トリッパーな父ちゃんは   作:ラムーラ

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父ちゃんのお仕事2(息子とピカチュウ4)

――カントー地方――最北部――山林内――

 

 

 

時は少しさかのぼり、日曜日の深夜。

カントー地方から北、遠く離れた場所にあるロケット団の研究所から大量のコンテナが輸送用の大型貨物機へと積み込まれていた。

ときおり中から異音が聞こてきたり、ガタゴトと激しく揺れるコンテナもあるが団員達は気にせず積み込み作業を続けている。

 

「作業は順調ですか?」

 

青みがかった短髪に切れ長の目の男が、積み込み作業を監督していた年配の団員に声をかけた。

 

「ハッ、予定通り02:00には出発できるものと思われます」

 

声をかけたほうの男は周囲で作業している団員と異なり、白い団服に身を包んでいた。

キツネのような印象の面構え、口元に添えられた手がインテリのような印象を与えるこの男はロケット団の幹部、アポロである。

 

「そうですか。わかっているでしょうが既にレンジャーユニオンも動き出しており、スケジュールに余裕がありません。さっさとここを廃棄してしまいたいので何か後々困りそうなことなどがあれが今のうちに報告してください」

 

「撤収作業のほうには問題ありません。ただ……」

 

「なんです?」

 

「実は例の新人たちが勝手にトキワの森へと向かったようでして、未だに戻ってきていません」

 

間抜けどもと聞いたあたりでアポロの頬がかすかにひくついた。例の新人たちとは、計画を中断して研究所ごと移転しなければいけなくなった原因を作った団員たちのことだ。

ひとまず撤収作業を優先したために移転が完了するまで研究所内の一室で待機を命じられていたはずだったのだが、トキワの森へ行ってきますとだけ書いた書置きを残して居なくなってしまったらしい。

 

「……ほおっておきましょう」

 

「ですが、あのあたりには既に警察やレンジャーが」

 

「構いません。彼らが捕まろうがどうなろうが何の問題もありませんから。この場所が知られたところでもう廃棄しますし。研究に関しても計画の概要すら知らせていませんからね。元々、捕獲要員の埋め合わせで近場にいたのを臨時召集しただけなので。彼らにはピカチュウの捕獲を命じましたが、こういうときのために本当の目的がでんきだまの収集であることまでは教えていませんでしたから」

 

この研究所では極稀にピカチュウが生まれつき持っている、でんきだまという道具の研究を行っていた。でんきだまは接触しているピカチュウの能力を飛躍的に上昇させる効果がある。

野生のポケモンが極稀に所持している道具のなかにはこういった特定のポケモンを強化するものが存在しており、現在ロケット団ではその原理を解明して兵器や商品へと転用するプロジェクトが幹部の一人、アポロの指導ですすめられていた。

 

そしてその研究は数々のピカチュウを犠牲にして実を結びかけていた。

数日前に試作品を紛失するまでは。

 

「そうだったのですか? 新人の中でも期待のエースと聞いていましたが」

 

「サカキ様も目をかけていたそうですよ。今となっては信じられないことですけどね。まぁ、任務を失敗するだけならばともかく、計画そのものにまで支障を出すようでは話になりませんよ」

 

苦虫を噛み潰したかのような表情でアポロはそう吐き捨てた。

 

「試作品を移送中の団員と仲間割れしたうえに警察まで呼ばれて、挙句の果てには試作品を失くしてきましたからね」

 

身内同士のいざこざという予想外のトラブルにより、試作品を紛失。それだけならばともかく、物は国家権力の元へ渡ってしまった。

このまま研究を続けてロケットコンツェルンから商品化や軍事転用を行ったとしてもロケット団との繋がりを疑われる可能性が出来るのはあまりよろしくない。

そういった判断の元、この研究所はただちに閉鎖、廃棄することが決定した。

もっともプロジェクトそのものが白紙になったわけではない。ロケット団内部でのみの使用に限れば有用であるには違いないからだ。

とはいえ、大幅に縮小することが決定したのは間違いない。

リターンの薄くなったものに費用を投じ続けるのは無駄というサカキの指示だ。

ロケット団にはこの研究所ほどの進んではいないが似た研究を行っている研究所がいくつかあり、これまでの研究成果や機材はそちらに応用されることとなっている。

他の研究所ではカラカラ、ガラガラのほねこんぼうやパールルのしんかいのキバなどを研究しているのだが生息数および生息域と検体の確保難度の差によってこの研究所が一番進んでいた。

