新生IS<インフィニット・ストラトス>~英雄達集う~   作:武御雷参型

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約四年ぶりの更新となります。自分でも読んでいて、おかしいと思いましたので、新規で書き直したものを投稿する運びとなりました。
今後は蒼紅、学園黙示録と共に、更新していきますのでよろしくお願いします。


第二十八話~呼び出しと説明

国際IS委員会が本拠地として置いている、硫黄島の中心部に聳え立つビルに二人の男性が対峙していた。

 

「彼らがこの世界に来ていたのが幸いだったな」

 

「ああ、そうだね。彼らと我々が手を組めばロゴスもおいそれとIS学園に攻め込まないだろう」

 

「だが、彼らが君の事を許してくれるのか?」

 

「………それは君も同じじゃないか」

 

「そうだな」

 

二人はそう言うと少し微笑む。

 

「それで、彼らがこちらに来るのは?」

 

「明日の朝の予定だ」

 

「となると、明日は荒れそうだな」

 

一人の男性が、とある報告書を片手に持つ。

 

「そう言えば、彼らにはアレを見せるつもりなのか?」

 

「ああ、そのつもりだ」

 

もう一人の男性が視線を送ると、そこには一枚の設計図と仕様書があった。

 

「だが、彼らに必要なのか?」

 

「いつかは必要になって来る。その為の準備だよ」

 

「判った。君の判断に従おう。ギル」

 

「ありがとう、ラウ」

 

二人はC,Eでキラと対峙した事がある、ギルバート・デュランダルとラウ・ル・クルーゼであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、キラ達を乗せた国際IS委員会所属、タケミカズチ級大型機動航空母艦は専用のドックが存在しており、そこへ入港する。

キラ達は宛がわれた部屋から見える風景で、漸く委員会の本拠地がある硫黄島に到着した事を安堵する。

 

「漸く硫黄島に来ましたね」

 

「ミネルバやアークエンジェルとは違って、船体が波で揺られてしんどかったです」

 

ミネルバとアークエンジェルに乗艦した事があるシンとルナマリアだったが、海上のみで航行を主体とする空母には乗ったことが無い為、船酔いしている様子であった。

 

「弛んでるんじゃないか、シンにルナマリア」

 

そんな二人にアスランは少し呆れている様子を見せる。

 

「仕方がありませんわ、アスラン。彼らは宇宙艦にしか乗ったことが無いのですから」

 

「だが」

 

「そうだぞ、アスラン」

 

ラクスの言葉にアスランは反論しようとしたが、すかさずカガリがラクスの援護射撃を開始した。

 

「お前はプラント、オーブ二つの国に属していたから、宇宙艦も海上艦も知っているが、彼らはそう言う訓練をしてこなかったんだ。仕方が無いだろう?」

 

カガリはシンとルナマリアを擁護しているつもりなのだが、傷口に塩を塗りたくってしまう結果となってしまう。

 

「それはそうと、そろそろ時間じゃないかな?」

 

キラが船内にある時計を見て呟くと、扉がノックされる。

 

『バジルールだ、入ってもいいだろうか?』

 

「はい、どうぞ」

 

ナタルの返事に答えるキラ。そして、扉が開かれるとナタルの後ろには千冬と真耶の姿があった。

 

「待たせたな」

 

「いえ、時間ぴったりです」

 

ナタルの言葉にキラが答えると、ナタルは少しだけ微笑んだ。

 

「談笑したいのは山々なのだが、こちらも時間に猶予が無い。その為、私についてきてほしい」

 

「判りました」

 

キラの答えに、ナタルは頷くと歩きだし、その後を千冬、真耶が続いていき、その後にキラ達が続く形でタケミカズチの艦内を進んでいく。

キラはある事を思い出して、ナタルに質問をする。

 

「バジルールさん、委員会のトップは誰なんですか?」

 

「お前たちは知らないのか?」

 

ナタルが歩みを止め振り返ってキラ達に質問をすると、全員が頷いて答えた。

 

