榎本心霊調査事務所(修正版)   作:Amber bird

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 他のサイトで公開していましたが事情によりハーメルン様の方に移ってきました。
 宜しくお願いします。
 元は250話以上有るので修正しながらの不定期連載になります。


始まりの章
第1話から第3話


第1話

 

僕の名前は、榎本正明。

こう見えても先祖には、函館戦争で負けた榎本武揚が居る。もともと榎本武揚は、榎本武兵衛武由の娘みつと結婚して婿養子となった男だ。

旧姓は箱田といい、現広島県福山市神辺町箱田辺りの出身だ。

どうでも良いトリビアを(読者に)話している時にデスクの電話が鳴る……事務机の上の電話機が鳴っている。

他にはノートパソコンとハードディスク、それと充電中の携帯電話が乱雑に置いてある。パソコンの画面は、今ハマッているゲームの攻略サイトを開いている。

今日は面倒くさいな、と思い受話器を見詰めているだけだったが鳴り終わった。

 

「うん。今日は自主休暇として遊びに行こうかな?」

 

良い天気だし鎌倉辺りの古刹でも眺めようか、と考えていたら携帯電話が鳴った、仕事用の方だ。

 

 折り畳み携帯を開いてディスプレイを見れば「長瀬綜合警備保障 長瀬社長」の文字が……残念、仕事かなと思いながら通話ボタンを押す。

 

「もしもし、榎本です」

 

 電話から渋い声が聞こえる……

 

「ああ、榎本君か?事務所に電話したら出なかったんで携帯にかけたんだ。今、電話大丈夫かい?」

 

「ええ、今は事務所に向っている途中ですから平気です。どうしたんですか?」

 

 取り敢えず居留守は誤魔化しておく。

 

「そうか……実はな、厄介な物件を請け負っちまったんだ。

横須賀の建設途中で施主の資金繰りが付かず建設半ばで放置しているマンションな、アレの巡回警備を請けちゃったのよ」

 

 頭の中で思い出す……確か横須賀市の山の中で、海の見える景色が良いけど不便な場所のアレか?

 

「何故、請け負ったんです?長瀬さんの会社は、建設現場の警備はしないでしょ?」

 

 マンションやテナントビル等の常駐警備が主流のはず。

 

「嫌だったんだけどねぇ……付き合いで仕方なく短期間だけ請け負ったんだ。今は坂崎が行っているんだけど……

もう一人が、嫌な物を見たって辞めちゃって困ってるんだよ。悪いけど頼まれてくれないかな」

 

 僕の仕事は、霊障の調査と出来れば解決迄だが……解決方法は、人には言えない僕の一族の業(カルマ)で処理をする。

 人には言えない為に正当な報酬も評価もされないが、それで良いと思う。人に知られたら、良くない事にしかならないだろうから。

 

「良いですよ。長瀬さんはお得意様ですから……そうすると、今晩の夜間警備から同行すれば宜しいですかね?」

 

「ああ、有難う。では事務所の方に案内図と詳細をFAXしとくから、時間は坂崎と連絡を取り合ってくれ。頼んだよ」

 

 そう言って長瀬社長は電話を切った。

 

 携帯電話を卓上充電器ホルダーに戻す。今夜は夜勤か……そうだ、結衣ちゃんに連絡しておくかな。

 

 折角再充電を始めた携帯電話を手に取り、ポチポチと彼女の携帯に送るメールを打つ。

 

「結衣ちゃん。今晩は夜勤の仕事が入ったので夕飯を食べたら出かけます。

早めに支度お願いします。           榎本」

 

 これで、彼女の手料理の夕飯を食べられる、と。

 

 結衣ちゃんは、本名 細波結衣(さざなみ ゆい)

 

 13歳のロリ美少女だ。訳有りのツルペタロリ美少女だ!大切な事だから、2回言いました。

 彼女の母親は愛知県のとある寒村の狐憑きの家系の女性で、彼女もそうだった。詳細は省くが、家族から虐待を受けていた彼女を助けたのが縁で、その後も面倒をみている。

一般的な里親制度を利用したが、オッサンが少女を引き取るには苦労した、

 

「くっくっく……ロリ美少女と同棲中だぜ!」

 

 彼女で妄想していると、ファックスが入る……一応事務所だから、リコーの複合機をレンタルしている。

 コピーもファックスも、これ一台でオーケー!

 送られてきたファックス用紙に目を通す。なる程ね……次は自分でも情報集めだ。

 ガセネタは多いが、インターネットでも結構な事が調べられる。少なくとも何の情報も無く危険なホラーハウスに突撃など出来る程、無謀でも無いからな。出来るだけの下準備はする。

 取り敢えずノートパソコンを開き、インターネットでキーワード検索……

 

「横須賀 マンション 怖い話」

 

 窪〇洋介……違うよ、アレな方の怖い話じゃないんだ。アイ・キャン・フラーイじゃない。

 日常に潜む怖い話 マンションの住人……惜しい、でもコレも生きている人間が怖い話だからな。

 心霊スポット横須賀スレ……これか?読んでいけば、横須賀の建設途中のマンションの怪……当たりだ!

