ハリー・ポッターと魔法の本   作:Syuka

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第58話 「3年目のおわり」

 月明かりの中を飛んでいくヒッポグリフを、アルテシアは地上から見つめていた。なぜ、自分は置いてきぼりとなったのか。思い当たることがないではなかったが、アルテシアとしては、納得がいかなかった。

 たしかに、自分は寝ていた。だがそれは、ハーマイオニーには了解をとっていたはずなのだ。時間になるまで休ませてもらう、と。

 

(とにかく、追いかけるべきだよね)

 

 あとは自分たちだけで大丈夫だ、ということなのだろうか。だが、うまくいくはずがない。なぜならハリーたちの姿は、アルテシアによって誰にも見えないようにされているからだ。当然、シリウスにも見えないのだから、その状態で助けることは難しい。もちろんアルテシアは、その状態を解消するつもりではいる。だがどうせなら、タイミングを見計らってのほうがいいに決まっている。

 

(たしか、どこかの窓から助け出すようなこと言ってたわよね)

 

 詳しい話を聞かないようにしていたのではっきりとはしないが、ヒッポグリフに乗ってその窓まで飛んでいき、助け出すようなことを言ってたはず。だとすれば、高い場所ということになる。飛んでいった方向を考えると、西塔あたりだろうか。

 アルテシアはそう考え、西塔に向けて走り出した。転移の魔法で飛んだほうが早いのだが、魔法を使うのは避けるべきだと思ったのだ。少し寝たので、頭痛はいくらかましになっているが、最後には自分のいた場所、試験中のトランクの中へと戻らねばならないのだから、慎重になるべきだろう。

 めったに走ったりしないので、すぐに息が苦しくなってくる。だが、一気に走れないような距離ではない。歩くよりはましといったスピードになりつつも、ようやく西塔へとたどり着いてみれば、予想通りにその上の方でヒッポグリフが飛んでいた。背中にハリーとハーマイオニーがいる。手を伸ばしてそばにある窓を叩こうとでもしているようだが、ヒッポグリフにしても、その場に浮かんでいるためには羽ばたく必要があるし、塔からギリギリのところを飛べるわけでもない。そのため羽ばたくたびにハリーたちの位置が上下するし、手をいっぱいに伸ばしても、窓に届きそうで届かないのだ。

 

(あの部屋は、たしかフリットウィック先生のところだ)

 

 あの部屋に、シリウス・ブラックがいるのだ。アルテシアは、その人に会ってみたかった。はたしてシリウスが、ガラティアのことをどれだけ知っているのかはわからない。わからないが、話を聞いてみたかった。アルテシアは、母親以外でクリミアーナ家の人に会ったことはないのだ。たとえ話だけでも、その人のことが知りたかった。

 

(でもわたしが行って、大丈夫かな。話ができるかしら)

 

 シリウス・ブラックは、たくさんの人を殺した凶悪犯。事実は違うのだが、これがこの時点での、アルテシアのシリウスに対する認識だ。それにハリーたちが必死で助けようとしている理由を、アルテシアはまだ聞いていなかった。

 シリウスがいるだけの部屋に入って行くのは、さすがに怖い気がする。だが、怖いなどといってられない。シリウスがハリーたちに気づいたなら、もう会うチャンスはなくなるのだ。

 アルテシアがその部屋へ転移しようとしたとき、ふとダンブルドアの顔が目に入った。廊下の向こうから歩いてくるダンブルドアの姿が、1階の窓を通してみえたのだ。その瞬間、アルテシアは隠れた。窓枠より下へと身体を低くし、壁にぴったりとついたのだ。魔法で姿を見えなくしてあるので隠れる必要などないはずだが、思わずそうしていた。

 

(そういえば、医務室がすぐ近く。きっと、ハーマイオニーたちに過去へ行くように言いにいくんだわ)

 

 だとすれば、もうほとんど時間はないことになる。アルテシアは、フリットウィックの部屋の様子を思い出していた。何度か、尋ねたことがあるのだ。

 とりあえず、何もない空間とフリットウィックの部屋の真ん中あたりを入れ替えてみる。大丈夫だ。運ばれてきたのは空気だけ。ということは、その場所に転移しても問題はない。次の瞬間、アルテシアはフリットウィックの部屋にいた。窓際にある椅子に座っている男が、シリウス・ブラックなのだろう。

 アルテシアは、この部屋のなかだけ時間の進行を30分の1の速さにした。つまりこの部屋での30分は、外にいるハリーたちにとっての1分ということになる。そうしておいて、シリウスへと近づいていく。まだ姿を消したままなので、シリウスは気づいていないはずだ。だが、足音などの気配を感じたらしく、その目がアルテシアのほうへと向けられる。

