新生IS<インフィニット・ストラトス>~英雄達集う~ 作:武御雷参型
キラ達がピットに帰還するとそこには般若に変貌した千冬とオロオロしている真耶が立ち、キラとアスランを待っていた。
「無事に帰ってきたな。………さて、今回の詳細を教えてもらうぞ?」
キラ達は拒否権が無いと悟ったのか、逆らう事もせずに千冬達の後に続いていく。
キラ達が連れて来られた場所は学園の地下施設であり、そこには国家機密が大量に詰っている場所でもある。特に許可された教師、生徒しか入ることが許されない場所である。
「さて、詳しく話してもらうぞ」
千冬はキラ達の方を見て言った。
「良いですが、その前にカガリ達も呼んで下さい。そうしないと二度手間になるので」
「良いだろう。山田先生、アスハ達を此処に連れてきて下さい」
アスランはカガリたちを連れて来る様に千冬に言うと、真耶に指示を出す。真耶は指示を受けると、日頃の行動は打って変わって、機敏に動き施設から一旦退出し、カガリ達を呼びに行くのであった。
「さて、全員が集まったな………ヤマト、ザラ。いや、お前達。あの襲撃機についてを詳しく聞かせてもらうぞ」
千冬はキラ達が集合したのを確認し、切り出した。
「はい。では、こちらを見て下さい」
キラがそう言うとモニターに一機の機体が映る。
「この機体の名前はダガーL、型式を含めて言うとGAT-02L2ダガーLと言いますが、この機体はストライカーパックと呼ばれるものを装備・換装して戦闘を行います。換装を行う事によりエネルギーが補充されます。そして、ストライカーユニットには色々あり、代表的なものはジェットストライカー、ドッペルホルン連装無反動砲です。ジェットストライカーは名前の通り高速機動を主に長距離飛行が出来るユニットになっており、ドッペルホルン連装無反動砲は対艦攻撃を主に遠距離攻撃を行うユニットになります。此処までの説明に質問はありますか?」
キラが千冬と真耶の方を見ながら尋ねる。しかし、二人とも質問が無い様で首を横に振る。
「無いですね? では次に、この機体です」
キラがそう言うと違う機体がモニターに映る。
「この機体の名前はウィンダムと言います。型式を含めて言うとGAT-04ウィンダムと言いますが、この機体は先程のダガーLの後継機に当たります。この機体にもダガーLと同様にストライカーパックが存在します。大体のダガーLと同じユニットを使用していますが、一つだけ違う物があります。それはこれです」
キラがそう言うと、新たにモニターが展開され、一つの武装が写された。
「これは?」
織斑先生は判らない為にキラに尋ねた。
「この武装はマルチランチャーパック、中に搭載されている物は“核”です。正確には“核ミサイル”です」
キラがそう言うと千冬と真耶が息を呑む。
「ま、待て。今“核”と言ったな? ではなにか? お前達の世界では核による戦争が勃発でもしていたのか⁉」
千冬は驚愕に駆られ、キラ達に尋ねる。
「いえ、戦争はしていました“核”による戦争までは起きていません。ですが……その前に一回お話した方が良いかも知れませんわね? 私達が居た世界についてを………」
「そうだな。織斑先生達なら話しても大丈夫だと思います」
ラクス、ルナマリアがそう言う。しかし、カガリについては少し渋っていた。
「しかし、この事を話せばこれからのことに一夏が首を突っ込む危険性があるが、そこは大丈夫なのか?」
「そうだね。一夏なら首を突っ込む危険性はあるけど、その前に僕達が未然に済ませれば良いってことだよ。ね? アスラン」
「そうだな。俺達が居れば大丈夫だろ。シン」
「はい。て言うか、責任重大ですけどね」
キラ達もこれからの世界に関わって行くのだからある程度の心構えをしておく必要がある。それを再確認した瞬間でもあった。
「さて、私達の世界ですが、私達の世界には三つの軍がありました。地球連合軍、ザフト軍、オーブ軍の三つです。そして、地球連合軍はその名の通り地球上に存在する国家が加盟していますが、加盟していない国家もあります。それがオーブです。しかし、厳密にはオーブは中立としてザフト軍、地球連合軍との戦闘には介入しませんでした」
「ザフト軍と言うのは軍事組織ではありますが、階級等は存在せず、指揮官の名を借りた部隊で構成されています。簡単に言えばキラが最高司令官でもあるので、ヤマト隊と言う名に変わります。指揮官としての表し方として服装が変わります。キラが部隊指揮の最高司令官として白服を、シンとルナマリアはエリート指揮官として赤服を身に着けています」