 夜中に前を通ると、3階の窓の部分に人影が見える。敷地内に良く野良猫が死んでいる。浮浪者が住み着いて、小火をだした……在り来たりだな。

 他のサイトも何件か見たが、共通するのは動物や虫の屍骸と3階の人影か……次は人が死ぬような事件が有ったかの検索だ。

 

「横須賀 建設現場 マンション 殺人」

 

 自宅マンションから投身自殺……これは場所が違うな。孤独死、独居老人が死体で発見、これも遠いな。建設中のマンションに乗用車が突っ込む。

 関連が有りそうだが場所が離れているから違うか、今回は事件性は無いのかな?

 後は土地絡みの曰くだが、これは調べるのは現地に行かなければ無理だ。時計を見れば、PM1:30か……先ずは坂崎君に連絡するか。

 何度か一緒に仕事をしているから、携帯のアドレスに入っている彼の番号を探して電話をかける。

 

「…………もしもし榎本です。坂崎君?今電話で話しても平気かな?

うん、社長から聞いたよ。大変だったね……それで今晩だけど巡回は何時からだい?

20時から2時間置きか……危ないのは0時以降だろうね。分かった!

22時の巡回には間に合うようにいくから、それじゃ」

 

 彼、随分と怯えていたな……見えちゃう体質だけど自分では何も出来ないからな、辛いわ。

 

「さてと、現地に聞き込みに行きますか」

 

 愛車のスクーターの鍵を持って事務所のガレージへ向かう。最近購入したYAMAHAのビーノモルフェだ。小道具の多い僕には、収納カゴやフロントポケットの有るこのスクーターは気に入っている。

 コンセプトは街乗り用のレトロ感の有る、多分女性が好むスタイッシュなフォルムをしているスクーターだ。筋肉でゴツい僕が乗るのは似合わないと言われ続けている……

 車?持ってるけど使わない。

 停める所を探すのが大変だし駐車禁止で捕まるの腹立つし……一度駐車違反で捕まったが、罰金か減点かどちらかにして欲しいよな。

 事務所は横須賀市の中央部に有る、駅前の大通りを抜けて国道134号線を南下する。久里浜港を横目に更に南下し野比海岸をひた走る、途中アル中専門の病院が有る。

 今は解体して無いが、国立野比病院と言う怖い病院廃墟が有ったんだ……心霊現象の噂も有ったんだよね。

 医療器具やカルテが散乱していて、持ち帰ると電話が掛かってくるんだ。

 

「ウチの病院から持ち出したカルテを返して下さい!」ってね。

 

 実際に怖かったのは、所有者が頻繁にくる不法侵入を警察に相談して巡回が多かった事。それとセ〇ムのセンサーが各所に設置されていた事だ。

 廃墟ファンには堪らない物件だったね、そんな事を思い出しながらスクーターを運転する。 

 道沿いは長閑な漁港だが、結構な漁船が停泊している。何時漁にいくんだろう?金田湾を見ながら、途中で国道214号線に右折し山の方に向かう……

 海岸線から少し入れば、畑がやたらと目に付く長閑な田舎町。途中で更に枝道に入り目的のマンション前に着く。

 少し離れた路肩にスクーターを停めて、歩いて現場まで行く。平屋の民家と畑ばかりの土地に、いきなりコンクリートの建物が見えた。

 くすんだネズミ色の建物……緑の山々と畑に囲まれたこの場所には似つかわしくないかも知れない。

 まずは、2m位の高さの白いパネルで覆われた仮囲いにそってグルリと歩く……お約束のスプレーの落書きがチラホラ、しかし侵入出来そうな場所は無い。

 そして正面のパネルゲートの前に立ち、問題の建物を見上げる。外から見た分には、まだまだ手を入れれば新築物件として売り出せそうだ。

 コンクリートの躯体の損傷も見受けられない。しかし施工中には有っただろう、外部足場が無くなっている。

 まぁリース品だし、再開の見通しがつくまで解体して引上げたのかな?これは逃げる時に外部階段は使えない、中の階段しかないのか……

 退路が一箇所しか無いのは心許ないな。

 中に入る前に周りを見渡すと道沿いの少し先に、個人が経営してる懐かしい雑貨屋が見えた。板壁に屋根は鉄の波板で、いかにも古そうな造りだ。

 板壁には昔の鉄製の看板が今も貼り付けて有る。

 

「元気ハツラツ!オロナミンC」の大村崑さんの物やセクシーポーズの由美かおるさんの「アース渦巻」それにサビだらけでモデルが誰だか分らないが「ボンカレー」の看板。

 

 今では余り見掛けなくなった懐かしの看板類に溢れている……この看板類を懐かしいと思うと、歳がバレるかな?

