深緑の火星の物語   作:子無しししゃも

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『岩のような固き信仰の上に、私の教会を建てよう』


Mind Game:第7話 魍魎跋扈

 その決闘は、無言のまま始まった。

 

 剣聖が一度下げていた刀を再び構えた事が、彼の申し出に対する答えだった。

 

 瞬間、突風が吹く。

 真っ向からの突撃。それを、百燐は体の軸と位置をずらし、すれ違うかのように交わす。

 交差した位置に残されたのは、ハルトマンの二本の脚だ。

 

 一瞬の攻防で、反撃の一手を繰り出し脚を切断した百燐。しかし、その戦果を目で追う事はしない。

 

「ぬうんッ!」

 

 即座に背後を振り返った百燐は、秒と経たずして追撃と気合を入れた声が襲い来るのを認識する。迫るハルトマンの後方には、ヒビ割れた壁面が伺える。壁を全力で蹴り切り返したのだ。

 

 切断された二本の脚は、毒の対策として根本から自切されている。

 四本の脚が、上から斜めの軌道で百燐を狙い振り下ろされる。

 

―――刀で迎撃するのは間に合わない。

 

 百燐は素早く判断し、一歩下がる。

 脚をぎりぎりの位置で回避した百燐は、反撃に刀を、胴体を両断する軌道で振るおうとし。

 

「させん……!」

 

「……ほう」

 

 先の一撃から隠された位置にあった最後の二本の脚による奇襲が、反攻の体勢を取った百燐の手を止めさせる。

 

 その刀はハルトマンの胴体では無く、その二本の脚を受け流すのに使われる。切断ができれば良かったのだが、既に迫った脚との位置関係から切り落とすのに十分な力を入れて振るう事はできない。

 

――以前よりも、動きが良くなっている。

 

 少し彼を誤解していたようだ、と百燐は認識を改める。手術ベースのスペックに頼った力押しに限らず、彼もまた腕を磨いてはいたのかと。とはいえ、それは薄々は下半身が増える前の最初の攻防でも理解していた事だ。

 だが、今の彼はそれと比べてもさらに動きが良くなっているような気がする。

 

 さてどう攻めたものか、と考えを巡らせていた百燐は――

 

「ふむ……!」

 

 ハルトマンを見て、感嘆の声を漏らすと同時に、全力で背後に退き、同時に。

 

 

 耳を、塞いだ。

 

 

 瞬間、爆音が轟き、周囲の空気が揺らぐ。

 微かに、平衡感覚が狂う。だが、大部分は無事だ。

 

 

「化物め……!」

 

 自分の姿を棚に上げ呟くハルトマン。これが、彼の全力を賭した一撃だった。

 並みの防御力を持つ手術ベースでも容易く押し潰すタカアシガニにより強化された脚をノミの脚力で振るう一撃。ハエトリグモの一種であるバギーラ・キプリンギの瞬発力による素早い反転からの攻勢。八本の脚の全てを防がれてもさらにその先にある、最後の一撃。

 

 それが、チビミズムシの歌。『歌うペニス』などという、冗談としか思えないそのあだ名。

 生殖器を腹に擦りつけて鳴くという人間を基準に考えるとこれまた笑いを誘われる生態は、MO手術の手術ベースとして用いれば一点、文字通りの凶器と化す。

 

 セミよりも遥かに小さい隊長でそれを上回る音量は、相手の聴覚や平衡感覚を防御困難な音という一撃で容赦なく破壊するのだ。

 

 

 だが、目の前の剣聖はそれを加えた連撃を防ぎ切って見せた。

 

「……いいや、そうだろうな……」

 

 

 わかってはいた。

 ヤツは、これを凌いでくるだろうと。

 

 それほどの男だと、ハルトマンは理解していたのだ。

 そして、その上でこの戦いに臨んだ。

 

 

「オオオォォ!」

 

 吠える。槍の一族の王に向き合った、お前は神なんかじゃないと現実を突きつけられた時の無力からの慟哭などでは無く、そうでは無い、己が神なのだと証明せんが為。

 

 

 再生した八本の脚と、生殖器。己の人生の全てを懸けた研究成果……いいや、そんな無機的な呼び方をしていいものでは無い。相棒だろうか? 親友だろうか? 伴侶だろうか? ……きっと、どの言葉も相応しく無くて、陳腐に感じてしまう。それほどの存在。

 

 

 ハルトマンは、己の魂と共に、百燐へと駆ける。

 

 

―――――これは、当然の結末だった。世界から後ろ指を差される悪に与えられる奇跡など無く、そんなものに縋るには、彼は汚れすぎた。

 

 

 眼前にハルトマンが迫った百燐が、ぐっと腕を動かす。それだけで、ハルトマンの脚の一本が一人でに宙へと引っ張られ、体勢が崩れる。

 ああ、先ほどの攻防の隙に、糸を結ばれていたのか。宙に張られた糸と組み合わせ、滑車の要領でやられたのか。ハルトマンは己が身に起こった事を即座に理解する。自切をしている隙は無い。否、したくない。