 そこでアルテシアは、姿を見せた。だがその瞬間にめまいを感じ、足がもつれる。思わず倒れそうになったアルテシアを、シリウスがすばやく支えた。

 

「キミ、大丈夫かい? いつのまにここへ? どうやって来たんだい?」

 

 矢継ぎ早の質問は、どれも当然のものだった。アルテシアは、シリウスのおかげで倒れることはなかったが、そのまま床に座り込んだ。立て続けに魔法を使ったためなのだろう。

 

「すみません、ちょっとめまいがしたものですから。でも、大丈夫です」

「そうか。ならよかったけど、この部屋にはいないほうがいいよ。もうすぐ吸魂鬼が来るはずだ」

「それなら大丈夫です。窓の外を見てください」

 

 言われて目をむけたシリウスは、そこにハリーとハーマイオニーの姿を認めた。もちろんシリウスにも、ハリーたちが見えるようにしてある。時間の経過が30分の1の速さとなっているため、室内からの景色は止まっているようにも見えたが、シリウスは思わず腰を浮かせ、おどろいたように口を開けていた。

 

「ハリー・ポッターやハーマイオニー・グレンジャーのことはご存じなんですよね。2人は、ヒッポグリフに乗ってあなたが逃げられるようにと、ああやって飛んできたんです」

「なんと。こんなオレなんかのために。まったくムチャをするものだ」

「シリウスさん。お願いなんですけど、行ってしまう前に少しだけわたしと話をしてくださいませんか」

「なんだって。話を?」

 

 うなずいてみせる、アルテシア。床に座り込んだままではあまりに失礼なのだが、さすがにもう立てそうにはなかった。頭痛がひどくなっている。

 

「おいおい、大丈夫なのか? 顔色が悪すぎだぞ。まさにオレみたいだ。ちゃんと食べてないんだろう?」

「シリウスさんはクリミアーナをご存じですか。以前に、クリミアーナから嫁入りした……」

「あぁ、そうだ。思い出したぞ。キミには、見覚えがある。だが、キミがそうであるはずがないな。そうか、キミはマーニャさんの娘さんだろう。そうに違いない」

「あの、シリウスさん。母を、母をご存じなんですか」

 

 まさか、ここで母の名が出てくるとは予想外だった。もちろんアルテシアは、ガラティアの名が出てくるとばかり思っていたのである。

 

「ああ、知ってるよ。リリーに紹介してもらったことがある。ポッター家で、何度か会ったこともね。キミは、さすがにリリーは知らないだろうけど、ハリーの母親だよ」

「ハリーのお母さん? でも、母がポッター家に行ってたなんて、初めて聞きました」

「そうなのか。オレも、キミのお母さんがいつのまにポッター家に来て、いつのまに帰るのか、とうとうそれは分からなかったな。リリーと2人で、いつも話をしていたよ」

 

 それはたぶん、転移魔法で直接家に出入りしていたからだろう。マーニャは、身体が弱かった。アルテシアが覚えている限り、自分の部屋と食堂とをなんとか行き来できる程度で、外出などとてもムリだったはずなのだ。だが魔法は使えるのだから、ポッター家でちゃんと対処し受け入れてくれたなら、行くことは可能だったのかもしれない。

 

「しかし、キミはマーニャさんにそっくりだ。ほんとによく似ている。おかげで思い出してきたよ。いつも笑っていたな。いい笑顔だった」

「あの、シリウスさん。もっと話したいんですけど、時間がありません。またいつか、話をきかせてもらえませんか」

「そうだな。オレが無事に逃げ出せたなら、どこか安心できるところにでも落ち着いたなら、連絡しよう。オレのほうにも、話したいことがいろいろとある」

「ありがとうございます。楽しみにしてます」

「ああ。だけどキミ、本当に大丈夫なのかい? 顔色が悪すぎだぞ。ベッドに横になるべきだ」

 

 もう限界だった。頭が痛くて、いくつもあったはずなのに、話したいことが思い浮かばない。まだまだ話をしたいことは間違いなかったが、これ以上はムリだと判断したアルテシアは、窓にかけられた封印を魔法で解除した。この先は、ハリーたちに託すしかない。

 

「シリウスさん。そこの窓は開けられるようにしました。窓からヒッポグリフに乗って逃げてください」

「なんと、窓の封印を解いたって? この窓はスネイプが魔法で封じたのに、それを解いたというのか」

「あの、わたしのことは、今日のことは内緒にしてくれませんか。魔法を使ったことを知られたら、先生に怒られるんです」

「は? なにを言ってる。封印のことはともかく、キミは魔法学校の生徒だろう。なのに魔法を使うと怒られるだと」

 

 それには返事をせず、アルテシアは姿を消した。だがシリウスやハリーたちに見えなくしただけで、まだその部屋にとどまっていた。もう限界だ。ちゃんと戻れるのかどうかギリギリのところだったが、それでもシリウスが救助されるところを確認しないわけにはいかないのだ。

