深緑の火星の物語   作:子無しししゃも

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第47話です、色々動く回となります。

46話の6日目か、という文章が2箇所、時系列の把握ミスにより間違えていたので修正しました。詳しくは活動報告にあります、申し訳ありません。


第47話  黒い胎動

「恭華……」

 

 乱入してきた少女を唖然と見つめ、その名を呟くヨハン。

 基地に残った人員に当てはまる人間がいない事。ヨハンの名を呼んで助ける、と言った事。二つの理由から、レナートは少女を『裏切り者』に属する人間である、と考え、自身に『薬』を打ち込み変態する。

 

 彼のベース生物である『マルスゾウカブト』の特徴を示していく体。しかし、以前変態した時と異なるのが一部分。

 彼の右脚には、肉を抉ったような痛ましい傷跡が残っていた。そこは甲皮が生成されず、包帯とその内に覗く肉がそのままとなっていた。

 

 アナスタシアに埋め込まれた寄生虫を排除するため、ヨーゼフの言葉もあり、足の肉を削って対処したのだ。脚を失う、というところまではいかなかったものの、その動きには大幅な制限がかかる状態。

 そして、レナートの戦士としての勘が語っている。この少女は手負いの自分が考え無しに殴りかかって勝てる相手ではない、と。

 

「なんだ、手負いじゃーん。ヨハン君、とっとと二人共始末しちゃおうよ」

 

 少女の声とその仕草からは、ヨハンに疑いを持っている様子は見られない。ヨハンは当然のように自身の仲間であり、裏アネックスを始末する任務を遂行中であると考えているようだ。

 

「……すまない、私は彼女を地球に帰そうと思っている」

 

 先ほどまでヨハンに膝枕をして頭を抱きしめていたため座った状態のエリシアに目を向け、ヨハンは苦しげに恭華に返答する。

 

「へ? ……うわっ、"三位"!? わ、本当に先生そっくり! プチ先生、って感じ? かわいー」

 

 これまではヨハンと変態したマッスル、後はもう一人いる、程度に室内の状況を認識していたのか、ヨハンの目線を追って初めてエリシアの姿をはっきりと見て、恭華は幹部搭乗員であるエリシアがこの場にいた事に驚き、そのすぐ後にその見た目に関して感想を黄色い声で述べている。

 

 当のエリシアは押しの激しい恭華にびくり、と体を震わせる。本来ならば変態して即座に迎撃する所なのだろうが、衰弱が激しいのか、別の理由があるのか、それは出来ない様子。

 

「わぁ小動物……なでなでしたい……それはともかくとして、ヨハン君、この子の側に付いちゃう系?」

 

 恭華はそんなエリシアに向けほんわかした表情をしつつ、ヨハンに向き直り、その意思を問う。その瞳には、うっすらと怒りの色が浮かぶ。

 どう答えたものか迷うヨハンであったが、すぐさまその回答を伝える……

 

「恭華、君はまだ知らないのだろうが、ドクターは「うるさい馬鹿! 問答無用! ヨハン君の裏切り者! ロリコン!」

 

 ……が。

 ヨハンが自分が裏アネックスの側についた理由を説明しようとしたそれを最後まで言う前に、恭華の左手が大鎌に変質し、それでヨハンに襲いかかる。元々自分達が裏切り者、だというのに当の仲間に裏切り者、と呼ばれる機会が来ようとは。複雑な気分になるヨハンだったが、このまましてやられるわけにもいかず。

 

 幸い、今のところ恭華が狙っているのは自身だ、とヨハンはαMO手術の専売特許、薬未使用時の部分的変態で右腕に針を発現させ、それを正面から受け止める。

 

「待て、話を――」

 

「バイロンもジェネジオのおっさんも死んじゃったじゃん! もう残ってるのヨハン君と先生だけじゃん! なのにヨハン君まで行っちゃうの!? 先生はどうなるのさ!?」

 

 訴えるように、『薬』を首に刺し、さらに右手まで鎌に変質した腕で、恭華はヨハンに隙を与えず猛攻撃を加える。

 

「やらせねえぞ!」

 

 それに横入し、恭華にタックルを繰り出そうとするレナート。

 

 迎撃に蹴りを繰り出す恭華。その足先に生えているのは、針状の器官。

 レナートはそれを腕を盾にして受け止める。突き刺さりはしたが、致命的な傷ではない。

 