 気を取り直して店の中の人に、話を聞こうと覗いてみれば……うほっ!

 若い女の子が店番をしているではないか!どう見ても、まだ小学生だ!

 

「いらっしゃいませ!」

 

 目が合うと、元気に挨拶をしてくれるロリッ子。

 

「こんにちは!」

 

 残念ながらイケメンでも若くもないが、出来るだけ爽やかに挨拶を返す。店に入り、商品を物色する……コンクリートの剥き出しの土間に無造作に棚が並べられ、商品が置いてある。

 トイレットペーパーから洗剤等の日用品から雑誌や食料品まで……これぞ昭和の雑貨屋だね。

 

 無難にガムとコーラを持ってレジへ。

 

「じゃコレを下さい」

 

 渡すとちゃんとレジを打っている。流石にバーコード式でなく手打ちタイプだが……

 

「お手伝い、偉いね。おウチの人は居ないの?」

 

 220円ですと言われ、千円札を渡しながら聞く。

 

「有難う御座います。おつり780円です。うん、お父さん入院中だからお母さんが世話に行ってるの」

 

 彼女の表情からは、父親の容態が重いのか軽いのか分らない。

 

「お父さん早く元気になると良いね」と言って店をでる。

 

 最近の子供は発育が良いな……もうスポーツブラを着けてそうなサイズだった。

 ニヤニヤしながらコーラを飲んで、今度は建物の付近をキョロキョロと見回しながら徘徊する……しかし、これでは通報されても仕方がない変質者っ振りだ!

 近くには交通事故のお地蔵様も無ければ、庚申塚も無い。昔の因縁も無さそうだな……元々が山村であり、戦災が有ったり歴史的な古戦場でもない。

 何処にでもある長閑な田舎で、やっと開発の手が入りつつ有る場所だ!

 最後に近くのお寺、畑に囲まれた小山の上に有る方道寺に行ってみる。こじんまりとしているが、よく手入れもされていて小奇麗な境内……

 住職と話が出来ればと思って訪ねたが、人の気配は無い、かな。お寺の住職とは意外に忙しいから、アポ無しで来ても無理か。

 

「んー原因が分からないなぁ……」

 

 昼間のウチに周辺を廻って見たが、収穫は可愛いロリッ子が一人で店番をしているだけか。

 

「ぐふふ……大収穫じゃないか!」

 

 意気揚々とスクーターを停めている場所に戻る。途中でもう一度、あのマンションの前を通ると、さっきは気が付かなかったが古い看板が目に入る。

 

「マンション建設反対、自然を守れ……か」

 

 何かの利害関係が、あのマンション建設の際に有った訳か。こんな長閑な場所でも諍いが起こる。人間ってのは業が深い生き物だよねぇ……

 その業に囚われている僕も人事じゃないんだけとさ。

 さて、帰って結衣ちゃんのご飯を食べて、結衣ちゃんでラブな妄想しながら仮眠を取ろうかな。帰り道で、お土産に銀座コージコーナーのケーキを買う。

 彼女はイチゴのショートケーキが大好きだ。女の子が物を食べる姿って、セクシーだよね?

 

 

第2話

 

 現場の調査を終えて家の前に到着、家を見れば既に部屋の電気が点いている。既に結衣ちゃんは帰って来ているのだろう……

 駐車スペースにスクーターを停めて玄関に廻り「ただいま!」と言って家に入る。

 玄関先までいい匂いが漂っている、既に結衣ちゃんが夕飯の準備をしてくれているみたいだ。

 

「おかえりなさい。正明さん」

 

 台所からエプロンで手を拭きながら出てきてくれて、少し小さめな声で迎えてくれる。彼女の両腕には手首の部分まで包帯が巻かれている。

 スカートで見えないが、右の太もも部分にも同様に包帯を巻いている。

 

「ただいま。良い匂いだね。夕飯は何かな?」

 

「今日の献立は、イカと大根の煮物にアジフライです……スーパーで特売だったんです、イカとアジが。アジはちゃんと3枚におろして揚げたんですよ」

 

 彼女の頭をポンと軽く叩いてから「凄いね!」と褒める。

 彼女は児童虐待を実の母親と、その男達に受けていた。だから扱いは慎重に、スキンシップは控えめに、優しく頼れる男を演出しなければならない。

 

「お風呂沸いてますから、先に入って下さい」

 

 仄かに頬を赤く染めて恥ずかしそうに、そう言って台所に戻って行く。本当に良く出来たお嬢さんです!