 目の前でシリウスが窓をあけ、ハリーの手を借りてヒッポグリフの背中へとまたがる。もう誰も乗れないようにも思えたが、なんとか3人が乗るとヒッポグリフはその翼を大きく羽ばたかせ、さらに上空へと舞い上がっていく。

 

 

  ※

 

 

 西塔のてっぺん、その頂上へとハリーたちを乗せたヒッポグリフが舞い降りる。さすがに3人が乗るには無理があったようで、8階部分からその頂上まで来るのがやっとだった。すぐにハリーとハーマイオニーが、ヒッポグリフから飛び降りる。

 

「シリウス、このまま行って。いろいろ話したいことはあるけど、時間がないんだ。早く」

「もうすぐ吸魂鬼がくるわ。あなたがいないことがわかったら騒ぎになってしまう」

 

 ハリーとハーマイオニーが立て続けにそう言ったが、シリウスはずいぶんと落ち着いているようだ。塔のてっぺんから、ぐるりと周りをみまわしていく。

 

「シリウス、急いだ方がいいんけど」

「わかってる。キミたちは、すぐに戻りなさい。大丈夫、ちゃんとこいつに乗って逃げるから」

「けど、シリウス」

「あの子、ロンはどうした? ケガをさせてしまったが」

「ロンなら、医務室です。もう手当は済んでいます。それより早く、行ってください」

 

 あわてる2人とは対照的に、シリウスは、おだやかな笑みをみせた。

 

「大丈夫だよ、とにかくキミたちにお礼を言わせてくれ。こうして命を持って帰れるとは、正直思っていなかった」

「お礼なんていいから、もう行って!」

 

 ハリーとハーマイオニーが同時に叫んだ。苦笑いを浮かべたシリウスが、ヒッポグリフの向きを変える。

 

「わかった。また会おう、ハリー。キミは、まさにお父さんの子だよ。ハリー……」

 

 もう飛び立つのかと思いきや、シリウスは、まだ何か言いたそうにハリーを見ていた。ハリーも、シリウスをじっとみる。

 

「もう行くよ、ハリー。そうだな、キミのお母さんにも親友がいたことは知ってるかい。マーニャという女性だよ。おぼえておくといい」

 

 シリウスが、ヒッポグリフのわき腹をかかとで軽くつつく。巨大な両翼が振り上げられ、ふたたび大空に舞い上がる。その姿がだんだん小さくなっていくのを、ハリーたちはじっと見送った。そして。

 

「さあ、いそがないと。誰にも見つからずに病室まで戻るのに、10分しかないわ。ダンブルドアがドアの前にいるうちに戻らないと」

「わかってるよ」

 

 西塔のてっぺんからは、石造りのらせん階段で降りることができる。その階段を大急ぎで降りながら、ハリーは考える。母さんにも親友がいたと、シリウスは言った。父さんの親友がシリウスなら、母さんの親友はマーニャ。その人はいま、どこにいるんだろう。

 ちょうど階段を下りきったところで人の声がした。聞き覚えのある声に、ハリーたちは壁にぴったりと身を寄せて隠れながら、耳をすませた。声の主は、ファッジとスネイプ。病室でハリーたちと話したあと、廊下へと出てきたところなのだろう。

 

「これでようやく、ブラックの事件にも片がついた。とにかく魔法省は、ふりまわされっぱなしでね。ようやく落ち着くことができるというわけだ」

「それはなによりですな。しかし、吸魂鬼を校内に入れるのはまずいかもしれませんな。怖がる生徒もいますからな」

「そうかもしれんが、もう呼びに行ってるよ。われわれは、シリウス・ブラックを引き渡すだけだ。キスをするかしないかは、やつらが決めるだろう。とにかく今夜のうちにすべてが終わる。明日には学校の外にいる吸魂鬼たちも引き上げているだろう」

 

 階段下の廊下を、そんな話をしながら2人が歩いていく。その足音が聞こえなくなるまで待つ必要がある。ハリーとハーマイオニーは、あせる気持ちを抑えながら、待った。そして、ファッジたちとは反対の方向へと走り出す。

 

「あと3分しかないわ、ハリー」

「大丈夫だ、間に合うよ。でももし、遅れたらどうなるんだい」

「そんなこと、考えたくもないわ」

 

 ハーマイオニーの目は、何度も時計に向けられている。と同時に、医務室も近づいてくる。

 

「あと1分よ」

 

 そのとき2人は、ようやく医務室へと続く廊下にたどりついていた。速度を落とし、ゆっくりと近づいていく。病室へのドアが開かれ、ダンブルドアの声が聞こえてくる。

 