 相手は足を動かせない状態となった。この隙に拘束していしまえば。

 その後の計画を考えていたレナートの腕、恭華の足先の針が刺さった部分から、液状のものが送り込まれてくる。

 まずい。何かはわからないがとにかくマズイ。危険を感じ取ったレナートは、即座に計画を変更し、力任せに針を引き抜く。

 

「……ッあ…‥!」

 

 その腕に襲い来たのは、激痛だった。肉が溶かされでもしているかのような感触。事実、甲皮の中の肉の感覚が痛みと共に徐々に失われていく。

 

「!」

 

 恭華がレナートに構っている隙を突き、ヨハンが変態しその毒針を恭華の首に突き刺そうとする。

 

 彼女の戦闘能力はアナスタシア麾下の自分達四人の中では自身のホームグラウンドでは最強を誇るが、一般的な戦いでは戦闘を本業としない自分よりは勝るもののバイロンとジェネジオに比べると劣る。

 そして、そのホームグラウンドとは人間対人間の戦場にはあまり選ばれない場所である。

 

 地上戦であれば、レナートの補助もある今ならば。そう考えるが。

 

 ヨハンの目の前から、恭華の姿が消える。

 即座にそれを認識し、彼女の『能力』で移動する事が可能な場所、上を見る。

 小山の内部を掘り抜いた基地だ、そこまで高い天井ではない。だが、それでも分解して組み立てるのが難しい種類の大型の通信機材の持ち込みなどの都合から、ある程度の高さは確保されている。

 

 目線を上げたヨハンの両肩が、鎌によって掴まれる。その先端は肩の背部に突き刺さり、甲皮を貫きしっかりと固定されているという状態、そしてその姿勢からすれば当然、目前にある恭華の顔。その背には、開かれた翅。

 

「ちゅーってしてあげる、ヨハン君。殺す方は入れないから安心していいよー」

 

 

 

 

――――生物達が競争を繰り広げる戦場。それは、地上、空中、そして。

 

 

 

 水中。そこに、ある昆虫が存在する。

 

 

 鎌で獲物を掴み、消化液を流し込み体を溶かし、その身を啜る。

 

 

 それそのものは、大した事ではない。そこを生活圏とする昆虫ならば一般的に行う事だ。しかし、その昆虫は。

 

 

 その機動力と卓越した水中戦能力で、昆虫にとっては天敵である『蛙』や装甲に身を包み鋏で武装した『ザリガニ』さえも食らい。

 

 

 そんな昆虫が、地上に這い出る。自らの適応した戦場を離れたその昆虫を喜々として狙う、『蛇』や『鼠』。

 

 

 彼らもまた、時としてこの虫の胃袋に収まる事となる。

 

 

 そして、繁殖期となれば伴侶を求め、この虫は積極的に空を舞う。その飛行能力、蜂にも劣らない程のもの。

 

 

 

 水、陸、空。その全てが、この生物の行動圏である。

 

 

 

 

籠橋 恭華

 

 

国籍:日本

 

 

17歳 ♀ 161cm 53kg

 

 

αMO手術"昆虫型"

 

 

 

 

――――――タガメ―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 消化液と麻痺性の神経毒。それを注ぎ込み、獲物の動きを止めた後ドロドロに溶けたその肉を啜るという食事方法。それは、MO手術被術者戦においても強力な武器となる。

 

 恭華が毒を打ち込めるのは脚に移植されて能力使用時に発現する口吻と、経口によるもの。

 前者は毒の輸送機構を元々の生物とは違う部位に移した結果生じた不具合で制御が難しく、注ぎ込む際にどちらか片方のみを、というのは不可能である。ならば、恭華がやろうとしている事は。

 

 ヨハンは迫る恭華を前にして必死で考える

 まずい、このままでは無力化される。怒ってはいるものの、恭華は自分を殺す気は無いようだ。その怒っている理由を考えれば当然と言えるが。怒りのままに殺そうとしていない辺りある程度の思考はまだある。説得できるか。いや、間に合わない。このまま自分が倒れれば、残るのは既に麻痺毒と消化液を打ち込まれ、それに加え既に傷を追っているレナートと、『薬』を使えない程に弱っているエリシア。二人は殺されてしまうだろう。

 

 

「……えいっ!」

「……へ……?」

 

 突然、恭華の足首が掴まれる。またあのオッサンか、邪魔くさい、先に殺しとくか、と恭華はその手の主を見て。直後、二つの理由で驚きの表情を見せた。

 

 一つ目、その手はレナートのものではなく、細く弱弱しい子どものものであった事。

  