 

「ロケット団に集団行動も出来ないような無能は要りません。幹部の真似して白い団員制服を自作し、常時着用しているだけでも規則違反だというのに、それが原因で人目を集めて警察沙汰だなんて言語道断です。サカキ様は多少の失敗ならば笑って許してくださる寛大な方ですが、彼らはそれ以前の問題です」

 

一転して薄ら寒いものを感じさせる微笑。

アポロは自分のプロジェクトに水をさす原因となった新人達に腹の内が煮えくり返るかのような気持ちを抱いているのだ。

それを察した団員は自分のことではないにも関わらず、上司の意識をこの話題から逸らしたくなった。

 

「例の新人たちについては了解しました。ですが、もう一点ありまして」

 

「なんです?」

 

「実は新人たちは捕獲した実験体のピカチュウを一匹、勝手に持ち出したみたいでして……」

 

「本当に碌なことをしない人たちですね……」

 

「いかがいたしましょう?」

 

「ピカチュウが一匹減ったところで計画に影響はありません。実験中に薬を使ったりはしましたが、薬自体は検出されたところで我々に辿り着くようなものではありませんし。むしろ新人達のところへ人間を送る手間がもったいない。構わずに引き続き作業のほうを進めてください。時間はそう多くないですからね」

 

アポロは部下の団員にそう言うと研究所内へと戻っていった。

そして淡々と積み込み作業は続けられ、予定通りの時刻に貨物船は飛び立った。

 

その翌日、研究所は入念に爆破処理されたあと埋め立てられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――2ばんどうろ――トキワのもり――トキワシティ方面入り口より東――

 

 トキワの森。

 それはトワシティとニビシティをつなぐ2番道路の途中に存在する、カントーでは最も有名な森林である。

 この森は古くから地元の人々に愛されてきた。

 2番道路も当初は森を切り開いて作る予定だったのだが地元民から大きな反発を受け変更することになり、トキワの森にはトキワ側とニビ側に出入り口を設けて順路を作ったという逸話があるほどだ。

 多少入り組んではいるものの、多くの立て看板が各所に設置されており、生息しているポケモンに特別危険な種も居ない。順路の途中にある草むらも定期的に刈られているので子どもだけでもポケモンさえ持っていれば比較的安全に歩ける。

 あえてあげるならばスピアーなどの毒持ちポケモンの存在がやや厄介なくらいだ。とはいえ昼間は人通りもそれなりに多く、たとえ襲われたとしても自分のポケモンさえ持っていれば、出入り口の休憩所まで逃げ込むのも難しくないとされていた。

 また、夜になると出現するポケモンの種類が変わり危険度は増すが、そもそも夜間に10歳未満の子どもは出入りを禁止されているためさほど問題になってはいない。

 そのためか駆け出しトレーナーや地元の子ども達には格好の遊び場となっており、虫取りあみ片手に走り回る少年達の姿がよく見られる。

 

 

そんな歴史ある森の中で2人の若い男女と1匹のポケモンが言い争いをしていた。

男女はロケット団の制服を着ていたが、それを踏まえてなお奇妙な格好だった。白い団員に胸元にでかでかと赤字でRと描かれている時点で隠れ忍ぶ気がまったく無い。

 

「ちょっとニャース! ピカチュウなんて全然出てこないじゃないの! この森にいるってのは本当なんでしょうね!?」

 

地面まで届きそうなほど長い赤髪をすべて後ろに流し何をどうやってか浮かす、という不思議な髪型の女性が足元のニャースに怒鳴った。

 

「ニャニャッ!? 嘘じゃないにゃ! ちゃんとこの本にそう書いてあるにゃ!」

 

怒鳴られたニャースも不思議なもので、なんと人の言葉で言い返した。しかも二本足で立ち、掲げた前足には本まで掴んでいる。神秘のにくきゅう。

この世にも奇妙なニャースは『ロケット団員心得 著カッパー』と書かれた本をめくり、ほらここニャ、と女性に向けて差し出した。

それを女性はひったくるように受け取る。

 