「……そういうわけにもいくまい。ともあれ、いまは夜中の12時5分前じゃ。ミス・グレンジャー、3回引っくり返せばよいじゃろう。幸運を祈る」

 

 ダンブルドアが後ろ向きに部屋を出てきて、ドアを閉め、杖を取り出す。そこへ、ハリーとハーマイオニーは飛び出していった。さすがにダンブルドアも驚いたような顔をしたが、それも一瞬。すぐに笑顔となった。

 

「ふむ。どうやらうまくいったようじゃな。では、中にお入り。わしが鍵をかけよう」

 

 そして、ハリーとハーマイオニーは病室に戻る。病室には、手当を受けたロンがベッドで寝ているだけ。過去へと旅立つ前となんら、変わったところはない。

 マダム・ポンフリーが姿を見せ、ハリーたちのところへとやってくる。

 

「校長先生はお戻りになったようですね。これでようやく、診察ができます。とりあえず、これをお食べなさい」

 

 渡されたのは、チョコレートだ。吸魂鬼に襲われているので当然の処置だろう。マダム・ポンフリーは、2人を見下ろすようにして立ち、食べるのを確かめていた。

 

「ですが、見たところ元気そうですね。どこか、痛いところとかありますか?」

「いいえ、どこもなんともありません」

「でしょうね、元気そうに見えます。けど、今夜はこのままここで寝てもらいますよ。明日の朝、もう一度診察しましょう」

「あの、アルテシアはどうしてますか? ここにいるんですよね」

「アルテシア、ですか」

 

 マダム・ポンフリーは、なぜかそこで、大きくため息。

 

「さあて、どういうことなんでしょうかね。わたしには、わかりませんよ。まぁあの子にも、いろいろあるんでしょうけど」

「あの、なにかあったんですか」

「いいえ、別に。でも、あの子が試験中に倒れたことは知ってるでしょう。それからずっと眠ったままですよ。なにかムチャなことでもしたんでしょうけど、いつのまに、といったところです。マクゴナガル先生は、500点減点する、なんておっしゃってましたね」

「500点!?」

 

 まさか、そんな! きっと冗談なのだろうけど、そのことについては、ハリーたちはいくらかうしろめたいような気分を味わっていた。なにしろ、アルテシアを森の中にほったらかしにしてきている。きっと目が覚めて、ちゃんと戻ったに決まっているけれど、まだ寝たままなのだとしたら。

 

「あの、もう寮に戻ってはいけませんか。ぼくたち、なんともないんですけど」

「ダメです。明日の朝、もう一度診察してからです」

 

 きっぱりとマダム・ポンフリーが言い切ったところで、廊下のほうから、なにやら大きな声が聞こえてきた。それはもちろん、ハリーたちには予想済み。いつくるかと待っていたようなものだ。シリウスが逃げ出したことが発覚したのに違いない。

 

「まったく……こんな夜中になんのつもりでしょう? 全員を起こすつもりなんですかね」

 

 ハリーは、何を言っているのか聞き取ろうとした。だがそんなことをする必要はなかった。病室のドアが、勢いよく開けられ、ファッジとスネイプ、それにダンブルドアが病室に入ってくる。

 

「なんですか、いったい。いい大人が、騒ぎすぎですよ。ここをどこだと思っているんです」

「ああ、すまない。だがこれも、大事な仕事なのだ。ちょっと確かめさせてもらうよ」

 

 ファッジは、かなり頭にきているように見えた。だがそれは、ハリーたちに対してではないようだ。

 

「いいかね、ハリー。この塔の上の階に閉じ込めておいたシリウス・ブラックが逃げ出したのだよ。そのことについて、キミが何か知っているのではないか、そう指摘する声があるが、どうかな」

「知っていることがあれば、すべて話すのだ、ポッター」

 

 スネイプも、じっとハリーをにらみつける。ダンブルドアだけが涼しげな顔で、不謹慎ではあるが、この場の雰囲気を楽しんでいるように見えた。

 

「ぼくたち、なにも知りません。ここでチョコレートを食べていました」

 

 たしかに、その手にはマダム・ポンフリーから渡されたチョコレートがあった。

 

「ほほう。だが、ポッター。吾輩には、おまえがなにか隠しているであろうことくらい、わかるのだ。よろしい、2つほど質問させてもらうが、正直に答えろ」

「おいおい、スネイプ。何を言い出すんだ」

「そうじゃとも、セブルス。この2人は、わしがついさきほどこの部屋に来たときからずっと、ここにいるのじゃよ。ドアにもカギがかかっていたじゃろう。このわしが、カギをかけたのじゃからな」

「たしかに、ドアにはカギがかかっていました。ですが、校長。カギのことを言うなら、シリウス・ブラックが逃げ出したあの部屋の窓にも、カギがかけられていましたぞ。あの魔法による封印を、杖を持たぬシリウス・ブラックがどうやって開けたというのか。なにか、納得のいく説明がありますかな」

