ハリー・ポッターと魔法の本   作:Syuka

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 前回から、ずいぶんとあいだが空いてしまいました。読んでいただいている方には申し訳ないことになってしまいましたが、今回わたし、風邪をひきまして1週間ほど寝込んでしまったのです。おかげで、予定していたことはめちゃめちゃになってしまいました。
 それでもようやく回復し、続きをお届けできるようになりました。本人は、ほっとひと息でございます。風邪には、お気を付けください。


第22話 「悩みと不安と心配と」

 新しく闇の魔術に対する防衛術の担当教師となったのは、ギルデロイ・ロックハート。その最初の授業は、誰もが思いもしなかったような、妙なミニテストで始まった。テスト用紙に、目を疑うような質問が並んでいたのだ。

 

1 ギルデロイ・ロックハートの好きな色は何?

2 ギルデロイ・ロックハートのひそかな大望は何?

3 現時点までのギルデロイ・ロックハートの業績の中で、あなたは何が一番偉大だと思うか?

 

 こんな質問が、全部で54個。誰もがこれには、あきれずにはいられなかった。マジメに解答できる者、あるいは、解答しようとする者などいない。そのはずだったのに、どんなことにも例外というものはあるようだ。このテストでいえば、ハーマイオニー。彼女は、どんなテストにも手を抜くことはしないのだった。

 

「満点です! 素晴らしい、グリフィンドールに10点あげましょう!」

 

 そんな10点など、いるものか。そう思った生徒は多かったに違いない。ロックハートは満点の生徒がいたことに上機嫌であったが、他のほとんどの生徒たち、とりわけアルテシアなどは、どうみても不機嫌そうだった。普段の彼女を知っている人ほど、その思いは強かっただろう。なにしろ、ほんのわずかすらも、その表情に笑みらしきものがないのだ。アルテシアにとっては、めずらしいことだと言えた。

 こんなテストを前にしては、それも仕方がない。もしかすると、そう思うのが普通なのかもしれない。だがここにも例外はあった。パーバティである。パーバティは違うことを考えたようで、授業が終わるとアルテシアを人のいない廊下の隅へと引っ張っていく。

 

「アル、あたしはあんたの味方だからね。なんでもいいよ、なにか心配ごとがあるなら話して。あんたの力になれると思うよ。ねぇ、アル」

「うん、わかってるよ。そのときは、すぐに言うから。いまはまだ、大丈夫」

「ホント?」

 

 疑わしそうにアルテシアを見る、パーバティ。そんなパーバティに、アルテシアはうなづいてみせた。笑顔をみせてはいたが、パーバティは、それを見た瞬間に納得するどころか怒り出した。

 

「その笑い方は、なに。それで笑ってるつもり? ウソ言ってるから、そんなふうになるんだよ。本当じゃないよね。ウソだよね、アル」

「え? そ、そんなことないよ」

「いいえ、ウソよ。わかるよ、それくらい。なんで? そりゃ、あたしなんかじゃ頼りにならないんだろうけど、話してくれてもいいんじゃない?」

「ちょ、ちょっと待って、パーバティ。わたし、ホントになにも。そんなつもりじゃ」

「じゃあ、どんなつもりなの。あたしは、あんたのこと、かけがえのない友だちだと思ってるよ。でもアルは、そんなことないんだね」

「ち、違うってば、パーバティ。わたしも、そう思ってる。あなたは、大切な友だちだよ。それは、ホントだから」

「それはホント? じゃあ、どれがウソ? やっぱりウソがあるってことじゃない。ひどいよ、アル」

 

 パーバティの声は、普段よりもずいぶんと大きなものになっていた。その声が、次第に人を呼び寄せる。その声を聞きつけた者たちが集まってきたのだ。そのなかにマクゴナガルがいたのは、2人にとって、幸運だったのか不運だったのか。マクゴナガルは、迷わずにパーバティとアルテシアの間に入ってくる。

 

「なにごとですか。いったい何があったのです?」

「いいえ、先生。べつになにもありません」

 

