オリ主が一人転生しただけの簡単な二次創作です   作:騎士貴紫綺子規

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 今回はいつも以上に短いです、すみません。

 とりあえず第一箱から見直してミスを直しました。


第七箱 「副会長……」

 

 目安箱(めだかボックス)。原作のタイトルにもなり、かつ主人公の黒神めだかも設置した有名な箱のことである。

 

 黒神めだかは椋枝教諭に言われて目安箱を設置した。彼は不知火半袖に諭されたことで、黒神めだかが、後出ししかできない女だと知ったから。

 

 しかし、それまでは日之影空洞を推していた。彼が空洞を推す理由はただ一つ。

 

 

 変化を嫌っているから。

 

 

 未来より現在、次代より現代。保守的な考え方をする椋枝教諭にとって、日之影空洞はうってつけの生徒だったのだろう。学園を変えずに、それでいて平和にする、というのは、空洞にとっても自分に合った話だと思ったようだ。

 

 

 和は知らなかったが、空洞は中学時代から「正義」を重んじていた。それこそ、週刊少年ジャンプに連載されている人気漫画「ONE PIECE」の登場人物である赤犬のように。もっともこの場合は比喩であり、赤犬ほど徹底的な、淘汰的な、排他的な人物だったかと聞かれたら、当然答えは「否」である。しかし遠からずとも、空洞も力で異分子を排除してきた節はあった。

 

 

 そんな二人が生徒会にいるのだ。日之影空洞の掲げるマニフェストは「学園の平和の維持」。この場合の「維持」とは「悪をできる限り排除する」ことである。

 しかしここで重要なのは、「悪の性悪性を変えてはいけない」ということだ。

 

 椋枝にとって「悪」とは、須らく悪なのである。それが「善」に変わるなどとは思っていない、否、変わってはいけないと考えている。同様に、空洞は変わるわけがないと考えている。前者は人間性の変換の否定から、後者は差別と偏見から。

 

 

 

 そんな二人の演壇に、和が土足で立ち入ってどうなるかというと――。

 

「空洞。これ、今年度の部活動新入部員名簿」

「もう出来たのか」

「これくらいならね。一応俺は副会長(・・・)だし」

 

 特に何かが起こるわけもない。前世の性格はともかく、今世の和にとって椋枝の考え方は性に合っているのだ。椋枝は学園、及び人間性の変化を、和は原作の変化を。それぞれがそれぞれを変えたくないと思っている。意味は違えど二人とも変化を嫌う所が合ったのだろう。比較的好印象で見られていた。

 

 

 見事生徒会長に就任した空洞だが、和としては「よく過半数超えたな」という心情である。

 

 原作でも生徒会長職に就いていた空洞だが、考えてもみてほしい。知られざる英雄(ミスターアンノウン)異常性(スキル)があるのに生徒会演説や選挙運動に出たとして、学園の生徒たちに記憶されるのかどうか。

 

 答えは否。

 

 自分でコントロールできるのは強弱のみで、オンオフはできない体質(アブノーマル)、それが知られざる英雄(ミスターアンノウン)である。つまりどう考えても、日之影空洞に票が集まるのはおかしいのだ。それこそ、立候補者が空洞一人などではない限り。

 

 そこで選挙運動を手伝う和の出番である。和の異常性(スキル)異常識的に考える人(コモンディヴィエイター)

 

 

 異常識的に考える人(コモンディヴィエイター)。その全容は、「常識を覆すスキル」である。人体の常識や物理的な常識はもとより、筋肉量や脳構造や解剖学的に不可能な行動。偉業ではなく異常を成し遂げることができる異常性(スキル)、それが異常識的に考える人(コモンディヴィエイター)だ。

 

 今までで例を挙げるとすると、「ボールの軌道」や「知られざる英雄(ミスターアンノウン)の特性」という常識(・・)を覆してきたのだ。もっとも和は初めから、自身に罹りうるあらゆるスキルを異常識的に考える人(コモンディヴィエイター)で打ち消しているため、日之影にスキルの影響が受けにくかったのもある。

 

 このスキルを応用し、知られざる英雄(ミスターアンノウン)があるにもかかわらず、その圧倒的な存在を、一般生徒に植え付けたのだ。

 もちろん選挙終了、生徒会長就任後に記憶が薄れやすくなっているため、またすぐ忘れてしまう。自分たちが投票し選ばれた生徒会長が誰だったかということすら忘れてしまうのはどうかとも思ったが。

 

 

 現在生徒会役員は、空洞と和の二人だけである。役員演説により増加を呼び掛けたのだが、当然ながらにして知られざる英雄(ミスターアンノウン)で記憶はオールカット。今の生徒会長の顔も名前も記憶していない生徒では、生徒会の仕事もままならないだろうということでたった二人で回している。基本的に肉体労働は空洞が、頭脳労働は和が担当しており、今のところ不備や遅れはゼロなので、一応は教職員方も納得してくださっているようだ。

 

 

 ちなみに和が副会長職を担っているのには理由があり。

 

『和、役職何がいい?』

『会長の手伝い』

『役職名で言え』

『えー、……んじゃちょっと腕章貸して。全部』

 

 そう言って手を差し出すと、空洞は眉をひそめた。訝しげな表情をしながらも、置いてある残りの腕章五つすべてを渡してくれた。

 

 目を瞑りながら後ろ手にシャッフルして、コレ! と思うやつを上に掲げる、と。

 

『副会長……』

『……いいのか、それで』

『……まあ、運を天に任せた結果だし』

『……そうか』

 

 そうやって副会長になったのだ。他に役員がいないからこそできる手であり、歴代見ても運で決められた副会長など和くらいだろう。

 

 実際やっていることは会計や書記の内容も含まれているので、副会長という職は意外と和に会っているのかもしれない。

 

 

 




 次回からオリジナルエピソードマジ2000%でいきたいと思います。


 ここでちょっとした設定裏話をば。
 めだかボックス外伝、グッドルーザー球磨川の登場人物には名前が漢字一文字、という縛りが原作者によってかけられているんですが。
 二次創作でもそれは守らなきゃねということで、何かいい漢字がないか探していたんですが。

「主人公が《咲》だしなあ……音が『ai』は捨てがたいんだよね」

 ってことで《なぎ》になりました。現実的にもありそうだし。

 さて、ここでまた別の問題が発生。漢字を何に充てるか。
 初めに思い付いたのは《凪》なんです。が。

「これだと某復活! の髑髏ちゃんとかぶる!」

 ってことで《和》になりました。

 後から考えると和と咲で何か繋がってるしGJ俺! とかって思いました。

 ……よくよく考えると、作中に一人『なぎ』が入る人、いるんですけどね。漢字もほとんど似ているあの人(・・・)が。

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