 風呂に入りサッパリしたところでキッチンに向かうと、既に料理が並んでいる。なかなか美味しそうなイカと大根の煮物にアジフライ、それと海草サラダに……ミョウガのお吸い物か!

 結衣ちゃんはお婆ちゃんから料理を習っていたらしく、多少田舎っぽい料理が得意だ。その代わり、外食をする時は洋食系が多い。

 パスタが大好物なので、洋麺屋五右衛門やジョリーパスタには良く連れて行く。彼女自体が大人し目の真面目っ子だから、兄弟か親子に間違われる事が多いのが癪だ。

 歳の差カップルでも、ロリコン野郎でも全然構わないのにね。

 

「今日はこれからお仕事ですから、お酒は駄目なんですよね?」

 

 そう言って急須からお茶を注いでくれる……何時もはビールを嗜むのだが、今日はお茶だ。

 僕はお茶は飲めれば良いのだが、結衣ちゃんはお婆ちゃんの影響か?お茶に拘りが有るのだ。

 前に誕生日プレゼントを贈りたくて「欲しい物はないの?」って聞くと、釜伸び茶とか釜炒り玉露茶とか難しいお茶を欲しがった。

 いずれ静岡とかのお茶の産地に旅行に連れて行って上げたい。湯飲み茶碗とかも好きだから、京都とか焼き物を多く扱う場所も喜ぶかな?なとど考えながら、軽くソースをかけたアジフライを口に入れる。

 

 うまい!

 

 サクサクのコロモの食感に、仄かなソース。それにジュワッとしたアジの風味が口の中に広がる……ご飯をモリモリとかっ込む。

 本当に中年の男心を鷲掴みにする料理を作る子だ。

 

「美味しいね、このアジフライ……魚を捌くなんて、結衣ちゃんは本当に料理上手だよね」

 

 そう褒めると、真っ赤になって俯いてしまう。この子には欲望に塗れてない優しさが必要だから出来る限り褒めてあげる。

 

「そんな事無いです。私は料理位しか、正明さんに恩返し出来ないから……」

 

 恩返しなら結婚してくれって叫びたいが、グッと我慢する。

 

「十分だよ。最近食生活が充実しているから、お腹周りに脂肪が付いてきてね……」

 

 すこし脂肪がついただろう腹を擦りながら言う。自虐ギャクだ……他愛無い冗談を言いながら楽しい夕食の時間が過ぎていく。

 ご飯をお代わりし、全ての料理を平らげてから「ご馳走様」と言って自室に戻る。

 

「さて、少し仮眠をとりますか……」

 

 布団にゴロリと横になる。因みに僕はベッドより布団が好きだ。満腹感の為か、横になると睡魔が……おやすみなさい……

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 少しだが仮眠を取った事でスッキリした。目覚まし時計をセットしていた21時に起きて、支度を始める。先ずは装備の確認だ。

 清めの塩・数珠・強力なマグライトを2本、それとスタンガンに特殊警棒……何も敵が霊ばかりではない、時には人間が敵の場合もある。

 それと夜間に行動する為に照明器具は必須だ!

 よくテレビや映画で、懐中電灯が突然消えたりする事が有るが、強い霊だと稀に有る現象だ。だから用意するのが、発炎筒と軍用のケミカルライト!

 前者は自動車にも積んでいるので馴染みのある方も居るだろう、炎の力で光を出す。火に弱い霊達には有効だが、火なので使う方も取扱いに注意が必要だ。

 後者は良くお祭りとかで見かける、光るリングとかステッキの実用版。玩具ではなくちゃんと実用性の有る光量を持たせた物だ。

 これは、シュウ酸ジフェニルと過酸化水素との混合溶液の化学発光により蛍光を放つ。玩具から軍用で利用している物まで色々あるが、霊も化学反応は止められないみたいだ。

 それと信憑性は低いが電池式のランタン。量販店に行けば、3000円程度で買えるLED式の物だが、少し細工をして内部に愛染明王の札を仕込んである。

 これを大量に逃げ道に置いておく。多少の霊なら札の力で明かりを消せないが、有る程度の奴だと簡単に消す……これは単純に僕の札に込める霊力が弱いからか?