 もちろん、そんなことで納得するようなマクゴナガルではない。ごまかすことなど不可能、というわけだ。

 

「よろしい、それでは個別に話を聞きます。なにがどうなれば、仲の良いあなたたちがこうなるのか。人目もはばからず大声で口論などできるのか、納得のいく説明が聞きたいものです」

「でも、先生。ほんとに」

「黙りなさい、アルテシア。あなたは、あとです。いますぐ寮に戻りなさい。ミス・パチル、話を聞きます。わたしについてきなさい」

 

 有無を言わせず。まさに、そんな感じでマクゴナガルがパーバティを連れて行ってしまうと、騒ぎに集まっていた者たちも散っていく。だが残されたアルテシアに近寄ってくる人がいた。スネイプだった。

 

「ミス・クリミアーナ。それではおまえは、吾輩の研究室へ来るのだ。お友だちが行ってしまったのだから、時間はあるはずだな」

「スネイプ先生」

「おまえには、レポートの提出を命じてある。にもかかわらず、提出しないおまえに事情を聞くのだ。おかしなことではないと思うのだが」

 

 こちらもまた、有無を言わせずといったところか。拒否などできようはずもなく、スネイプのあとに続いた。

 

 

  ※

 

 

「話せることは話してしまえ。気持ちが楽になるぞ」

「え?」

 

 スネイプの研究室へとやって来たアルテシアである。それぞれ椅子に座り、向かい合ったところだが、いきなりそう言われても、どう返事をしていいものか。

 

「さきほどの話からすれば、どうせマクゴナガル先生にも同じことを聞かれることになるだろう。いま、吾輩に話しても同じだ。もはやあの娘は、いろいろ話していると思うが」

「スネイプ先生、レポートのことを聞かれるのだと思っていたのですが」

「書いたのであれば受け取ろう。だが、そうではあるまい。なるほど、あれからずいぶんと経っている。いまさら提出などせずともよいが、これまでにいろいろとわかったことがあるはずだ。それを話せ」

「では、先生。先生がご存じのことも、教えていただけますか」

 

 スネイプと話をするのは、アルテシアはとってはずいぶんと久しぶりのことだった。たぶん、レポートの提出を命じられたとき以来だろう。そのときも、ほとんど話をしてはいないのだが。

 

「もちろん、必要なことなら教えよう。それが、ホグワーツの教師である吾輩の仕事だからな」

 

 だが、その話の内容はホグワーツとは縁遠いことなのだ。そうは思ったものの、それを言うことはやめにした。それくらいのことは、スネイプだって承知しているはずなのだから。

 

「スネイプ先生は『名前を言ってはいけないあの人』などと呼ばれている人のことをご存じなのだと聞きました。それで間違いありませんか」

「ふむ。たしかに、闇の帝王のことは知っている。このホグワーツで賢者の石を手に入れようとしていたことも聞いている」

「その人は、かつてホグワーツの生徒だったとか。学校を出てからしばらくはどこかのお店に勤めたりしていたそうですが、闇の魔法使いとして本格的に活動をはじめるまでの間に、消息があいまいな時期があるそうです」

「さよう。吾輩も、そのように承知している」

 

 アルテシアが問題としたいのは、そのあいまいな時期に何があったかなのだ。これは、クリミアーナの失われた歴史のように、いつのころかはっきりとはしないような遠い過去の話ではない。たとえばスネイプ先生のように、その当時のことを知る人はいくらでもいる。本人でさえも、生きているのだから。

 

「闇の帝王、という呼び名もあるのですね」

「さよう。さまざま呼び名はあろうが、それは問題ではない。だがむろん、本当の名は知っているのだろうな?」

「はい。知りたいのは、その人が当時、何をしていたかです。誰よりも強い魔法力を有していたそうですが、それをどのようにして得たのか。生まれつき持っていたものなのでしょうか」

「それとも、その不明な期間に習得したのか。それを気にしているのだな。つまりは、魔法書か」

「やはり先生も、魔法書のことはご存じなのですね」

 