「しかし、連合軍は核ミサイルを使いザフト軍が所有するプラント郡の一つであるユニウスセブンに2月14日に放ちました。後にこの事件を『血のバレンタイン』と言われています。そしてこの事件でアスランのお母様が亡くなられています」
カガリとラクスでそう言うと千冬と真耶がアスランを見る。アスランは苦々しく感じている表情をしていたが、カガリが優しくアスランの手に手を添える。
「話を戻しますが、それから連合とザフトは小さな戦争が起きていました。そんな中、オーブが所有するコロニーに地球連合とオーブが極秘で開発された五機のMSが開発されました」
「待て、先程の説明ではオーブは中立だと言っていなかったか?」
ラクスの説明に千冬が質問を投げかける。
「はい、説明いたしました。ですが、地球連合はザフトに対抗する為の手段を持っていなかったのです」
「そこで、連合はオーブに技術提携を結び付かせ、ザフトに対抗する為の手段を得ました。それがこれです」
カガリの説明が終わると同時にモニターには五機の機体が映し出される。
「GAT-X102デュエル、GAT-X103バスター、GAT-X207ブリッツ、GAT-X303イージス、GAT-X105ストライクの五機です。そのうちデュエル、バスター、イージス、ブリッツの四機が奪取され、最後のストライクには当時まだ学生だったキラが搭乗しました」
カガリがそう説明する。
「その時に、僕とアスランが再会した時だったね?」
「そうだな。それからだが、俺達ザフトは連合の新造艦アークエンジェルを追跡する事になる」
「そして、戦闘が続いたある日、僕達は死闘をする事になった………」
キラがそう言うと、ストライクフリーダムの待機状態であるネックレスに端末を繋げた。その瞬間、大型のモニターにその時の映像が流れ出した。
キラは、部屋に付いているパソコンにストライクフリーダムを繋げた時に知ったので、今回も同じ事をしたのである。
映像にはキラとアスランが搭乗するストライクとイージスが嵐の中で死闘をしている処であった。
『お前が、ニコルを殺したァァァッ!!』
アスランがそう叫ぶ声が部屋の中に響くとその声に部屋にいた者達はビクッとする。
そして、横から一機の戦闘機がイージスに向かってミサイルを放つが、イージスはその攻撃をシールドで受け流した後に、そのシールドを戦闘機に向けて投げると、戦闘機のコックピットにシールドが喰い込んで行く。よく見れば、ヘルメットが独りでに飛んでいた。
その瞬間を見た真耶は涙目になっていた。千冬は目を少し背けていたが。
『ト、トォォォルッ!!』
戦闘機が爆発すると同時にキラの悲痛の叫びが響き渡る。
『アアアアアアアアスラアアアアアアアアアアンン‼‼』
『キラアアアアアアアアアア‼‼』
二人の叫びが部屋の中に木霊する。
今まで付き合いの長いラクス、カガリ、シン、ルナマリアには驚きであった。
此処まで豹変するとは思っても見なかった。
だから、初めて知った。
二人が大切な人を亡くしたら、“こうなってしまう”事を。
決して、他人事では済まされない、という事実を。
その後、キラ達の死闘は激しさを増し、イージスのブレードがストライクの左腕を切り落とす。
ストライクは反対の右腕に持っているビームサーベルでイージスの顔を
そして、イージスは可変機に変形しストライクに拘束した瞬間にPS装甲が落ちアクティブモードに切り替わる。
そして、イージスは自爆し、ストライク共々爆発した。此処で、映像はストップする。
『…………………』
部屋の中は静まり返っていた。誰も話を出来る状態ではなかった。
しかし、此処で話し出したのはキラであった。
「この後、僕はジャンク屋のロウさんに助けられてプラントに渡った。そこで、ラクスともう一度再会をした」
「逆に俺は海岸で倒れている所をカガリに助けられた。そして、ザフトに戻った」
キラとアスランは静かに話すが、その声には悲壮感が含まれていた。
「お二人は………」
その時に真耶が話し始めたので全員が真耶を見る。しかし、その顔は涙でグチョグチョになっていた。
「お二人はプラ………ント……で再会……された………のですか?」
涙を流していても、しっかりとした声だが、それでも途切れ途切れで尋ねた。
「そうですね。僕達は再会できませんでした。僕はラクスの元で療養していましたし、まだその頃はオーブに居ましたからね」
「まぁ、直ぐに再会することが出来ましたが、それまでに多くの事がありました」
「それで、話を続けますが。その後、僕はラクスの元に来られたクライン派の人からある情報を貰いました」
「それがオペレーション・スピットブレイク。そこは連合が所有する基地でアラスカにありますが、その基地の地下にはとんでもない兵器がありました」
