オリ主が一人転生しただけの簡単な二次創作です   作:騎士貴紫綺子規

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 一か月あいてしまった……orz、すみません。最近「黒バス」熱がちょっと……。

 始めてみました、競泳部編。完璧捏造+解釈の螺子曲げ。下手な文章なので分かりづらいと思いますが、ご了承ください。


第十箱 「日之影空洞――生徒会長だ」

 競泳部。

 

 特別体育科の三人、喜界島もがなと種子島(たねがしま) (そつ)、そして屋久島(やくしま) 有無路(うむみち)の三人が所属する部活である。中でも彼ら三人は「三匹のトビウオ」とも呼ばれており、箱庭学園史上最も金に執着していた――

 

 

 ――と言ってもそれはあくまで彼らだけ(・・)であり。

 

 勘違いして欲しくないのは、彼ら以外にも競泳部員はおりしかもちゃんと部として活動している、ということである。

 

 

 

 

 

「競泳部から相談?」

「ああ。入部した一年が好き勝手やって困っているらしいな」

 

 そこまで聞いて和には、一人の生徒(キャラ)が浮かんだ。

 

 話を聞くと、今年新しく入部した一年生――屋久島有無路が、実力を持っているにもかかわらず「賞金が出ないから」という理由で大会に出場しないと言っているらしい。それだけならまだしも、他校から金を貰って他校の選手として出場したり、あろうことか独自に賭けレースまでしているとのことだ。それを聞いた和は「ああ、やっぱり」と思った。予想通り過ぎて笑えてくる。

 

「……っていうか部活動の面倒事まで生徒会って引き受けてんの?」

「あまりにひどい時はな。イジメとか」

「いやそれはイジメじゃなさそうだけど」

「まあいいじゃないか。少しでも学園生活をよくするのが俺たち生徒会だ。たまには生徒の不満も請け負わなくちゃな」

 

 ああ、その笑顔が眩しいです。別に目安箱は設置してないのにと思いつつも他の書類を整理し終えているので腰を上げる。ああそういえばプールでの苦情はもう一件あったっけ……と考えながら向かう足取りは重い。

 

 

 向かいながら和はふと屋久島の処遇を考えてみた。黒神めだかが入学し、さらに生徒会を執行するまでにはまだ時間がある。逆に考えると、それまでは「屋久島たちは救われるべきではない」のではないだろうか。

 

 原作で黒神めだかに掬われた――救われた喜界島もがなであるが、彼らの先輩である種子島率と屋久島有無路まで救ったかと聞かれると、和としては「救ってないんじゃね?」という感想が出てくる。

 

 黒神めだかに心動かされたのは事実と言えども、彼らの根本的な感情である「金が一番大事」というものは変わっていない。黒神めだかが変えたのは「命よりも金が大事」という思想である。

 

 喜界島もがなは肉体的な意味でも精神的な意味でも黒神めだかと人吉善吉に助けられた。しかし、屋久島たちはどうだろうか。

 

 彼らの金への執着心は並大抵ではない。それがたった一人の人物による叱咤だけで簡単に消えるはずがない――

 

 

「お、ここだな」

「まだ部活中だよね?」

「ああ、そのはずだが」

 

 鍵は開いているので中には人はいるだろう、そう思った二人は足を進めた。

 

 

 案の定そこには大勢の水着姿の少年少女がいた。しかしなぜか全員が全員プールに入っておらず、しかもどうやら怒鳴り声が聞こえてくる。

 

「何だと!?」

「だから言ってるじゃないですか。俺は泳ぎませんって。俺を泳がせたきゃ札束持ってきてくださいよ、一応同じ学校に通う先輩として、安くしてあげてるんですよ?」

「ふざけるな! 25メートル当たり1250円って何だ! お前はこの部に入ったんだろうが!」

「ええ、入りましたが。それが?」

 

 ……どうやらまさに現場に来てしまったようだ。構図的には、一人の少年を怒っている部員に他の部員が加勢している、というところだろうか。まあ屋久島先輩――今は同級生か。でもやっぱり先輩付けのほうがしっくりくる――は原作ではサラッと書かれていただけだがそれなりにすごい選手だったらしいし。そんな彼を手に入れた競泳部としては手放したくない、でもお金は払いたくない――というか払う理由がわからないのだろう――といったところだろう。……というか一メートル当たり50円って法外だな、怒る理由はわからんでもない。

 

「箱庭学園は部活動が盛んだと聞いていましたしそれでここに来たのも事実ですね。そして特待生枠で入ったのも事実ですし、特別体育科に所属しているのも事実です」

 

 仰々しく体を動かしながら理由を羅列していく屋久島に、部長と思しき青年は若干怯んでしまう。

 

「そして箱庭学園の特待生は特待を取った部活に所属しなければいけない、だから俺は競泳部に入りました。――しかし」

 

 ゆるりと笑って部長のほうを見やった屋久島は続けていった。

 

「活動の義務は――ありません」

 

 

「~~~~んだと!?」

「――そこまでだ」

 

 続けられた言葉に激昂した部長が殴りかかろうとした時、隣に立っていた空洞が速やかに移動し部長の拳を自身の手で受け止めた。殴りかかった部長も屋久島も、その他大勢の部員も。皆突然現れた巨漢の男に驚きを隠せないでいる。なぜ自分はこれほど存在感のある男の接近に気が付かなかったのか。バトル漫画ではないが、そんなセリフが頭を過った。

 

「な、誰だ!」

「日之影空洞――生徒会長だ」

 

 誰よりも圧倒的な手腕を誇る箱庭学園が誇る生徒会長、日之影空洞が君臨した。

 

 

 

 

「……生徒会長? なぜここにいるんだ?」

 

 固まってしまった部員と部長を他所に、一番回復の早かった屋久島有無路が尤もらしい疑問を口にする。その声に意識を取り戻した部長は握られている拳を戻そうとするが、強く握られてしまい離れなかった。

 

「な、何のつもりだ! 生徒会長は関係ないだろう!」

「俺としても部活の事情に口は突っ込みたくないんだが……悩みある生徒を助けるのも生徒会の仕事ではあるんだな、こりゃ」

 

 ――さすが「英雄」。言っていることがそのまま「主人公」である。この勇敢さを黒神めだかは引き継いでいくのだろうかと考えた和は口元を緩ませた。おもしろくなりそうじゃないか。

 

 ――巻き込まれてみるのも、案外悪くないかもしれない。和はゆっくりと、部員たちのほうに足を進めた。

 

 

 

 




 ――というわけで続きます、ハイ。まあでもなんだかんだ言っても黒神めだか(主人公)が嫌いな和くんですから黒神めだかには巻き込まれたくないでしょうね。「日之影空洞だからいい」みたいな考えがあると思います。



 この話を思いついたのは原作を読み返していて気づいたことがあったからです。

 二巻の不知火ちゃんのセリフは「何せ箱庭学園の競泳部には金にうるさい三匹のトビウオがいるからさ!」でした。そして思いついたこと。

「アレ? じゃあ三人以外にも部員がいるかもしれないよね?」



 ……と、思ったのですが。

 さらに読み返すと十二巻のおまけボックス、「競泳部出向」で大勢の競泳部モブキャラがいました! ……orz。ま、だったら問題ないよね!

 次はまたちょっとあきますかね。すみません。この作品は忘れたころに次話が更新されるんだぜ!

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