 

 浮き上がり十分に力を加えられない体勢のまま、ハルトマンは自身の全力を、残る全ての脚を百燐へと繰り出す。

 脚が一本、切断される。二本、受け流される。三本、回避される。

 

 だが、一本、残り、一本が。

 

「……!」

 

 百燐の体へと、突き刺さる。骨を軋ませる感覚が、脚を通じて伝わって来る。

 

 

「死に晒せ、百燐ンン!!」

 

 姿勢を崩す百燐に、ハルトマンは最後の一撃として、その性器から轟音を響かせる。

 それは、退避の隙を与えず、百燐の体を激しく撃ち。 

 

 

 

――――――番狂わせなど、起こりようも無く。最後に悪が笑う物語など、ここには無く。

 

 

 

 

「いいえ、もう、終わりですぞ」

 

 

 だがそれを物ともしない百燐の刀が止まる事は無く、ハルトマンの腹を境とし、体を上下に分断した。

 臓物を散らせ吹き飛ぶ上半身に、静かに百燐は歩み寄る。

 

 

 その両耳から、先の爆音を受けた際に耳を塞ぐと同時に仕込んでいた、小さな糸の塊を取り出しながら。

 

 

「ああ、まったく、用意周到なヤツだ」

 

 憎々し気に、しかしどこか満足した様子で、百燐を見上げるハルトマン。

 

「……最期に、言い残す事は?」

 

 そんな狂人に、百燐は穏やかな調子で尋ねる。

 百燐の言葉にハルトマンは、少し考える様子で。

 

 

「……!」

 

 だが、その会話に乱入者が訪れる。まるで、百燐とハルトマンの間に、割り込むかのように。

 己の主を、守ろうとするかのように。

 

 戦いを見守っていた下半身が、一斉に集まってくる。

 

 脚と生殖器を振り上げ、百燐を威嚇するかのような下半身たち。

 

 

「……いいんだ、お前達……もう、いいんだ」

 

 ハルトマンは徐々に血の気が失われていく手で、その内の一体を、弱弱しく撫でる。

 ハルトマンを何とか助けようとしているのか、ハルトマンの下半身に己の体を繋げようとしているが、腹から切断されたその身では、繋がる部分が違い、それは叶わない。

 

「百燐。この子達に、外の世界を見せてやれないだろうか……直に、終わる命だ……」

 

「……ひと目だけであれば。ですが、外に放す事は許容できませんぞ」

 

 それは、最大級の譲歩だった。いくら今大人しくしていても、本質は人を容易く殺傷できる怪物だ。そんな事が、できるはずも無く。

 

 

 

「ああ、無念だ! 我が下半身はきっと神に至っていたというのに、この(上半身)がそれを生かしてやる事ができなかったなど! 貴様に勝てていればこれからこの子達を長く生きさせてやれるような新たな下半身も見つけられたかもしれない、いいや、必ずしも見つけていたというのに!!」

 

「では――」

 

 貴様に負けたのはあくまで私という愚かな上半身であり、我が下半身は変わらず完全無欠だった。

 百燐の言葉に頷いた後、ハルトマンは血を吐くかのようにそれを叫ぶ。負け惜しみでも何でもない、本気で思っている事なのだろう。だからこそ、彼は人類と相いれない、アダム・ベイリアルという存在なのだろう。

 

   

「――ああ」

 

「……死に晒せ(さようなら)若造(ハルトマン)」 

 

 遺言は済んだか、という確認に頷いたハルトマンに、百燐は前のあの時と同じ、意趣返しの言葉を、しかしどこか思う所がある様子で、呟く。

 

 

 

「最後まで、不愉快なヤツだ……私は同志たちと楽しく過ごすからな、すぐに来てくれるなよ、興が削がれる」

 

 そう、吐き捨てながら、ハルトマンは、自身の身を縦に両断しようと迫る刃を、目に映し――

 

 

 

 

 

「さて」

 

 研究所の外で、涼し気な風を受けながら百燐は、ハルトマンの忘れ形見たちと共に、夕日を眺めていた。

 研究所の各所に設置された爆弾が起動するまで、残り少し。

 

 下半身たちの約半分は、ハルトマンの遺骸の傍を離れず、最下層に残っていた。

 残り半分は外の世界が見たかったのか、百燐に付いてきた。

 

 脳に類する器官は無いはずだが、意思のようなものが存在するのだろうか、彼らには? 疑問はつきないが、約束は約束だ。

 そろそろ時間ですぞ。百燐は下半身達に、伝えようとし。いざという時のために、刀に手をかけ。

 

「……」

 

 しかし、下半身たちは暴れる事も何もせず、静かに、葬列のように並びながら、研究所の奥底へと戻っていった。

 数分が経ち、地の底から轟音と振動が響き渡る。

 