 

 これには、ハリーも驚いたようだ。思わず、ハーマイオニーと顔を見合わせる。あのとき窓は、シリウスが開けたのだ。いま思えば、シリウスを閉じ込めた部屋の窓が、なんの支障もなく開いたのは、おかしな話だ。

 

「さあて、それはわからんが、医務室にいたハリーたちにはどうすることもできなかったと思うがの」

「そうだぞ、セブルス。とにかく逃げてしまったものは仕方がない。またもや『日刊予言者新聞』が魔法省を批判するだろうが、甘んじて受けるしかなかろう。だが、ダンブルドア」

 

 ファッジは、さすがに魔法大臣らしく、今夜のことに結末をつけようとしているらしい。ダンブルドアが、ファッジに目をむけたところで、スネイプが大きく深呼吸をした。

 

「今夜、さまざまな意見を聞いた。あのマグルを巻き込んだ大事件の真相が、実は違っていたということについて、キミの考えを聞いておこうか」

「そうじゃの。十分にありえる話ではあるまいか。いま思えば、あのときはいくつか思い違いもあったようじゃ。つじつまとしては、あり得ることかもしれんのう」

「わたしは、あの事件の直後に現場を訪れてるんだよ。調査のためだが、いまでも夢に見るくらいだよ。だがたしかに、マグルの遺体は全員ちゃんとあるのに、ピーターだけなかったのは不自然といえば不自然だ。あれが、そういうことだったとするなら」

 

 言いながら、スネイプを見る。当然、スネイプは反論するだろうと思ってのことだが、スネイプは何も言わない。ただ、深呼吸をくり返している。落ち着こうとでもしているのだろう。

 

「どちらにしろ、調べ直してみる意味はありそうだな。さてと、わたしはもう行くよ。今夜のことを省の方に知らせないと……」

「それで、吸魂鬼は学校から引きあげることになるのかね?」

「ああ、そうだな。そうせねばなるまい」

 

 そこでファッジは、自分の頭を指でかきながら、ハリーたちに目をむけた。

 

「なにしろ、罪もない子どもに『キス』をしようとしたのだ。学校のそばにはおけない。さっそくアズカバンへと戻す手続きを取ろう。おそらくブラックも、学校の近くにはいないだろうからな」

 

 そう言い残し、ファッジが出て行く。ダンブルドアが、スネイプへと目を向ける。

 

「セブルス、わしらも失礼しよう。子どもたちには睡眠が必要だからな」

「校長、1つだけポッターに質問することをお許し願いたい。それさえ聞けば、わたしもおとなしく戻りましょうぞ」

「ふむ。じゃが、何が聞きたいというのじゃね」

 

 それを、許可だと判断したスネイプは、さっそくハリーに目をむけた。

 

「ではポッター。それにグレンジャー。おまえたちは、アルテシア・クリミアーナになにか頼み事をしたのではないか。どうだ?」

「セブルス、何を言っておるのかね。アルテシア嬢はいま、医務室で眠っておるのじゃよ」

「そうですよ、スネイプ先生。いったいどんなムチャをしてああいうことになったのかはわかりませんが、ずっとベッドに寝たままなんですよ」

 

 だがスネイプは、じっとハリーを、ハーマイオニーを見ている。ハリーたちは、返事ができなかった。やがてスネイプはくるりと背を向け、ローブをひるがえすようにして、病室から出ていった。ダンブルドアもそのあとに続き、マダム・ポンフリーも事務室へと戻っていった。

 

 

  ※

 

 

 ハリー、ロン、ハーマイオニーの3人が病室を出ることを許されたのは、昼近くのことだった。この日はホグズミード行きが許されていたこともあって、校内はがらんとしていた。

 もちろんハリーたちは、すぐさま森へと行ってみた。だが、そこにアルテシアはいなかった。医務室のベッドに寝ているのも間違いないのだから、やはり夜のうちに目が覚め自分で戻ったのだろうと、そう思うしかなかった。他の可能性など、まったく思いつかない。

 

「なあ、夜のこと、話してくれよ。ボク、途中から気を失っててほとんどなにも知らないんだよ」

「もちろん、話すよ。でもアルテシアには、ホントに悪いことをした。ぼく、そう思ってるんだよ、ハーマイオニー」

「ええ、そうね。でもアルテシアの協力がなかったら、あたしたち、あんなこととてもできなかったと思うわ。聞いたでしょ、スネイプが言ったこと」

 

 3人は、森から出て湖のほうへと歩き、ベンチに腰かけた。ここからあばれ柳が見えるのを、ちょっとした皮肉のように感じる必要はないのかもしれない。

 