 二つ目。

 

 

 

「あだだだ!? えっちょっこれありえなっ……」

 

 その足に走り、そこから昇ってきて全身を覆うような激痛。

 それに耐えきれず墜落し、恭華は転げまわる。しかし、その動きはすぐに止まる事となった。

 

 

「痛ぁー!?」

 

 ヨハンが毒針を恭華の腹に突き刺したのだ。『オオベッコウバチ』の毒は致死性のものではなく、獲物の動きを止めるためのもの。しかし、毒を打ち込む前段階のその針が刺さる痛みはそのままである。

 

 

「くぅぅ……マジありえないんですけど……殺せぇ……」

 

 歯ぎしりする恭華を見下ろすのは、ヨハンとエリシア。

 確かに、エリシアは『薬』を用いた全身の変態を行えるまで体力が戻っていない。だが、一部分だけであれば。

 それによって殺さないが自由を奪える程度には強力な『アナサンゴモドキ』の刺胞を刺し、横から攻撃したのだ。

 

「え、っと、殺しはしません……その……」

「こちらの事情を聞いてもらいたい」

 

 そんな恭華に、同僚であった元『裏切り者』幹部と裏アネックス幹部搭乗員は、一つづつ現状を語り始めた。

 

―――――――――――――

 

「……俺、UMAファンだって言ったの一回だけなんだけどな」

 

 俊輝は拓也のベース生物の正解に既に辿り着いていた。

 電撃と赤黒い体表。世界の未発見生物、というようなものが大好きだった俊輝は、『モンゴリアン・デス・ワーム』が新種として発見された時には小躍りして喜んだものだ。

 そのため、種としての特性も理解していた。

 

 電気と強い力。それに加えて、毒液を吐く能力がある事は容易に予想できる。

 

 だから、拓也が戦闘中に不自然に口を開けた時に何をしようとしたのか察知し、回避する事ができた。

 

 

「……」

 

 渋い顔の拓也。

 拓也の腕に残った刃の傷。そこから流れ出る血は既に止まり、さらにはじわじわと再生が始まる。

 俊輝が知っていたのは、『ゴビサバクオオチョウムシ』としての能力ではなく、『モンゴリアン・デス・ワーム』としての能力。ミミズの多くの種が持つ再生能力までは知らなかったが、これでまた情報が一つ。

 

 

「……聞かせてくれ。なんで、第二班(ウチ)の宇宙艦に乗り込んだ?」

 

「答える意味も無い事だな」

 

 疑問を投げかける俊輝と、それに取り合わない拓也。

 拓也の体表に電気が這い、まるで発光でもしているかのような状態となる。そのまま、俊輝にむけてその腕を振るう。

 

 電気を纏った一撃。受ければ、その腕力に加えて電気による体内の損傷が蓄積する事になる。

 避けなければ、と俊輝はその攻撃方向を読み、身をかわす。

 

 空ぶった拓也の腕。しかし、そのもう片腕を見て俊輝の顔に焦りが生じる。

 その手には、『雷機雷』が握られていた。

 

 『雷機雷』は中国が極秘で手に入れたアネックス計画ドイツ・南米第五班班長、アドルフ・ラインハルトの専用装備、対テラフォーマー受電式スタン手裏剣『レイン・ハード』のデータを元にゴビサバクオオチョウムシの能力に合わせた形で設計されたものである。

 本家が可能とするレールガンの原理を用いた高速の投擲こそ不可能ではあるが、電気が弱く遠距離戦を苦手とするゴビサバクオオチョウムシの能力を補助するため、電気以外での攻撃方法として電気信管を用いた起爆装置とそれにより毒液を飛散させるカプセルを一つに纏めて配置している。

 

 

 本来は接近戦で用いるものではないのだが、ただの飛び道具として牽制に使用する事は普通に可能であり、敵からは毒液が充填されているか、電撃を放てる状態なのかわからないため、対策を余儀なくさせる事ができる。

 

 回避動作をとった直後で不安定になった姿勢でさらに投擲された『雷機雷』を避け、俊輝は体をよろめかせる。

 

「その程度か、"9位"」

 

 ふらつきながらも立ち上がる俊輝に追撃を加える事もなく、拓也は放電を止め、せせら笑う。

 再びそのコートの裏から『雷機雷』を取り出し、挑発するかのようにその先端を俊輝へと向ける。

 

「ああ、この程度だよ、俺は!」

 