 一度霊に消されると不思議と二度と点かないのだが、使い捨てだし必要経費だから問題ない。

 壊れなければリース代金で壊れたら経費に乗せる契約にしている、これらを腰や足に付けたポーチに入れていく。

 ランタンは段ボール箱に詰めておく。因みに今回は長瀬総合警備保障の仕事なので、そこの制服を着てポケットの沢山付いたチョッキを羽織る。

 極力両手はフリーにしておかないと危険だから……制服着用については、外部スタッフ扱いだから問題ない。

 靴は編み上げのアーミーブーツ、コレが結構使い勝手が良い。

 スニーカーは防御力が低いし、安全靴は滑り易いのでコーディネイトとしては合わないが何時もコレだ。

 それに手袋だが……本来ならば手袋をして手を守りたい。しかし、何故か手袋をしたままで愛染明王の印を結ぶと効果が薄いのだ。

 只でさえ威力が低いのに、これは致命的……なので取り敢えず軍手は持っているが、霊絡みの仕事中は使えない。

 

 最後に、結界を張った祭壇に祭ってある「箱」を見る。結界とは勿論、他の人をこの「箱」に触らせない為の結界。

 実際には、この「箱」をどうこう出来る奴など居ないだろう……忌々しい程の力を持った「箱」。

 本来なら触りたく無い箱を手に取る。

 箱根細工の様に組み上がった、ルービックキューブよりも少し小さい「箱」……

 コレが僕らの物語の、始まりの「箱」。

 呪われた一族の生き残りの僕が面倒を見なければならない「箱」を無造作にポケットに突っ込む。

 2階建ての我が家の2階部分は全て僕の私室と倉庫と、祭壇だ。

 掃除は自分でするからと言って、結衣ちゃんにも祭壇には近付けさせていない。さてと、準備が出来たし出掛けるかな。

 階段を降りて、結衣ちゃんの部屋をノックし出掛ける事を伝える。直ぐにドアを開けて顔を見せてくれる……

 どうやら勉強中だったらしい、机の上にノートやら教科書が見える。来年は受験生なんだよね……

 勉強が終ったら直ぐに寝るのだろう、Tシャツにホットパンツ姿だ。服から覗く華奢な手足が艶かしい……

 仕事の前に、彼女の部屋にこもる甘ったるい匂いを堪能する。

 

 仄かにミルクの香り!所謂「くんかくんか」状態だ!

 

 そんな変態行為に気が付かず、彼女は玄関までお見送りをしてくれた。戸締りをしっかりと言い聞かせ出掛ける。

 ちゃんと扉の鍵をロックする音を聞くまでは、扉から離れないけどね。

 今度はスクーターでなく、愛車のキューブで現場に向かう。田舎だけに、夜の9時を過ぎれば交通量は疎らだ……20分程で現場に到着した。

 一旦現場の前に停めて、ランタンの入った段ボール箱を降ろす。

 それから昼間の内に調べておいたパーキングに移動し、後ろに積んである折り畳み自転車で再度現場まで……

 霊障なのか、電子機器やら自動車・バイクは時として使えない場合が有る。何故かエンジンが掛からない!

 

「うわぁ、ヤバいよ懐中電灯の灯りが消えたよー!」とか「電話が圏外だ!助けを呼べないじゃんか!」とかね。

 

 だから人力駆動の自転車、これ最強!

 僕の強靭な足腰を動力として走る自転車は、今迄に逃げ切れなかった事は無い。まぁ捕まったら只では済まないし、最悪は死ぬ……軽快に自転車を漕いで現場の前へ!

 見上げると、コンクリート製の建物は昼間とは違った雰囲気を醸し出している。確かに何かが居る気配がする……

 仮設のパネルゲートを入って直ぐに自転車を停める。勿論直ぐに逃げ出せる様に鍵は掛けない。

 

「お早う御座います、榎本さん!」

 

 元気に名前を呼ばれたかと思えば、缶コーヒーを飲みながら坂崎君が近付いて来る。しかし微妙に恐怖で腰が引けているのがわかるんだ……

 せわしなく視線を動かすし、懐中電灯やらランタンが置いてあるし。彼なりに色々準備したんだろう。

 

「現場の挨拶って夜でも「おはよう」だよね」業界用語なのか?

 

「榎本さんが出張って来るって事は、やっぱりコレ絡みなんですか?」

 

 両手を前でダラリと下げてお化けの真似をする……

 

「まだこれから調べるんだよ!それより、今回もヤバくなったら逃げるから自転車の準備をしといてね。坂崎君の安全は契約外なんだよ」

 

 命有っての物ダネだからね!

 

「うわっ!前回みたいにアル中みたいな浮浪者に、出刃包丁を持って追い掛けられる可能性有り?」

 

 廃墟に棲み付くのは、何も幽霊だけじゃない。人間の方が多い位なんだよね。

 

「うん。可能性は有るよね。でも今回は浮浪者が住み着いた様子も無いし、ヤクザ絡みの物件でも無い。

周りの神社やお寺。庚申塚や曰く有りそうな地蔵も石碑も無いし……ここで事件が起こった事も調べられなかった」

 

 どうやら建物の中に入りたくないのか、外に折り畳み椅子を置いて休憩スペースを作っていた。寒いし雨降ったらどうするんだい?