「……あら、ほんとだわ。って、だったら出てこないのは余計におかしいじゃないのっ!」

 

「そんなこと言われたってニャァ……」

 

「なぁ、俺思ったんだけどさ」

 

ヒステリック気味に叫ぶ女性と困り顔のニャースの会話に、それまで思案顔で黙っていた青年が口を挟んだ。

 

「なによ?」

 

女性に比べると外見的にインパクトの薄い青髪の青年はおおげさに両手を広げて自分の考えを述べた。

 

「もしかして、この森にはもうピカチュウが居ないんじゃないか?」

 

「ニャ!? でもこの本には」

 

「いや、だからさ。その本って入団してすぐに貰うやつだろ。だったら他のやつらも当然目を通してるわけだし、真っ先にここを狙ったんじゃないかってことだよ」

 

「「あ」」

 

……彼らの会話に、間が空いた。まさしく間抜け、である。

 

「なんでもっと先に言わないのよ!」

「いや、そんなこと言われたって俺だって今気付いた、って痛っ痛い! やめろムサシっ! やめてくれっ」

 

バシバシと女性が男性を叩き、男性は頭を両手で抱えてそれから逃げまわる。

 

「ハァ……ニャー達はいったいなんのためにここまで来たんだか。ピカチュウが居ないのならおみゃーを連れてきた意味もなかったニャァ」

 

ニャースは己の隣を向いてぼやいた。

 

――ヂュヴヴヴー!――

 

ニャースの視線の先には小型の檻に入れられたピカチュウが唸り声を上げて彼らを睨んでいた。

頬袋からは電気が漏れ出ており、ギザギザの尻尾もピッと立てている。

 

そうだよなぁ、と追い掛け回されたすえに打ち据えられてしまった青年、コジロウがぼやいた。

 

「ピカチュウを連れているとでんきタイプのポケモンが出やすくなるっていうから連れてきたけど、そもそもピカチュウが一匹も居ないんじゃなぁ」

 

――ピッ、カッ、ヂュゥゥゥゥ!――

 

息を大きく吸い込み、身体を反らした身体を一気に丸め込むようにしてピカチュウが力む。

すると、許容量を超えて今にも爆発寸前の機械に似た異音を発していた過電流が、爆発するかのように電気袋から放出された。

が、流れ出た電気そのものは絶縁性の特製ケージに阻まれ、ロケット団を襲うことはなかった。

ピカチュウは電撃を放出しきるとぐったりとケージの底に倒れふした。

連れ出してから幾度となく繰り返された無意味な抵抗をもはや気にすることもなくロケット団は会話を続けている。

 

「んじゃあ、どうすんのよ。失敗を取り戻すためとはいえ勝手に抜け出した上にこいつまで無断で連れてきてんのよ? いまさら手ぶらで戻れっていうの?」

 

「うーん。こりゃ本格的にまずくなってきたニャァ」

 

「まずくなってきたニャァ、じゃないわよ!」

 

顔を青くさせたニャースのぼやきにムサシが声を荒げる。

 

「ただでさえヤマトたちが一方的に責任を押し付けたせいで悪いのは全部あたし達みたいになってるのに、これ以上失敗したらボスに見捨てられるかもしれないわよ!?」

 

ヤマトとは試作品の実地実験の任務にあたっていた同じロケット団員の一人だ。ムサシとは折り合いが悪く、顔を合わせるたびにいがみ合っている。

そして、ヤマトとその相棒はムサシたちと任務がかち合うと必ず失敗するという珍妙なジンクスを持っている。

実際、ジンクスのせいかどうかはともかく、今回も偶然トキワ付近でポケモンの捕獲をしようとしていたムサシたちと遭遇し、罵り合いの末、深夜にも関わらずポケモンバトルに発展。

騒ぎを聞きつけた現地住民に警察を呼ばれ、慌てて退散する際に試作品を紛失するというミラクルな失敗をしていた。

 

「ぐっ」

 

「そ、それだけは勘弁ニャ!」

 

彼らは今回の件に関わるまでは新人のロケット団の中では活躍をしているほうであった。ボスのサカキは有能なものにはそれに見合った待遇を設ける男だ。

ムサシとコジロウは特別報酬としてそれぞれアーボとドガースを貰ったことがある。その際、ニャースは自身がポケモンのためポケモンを貰うことはなかったが、サカキの特別の計らいで食べ物を支給された。