 キングズ・クロス駅で話をした、パチル姉妹の叔母であるナディア・マーロウによれば、ヴォルデモートはその間、ルミアーナ家と関係があったらしいのだ。ナディアは、魔法書を提供したのに違いないと言っていた。

 

「調査で知り得た範囲において、ということだ。当然、おまえの持つ知識には及ぶべきもない。ともあれ闇の帝王は、生まれながらにして特異な才能をお持ちだった。つまりあの強大な魔法力は、帝王が生まれながらにして持っていたのであり、それを自らの手で磨いたもの、だと考える」

「では、自分自身の力だと」

「吾輩はそう考える。必要なら、そう考えた理由も説明してやるが、ともあれこれで、おまえの考えていることは理解できた。なるほど、闇の帝王が魔法書のことを知っていたとしても不思議ではないし、それを学び、魔法力に磨きをかけたというのは、ありうる話だな」

「やはり、そうなのでしょうか」

 

 もしそうであるのなら、それはルミアーナ家だ。アルテシアは、そう考えていた。少なくともマーロウ家はそう考え、ルミアーナ家との交わりを断ったのだ。

 

「だが、ミス・クリミアーナ。仮にそうだったとしても、おまえが気にすることではあるまい。おまえがしたことではないし、クリミアーナ家が関与したわけでもなかろう」

「そうですが、魔法書を提供した者がいるとなれば、穏やかではいられません」

「悩むな。いくら悩もうとも、結果は変わらぬのだ。事実かどうかもわからぬことに悩んで、何の意味がある。それよりも今後、闇の帝王にどう対処するか。そのことにこそ、考えをめぐらすべきだ。帝王はいずれ、おまえのまえに現れるだろうからな」

 

 まさに、そのとおり。アルテシアは、仮の話に対して悩んでいるのだ。例えて言うなら、暗闇になにかがひそんでいると勝手に思い込み、怖がっているようなもの。そこには、何もないのかもしれない。怖がる必要などないのかもしれないのだ。であるならば、無意味に悩んでいるよりも、確かめてみる方が先なのかもしれない。すなわち、そこに光をあててみればいいわけだ。だがいまのアルテシアは、その方法に苦心しているともいえるだろう。

 アルテシアも、そのことは自覚しているらしい。スネイプの言葉に、下唇をかむ。

 

「吾輩からひと言、言っておこう。こういうときこそ、1人になるな。1人でいてもロクなことにはならんぞ。その意味では、おまえには格好の友人がいるではないか。あの娘を拒絶などするな」

「ええ。それはもちろんですが、もう少しはっきりしてからと考えています」

「なぜだ」

「もし仮に、わたしの心配が的外れではないのだとしたら。そのときは、パチル姉妹も無関係ではありえないからです。もしそうなら、巻き込むことなく、彼女たちに知られぬところで解決したいのです」

 

 アルテシアの本音に違いないのだろうけれど、スネイプは、軽く笑ってみせた。

 

「なるほど。ならば、おまえの好きにしろと言うほかはないが、吾輩の意見を言わせてもらうなら、そんなことに意味などないぞ。秘密のままにしておけるはずもないしな」

「わかっていますけど、その努力はしたいのです。それがクリミアーナの娘としての務めだと思いますから」

「ふむ。まあいい、吾輩からも、あの娘にはそれとなく言っておいてやろう」

 

 そこで、スネイプは立ち上がった。杖を出し、テーブルの上をコツコツと叩く。

 

「紅茶なら、用意ができる。飲むがいい」

「あ、ありがとうございます」

 

 おそらくは、スネイプ自身が飲みたかったのではないか。テーブルに現れたティーカップに手を伸ばしたのは、スネイプのほうが先だった。

 

「おまえに、伝えておきたいことがある。ブラック家のことだ」

「え? ブラック家のことをご存じなのですか」

「ブラック家は、魔法界では有名だ。多くのすぐれた魔法使いを生んだ家であり、闇の帝王の考えに賛同したことでも知られている。純血主義者というわけだな」

 