 何も出てこないのを見届けた後、百燐はその場を後にした。

 

 

 

「……おや?」

 

 そこで、百燐の携帯端末が音を立てる。

 任務の進捗に関しての報告要求だろうか? そう、予想を立てながら応答しようとした彼は。

 

 

 クロード・ヴァレンシュタインというその名を見て、これは簡単な話では無さそうだ、と息を吐くのだった。

 

 

―――――

――パリ 市街

 

―――それは、あまりにも突然な、饗宴の幕開けだった。

 

 市街の、裏路地の暗闇から、突然持ち上げられたマンホールの中の下水道から、うち捨てられた建物の中から。

 まるで、濁流か何かのように、それは突然平穏な日々を過ごす人々へと押し寄せた。

 

 青白い不健康そうな肌の人間の腹から肩までをいくつも繋ぎ合わせたかのような生物。節が人間の胴で構成された頭の無いムカデ、とでも形容すればわかりやすいだろうか。

 地獄の七圏より這い上がって来たかのような、外見そのものが人々に混乱と狂気を与えるその姿。

 最初にそれが現れた時、人々は即座に恐怖から逃げ出した。

 

 ただ、それだけであれば、そこまで大きな混乱は生じなかったのかもしれない。

 その姿が狂気に溢れたものであったとしても、実害が出なければ。

 

 しかし、興味本位でその写真を撮っていた人間が、最初の犠牲者となった。

 気合の入ったホラー映画の宣伝か何かとでも思っていたのだろうか?

 

 呑気に携帯端末を構えてぱしゃぱしゃと撮影していた彼の首を、背後からもう一体のそれ(・・)が絞めあげたのだ。

 秒とたたず、ごきりという鈍い音。

 

 あらぬ方向に首が折れ曲がった彼が崩れ落ちると同時に、一瞬の沈黙が場を支配し、直後にひと際強い恐怖からの絶叫と悲鳴が、場を包み込んだ。

 

 狂気が伝播し、人々は逃げ惑う。

 

 

 人を殺す怪物が出た。急げ、暗い場所から出てくるらしい。いや水場からと聞いた。もの凄い腕力らしい。毒を吐くって聞いたぞ?友達がやられたらしい。警察はまだ来ないのか!アレ、殺そうとしても死なないって……真っ二つにしたら増えるかもって。警察が相手にできるようなモンじゃねえよ!軍隊だ軍隊!軍隊って言ってもすぐ来ないでしょ。今この辺の基地の人、何かあったみたいで遠くに出てるみたいだ!何でだよこんな時に!何かあいつら宮殿狙ってるらしいぞ!何だそれ文化財好きか?そんなわけあるか冗談言ってる場合じゃねえだろ!違うよさっきすれ違った子がそんな事言ってたんだよ!はあ?何でそんな事知ってんだよ?わかんねえけどあのバケモノ少なくなってないか?

 

 

 

 押し合いへしあい、根も葉も無い噂が流れる。

 人々は混乱し、どちらへ逃げればいいのかすらわからない。

 あの怪物は、水場から出てきた。川や水路に近づくのは危ない。違う、暗い場所を好んでいるみたいだから、もっと建物の少ない場所に。

 

 そんな混迷の中、大人も子どもも、男も女も、富も貧しいも関係無く、人々はパニック状態に陥り、悪い想像が連鎖し、彼らの内心で人に対する不信と今自分達を襲っている怪物の姿が、実態以上に育っていく。

 

 

「皆さん、急いでください! すぐに軍の方々が助けに来てくれます! 大丈夫です、あちらです!」

 

 

 だが、避難を導く彼女の言葉で、それは一定の指向性を持ち、人々の意思は一方向へと収束し始める。

 

 

「さあ、早く! 後から来る皆さんにも私がお伝えしておきますから安心して! 先ほど、装甲車を見かけました! 大丈夫です、助かります!」

 

 

 真っ暗闇の知らない場所を、さあゴールを目指してください、ゴールに辿り着けなければ死にますと突きつけられる。

 それも、何の前触れも無く突然に。

 さて、どう動いたものだろうか?

 

 

 

 

「急ぎましょう! 先ほど、あの怪物を見かけました! 皆さん、早く、ここから離れて――」

 

 集団から少し離れた場所を走り回り人々を励まし、道を指し示すのは、たった一人、彼女だけだった。

 彼女の言に、そうだあっちに行けばいいのかと人々は納得し、その言葉に導かれ街の外へ、外へと離れていく。まるで、羊飼いに誘導される羊のごとく。

 

 

 

 

 さて、逃げ惑う何人が気付いただろうか? 彼女が、『急いでください』『早く』と繰り返しても、『落ち着いて』とは一度も発さなかった事に。……修道服を着た、この少女が。

 

 

 

 気付けないのだ。彼らは、命の掛かった、さらには突発的な状況で、正常な判断力を失っている。

 仮に気付いたとしても、それが何なのか? 健気に皆を助けようとしてる女の子に完璧など求められるはずが無いだろう?

