大分先になるけどこのお礼はあたしの母国カナダでさせてもらうから。ホスト国として恥ずかしくないおもてなしさせてもらうね!」

「はあ……」

 

 ハミルトンはご機嫌だった。きっと何勝手に代表を譲っているんだと母国に怒られていて、丸く収まってくれたのが嬉しいのだろう。

 

「それから鈴も大丈夫だと思うよ。クラスのみんなも今ので事情が何となく分かっただろうし。あたしも聞かれたら補足しておくから、鈴の立場も変なことにはならないと思う」

「そのへんは鈴個人の事情だし、別に僕がとやかく言うつもりもないけどね」

 

 最初に目を合わせた時そらされたことで、俺は鈴の後ろめたさを確信した。まあ逃げ回っている時点できっとそうだろうとは思っていたが、それならこのくらいで勘弁してやろうという程度だ。

 

「またまた。わざわざ鈴のためにクラスのみんなの前でやってくれたって分かってるから。あ、あたし知ってるよ。日本でそういうのってツンデレって言うんでしょ? 自分の気持ちに素直になれないってやつ」

「いや、そういうつもりは一切ないなあ……」

 

 いきなり何を言い出すのかこの女は。

 正直なところ、もし最初に目を合わせた時鈴が睨み返してきたり勝ち誇ってきたりした場合、俺は容赦なく鈴を責め立てるつもりだった。

 鈴の立場など知ったことではない。極悪人として断罪する予定だった。

 鈴のクラスメイト達の前で、晒し者にさえするつもりだった。

 そうならなかったのは鈴が一歩踏み出したはいいがそのまま突き進めず、ヘタレてしまったからに過ぎない。

 

「うんうん、そうだね。鈴が甲斐田君のことを性格悪いって言ってたけど、それは織斑君みたいに直接的じゃないってことなんだね。あたしは甲斐田君が優しい人だって理解してるから」

「いやー、それは全然分かってないと思うなあ……」

 

 ぼっちでツンデレでクラスを支配する暴君。革命が起こって真っ先に首を落とされる役回りだ。というかどの称号についてもご免被りたい。

 

「鈴に勝てるといいね」

「やるのは僕じゃないけどね」

「でもさっきの見たらうちのクラスはわざわざ鈴に協力しようとは思わないだろうし、クラス一丸となってる一組の方が有利だと思うよ」

 

 よしきた。これもまた俺の大きな目的だった。

 負けた方がいいと思わせるのは何も鈴本人だけではない。鈴のクラスメイトにもそう感じさせる必要があった。

 もちろん鈴に組織力を上乗せさせないためだ。削げる力はできる限り削ぐ。

 

「まあ一夏も勝ちたがってるし、やれるだけはやってみるよ。それじゃまた」

「うん。またね」

 

 笑顔で手を振って、ハミルトンは自分の教室へと戻って行った。

 そして俺はやりたいことを全て成し遂げられたという満足感に身を包み、職員室へと向かって足を進める。二組の先生を足止めしている谷本さん布仏さんを拾うためだ。

 

 しばらく歩くと向こうから人がやってきた。

 二組の先生と谷本さん布仏さん、そしてその後ろに無表情の我が仇敵織斑先生だ。

 谷本さんと布仏さんが何か変な歩き方をしているとなとよく見ると、後ろを歩く織斑先生に首根っこを掴まれていた、その姿は捕まった猫のようだ。

 二人は俺に気づくと不安げな表情を浮かべた。目で結果はどうだったと聞いている。

 俺は無言で右手を肩まで上げ、拳を握って親指を立てる。

 自分のやったことが無駄ではなかったと分かり、二人は嬉しそうに顔を綻ばせた。

 それを見て二組の先生の頭の上に大きなハテナマークが浮かび、織斑先生は苦笑した。

 

 当然その後俺は魔剣出席簿による制裁を受けたが、心は全く痛くなかった。

 

 


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