アスランがそう言うと、モニターの映像が再開する。
そこには白亜の戦艦がビーム砲を撃っていたりしているが、それでも攻撃を辞めないザフト軍がいた。白亜の戦艦は勇猛に戦い、傷付いて行くが、それでも白亜の戦艦は攻撃の手を緩めなかった。
今度は映像が切り替わり、宇宙に変わった。そこには紅い服に身を包むキラと私服姿のラクスが基地内部を進んでいる映像であった。
そして、二人がある扉の前に来ると、一人の兵士にラクスが頷くと、カードリーダーに兵士が持っていたカードを読み込ませる。すると、扉はゆっくりとスライドしていきラクスとキラは扉の中に入っていくと、真っ暗な部屋から一転してある一点を集中させてライトアップされる。ライトアップされた場所には一機のMSが主を待っているかの様に聳え立っていた。
そこで、映像がストップした。
「ヤマト、あの機体はお前の乗っている機体に似ているが?」
真っ先に千冬がキラに尋ねた。
「織斑先生、あの機体は似ているんじゃないんです。正式名称はZGMF-X10Aフリーダム。今の機体は先程の機体、フリーダムの後継機に当ります」
キラが千冬の質問に答える。
「じゃあ、ザラ君の機体も………」
「はい、そうです。元となった機体は居ます。正式名称はZGMF-X09Aジャスティス。今の機体はキラと同様に後継機に当ります」
真耶の質問にもアスランも答える。
「それはまた今度にします。さて、話の続きですが僕はあの機体、フリーダムに搭乗して地球に降下しました。その後、ラクスはスパイ容疑を掛けられて逃走することになってしまいました」
「俺は、反対に傷がもう治り掛けたので、ザフトに戻る事になりました。そして、シャトルで戻っている最中にフリーダムとすれ違いました。その時はまさかキラが乗っているとは思っても見ませんでしたが………」
アスランがそこまで言うと、映像がまた開始される。
今度は白亜の戦艦が一機のジンにブリッジを攻撃されようとしている所だった。そして、ジンが持つ重突撃機銃が火を噴く瞬間、機銃は一つのビームによって打ち抜かれ、それを確認しようとして上を見たジンは首のところを切られ、挙句の果てには蹴り飛ばされ、後方へと追いやられた。
そして、白亜の戦艦のブリッジの前に八枚の羽を広げたフリーダムが立っていた。その姿は正しく天使の様であった。
しかし、直ぐにフリーダムは腰部に装備されているレール砲、ウィングに収納されているビーム砲、自身が持つビームライフルを縦横無尽に撃っていく。撃たれていくビーム砲はザフトの主力MSのコックピット部分以外を破壊していく。
だが、フリーダムはビーム砲による攻撃を止めると、ビームサーベルによる近接攻撃に切り替え、無残にもその攻撃を喰らった機体はコックピット部以外を破壊されていく。
すると、一機のMSがフリーダムにビームサーベルで攻撃をしようとした。その機体はアサルト・シュラウド装備のデュエルであった。
デュエルのビームサーベルの持ち手だけをうまく切り落とし捻り返し、今度はコックピットのある腹部にビームサーベルを向けるが、機動を態と外して両足を切り落とし、蹴飛ばした。デュエルはそのまま仲間の機体に助けられて帰投して行った。
その後、アラスカ基地は地下に埋め込まれていたサイクロプスを発動し、ザフトは壊滅までは行かないが、それでも大ダメージを受けてしまった。
そこで、また映像が止まる。
「お前達が居た世界はこんなにも酷かったのか…………」
千冬は、自分達が平和な世界に生きている事を知った。
「そうですね。しかし、これからが本当の地獄のようでした………」
そして、キラ達は概のことを千冬達に話し、一旦解散した。解散時の時刻は8時を回っており、食堂も終了していたのでキラ達は自身の部屋で作った料理を食べて、明日に備えて就寝するのであった。
誤字脱、感想、質問、指摘等ありましたら、お待ちしております‼
修正を行いました。
機体設定について(セカンドシフト機体)
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設定通り
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劇場版基準
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そもそも、劇場版を見てないからわからない
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いっそのこと、新規で作ろう