 

 少女――アレクシア・アポリエールは、人々をより外へ、外へと導いていく。

 

 アポリエール。ニュートンの一族、ヴィンランド家の分家たる家系。

 その身に宿す一族の血は薄く、特にその肉体の強度は一族の他の家と比べて大多数が大きく見劣りする。

 

 しかし、彼ら彼女らが持つ、完成度としては遙か先を行くどの家系にも譲らぬ、絶対的とも言える強みが二つだけある。

 

 

 

 それが、『人心掌握』『扇動』。それも、精神的に混乱、疲弊している人間を対象とした。

 『宗教』という言葉の与える負の印象を極めたかのような、その技能。

 

 

 人々が、大人も子どもも、男も女も、富も貧しいも関係なく、彼女の言葉を疑う事も無く動いていく。動かされていく。

 

 混乱状態で何もわからない時に、人々が従うものは二つだ。一つは、『集団』。そしてもう一つが、『リーダー』。

 命のかかった避難というこの状況で、リーダーシップが取れる人間はごく少ない。それは、パリ市民の中にそのような人間がいない、という意味では無く、状況が、そこから導かれる他人の心理がそれを許さないのだ。

 

 人々がごちゃごちゃになって逃げ惑うこの状況において、誰かが皆を代表しよう、などと声を上げても、それは集団の波にかき消され、消えてしまう。群衆の一人として、お前も結局は一緒にわけもわからず逃げている一人じゃないか、と処理されてしまう。

 

 明らかにそれとわかる、この状況でも人々の印象から即座に消えないシンボルがリーダーには必要なのだ。

 それを満たす条件が、これである。

 

 聖職者。

 

 

 無論、2600年代において、皆が皆、神を信じているわけでは無い。

 だが、献身的な行動をしても、違和感が無い人種。清廉潔白、悪意など無いだろうという、一般的に形作られたイメージ。一般人とひと目で区別のつく、特徴的な衣装。

 それが、人々の印象に強く焼き付く。

 

 さらに、それがまだ若いながら健気にもこの非常時に皆を導こうとしている美しい容姿の乙女であるというのなら、自然とその目線は群衆から一人、離れて立っているその姿に引っ張られ、その言葉もまた、周囲の乱雑な噂から浮き上がり、耳へと入ってくる。

 

 だから、気付かない。気付けない。その聖女の内心は、どうしようもない黒色に染まっている事に、気付けるはずも無い。

 外から見れば、彼女は人々を救う為に立ち上がった、一人の聖職者なのだから。

 その真の目的が推測できる程、人々に情報は与えられていないのだから。

 

 軍が助けに来た。嘘だ。まだ事が起こってから30分も経っていない。即応できる兵団がいない事は調べが付いている。怪物がどのように動くのかやその総数、戦力もわからないのに、エリゼ宮殿の防衛を放棄できるはずも無い。では何故そんな事を言ったのかと言えば、軍はこっちに来ているのに自分達を助けてくれない、と人々に不信のタネを撒くため。

 

 

 

「ありがとう、君も早く逃げ――?」

 

 ありがとう、でも危ないから君も避難しよう。彼女に手を差し伸べようとした一人の青年は、その姿がいつの間にか消えている事に気付く。

 他の場所に、避難を誘導するために行ったのだろうか? 青年は心配をしながらも、駆け出す群衆に紛れ、避難を急いだ。

 

 

 

 

―――――

「近付けさせるな!」

 

「撃て、足を止めさせろ!」

 

 自動小銃から吐き出された銃弾を受けた怪物が、赤色の体液を撒き散らし倒れる。

 だが、それは時間稼ぎにしかならず、即座に起き上がる。

 

 エリゼ宮殿周辺で、彼らは突発的事態にも決して怯む事無く奮闘していた。

 

 

 宮殿へ続く門を守る彼らは、決して実戦経験豊富な精鋭というわけでは無かった。むしろ、新兵に近い。

 先日の、突発的に起こったこのエリゼ宮殿を襲撃したテロリストとの戦闘。

 それにより発生した数十人の死者の一時的な穴埋めとして近隣の基地から派遣されてきたまだ訓練課程を終えてさほどの時間も経っていない兵だ。

 

 精鋭は、おおよそ七割がこの宮殿内部の防衛に就き、残り三割が経験の不足している新兵を引き連れて市民の保護の為に先ほど状況の調査へと出た。

 

 そもそも宮殿に入らせなければいい、この前線に精鋭を配置すればいいのでは、と考えるかもしれないが、敵の出現箇所の把握が十分でない以上、奇襲を受ければ大統領や少数ながら宮殿に避難した一般人の身が危ういかもしれない。

 