「ハァ~。織斑先生、山田先生。お二人は彼らに委員長の事を話していないのですか?」

 

「「あっ」」

 

「はぁ~」

 

ナタルの言葉に千冬と真耶は思い出した。という表情する。ナタルは先が思いやられると考え、深いため息をついてしまうのであった。

 

「現在の国際IS委員会の委員長は、お前たちなら知っているであろう人物だ」

 

「………誰なんですか?」

 

「ギルバート・デュランダルと言えば、判るか?」

 

ナタルの言葉にキラ達は驚きを隠す事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナタルたちがタケミカズチから降りると、二人の男性が待っていた。

 

「やぁ、久しぶりだね。姫、ラクス様、キラ君、アスラン、シン、ルナマリア」

 

「………」

 

ギルバートがキラ達を歓迎しようとしていたのだが、キラ達は警戒心をモロ出しでギルバートを見ていた。

 

「何か言いたそうな表情だね」

 

「ええ、僕は貴方に問いたい事があります」

 

「………今でないといけない事なのかな?」

 

ギルバートの言葉にキラは頷く。

 

「良いだろう。君の言いたい事は解っているつもりだ。また、私があの計画を出すのではないか……とでも思っているね? それはない。あの計画は明確に君が反対し、私は撃たれた。それが答えだ」

 

ギルバートが言っている、あの計画とは、デスティニープランの事である。だが、キラとギルバートが対峙し、選ばれたキラの選択にギルバートも納得していたのである。だからと言って、今自分たちがいる世界でもこの計画が成功するかと言われると、まず成功しない事が明確なのは、ギルバートも知っていたのである。それに、C,Eの世界ではコーディネイターとナチュラルの対立によって起きた戦争であって、こちらの世界では女性が強い世界であって、遺伝子云々閑雲関係ない話であるその為、デスティニープランは使えないのである。そもそも、既にデスティニープランを出そうとも考えていなかったりもする。

 

「さて、ここで長話をするのは宜しくない。なので、場所を移動しよう。ラウ」

 

「「「⁉」」」

 

「クルーゼ隊長⁉」

 

「「?」」

 

ギルバートに呼ばれたラウに驚く四人と何が何だかわかっていない二人。

 

「既に準備は整っている。こちらだ」

 

そんな六人に、これと言って反応しないラウであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所を移動して、委員会の応接間に通されたキラ達六人と千冬、真耶は、ギルバートとラウ二人に対峙する様に座る。

 

「こうして姫と会談する事は久しぶりですね」

 

「ああ、その通りだな」

 

まず始めに口を開いたのはギルバートとカガリであった。二人はC,E世界で、アーモリーワンで、ミネルバ艦内で極秘裏に行われた会談が最後であった。

 

「ですが、今は姫の他にラクス嬢もおられる。そして、キラ君やアスラン、そしてシンにルナマリアまでいる状況です。そして、私の横にはラウもいる」

 

「そうだな。ところで、世間話をする為に我々を呼んだ訳じゃないのだろう?」

 

カガリの言葉にギルバートは少し微笑む。因みに、今までの会話に参加していない千冬と真耶であるが、千冬は冷や汗を若干流しており、真耶に至ってはオロオロしていた。まぁ、それもそのはずである。国際IS委員会のトップである委員長に対して、カガリは遠慮のないため口で話しているのだから。

 

「その通りです。まず始めに現在の世界情勢をお伝えします」

 

ギルバートは現在、この世界で起きている事を全て、キラ達に話した。女性権利団体や亡国機業、そしてロゴスの事を。

 

「現在、姫たちも知っての通り、女性の権力が強いです。これはISが登場した事により、ISが女性だけしか乗れない事によるものですが、男性に対して因縁を吹っ掛け、あまつさえ冤罪を掛けて実刑にしたり、男の子が生まれただけで、その赤子を捨てる。捨てるだけで済めばいいのですが、殺す親もいます。また、亡国機業は、第二次世界大戦の頃から存在していたと言われており、その支部は、世界を股に掛ける程だともいわれています。また、ISが登場した事により、テロ紛いな事を起こしISを強奪したりもしています……が、現在はその好意すら見えていません。そして、最後にロゴスが亡国機業と手を組んでいる可能性があります」