 いきすぎた純血主義がもたらした、悲劇。あのヴォルデモートを中心とした一連の出来事は、その典型であったのかもしれない。しかも、純血主義という考えは、魔法族のなかではそれほど突飛なものではないらしいのだ。

 

「そんなブラック家にも、どうしようもないろくでなし、がいたりもするがな」

「実は、そのブラック家とクリミアーナ家とは姻戚関係にあるようなんです」

「ほう、知っていたか。いや、調べてわかったのだな」

「はい」

 

 それがいつのことか、そのはっきりとした時期は不明だが、クリミアーナ家からブラック家へと嫁入りした人がいたことがわかっている。アルテシアの母の母、すなわち祖母であるアリーシャの姉妹ガラティア。姉か妹かまではわからないが、その人がクリミアーナ家直系の魔女であることに疑いはない。当然、魔法書を学んでいるはず。

 

「その女は、結局のところブラック家の家風とは合わなかったらしく、ブラック家を追い出される結果となっている。その後、女がどうしたのかまでは調べがつかなかった。クリミアーナ家に戻っているのか?」

「いえ、そんな記録はありませんでした。それで先生、これが以前に先生が言われていた『追放』ということなのでしょうか?」

「さよう。この出来事以後、クリミアーナと魔法界との関わりは、なにひとつ調べることができない。つまり、関与は認められないということだ。おまえが現れるまではな」

 

 スネイプの言うことに間違いはないのだが、いくつか不備がある。彼は、クリミアーナ家のマーニャが、自身の病の治療法を魔法界に求めた事実があるのを見落としていた。それにクリミアーナ家は、スネイプの言った出来事より、もっと以前から魔法界とは距離を置いているのだ。そこにはきっと、もう少しなにか、事情があるのだろう。

 

 

  ※

 

 

「ミス・パチル。言いたいことがあれば聞きますよ。好きなようにしゃべってもらってかまいません」

「マクゴナガル先生、もし悪いところがあるんだとしたら、それはあたしです。アルテシアを怒らないでやってくれませんか」

「それは、これから判断します。そのために事情を聞いているのですよ、ミス・パチル」

 

 どうやらパーバティは、迷っているらしい。マクゴナガルもそれを理解したのか、急かすようなことはせずに、その言葉を待っている。そして。

 

「あの、先生」

「どうぞ、なんでもしゃべってかまいませんよ」

 

 パーバティは、改めてうなづいてみせた。

 

「先生。先生はもちろん、アルテシアが新学期に遅れてきたのをご存じですよね」

「ええ」

「遅れた理由、なぜ遅れたのか、それもご存じなのでしょうか?」

 

 マクゴナガルの表情に、厳しさが増す。それまでにこやかにしていたのが、急に引き締まったといったところ。

 

「あのときアルテシアは、あたしたちの叔母さんと会っています。叔母は、話が長引いてしまい、気づいたときにはホグワーツ特急は発車していたと言っています」

「それが、今回のことと関係あるのですか」

「実は、母から『クリミアーナには近づくな、あの家と付き合ってはいけない』と言われています。それは、もともと叔母の考えでもあったので、なんとか許してもらわねばということで、実際に会うことになったんです」

「なるほど、そういうことだとは知りませんでした」

 

 パーバティは、今にも泣き出すのではないか。マクゴナガルはそう思ったかも知れない。パーバティの瞳は、それほどまで潤んでいるように見えた。

 

「アルテシアは、そのとき悩みごとを抱えてしまったんだと思います。どんな話をしたのか、いま、妹が叔母さんに問い合わせてくれてはいますけど、まだ返事は来ていません」

「なるほど。それをアルテシアにも聞いてみた、というのですね」

「そうです、先生。あたしはアルテシアと、ずっと友だちでいたい。学校だけじゃなく、卒業してからもずっと友だちでいたい。アルテシアが悩んでるのなら、相談に乗ってあげたい。力になりたい。そんなこともできなくて、友だちだなんて言えない。そう思っているんです」