「あの窓には、魔法の封印がかけられてた。当然、あたしたちには開けられなかったわ。あれを開けてくれたのはアルテシアよ。そうに決まってる」

「けど、キミだってアロホモラ(Alohomora:開け)が使えるじゃないか。あれで開けられたんじゃないか」

「いいえ、ロン。スネイプは、魔法の封印だって言ってたわ。アロホモラで開いたとは、とても思えない。考えてみたら、逃げられないようにと、いろんな魔法がかけられていてもおかしくないのよね」

「でもあのとき、窓はシリウスが開けたんだ。ぼくはシリウスがなんとかしたんだと思うけどな」

 

 だがハーマイオニーは、あくまでも否定した。スネイプは、シリウスのことをよく知っているはずなのだ。なのに、シリウスがなんとかできるような封印にしておくはずがない。

 

「アルテシアに聞いてみればすむことじゃないか。まあ、あいつは医務室だけどさ」

「そういえば、医務室に誰か知らない人がいたよね。あれ、誰だろう」

「アルテシアの病室に出入りしてたわよね。でも、クリミアーナはアルテシアだけのはずだし」

「あの人、ガラガラさんかもしれないぜ。その可能性、あるって思わないか」

 

 確かめる方法は、ただ1つ。だがハリーもハーマイオニーも、アルテシアのところに行くのは気が引けた。昨夜のことがあるからだ。

 

「よう、3人とも。元気にしちょるか」

 

 見れば、そこにハグリッドがいた。大きなハンカチで顔の汗を拭いながら、そこに立っていた。

 

「おまえさんら、知っちょるか。バックピークのやつ、逃げだしおったんだ。ちゃんとつないでおったんだが、いまにも処刑されるってときに、飛び上がったんだ。つないであったロープを引きちぎってな」

「ああ、それはよかったわ。じゃあ自由になったのね」

「そうだ。だから一晩中お祝いしとったんだ。まだ酔っちょるよ、オレは!」

 

 ハグリッドの喜びようは、かなりのものだった。その気持ちがわかるだけに、3人ともに、話を合わせる。ハグリッドは、吹いてくる風を気持ちよさそうに受けながら、森のほうを見ていた。

 

「おう、そうだ。あの娘っこはどうしちょる? 夜中に森に入るようなことはしとらんはずだが、ひょっとしてルーピン先生と出くわしてたらと、ちょっと心配になってな」

「え? それってどういうこと?」

 

 ハリーがすぐさま聞いた。聞き流してはいけないことのような気がしたからだ。

 

「なんだ、まだ問いとらんのか。朝食のとき、生徒たちに発表されたって聞いたぞ」

「なにを?」

「ルーピン先生のことだ。ルーピンは狼人間で、昨日の晩の満月で変身しちまったらしい。森にひそんでたそうだが、いまごろは荷物をまとめとるだろう」

「荷物をまとめるって、なぜ?」

「学校を辞めるんだ。変身して生徒をかんだりしたら大変だからな」

 

 ハリーは驚いた。そして、駆けだした。いま荷物をまとめているのだとしたら、まだ間に合うはずだ。走りに走って到着したルーピンの部屋は、ドアが開いていた。どうやら、もう荷造りは終わったらしい。キレイに片付いた部屋の中で、ルーピンは机に向かって何かしていた。人の気配がしたからか、ルーピンが顔をあげた。

 

「やあ、ハリー。いま、手紙を書いていたんだ。ちょうど終わったけどね」

「あの、先生がお辞めになったって聞きました。でも、嘘でしょう?」

「いや、本当だよ。これ以上は続けられない。誰も、自分の子どもが狼人間に教えを受けることなんて望んでいない。ぼくは、納得しているよ」

 

 そんなことでいいのだろうか。ハリーは、もっと何か言いたかったが、言葉にはならなかった。

 

「そうだ、ハリー。もうぼくは教師じゃない。だから、いつかキミから取り上げたこれを返しておこう。キミなら上手に使えると信じているよ」

 

 そう言って差し出したのは『忍びの地図』。それを受け取りながら、必死に考える。どうすれば、ルーピンを説得できるだろうかと。

 

「校長先生とは、今朝はやく話をした。昨夜の出来事も聞いたよ。おかげで、キミに守護霊の呪文を教えたのはぼくだと自慢できる。キミの先生になれてよかったよ」

 

 ルーピンが荷物の入ったカバンを持ち上げ、出口へと歩く。そこに、ダンブルドアが立っていた。

 

「リーマス、門のところに馬車が来ておる。使うといい」

「そうですか。ありがとうございます、校長。それから、見送りは結構です。一人で大丈夫ですので」

「そうかね」

「あと、申し訳ありませんがこれをアルテシアに渡してもらえませんか。最後に会いたかったけど、まだ医務室らしいですね。そのときに、吸魂鬼と対決させるようなことをして申し訳なかったと言ってもらえれば」