 

「「「「「「⁉」」」」」」

 

死の商人、ロゴスがテロ紛いな行為を起こしている亡国機業が手を組む事が、どういう結果を招いてしまうのか、キラ達は理解した。

 

「その為に我々委員会は軍備を極秘に増強してきました。それがあの機体達です」

 

「だが、それだけでは対抗する事が出来ない。となれば必然的に我々が呼ばれた……という認識で良いんだな?」

 

カガリの質問にギルバートは頷いて返事をする。

 

「それで、我々にメリットはあるのか?」

 

「アスハさん⁉」

 

カガリの言葉に真耶がいち早く反応する。真耶がカガリを止めようとするが、それを止めたのはギルバートであった。

 

「大丈夫ですよ、山田先生」

 

「ですが……委員長に対してのご無礼を許してください」

 

「彼らとは付き合いが長いので、彼らの事は私たちが一番、知っていますから」

 

ギルバートの言葉に真耶は納得のいかない様子であったが、ギルバートの目が「これ以上口を挟むな」という目をしていた為、真耶は敢え無く撃沈されてしまう。

 

「それで、メリットについてですが、我々が提供できるのはバックボーンと移動用の設備です」

 

「バックボーンは有難いが……移動用の設備とは?」

 

「こちらをご覧ください」

 

ラクスの言葉にギルバートは人数分の用紙を渡した。

 

「これは………ミネルバ級ですか?」

 

「正確には発展型艦になります。実物については、現在、急ピッチで建造しております。数日もあれば試験航行を行い、武装のテストを経て姫たちに譲るつもりでいます」

 

「ですが、この艦を使って我々にどうしろと?」

 

キラは与えられたミネルバ級を使って自分たちに何を求めるのかを尋ねると、ギルバートは当たり前のことを言うかのように答える。

 

「この艦で学園を守ってほしいのです」

 

「それでしたら、艦ではなく戦力では無いのですか? この艦を持つと言う事は、他国に攻め込むことも可能となってしまいます。そんな事を他国が許す筈はないと思いますが?」

 

ラクスが強い口調で問い質すが、ギルバートには何も応える様子はない。

 

「最初は私も戦力を送るつもりでした。ですが、既に亡国機業とロゴスが学園に対して攻め込む準備が整っているという情報を耳にし、有事の際には我々と共に戦ってもらう必要があると考え、艦を送る事にしたのです」

 

ギルバートの言葉は至極真っ当であった。委員会と共に亡国機業とロゴスを相手にすると言う事は、移動する手段が必要となって来る。

 

「であれば、タケミカズチ級を置くと言う選択肢もあったはずでは?」

 

「いえ、今後の事を見据えるとなるとこの艦が必要となって来るのです」

 

「まさか?」

 

「はい」

 

ラクスの言葉にギルバートは頷くと、全員は理解したのである。なぜ、ギルバートが宇宙でも使える艦を自分たちに与えたのかを。そして、次の戦場となる場所についても。

 

「既に亡国機業に対して出資している関連会社が、月軌道の惑星に手を加えているという情報も得ています。まだ、確証はありませんが」

 

「また、我々が把握している企業にも動きがあり、機体を製造している企業の裏を辿るとロゴスに繋がった」

 

「と言う事は、もしかしたら?」

 

キラの言葉にギルバートとラウは頷くのであった。




誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら、どしどし送って下さい。


次回予告

委員会に呼び出されたキラ達。そして、再開する仲間たち。次回、第二十九話

「再開と因縁」

因縁を乗り越えろ、英雄達。


アンケートを実施しております。期限は5月末までとします。

機体設定について(セカンドシフト機体)

  • 設定通り
  • 劇場版基準
  • そもそも、劇場版を見てないからわからない
  • いっそのこと、新規で作ろう

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