 その為、大統領周囲は万全の防備を固めていく必要があった。

 

 

 だからこそ、彼らのような新兵の部隊は宮殿周囲の防備を担っているわけなのだが。

 

「一体、何だってんだこりゃ……」

 

 いつか、人を殺す時が来るかもしれない。そう、覚悟をしていたのだが。

 まさか、モンスターを相手にするなど、想定していなかった。

 

 

 人間、なのだろうか。明らかにパーツはそうだ。胴体と、そこから生える腕。

 体液、血も赤い。

 しかし、何度も銃を撃ちこみようやく死んだ個体の、その破れた腹からは、臓器の類が極端に少なく見える。

 

 

 そんな風にのんびりと観察をしていられるのは、異形の軍勢に面して恐怖を感じながらも、しかしある程度の余裕があるからに違いなかった。

 

 

「これはこれは、ふふ、お仕事、お疲れ様です」

 

 そんな彼らに、突然怪物の側から、人間の声が投げかけられる。

 

「そんな所で何を――」

 

 

 何匹も並ぶ怪物の間に立つ少女に、兵士の一人が思わず、心配から声をかける。

 ……しかし。

 

「ああ、さようなら」

 

 見てしまった。少女、アレクシアの頭から、限りなく透明に近い、太い糸のようなものが何本も生えているのを。

 そして、それが自分の首に絡みつくのを。

 

 ちくりとした、微かな痛み。

 

「かっ……!?」

 

 だが、それと同時に体が痺れ、彼は地面に崩れ落ちた。

 

 さらに状況の悪化は連鎖し、それに応じるかのように、怪物が再度の突撃を開始する。

 不幸にも、兵士達の主力は銃の再装填の最中であった。

 

 まるで防壁を突き崩すように、怪物が殺到し、殺戮が始まる。

 

「あ、ああ……!」

 

「退け、早く!」

 

 一人が犠牲となり、動揺が走る。

 それは、死者が出るという、軍人の仕事場、戦場では起こり得る事態への恐怖では無く、築いていた防衛体勢が崩された事により、布陣全体が崩壊するという恐れから。

 

 兵士達は、慌てて後方へと下がっていく。だが、動揺でよろめく足で逃げ切るには怪物は速く、さらには、少女の頭から伸びる何かが、兵士達の体の自由を奪い、怪物への供物にする。

 怪物に押さえつけられ、悲鳴をあげる兵士に、少女は囁きかける。

 

「さあ、遠慮する事はありませんよ。この救い無き世に、救済を与え―――」

 

 

 

 

 

「何を情けない姿を晒しているのだ、貴様らァ!」

 

 

 ごしゃり、という鈍い音と共に、アレクシアの頭が砕け散る。

 次いで、兵士達に飛び掛かろうとしていた怪物が二匹、その長柄の一振りにより薙ぎ払われ、真っ二つに引きちぎられる。

 

 兵士達に降りかかった、稲妻が如き叱咤の大声。フランスへの敵対者に対し降りかかった、圧倒的な暴力。

 

「……」

 

 うすら笑いをしながら、しかし警戒の色を濃く浮かべたアレクシアが、一歩下がる。

 人間であれば避けられぬ致命傷、頭部の損壊。それから難なく立ち直ったアレクシアに、しかし戦闘に乱入した人間は全く動じる事はない。

 

 

「お待ちしておりました、隊長!」

 

「この部隊を指揮していたのは、誰だ」

 

 

 駆け寄る兵士の一人に、その人物は問う。

 

「はっ……クレール・ベルレアン伍長です……先ほど、殉職なされました」

 

 

 兵士は、倒れ伏してもう動かない一人に目を向け、神妙な様子で彼女に問われた通り、報告する。

 

「そうか……皆の者、これより貴様らの指揮は共和国親衛隊第一歩兵連隊長、このオリアンヌ・ド・ヴァリエが執る! 貴様らの命、栄光あるフランス共和国に、そして何よりも輝かしきエドガー様に捧げよ!」

 

 

 恐らく、指揮官を潰すように何らかの意図に従っているのだろう、ひと際大きな怪物の一体が、オリアンヌへと飛び掛かる。

 これから起こる惨劇に、思わず目を逸らしてしまう兵士達。しかし、いとも容易くその攻勢は食い止められた。

 

 無数の腕で、オリアンヌを締め殺さんとする怪物たち。だが、その攻撃にオリアンヌが動じる事は一切無い。

 

 

「貴様ら、今だけは許す! 背後を見よ! そこに何が在る! 貴様らが背負っているものは何だ! 絢爛たるエルゼの宮だけでは無いのだぞ! この国の健やかな人々の営みだ! 貴様らの肩にはフランス共和国そのものが乗っていると心得よ!」

 

 ミシミシという音が立つ程に、オリアンヌの体を締め付ける怪物。

 しかし、軍歌を諳んじるが如き兵士達への言葉は、全く止む事が無い。

 