 

彼ら三人組(?)はロケット団に入るまでそれぞれに苦労をしている。挫折も多く経験し、夢を諦めたこともある。努力して結果を出しても報われないことが多かった。

そのことは彼らのコンプレックスとなり、世の中への不満となった。自ら悪の組織に入団しようとするほどにだ。

だがロケット団に入ってから、彼らの人生はがらりと変わった。

結果を出すたびにロケット団という巨大な組織のボスがわざわざ自分たちの努力と結果を認めてくれるのだ。そのことに彼らは感動した。

社会のつまはじき者だった自分たちだが、居場所を見つけられた気がした。

そして、いつしかボスのサカキに無類の忠誠を誓うほど心酔するようになった。

 

だからこそ、ボスに無能と断じられ見向きもされなくなることが彼らは怖い。

 

「なんとしてでもピカチュウをたくさん捕まえて戻るのよ!」

 

「でも、ここにはもうピカチュウは居ないんだぞ。どうすんだよ」

「近いところでどこか他にピカチュウが住んでるところなんてあったかニャァ……」

 

腕を組んで悩むコジロウと本のページをめくるニャース。

そこでハッと何かに気付いたムサシが腰に手を当て胸を張る。

 

「……あんた達、なーに言ってるのよ。あたし達はロケット団でしょ。悪よ、悪。地道に野生のポケモンを探すなんてまどろっこしいことしないで他人のポケモンを奪えばいいじゃないの」

「あ、そっか、ナイスアイディア」

「おー、にゃーるほど! ムサシ冴えてるニャァ」

 

二人の賞賛に得意げな表情でポージングするムサシ。

 

「ふふふー、そうでしょそうでしょー!」

 

「あ、でもさ。それだとピカチュウを持ってるトレーナーを探すところから始めないといけなくないか?」

「それに一人で何匹もピカチュウを持ってる奴なんてそう都合よく居るわけニャいから、たくさん捕まえるには何人も襲わないといけないニャ。この案もやっぱりダメかも知れないニャァ……」

 

「だーいじょうぶよ、それならあたしに心当たりがあるから」

 

「なんだよ心当たりって?」

 

ふふふふ、と顔をニヤつかせてムサシは答えた。

 

「ポケモンセンターよ。あそこなら万が一停電したときのために自家発電用のピカチュウが何匹もいるはずよ」

 

「凄いなムサシ! そのピカチュウたちを手に入れれば万事解決じゃないか」

 

「うーむ、これはどうしたことニャ、今日のムサシはなんだか輝いて見えるニャ」

 

「もう、やーねぇ、あたしはいつでも輝いてるわよぉ」

 

「よーし、そうとなれば善は、じゃなかった、悪は急げだ!」

 

「さっそくポケモンセンターを襲撃するニャ」

 

「たしかここから一番近いのは……」

 

どことなくコミカルな連中だが、腐ってもロケット団。考えることは結構な悪事であった。

 

さぁ、具体的な作戦を立てようとロケット団(三人組?)が悪事の相談を始めたところ。

 

 

――ヴォウッ、ヴォウッ!――

 

 

「な、何だ!?」

 

突如、森の木々の間から彼らに向けて吠え声が飛んできた。

 

さらに少し遅れて、ピピーー!!と、甲高いホイッスルの音も鳴り響く。

 

「っあなたたち、その格好はロケット団ね!? 逮捕します!」

 

そうして茂みを越えて姿を現したのは赤と黒の縞々に白いたてがみを備えた子犬のようなポケモン、ガーディと青い制服を着た婦警、ジュンサーだ。

さらにその後ろから右肩にプラスルを乗っけた少女もついてきている。

明るい色合いの活動的な服装と動きの邪魔にならないように長い髪をまとめてくくったその少女はポケモンレンジャーであった。

ポケモンレンジャーはポケモントレーナーとは異なりボールで捕獲するのではなく、腕に装着したキャプチャー・スタイラーなどの機械を用いて、野生のポケモンの力を一時的に借りることで災害救助などを行う職業だ。