 しかし正解だ!ゴーストハウスの場合、建物の外には効果を及ぼさない場合が多い。

 

「それで、一緒に夜間巡回ですか?」

 

 マグライトと特殊警棒を取り出して笑いかける。

 

「僕ら肉体労働者はさ、自分の足で調べるしかないんだよ。さぁ22時の巡回に行こうか?」

 

 ここまで調べて分らなければ、直接乗込むしかない。正規な手順を踏むなら夜に建物の中に入るのは愚行だ。

 周りからカメラや温度センサーとかで、先ずはじっくりと異変を調べるのがリスクが少なく確実だ。

 海外ではゴーストハウスは割りとポピュラーなジャンルで、調査方法もそれなりに確立している。しかし我々には、時間も金も無いから体を張るしかない。

 

「じゃ行こうか……先ずは建物の外周をぐるっと歩こうか……その後に、何時もの巡回ルートで案内をお願い。

それと歩きながらで良いから、知ってる事を教えてくれる?」

 

 先ずは建物を時計回りで一周する……不法投棄だろう車のバッテリーやブラウン管テレビ、それにエロ本を見つけた。

 そう言えば子供の頃は、何故か廃屋探検する度にエロ本を見つけて読み耽ったものだ……誰が持ち込むんだろう?

 噂にあった動物の屍骸は無かったな。しかし膝まで雑草が茂り、バッタだか分らない虫が飛び回っている。

 動物の屍骸については、猫とか死期を悟ると人目に付かない場所に行くらしいが……

 なにか関係が有るのかな?さて建物外周には、手掛かりはなかった。

 もはや内部に侵入するしか有るまい……

 

「坂崎君、外部に異常は見当たらない。覚悟を決めて中に入ろう」

 

 既にビビリまくりの彼に声を掛けて先導させる……そして曰く付きマンションの捜索が始まった。

 

第3話

 

 地元で有名な心霊マンション……噂ばかりだったが、警備員の一人が怪奇現象を目撃し、逃げ出す様に辞めてしまった。

 お世話になっている永瀬社長の頼みだからと請けた仕事だが、どうやら当りみたいだ。

 

「坂崎君、外部に異常は見当たらない。覚悟を決めて中に入ろう」

 

 既にビビリまくりの彼に声を掛けて先導させる……

 坂崎君の後について、先ずは1階のエントランスホールに入る。この辺は、地元のヤンキーとかも探検に来たんだろう……

 スプレーの落書きにBB弾か?サバイバルゲームでもしたのか?

 こんな田舎とはいえ、それなりに人目の有る場所で?

 建物の入口は、内部に何も光源が無い為か、ぽっかりと闇が口を開けている様に感じる。ゴクリと生唾を飲み込む……何時までたっても怖い事に慣れる訳でも無いから怖い物は怖い。

 しかし仕事だからと割り切って建物の中に入る事にする。

 1階はエントランスホールに管理人室、ELVホール・集会所・郵便ポストスペースと共用部分が多い。もっとも仕上も未だだし、機材も置いてないから、剥き出しのコンクリートの小部屋ばかりだ。特に変化は無い。

 気になると言えば、床に水溜りの跡がある事や、ジメジメしている事だ。それに微妙だが空気の流れを感じる……

 妙に土臭く、そしてカビ臭い。

 普通コンクリートの建物の中に入ると、ヒンヤリするが、この建物は最近雨が降ってないのに湿気の程度が酷い。

 

「榎本さん……1階と2階は問題無いんですよね。同僚が見たのは3階の東側の部屋らしいです……

血相を変えて飛び出して来て、それっきり辞めちゃいました。3階ってのも同行して巡回した時に、その部屋に入って……

僕は見てないんだけど、彼がいきなり叫びだして走って逃げたから自分も逃げ出したんです。

後は、彼が恐ろしい物を3階で見たって……それで、そのまま帰ったっきり仕事には来なくなりました」

 

 話を聞きながら、2階に内部階段で登る。思った以上に内部は暗い……

 階段室には窓が無い為に、外の光が何も入ってこないからだ。途中でランタンに灯りを付けて、階段に5段おき位に置いて行く。

 足元が暗いと逃げ出す時にスピードが出ないし、危ないからね。

 

「その彼は、どんな恐ろしい物を見たのかな?それについては何か言ってた?」

 

 質問をしながら2階に到着する。2階のフロアからは居住区画で、均等にコンクリートの壁で部屋割りがされている。

 1フロアが8部屋で仕切られているが、ここも仕上がされてないのでコンクリートの剥き出しの壁のままだ。

 このフロアも落書きが多いな……卑猥な言葉や意味不明なサイン?