 その力強さは、じわじわと周囲に伝播していく。

 

「例え私が死のうが、貴様らが死のうが案ずる事では無い! ベルレアン伍長は一足先に国に身を捧げた。大儀だ! 貴様らもそれと同じだ! その生き様を、想いを受け継ぎ、屍を踏み越え行軍せよ! 貴様らの勇敢な最期は例え後に記録の数字の一つとして書庫に埋もれようとも、私が、同胞達が内に残し続ける! 正義は我らフランス共和国親衛隊にあり! ()くぞ者ども――」

 

 彼女の体に纏わりついていた異形の怪物は、一瞬にして握り潰され、地面に叩き付けられたその残骸は踏みにじられる。

 

 空間に轟く、空気を震わす鬨の声。

 それが、先ほどまで陣を捨てて後退しようとした、圧倒的に不利な戦況で弱気になっていた新兵たちであるとは、誰が信じるだろうか。

 

「ああ、全く――」

 

 それを見て、アレクシアは笑顔の裏で凍てついた侮蔑の目をオリアンヌに向けながら、一人ぼやく。

 かくして、戦は再び始まる。

 

 

 

「――総員、私に続けッ!!」

 

「――体育会系はほんと嫌いですねぇ」

 

―――――――――――――

 

「私達が押し留めてますから! 焦らないで、小さな子とか体の弱い人を気にかけてあげてください!」

 

「側面や前方に奴らが現れたら呼んでください! 自分が向かいます!」

 

 

 その一群の様子は、避難をしている他の集団とは少しだけ違った。

 人々が、不安と恐怖こそぬぐい切れてはいないが、平静を取り戻している。

 女子ども、老人をなるべく中に囲い、他の集団よりも遅い、だが確かな足取りで街の外へと進んでいる。

 

 その集団の殿を務め怪物の侵攻を押し留める、むしろ押し返しているのは、二人の観光客だった。

 とはいえ、彼らを観光客と呼んでいいものだろうか。少なくとも、二人に守られている民間人たちには、そうは見えないだろう。

 

「やあッ!」

 

 気合の入った声と共に、タライのような形状の盾が叩きつけられ、怪物の骨が砕けながら吹き飛ばされる。

 

「フッ!」

 

 息遣いと共に繰り出された蹴りが、その腕から生えた針が振るわれる度に、迫る敵の数が減っていく。

 

 

 剛大とキャロル。何かが起こるとまずい、という理由で派遣された二人は、今正に状況に直面していた。

 

 

「ラヴロックさん! 男の子が!」

 

「任されました!」

 

 

 怪物を牽制しながら、剛大はキャロルへと声を飛ばす。集団の後列の小さな男の子が一人、こけてしまったのだ。

 集団はそれに気付くのが遅れたようで、少し距離がある。そして、最悪な事に、路地を這って現れた怪物が、狙いを定めている。

 

 手が空いたキャロルが素早く男の子へと駆け寄り、間一髪で怪物の腕を盾で防ぐ。

 

「……大丈夫。絶対に、守るからね。……立てる?」

 

 目に涙を浮かべ震える男の子は、だがキャロルの言葉にこくりと力強く頷き、立ち上がる。

 

「うん、強い子だ!」

 

 優しく微笑むキャロルに見送られ、男の子は列へと戻っていく。 

 瞬間、一度牽制を止め戻った剛大の蹴りが、盾を攻めあぐねる怪物を粉砕する。

 

 

「今の所は大丈夫、ですが……」

 

「はい……数が、多すぎますね」

 

 

 再び前線の維持に戻ろうとする二人の額には、微かな焦りからの汗が滲む。

 これは、まずい傾向だと。

 

 

 突然外が騒がしくなった事に気付いた二人が慌ててホテルの客室を飛び出し合流したのは、幸いにも事が起こったすぐ後の事だった。怪物が湧いた位置の一つがホテルのすぐ傍だったのだ。

 

 『薬』を持ち、外に出た二人を迎えたのは、想像していなかった地獄絵図。

 これは、何だ……などと思う事は無く、二人は同時に、同じ答えに辿り着いた。

 

 

 『MO手術の被術者による、大規模な攻勢』。

 してやられた、というのが最初の正直な感想だった。

 

 最初は、フランスが研究していた得体の知れない生体兵器か何かの暴走、というのも考えられた。だが、それは少しして怪物の動きに一定の法則性がある事で否定された。

 

 時折入ってくる、二人が守っている集団とは別の避難しているグループの情報。混乱状態での噂だ、真偽混じっている……というか殆ど偽のため、どれが本当なのか定かでは無い。だが、複数のグループに共通の情報があったのだ。

 

 怪物は、市民を街の外へ、外へと追いやるかのように出現し、動いていると。

 偶然にも、外に逃げましょう、というふれて回っている人間がいると。

 

 最後の情報の人間が何者なのかはわからなかったが、怪物は何かしらの方向性を持って動いている。即ち、誰かが操っている、もしくは指示のようなものを出せる存在である。

 

 

「情報だけですけど……アタシ、これ、知ってます」

 

 何かに気付いたようすではっと顔を上げたキャロルが剛大に話したのは、アーク計画に関係する最高機密の一端と、アーク計画の優秀な諜報部門が集めた、とある事例。

 

 その前に、語らねばならない内容が一つある。

 MO手術において、たった一人で多数、それも10や20の話では無く百や千、もしくはそれ以上を相手取れる能力とは、何か?