「わかった。そうしよう、リーマス」

 

 どうやらルーピンは、できるだけ早く学校を立ち去ろうとしているようだ。それがハリーにもわかった。もう、引き止めることなど不可能だ。最後に握手を交わすのが精一杯で、ハリーとダンブルドアが残される。

 

「ハリー、そんなに浮かない顔をしなくてもいいのじゃないかね。昨夜は、大活躍だったのじゃから」

「いいえ、先生。ぼくはなんにもできませんでした。結局、ぺティグリューには逃げられた」

「いやいや、ハリー。昨夜のことには、大きな意味がある。いずれ、それがわかるじゃろう。それにファッジは、あの事件のことを調べ直すつもりじゃよ。その気にさせたのはキミじゃ。もしかすると、ファッジがシリウスの無実を証明してくれるかもしれん」

 

 そうなればいいけど、とハリーは思った。いったいシリウスは、どこへ行ったのだろう。父さんの親友であり、無実の罪で服役していたシリウス。聞けば、ハリーの名付け親でもあるらしい。いまや、たった1人の身内のような人なのだ。

 

「校長先生、シリウス・ブラックはぼくの父さんの親友でしたよね。そのシリウスが、ぼくの母さんにも親友と呼べる人がいたと言ってました。もしかしたら先生はその人のこと、それが誰か知りませんか?」

「なんと、リリー・ポッターの親友とな。そうじゃのう。明るく社交的であったから、友だちは多かったと思うが。一番親しい友だちとなれば、ふむ」

 

 さすがのダンブルドアにも、思い当たる人はいないらしい。シリウスはその人の名前を言っていたが、ハリーはそれをダンブルドアには告げなかった。いずれシリウスとあったとき、じっくりと話を聞こうとハリーは思った。

 

「リリーの親友はさすがに分からぬが、わしは、キミの両親をよく知っておるよ。ホグワーツ時代だけでなく、そのあとのこともな」

「先生、きのうの夜、ぼくたちが吸魂鬼に襲われたとき守護霊を出して助けてくれた人を、ぼくは見ているんです」

「ほう、そうなのかね。それは、まだ逆転時計を使う前、ということでいいのかの」

「そうですけど、そのときぼくは、守護霊を出したのが父さんだと思ったんです。それで時間を戻ったとき、確かめようとその場所に行きました。でも、父さんはいなかった。あれは、ぼくだったんです」

 

 そこでダンブルドアは、ニコッと笑ってみせた。

 

「なるほど、それはそうじゃろう。あちこちで聞いたかもしれんが、キミは驚くほどにジェームズと似ておるでな。見間違えてもムリはない。じゃがその目、キミの目だけは、母親の目じゃよ」

「でもぼく、似てるとしても父さんだと思うなんて、どうかしてたんです。だって、死んだってわかっているのに」

「ハリー、愛する人が死んだとき、その人は永久にいなくなるのだと、そう思うのかね。そうではないよ。キミが覚えている限り、ジェームズはキミの中に生きておる。誰かが覚えている限り、その人は、誰かの心の中で生き続けるのじゃとわしは思う。誰もが忘れたてしまったときのこそ、その人は本当の死を迎えることになるのじゃ。じゃが、そんなことはありえない。キミもわしも、ジェームズのことは忘れぬじゃろうからの」

 

 それは、ハリーにとってはむずかしい内容だった。いったいどう考えればよいのか、あきらかに混乱しているハリーを1人残し、ダンブルドアは部屋を出ていった。

 その夜、なにが起こったのか。その真相を知っている者は、ほとんどいない。起こったことすら知らない生徒のほうが圧倒的に多いのだ。

 ヒッポグリフの処刑が失敗に終わったことは、ハグリッドを喜ばせた。その影で、ドラコ・マルフォイがほっと胸をなで下ろしていたことは、本人以外は誰も知らない。アルテシアを悲しませるようなことにならなくてよかった、などとドラコが口に出して言うはずはないのだ。

 ルーピンが狼人間であったことは、生徒たちには衝撃だった。だが満月の夜に、ルーピンがどうしていたのか、それを知る人はほとんどいない。

 学校の周りから吸魂鬼がいなくなったことは、もちろん生徒たちに歓迎された。だがそうなった理由もまた、生徒たちに知らさせることはなかった。誰もが、シリウス・ブラックが逃亡したからだろうとウワサしたが、しょせんはウワサだった。

 そのシリウス・ブラックの逃亡は『日刊予言者新聞』が報道したため、誰もが知っていたが、どうやって逃亡したのか、その内容を知るものはとても少ない。

 

「これで、3年生も終わりね」

 