 あとはお決まりの「この場所は呪われている」とかね……

 

「少し待ってくれるかな?」

 

 どんどん進む坂崎君を止める。じっくりと周りを見渡す……通常、経験でいくと霊が現われる時は温度変化が、具体的には温度が下る。

 身の毛もよだつとかは、物理的に温度が下るからかも知れない。しかし、物音もしなければ温度の変化も感じられない。

 深呼吸をして気持ちを落ち着かせ、再度気配を探るが僕の霊感には何も反応しない。まぁ大した霊感も霊力も無いんだけどさ……

 

「このフロアは問題なさそうだよ。でも心霊現象ってのは、特にゴーストハウス系はね……

知らない人が来ると一旦おさまるんだ。そこからの揺り返しが恐ろしいんだけどね」

 

 坂崎君は、ブルブルっと身震いして左右を見渡す。

 

「じゃ問題の3階に行こう。先に僕が歩くから、逃げろって合図したら振り返らずに走って逃げるんだ。

僕に構うなよ、僕も君には構わないから。それとヤバイと思ったら2階からなら飛び降りるんだ。

最初に外周を廻ったけど、落下してもぶつかって怪我をする物は無かったし、どかしておいた。自縛霊ならば、建物から出れば平気な場合が多い」

 

「ひでぇ……最悪だよ!」

 

「肉体派だろ、僕らは!大丈夫だよ、社長も労災申請位はしてくれるさ」

 

 ゆっくりと階段を登り、問題の3階のフロアに到着する……この階段入口部分は、ランタンを3個置いておく。

 最悪の場合、此処だけが脱出ルートだから目印代わりだ。

 念の為に清めの塩をランタンの周りに、大き目の円を描く様に撒く。本当に気休めだが塩は魔を払う効果が有り、一応祭壇に祭り清めた塩だ。

 ただ大量に持ち歩いて、しかも大量に使うので質より量的な感じを受けるのだが……これで最悪の時の脱出ルートの目印は出来た。

 流石に鍛えている僕らでも、3階から落ちれば最悪は死者の仲間入りだからね。退路を確保してから、周囲を確認する。

 

 ……ヤバイな。ライトに照らされた周りを見て思う。

 

 このフロアには、思った以上に落書きが少ない。普通は話題になったフロアには人が結構来るんだ。度胸試しとかで……

 だから証拠に落書きを残して行く。しかし1階や2階よりも、明らかに落書きが少ない……

 

「こりゃ当りかな?坂崎君、ちょっとマジになろうか……」

 

 依頼されている以上は確認をしないと帰れない。覚悟をきめて、手前の部屋から覗いていく……

 問題の部屋は一番突き当たりだが、本当に其処にだけ現われるとは限らない。

 ライトを持つ手首に数珠をして、特殊警棒をしまい清めの塩を持つ。念のため、坂崎君にも清めの塩を渡す。

 

「榎本さん、何か異様に静かですよ……耳がキーンって鳴るんだけど、これってヤバイのかな?」

 

 彼も緊張しているみたいだ。コッチも緊張で喉がカラカラだよ。

 

 2部屋目に入る。

 

 ここは一時期浮浪者か誰かが住んでいたのか、コンビニ弁当のゴミや新聞紙が散乱している。どこか腐った臭いがする。

 しかし異常とは言えないか……新聞の日付を見ると3ヶ月程前だな。

 少なくともその頃は、怪奇現象は無くて此処まで人が登って来ていたんだ。

 

 続いて3部屋目に入る。

 

 ここは……綺麗に何も無い部屋だ。3部屋目を見終わって一息つく……

 持っていたペットボトルの水を少し飲む。

 僕が立ち止まっている間中、彼はライトで周りを忙しなく照らしている。

 

「落ち着いて。さぁ、行こうか」

 

 4部屋目……

 

 5部屋目……

 

 6部屋目……

 

 なんの異常も無い。共用廊下部分にもランタンを設置するが手持ちが尽きた……じっくりと逃げの準備をしているが、また異常は見当たらない。

 少し拍子抜けだ……もしかして、初日は反応しないのか?

 そんな楽天的な思考が頭を掠めた状態で、7部屋目の前に立つ。問題の部屋の隣だが、ここで始めて異常に気付く。

 ライトを当てた室内に、小さな白い物が飛んでいる。

 

「ジジジジジジ……」

 

 突然、耳元で羽虫の音が聞こえた。暗がりに灯りを持って歩いているんだ、虫くらい寄ってくるだろう。

 しかし、この部屋だけにしか虫は飛んでいなかった。用心しながら部屋の中に入ると、足にジャリジャリと違和感が……

 右足を上げて見ると、床一面に黒い塊が?

 ライトで照らすと、うぞうぞと動き回る虫・虫・虫の屍骸と生きている虫達。

 

「虫?とその屍骸か……こんなにか……」

 

 見ればその部屋には黒い絨毯と見間違う程の、大量の虫と虫の屍骸が有る。ハエやゴキブリ、カナブンやら色んな虫が積み重なって死んでいる……

 毛虫や芋虫みたいな物は、うぞうぞ動いているし。虫の屍骸?動物じゃなくてか?