そのため自然環境の維持も彼らの仕事の一つであり、今回トキワの森のピカチュウが激減した原因の調査にこの少女が派遣された。

彼女は相棒のプラスルと共にトキワシティのジュンサーのパトロールに同行し、ミッション解決の手がかりを探していたところであった。

 

「っそのピカチュウっ!? やっぱりロケット団とこの森のピカチュウの数が減っているのには関係があったのね!」

 

悪事を働く前にいきなり見つかる不運。不意をうつことならば得意だが逆にうたれるととても弱いロケット団(三人組?のみ)であった。

 

「げげっ、ど、どうする」

「あー、もう。と、とにかく逃げるわよ!」

「わかったニャ」

 

すたこらさっさ、とばかりに背を向け走り出すロケット団(三人組?) うっかりピカチュウの檻を置いたままだ。

 

「キャタピー、いとをはく!」

 

レンジャーの少女はトキワの森に入ってすぐキャプチャしておいたキャタピーに支持を出す。

キャタピーの口から勢い良く飛び出した白い粘着質の糸は瞬く間にロケット団へとまとわり付いて、三人まとめてその動きを封じた。

 

「くっそー!」

「きー、放しなさいよー!」

「ニャーたちはまだ何もやってないニャー!」

 

「ピカチュウをこんな檻に閉じ込めておいて、よく言うわね」

 

レンジャーの少女が檻に閉じ込められたピカチュウの元へと歩み寄っていく。

するとピカチュウは少女に対しても電撃を発して警戒心をあらわにした。それはとても弱弱しいものだったが、明らかな拒絶であった。

電撃に退くことなく、少女の手が檻に指し伸ばされるとピカチュウは狭い折の中を後ずさり怯える。

その姿に居た堪れなくなった少女は、大丈夫よ、と優しく声をかけ檻の鍵を開けた。

そして檻の戸が開いた瞬間、ピカチュウは目にも留まらぬ速さで飛び出し、森の中へと逃げていった。

 

「あ、あなたたち、あのピカチュウにいったい何をしたの……?」

 

少女の震える声。そこには怒りが混じっていた。

 

「し、知らないわよ!」

 

「詳しいことは署で聞かせてもらいます、おとなしく捕まりなさい」

 

手錠を手に持ち、厳しい顔で、必死にもがくロケット団のもとへ近づいていくジュンサー。

 

 

「「「な、なんだかとってもやな感じぃい!!」」」

 

 

こうして間抜けなロケット団は捕まり、事はロケット団幹部アポロの予想通りになっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キングドラ、えんまく! ドククラゲ、ちょうおんぱ! マンタイン、あやしいひかり!」

 

――ことはなかった。

 

スタンっと突如、空から降ってきたスーツ姿の男。先に出現させた三匹のポケモンへ立て続けに指示を飛ばし、状況を一変させた。

 

キングドラの口元から大量の噴煙が巻き起こり、瞬く間に周囲を満たして視界を奪った。

さらにブオォッと身体を震わせたドククラゲ周囲から衝撃波のような超音波が発せられ、聴覚と三半規管を乱していく。

そこへ、マンタイン音発した怪光線が煙幕の中を乱反射。

 

「な、なにっ!?」

「きゃ、きゃぁあ」

「うおわぁぁあ」

「ニャンだコレ、目が回るニャぁ!?」

 

――グ、グルゥ――

 

人もポケモンも見境なくすべての対象が混乱したのを確認すると男は次の行動に移った。

 

「よし戻れ! 来い、フーディン!」

 

ポケモンたちをボールに戻し新たに呼び出したフーディンを連れて三人組の元へ駆け寄る。

 

「な、なんだお前!?」

 

ムサシの長い髪が視界を埋めていたおかげでかろうじて意識を保っていられたコジロウが叫んだ。

 

「なんだかんだと聞かれても、普通は答えてやりゃしないぞ? が、あえて言うならば我々はどこにでもいる、ってところか」

「そ、それってつまり!」

 

そう言うと男はフーディンに命じた。

 

 

 

 

「テレポート!」

 

 

 




にじふぁんでの掲載はここまでです。
これ以降は実はまだ出来ていません。以前に多少書いた分はあるもののプロットの変更により破棄。次話は完成の目処が立っていないのです……。
長らくお待たせしたうえに新規分もなく、大変心苦しいのですが何卒ご容赦ください。

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