 

 一対多の想定。それは、αMO手術の開発理念の一つでもあった。裏アネックス計画において、ランキング最上位の人間を抱える各国は、この問題に対し共通の答えを出していた。

 

 それが、『広域制圧』。単騎にして軍を相手にするための能力。

 防御困難な、音波による物理的破壊。広域に散布される、臓器不全と記憶障害を引き起こす強毒、数百倍に膨れ上がる事による質量の暴力。触れただけで死の運命から逃れる事が叶わない、毒の触手の結界。

 

 一騎当千、という言葉そのままのそれらの能力を人の身で万全に使用するために、αMO手術は開発された。

 だが、彼ら(・・)は、別のアプローチからαMO手術を、また異なった特殊なMO手術を施した。

 

アタシ達(アーク計画)の、団長さんの一人の話です」

 

 問:一人で大多数を相手にする事の、何が不利で問題なのか? 

 答:数で劣る事。

 

 当たり前の問答。それに対する解決策は、MO手術という技術を用いなければ、矛盾に満ちた、ある意味最もシンプルな、歪んだ回答だ。

 

 『一人で相手をするのが大変なら、一人でなければいい』。

 

 

「『個にして群』。たった一人の身から、軍勢を生み出す能力です」

 

「……!」

 

 何故自分は最初からこの可能性を考慮していなかったのか、と苦い顔をするキャロルと、その意味を察し、唖然とする剛大。

 

 敵は、大規模な軍勢を送り込む事ができない。だが、正規軍も駐留しているこのパリで暴れまわる必要がある。

 ならば、一人から無尽蔵の戦力を確保できる能力を派遣すればいい。

 

「それに、この系統の能力……詳細はわかってないけど、一晩で国を落としています(・・・・・・・・・)

 

 キャロルの、同じアーク計画の人間の情報が一つ。そして、もう一つ。

 つい先日起こった、アフリカのとある国家の消失。大規模なテロともクーデターとも言われたそれの実態を、アーク計画の諜報部は掴んでいた。

 

 何が狙いだ――!?

 剛大とキャロルは、情報を交換した上で考える。

 

 現在、シモンとダリウスというアーク計画、裏アネックス計画の最高戦力とでも呼ぶべき二人が対処に当たっている、アメリカの戦場。糾弾する事ができる確定的な証拠は掴めていないが、ニュートンの一族の人間同士の争いなのだと言う。

 では何故、こちらにそのような能力を持った人間が送り込まれた?

 

 

 それを深くまで考察する暇は、二人には無く。

 目の前の地獄から、人々を守らんと二人は走る。

 

 彼らにとって、パリにとって、一番長い夜は、こうして始まり――。

 

 

 

 

 

「素晴らしい! ……いや素晴らしい!」

 

 キャロルと剛大は、拍手と同時に投げかけられたそれを聞いた。

 このままいけば、何とか軍が救援に来るまでの時間は稼げそうだ。そう思っていた矢先に。

 

 

 まるで鉄砲水のように湧き出した数十の怪物。まずい、と二人が思った直後に、その男は現れた。

 怪物たちが二手に別れて作った、間の道を歩みながら。

 

「こんばんは、勇敢なお二方。今日は月が綺麗だ……おや?」

 

 にこにこと、この状況で心から楽し気に、男は群衆から離れまいとじりじりと後退する二人に対し、明るい声色の挨拶を向ける。次いで、あれ? と首をかしげ。

 

「これはこれは、この間のきれいなお嬢さん! まさか、君がそうだったのか! いやー、あの時に気付けなかったとは、一生の不覚だ!」

 

「……神父さん」

 

 その男は、キャロルへと見知った様子で言葉を投げかける。

 キャロルはそれに対し、微妙な面持ちになり。

 

 

 虹の七色に染まった法衣に、蓮の花を模した司教冠。手には聖典を持った彼は、ゆっくりと二人へと歩み寄っていく。

 

「改めて、こんにちは。U-NASAからの使徒……いや、強き人間の二人。俺はアヴァターラ。アポリエール、知ってるかな? そこの枢機卿を務めている者だ」

 

 敵である事はわかりきっている。だが、最後の根拠が足りない。自己紹介をする男、アヴァターラの様子を慎重に観察し、二人は一定の距離を保つ。

 

