オリ主が一人転生しただけの簡単な二次創作です   作:騎士貴紫綺子規

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 今回から箱庭学園編です。ただし、まだまだ原作とは程遠いです。ご注意を。

 ……いまだかつて、ここまで傍観に徹した「めだかボックス」の二次創作があっただろうか。知ってるか?未だに黒神めだかにも安心院なじみにも会ってないんだぜ?




第五箱 「……まさか! お前も!?」

 一つの学園都市ともいえるほど巨大な学園――箱庭学園。桜が舞い校門に立てかけられている「入学式」の文字。その前に立ち、校舎を見上げる一人の少年。

 

「……やっと来たんだ……」

 

 少年の名前は須木奈佐木和。この物語の主人公である。

 

「さ、行くか」

 

 

 

 

 高校選びの時に即決で箱庭学園を選んだ和。一方パンフレットを見てすぐに除外した咲。両者のベクトルは正反対に向いているようで実は同じ場所を指している。咲は「学園の平和の維持」、すなわち「平和な学園生活を送るため」。一方の和は「波乱に満ちた学園生活を送るため」、すなわち、持っている原作知識を優に活用して、「平和な学園生活の維持」に。それぞれ、水槽学園と箱庭学園に入学した。

 

「あ、あった」

 

 異常(アブノーマル)と診断されている和は、当然十三組に所属している。登校義務さえ免除された特別待遇にも程がある究極の特待生クラス――などと言えばまあ聞こえはいいが、実際は化け物中の化け物の隔離クラスである。

 

 そして、あくまで免除されているのは「登校」の義務だけ。「授業」は「登校」の一部に入るが、「生徒総会」は全校生徒が集まらなければいけない。そしてこの場合の「全員」とは通常登校義務のない十三組生も含まれる――と、生徒会則で言っていたように。

 

「『う』『わぁおっ』『猛烈ゥ――』」

 

 敢えて球磨川の真似をしてみた。が、それも仕方ないだろう。なんせ、箱庭学園新一年生、十三組生も含む全員が会堂に集められているのだから。

 

 そう、「生徒総会」の一つに数えられる「入学式」。この行事には十三組生も参加の義務が課せられる。通常(ノーマル)特別(スペシャル)異常(アブノーマル)が一堂に会するこの場のほとんど全員が、今すぐこの場から立ち去りたい、と考えている。特に十三組生は、登校義務が免除されていなくても学校という場所に進んできたがるような奴らではない。今この場に勢ぞろいしているのは奇跡だろう。

 

 

 しかし和の内心は。

 

「(うお、ヤベェ。屋久島先輩に鍋島先輩じゃん! あ、今は同級生か。あ、向こうにも!)」

 

 ……ミーハー丸出しだった。やはり二次元(マンガ)の世界に来た、という感動は、読者目線では味わえない高揚感がある。

 

 

 

 

 

 生徒会長や理事長のあいさつを終え、一年十三組の教室前にいた和。他の十三組生は、ほとんど全員帰ってしまった。

 

 

 しかし、十三組生の中にも比較的マトモな奴はいる。マトモ、すなわち「登校義務が免除されているにもかかわらず毎日登校する物好きな生徒」のことである。

 

 原作では黒神めだかや雲仙冥利があげられる。まあ彼らはそれぞれ生徒会長、及び風紀委員会委員長という箱庭学園内でも有数の重要職に就いていたのだから、学園に来去るを得なかったというのが正しいかもしれない。

 

 そしてもう一人。誰よりも派手で、誰よりも存在感があったがゆえに、誰もがその存在から目を逸らさずにはいられないほど、巨大で、強大で、大々的な――彼。

 

 

「――おっ?」

 

 教室の扉を開けると、そこには誰もいないはずの教室のど真ん中に位置する男。黒神くじら曰く、「センチじゃなくメートルで表現すべき生き物」。知られざる英雄(ミスターアンノウン)異常性持ち(スキルホルダー)である、日之影(ひのかげ) 空洞(くうどう)がそこにいた。

 

「――初めましてだな。俺は須木奈佐木和。よろしく」

「あ、ああ。日之影空洞だ。よろしくな」

 

 声を掛けて自己紹介すると驚いたような表情をした日之影。それは無理もないだろう。

 

 たとえ向こうが和を見つけた時に発した小さな声を和が拾ったとしても、それでもなお彼を目視することができず、彼を記憶することができない異常性(アブノーマル)、それが知られざる英雄(ミスターアンノウン)だ。気付かれるだなんて彼は考えたことがなかった。

 

「いやー誰かがいてくれて安心したよ。十三組生って、なんか気難しそうな人多いじゃん」

「そうだな。俺も誰かが来るなんて思わなかった」

 

 笑顔を浮かべて話し掛けると、向こうも笑って話に乗ってくれる。うん。これは確かにシャイじゃない。

 

 

 

「……にしても和。お前よく俺のこと見つけられたな」

 

 しばらく話してお互いに名前呼びする程度の中になると、空洞は自身の異常性(アブノーマル)の話題を持ち出してきた。

 

「え?……あ、もしかして空洞って幽霊だったとか? それとも見てはいけないモノだったりしたとか? だったらゴメン、前言撤回。俺は君のことを見てないことにしてねさよなら!」

「ちげーよ!」

 

 オーバーリアクションで一息で言い切った和を思いっきり心外そうに見る空洞。しかしそこに嫌悪はなく、むしろ仲のいい友達に向ける暖かな笑みを浮かべていた。

 

「……俺の異常性(アブノーマル)知られざる英雄(ミスターアンノウン)。誰も俺を目視することはできず、誰も俺を記憶することはできないはずだ」

「……え、ごめん。俺ちょっとよくわからないんだけど。もしかして空洞くん、自分の超空気体質に名前でも付けてるわけ? それなんて中二?」

「だからちげーよ!? お前も十三組生なら知ってんだろ!?」

「いやまあ知ってるけども」

 

 焦ったように反論してくる空洞にさも当たり前の返答をする和。もっとも、和の「知っている」は「(十三組生だから)知っている」もあるが、「(原作知識で)知っている」部分が多い。ほとんど全てのサブキャラが大好きだったマンガだ。転生して十余年、未だに知識は残っている。

 

「だったら空洞もわかるんじゃないか? 何で俺が空洞を見つけられたか」

「……まさか! お前も!?」

「そう! 君と同じく俺の異常性(アブノーマル)で見つけたんだ」

 

 和が転生トリップ特典としてもらった異常性と過負荷(スキル)言葉(スタイル)。もうすでに和は、自分のものとして使いこなせるようになっていた。

 

「俺の異常性(アブノーマル)――異常識的に考える人(コモンディヴィエイター)!」

 

 

 

 

 




 ついに明かされましたね、和君の異常性(プラススキル)。詳しい解説は後日。


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