 パソコンの書き込み情報と違う、初めてだろう怪異に立ち止まって考え込んでしまう。

 

 ひょいって脇から室内を覗いた坂崎君が呻く様に「うわっ昨日は無かったですよ。こんな虫の屍骸なんて……」そう呟いた。

 

 彼の心臓は既にバクバクだろう、震えているのが掠れた言葉でも分る……調査初日から、反応してくれるとは嬉しくないなぁ。

 

「どうやら我々は歓迎されているみたいだな」

 

 隣の部屋からも微かだが、物音が聞こえ始めた。

 

 ウォ……カチッ……カチッ……アグゥ……カチッ……

 

 耳を澄ませば、なにやら呻き声の様なものと何かを叩く音だ。2人に緊張が走る。

 

「榎本さん、なにか音がしませんか?隣から……見に行くの嫌ですよ僕は……」

 

 今までは静まり返っていた建物の中で、突然僅かだか異様な音が聞こえ始めた。

 坂崎君も聞こえているなら間違いないのだろう。

 

「これが僕らのお仕事でしょ?我々は体を張らねばならない肉体系労働者だからね。ここからは僕が先に行きます。

逃げろと言ったら、何があっても建物の外には最低でも出て下さいね。後は自己責任でお願いします」

 

 そう言ったら、情けない顔になった彼の肩を叩いて気合を入れる。問題の部屋に入る前に、退路を確認する。

 途中に設置したランタンは正常にボヤけているが灯りを放っているし、階段の3台も心強い光を放っている……

 しかし、念の為に頭の中でシミュレートする……最悪の場合、用意した照明が消されて真っ暗になったら。

 先ずは照明の確保だが、発炎筒にしよう。

 火はそれだけで、魔を退ける力となるし、光量も大きい。

 念のために部屋の前にケミカルライトを一つ取り出して、くの字に曲げて中の液体を化学反応させてから床に落とす。

 この光の左側が階段だ。

 坂崎君を見れば、僕の後ろ3m位の所に立っている。両手には懐中電灯と清めの塩をそれぞれ持っている。

 無言で頷き合うと、問題の部屋に向かった……

 

 入口から正面に開口が有り、外の夜景が見れる。

 東京湾を一望し、遠く千葉県の木更津工場地帯の灯りが見える絶景のビュースポット……入口から中を覗いても何も居ない。

 覚悟を決めて室内に一歩踏み出す……何も居ないな。

 

 もう一歩中に入って中を伺う。

 

 喉がカラカラだ……

 

 フッと壁際に目をやると、居たっ!

 

 こちらに背を向けて立っている、多分40歳位の中肉中背の中年の男が……

 

 青白ストライプのバジャマを着て何かを呟いている。ウォ……カチッ……カチッ……アグゥ……カチッ……

 左手の人差し指で壁の一部分を叩いている。

 

「うっうわぁ……榎本さん!アレっ、アレって本物ですよね?向こう側の壁が透けて見えて……あがががっ」

 

 坂崎君がパニックに成り掛けて騒ぎ出した!

 

「ちょ坂崎君、静かにしないと……」

 

 ほんの一瞬だけ目を離し、坂崎君に注意して再び中年の男を見ると……今まで呻きながら人差し指で壁を叩いていたのを止めている。

 少しずつ、本当に少しずつ体を此方に向け始めた……

 

「あっひゃ榎本さん、どうするんですか?はっ早く逃げましょうよ」

 

 坂崎君はもう無理か?

 

「坂崎君、先に逃げろっ!僕は一撃与えて様子をみるからっ」

 

 そう言うと、腰を抜かしながらも廊下に這って行く坂崎君……その緩慢な動作に、少しは時間稼ぎが必要だと理解する!

 愛染明王の印を組み真言を唱える……

 

「おん まからぎゃ ばぞろ しゅにしゃ ばざら さとば じゃく うん ばん こく」

 

 真言を唱え、裂帛の気合を奴にぶつける!

 

 渾身の霊力を乗せた愛染明王の真言を受けて、奴は……流石の奴も………アレ?奴は………その霊体を僅かに揺らしただけで、此方を向いた。

 

 精気の無い表情で、しかし此方を睨んでいる。

 

「やべぇ!効いてない?」

 

 手順に間違いはなく、霊力も乗っていた真言をモノともしないのか?奴の落ち窪んだ暗い眼窩を見てしまった。

 

「あがっ……あががっ……」

 

 奴は手を伸ばしながら、ゆっくりと近付いてくる。

 

「これは、戦略的撤退だ!」

 

 僕は奴から目を離さずに、ゆっくりと出口まで下がり始めた……

 

 


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