 ……いいや、最後の根拠は無くてもいい。この男は、ここで止めなくてはまずい相手だ。

 二人は頷き合い、アヴァターラへ向けて踏み出す。

 

 

「ああ! 君達の勇気に、敬意を表しよう……」

 

 言うやいなや、アヴァターラはその身に『薬』を二本、次いで用いる。

 同時に、アヴァターラの法衣が、ぼこぼこと沸き立つかのように動き回る。

 

 

 

「人為変態――『偽神の芽(アルコーン)』」

 

 先に躍りかかった剛大の毒針は、確かにアヴァターラの頭を捉えていた。

 しかし、その一撃は盾によって食い止められる。

 

 攻撃が通らず、着地した剛大へと向けられる、その防御を行ったものの正体――

 

 

 

 

――それは、アヴァターラ本人の体から何本も生える、今この街を襲っている存在と、全く同じ姿の怪異。

 

 体に、周囲を取り巻いていた怪物が、次々とアヴァターラの体から生える同胞に合流し、融合していく(・・・・・・)

 そして、その体に無数に生えた腕からは、まるで結実するかのように左右それぞれに生物の牙と思われる剣と貝殻のような盾が形成される。

 

 

 アヴァターラの体に接続され、みるみる内に伸び、枝分かれしていく彼ら。

 

 

 

 それは、彼の主が目指す楽園の樹と呼ぶには、あまりにも禍々しい姿であった。 

 

 

――――――――― 

 

 それを、長き時を生きる大自然の生命、大樹と形容すればいいのだろうか。

 それとも、古くから荒れ狂う神の象徴であるとされる河川とでも形容すればいいのか。

 

 

 その姿と生態は、近縁種の外観の雰囲気を残しながら、しかし異形のものへと変じている。

 

 

 深海で、スポンジのような穴あきの構造を持つ宿主の体に、無数に分岐した胴体を伸ばし。

 

 一説ではその体表から宿主の栄養を吸収すると言われ。

 

 その無数の胴を体から切り離し、あるいは百、もしくは千にも及ぶとさえ言われるその先端から芽を伸ばし子孫を残す。

 

 

 

 寄生者という温和な生態の、争いを行わない彼らは、本来であればさして強力な性質とはなり得なかった。

 それは、神に至るための試作体の試作体、ただそれだけで終わるはずだった。

 

 

 だが、白衣を纏った魑魅魍魎に与えられた技術が、それによって編み込まれた争いの中で己を発達させたその近縁種達の力が、無数の落とし子を生み出すその能力を、別格のものへと引き上げる。

 

 

―――これが、偽りの神より彼が賜った、『救済』を成し『試練』を与えるための、そして、『偽神の愛し子の試作体(プロトタイプ)』たる力。

 

 

 

 

 

 

 

 眼前の、彼が試すべき、救済では無く試練を与えるに相応しいであろう相手に意識を集中しながら、枢機卿は、同時にこの場から離れていく群衆にもまた、宣言する。

 

 

「大丈夫だよ――絶対に、救ってあげるから」

 

 

 そういって彼は笑った。周囲を、深い淵に沈めるかのように。彼は心からの良心に従い、だが悍ましく、聖者のように笑ったのだ。

 

 

 

 

「それが、俺がここに来た理由だからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アヴァターラ・コギト・アポリエール

 

 

 

 

 

国籍:イタリア/ローマ連邦

 

 

 

 

26歳 ♂  177cm 68㎏

 

 

 

 

 

 

専用装備:体内内蔵型出芽体形成促進・圧縮再生芽生成、蓄積装置『SYSTEM(システム)Ubbo-Sathla(ウボ=サトゥラ) Proto(プロト)

 

 

 

 

 

 

MO手術ver.『偽神の芽(アルコーン)』"特定部位複合型"

 

 

 

 

 

 

"環形動物型" ギボシイソメ

 

 

+

 

 

"環形動物型" グリセラ・ディブランチアータ

 

 

+

 

 

"古代環形動物型" プルムリテス

 

 

 

 

+

 

 

 

αMO手術"環形動物型"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――カラクサシリス――――――――――――――――

 

 

 

 

 

―――――――偽神の芽(アルコーン)跋扈跳梁(リリービング)




 観覧ありがとうございました!

~用語、キャラ紹介~

東堂大河(贖罪のゼロ)

 拙作のコラボでキャロルとどっちをお借りするかどうか悩んだキャラクター。リーゼントに特攻服という古風な番長スタイルの青年。
 その外見に違わない、カラっとした気持ちの良い性格をしている。
 何故登場していない彼がこの紹介に挙がったのかと言うと、コラボしている三作品で名有りキャラで明かされている中では環形動物型の手術ベースを持つ人間は合計で四人いるが、彼以外は人間不信を拗らせていたり薬物中毒だったりアヴァターラだったりと何かしらヤバい人間しかいないので可哀想、という話である。 

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