「よろしい、事情はよくわかりました。ですが、安心していいですよ。わたしからもアルテシアに、それとなく言っておきます。ああ、心配はいりません。とくにあなたがた姉妹は、とても大切な友だちなのだとよく口にしています。間違いなく、アルテシアの本心だと思いますよ」

 

 それくらいのことは、パーバティにもわかっていた。だが、パーバティが気にしているのは、そういうことではない。そんなことではないのだ。

 もちろんそうなって欲しくはないが、アルテシアの気持ちが離れていったのであれば、あきらめようもあるだろうと思っている。だがもし、周囲の状況がそうさせたのだとしたら。そのために、そうせざるをえなくなるのだとしたら。アルテシアを追い詰めるような、何かがあるのだとしたら。

 すでにいま、そうなりつつあるのかもしれないのだ。マクゴナガルの言うように安心などできるはずがない。やはりどうあっても、今の状況を知らねばならない。パーバティは、改めてそう思うのだった。

 

 

  ※

 

 

「どこに行ってたの? マクゴナガルのところには行った?」

「ああ、それはまだ。あのあとすぐ、スネイプ先生につかまっちゃって。地下の研究室に行ってた」

「スネイプ先生?」

 

 パーバティは、マクゴナガルとの話を終えると、まっすぐに寮へと戻ってきていた。『次はアルテシアに話を聞きますから呼んできなさい』と指示されるかと思いきや、何も言われなかったのでアルテシアとじっくり話をしようと、そう思っていた。

 だがアルテシアは談話室にはいなかったので、その帰りをこうして待っていたのだ。

 

「まえに、羊皮紙5枚分のレポートを出すように言われたんだけど、まだ提出してないんだ。そのこともあってね」

「レポートですって、いつ?」

 

 にこっと、笑顔を見せる。この笑顔は、パーバティの不興を買うことはなかったようだ。

 

「もうずいぶん前だけどね。レポートは出さなくていいことになったけど、そのかわりに話をさせられた」

「あんたが未提出なんてめずらしすぎ。しかも、出さなくていいって? そんなことあるんだ」

「授業とは、直接関係ないことだからだと思う」

「え? どういうこと」

 

 談話室での、アルテシアたちのいつもの居場所。もちろん専用ではなく共用なのだが、2人はそこに座る。右斜め前が、ハリー・ポッターたちがよくいる場所である。いまも、いつもの3人でなにやら話をしている。

 

「スネイプ先生はさ、クリミアーナの失われた歴史に興味があるんだと思ってた。そのころのことをレポートで提出しろって言われてるんだと思ってた」

「でも、違ったんだ」

 

 ゆっくりうなずいてみせる。結局、スネイプが何を求めているのかはよくわからない。強いて言えば、クリミアーナ家そのもの、なのかもしれない。だから、自分のことを気にかけてくれるのだ、とアルテシアは思った。いつか、家にご招待するのもいいのかもしれない。きっと喜んでくれるのだろうけれど、気がかりなことのなにもかもが片づくまでは、そんなことはできないだろう。

 

「そういえば、ドラコがとうとう、スリザリンのクィディッチチームに入れたみたいよ。そのこと、スネイプ先生に報告に来てた」

 

 ひとしきり話が終わり、会話がとぎれたところで、アルテシアはそんなことを言ってみる。とたんに、ハリーとロンが振り向き、アルテシアたちへと顔を向けてくる。

 

「なんだって」

「あいつが、クィディッチチームに入ったって」

 

 いったい、どの言葉に反応したのだろう。“ドラコ”か、それとも“スリザリン”か。たぶん“クィディッチ”ではないのだろうと、アルテシアは思った。ハリーたちの後ろで、ハーマイオニーが苦笑いを浮かべていた。

 




 改めて言うのもなんですが、本作の基本テーマは、ヴォルデモートからホグワーツを守り通せるのかどうか。もちろん校舎だけ守っても仕方ありませんから、教員から生徒までってことですが、そのとき主人公の友だち(守ると決めた相手)は何人くらいになってるんでしょうか。いまのところ、パチル姉妹の2人だけですが、候補者はほかにもいますものね。

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