 いつしか、学期の最後の日となっていた。試験の結果も発表される。ハリー、ロン、ハーマイオニーともに、全科目合格だった。それに、クィディッチで優勝したこともあって、グリフィンドール寮は三年連続で寮杯を獲得した。つまりアルテシアの500点減点は、マクゴナガルの冗談だったということになる。

 これだけを見るなら、申し分のない結果と言えるだろう。だがハリーとハーマイオニーは、心のどこかに、いくらか引っかかるものを感じていた。アルテシアのことだ。アルテシアは、いまだ医務室だという。森に放り出したこともあり、そうなったのは自分たちのせいではないかと、そんなことを考えていたのである。

 そして、ホグワーツ特急の出発時間がやってくる。その列車の中でハーマイオニーは、あの『逆転時計』を魔法省に返したことをハリーに告げた。

 

「うん、そのほうがいいよ。この1年、キミはとても忙しかった。そうだろ。少しはゆっくりすればいいんだ」

「ええ、そうね。でもハリー、きっと大丈夫だと思うわ。新学期になったら、今度こそ、アルテシアと仲直りしましょうよ。ね」

「そうだね、そうしよう」

 

 場の空気は、明らかに暗い。そのしずんだ空気をなんとかしようとロンが言い出したのは、とっておきのニュースだった。

 

「この夏はクィディッチのワールド・カップがあるぜ。ハリー、ウチに泊りに来いよ。一緒に見にいこう。ウチは、たいてい役所から切符が手に入るんだ。ハーマイオニー、キミも見に行くだろ?」

 

 そのニュースはハリーたちを大いに喜ばせた。だが、それ以上にハリーを喜ばせるニュースが、小さなフクロウによってもたらされる。小さな体で大きな手紙を持ち、列車を追いかけるようにして飛んでくるフクロウを、ハリーが窓を開けて捕まえた。そして、コンパートメントの中へいれてやる。

 手紙は、ハリーあてのもので、差出人はシリウスだった。

 

「これ、シリウスからの手紙だよ」

「えーっ!」

 

 ロンもハーマイオニーも、驚きの声を上げた。逃げていった後、どうしたのか。その後のことはまったくわからなかったのだ。

 

「読んで!」

「わかってる」

 

『ハリー、元気かい? キミの友だちにもお礼を言っておいてくれ。ロンには、ケガをさせてしまったし、お詫びもね。

 さて、わたしはヒッポグリフとともに隠れているよ。いい隠れ場所を見つけたんだ。それがどこかは手紙に書けないが、吸魂鬼に見つかることはないだろう。

 ところで、キミにファイアボルトを送ったのはわたしだよ。名付け親からのキミへのプレゼントだ。遠くから見せてもらったが、キミの飛びっぷりはジェームズにも劣らない、見事なものだ。ファイアボルトがふさわしいと思ったのでね。

 それから、封筒にはもう1枚、羊皮紙が入っている。キミがホグズミードに行くときの役に立つだろう。名付け親として、許可を出しておいた。

 とにかくまた、手紙を書くよ。元気で。』

 

「それだけ? そっちは?」

「これは、ホグズミード行きの許可証だよ。シリウスがサインしてくれたんだ」

「じゃあ、これからは3人で行けるのね」

「そうだよ。それと追伸があるよ。ロン、このフクロウをキミが飼ってくれって。ねずみがいなくなったことのお詫びらしい」

「なんだって」

 

 ロンは目を丸くした。手紙を持ってきた小さなフクロウは、ほとんど興奮状態のまま、コンパートメントのなかを飛び回り、ホーホーと鳴いている。そのフクロウを、ロンがつかまえる。

 

「こいつを飼うって? でもまさか」

 

 ロンは、どこか迷っているようだった。ねずみが、実はピーターだったという例もある。フクロウをしげしげと見ていたが、それをクルックシャンクスの前につきだした。だがクルックシャンクスは、ねずみのスキャバーズのときとは違い、関心を示さない。ということは。

 

「わかった。こいつはボクが飼う。こいつはボクのものだ」

 

 この1年、いろいろなことがあった。あらたにわかった事実もいくつかある。仲違いもしたし、力をあわせたこともある。医務室のベッドのお世話になることの多かったアルテシアだが、さて、このさきどうなるのか。ともあれ、アルテシアにとってのホグワーツでの3年目は、こうして終わりを告げたのである。

 




なんだか、ひさしぶりにこの欄に書き込みますが、それがお詫びというのも、どうなんでしょうか。
ちょっと分量間違えたというか、配分の失敗といいますか、いつもより多くなってしまいました。これを2話にわける手もあるにはあるんですけど、それもしにくかったんです。
そんなわけで、いつもよりも多めですが、ご容赦いただきますように。
それはともかく、これで原作第3巻が終わりました。どうでしょう? おもしろいですか。楽しんでもらえてるのなら、こんなうれしいことはありません。
なお、話は次回へと続きます。申し訳ないです。

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