 言い返すや否や拓也に向けて突貫をかける俊輝。中距離以上の戦闘距離での勝ち目はゼロだ。俊輝の攻撃方法は、その辺りに転がっている石を投げる事くらいしかない。

 

 ならば接近戦、であるが、自身の体に纏わせる電気、強靭な筋肉、傷を即座に修復する再生能力、とそちらでも勝ち目は薄い。

 

 

「……はっ、無謀だな」

 

 しかし、拓也はその身に電気を纏う事なく、正面から俊輝と殴り合う。

 俊輝が振り上げた右の刃を掴み、力任せにへし折る。その過程で刃に触れた手のひらから血が噴き出すが、再生能力に頼りそのまま次の攻撃に移る。

 次は左だ、と横薙ぎに刃を振るう俊輝。それに対応し、その左腕を受け止めようと手に持った『雷機雷』を捨てる拓也だったが、俊輝の狙いに気付き、それを止める。

 

「がっ……!」

 

 代わりに、拓也はその無防備になった腹に膝蹴りを打ち込む。姿勢が蹴りに最適なものではないため、そこまで威力が乗っているわけではないが、筋肉の塊であるゴビサバクオオチョウムシの特性が加わり、俊輝の体が浮き上がる。体勢が崩れ、その振られた左腕は明後日の方向に。

 拓也がそこで確認したのは、先ほど刃を折った右腕。そこには、金属部品でコーティングされた鉤爪があった。

 大振りの刃は牽制。本命は、一度無力化したと思いこませていたこちら。

 

 やはりな、と拓也は崩れ、両手で腹を押さえてうずくまる俊輝を見下ろす。

 誰か手が空いている人間、と周囲を見回し指示を出そうとした拓也は戦いが激しくなるばかりなのを見てそんな暇なヤツはいないか、と苦笑し、取りあえずは脚を折って艦の中に転がしておくか、と俊輝に再び目線を戻す。

 

「おいおい、せっかく一対一(タイマン)で仲良くやってるってのによそ見すんなよ」

 

 そこには、既に立ち上がった俊輝。

 想定外の事に動揺が走るが、即座に復帰し拓也はその身に電撃を纏おうとする。これまでの戦いで少し発電器官が疲弊したのか放電までに遅れが生じるその電撃の準備体勢と同時に脳内を駆け巡るのは、思考という名の電気信号。

 痛みで倒れていたのはフリだった? いや、口から血を流し、腹も少しひしゃげている。骨も折れただろう。なのに、何故立つ!? お前にそこまでして国や世界に尽くす理由などないはずだ。班員どもも、自分が倒した武が死なない状態でまだ放置されているのを見れば殺さず捕虜にする、という事が理解できるはずだ。何故そこまでして踏みとどまる!?

 

 そんな動揺と、それによるわずかな放電の遅れ。

 その隙を逃さず繰り出されたのは、右腕による拓也の腹への一撃。

 突き刺さる感覚を覚えた拓也だったが、専用装備の威力を乗せた鉤爪の一撃か、深くは達していない、いくらでも再生できる、と取り合わない。

 

 いくらでも再生できる。そう、それだけなら。俊輝が素早く右腕を引き抜いたにも関わらず、拓也の腹に残る異物感。

 

 何だ、と自身の腹を見る拓也。

 

 

 

 そこには、『雷機雷』が刺さっていた。

 

 

 拓也の顔色が、変わる。

 

 

 ゴビサバクオオチョウムシの放電を自身が耐えるシステムは、表皮の絶縁性と発電箇所付近と栄養を貯めこむ、重要器官を覆うように存在する脂肪に近い成分によって成り立っている。

 

 

 だが、導雷針を体に刺された。発電能力に制限を加え体への負荷を和らげる安全装置も、絶縁性の皮膚も、脂肪状の栄養貯蓄器官も、それに対する防御とはなり得ない。

 

 体表を走る電気が、全てそれに吸収され、体内に送り込まれる。

 

 

 そして、『雷機雷』の機能によるごく小規模の爆発。

 

「がああぁぁッ!」

 

 

 内臓が焼かれる感触に加え、ごく小規模とはいえ爆発により腹を守っていた筋肉が焼け焦げる。

 

 

 勿論、少しは距離が空いていたとはいえ爆風を受けた俊輝も無傷では済まない。

 

 だが、それを厭わず俊輝は前に進み、刃を折られた右の手で、拓也の顔にストレートを打ち込む。

 

「お……がっ……はぁ……」

 

 内臓を、表皮を焼かれ、その状態で渾身の一撃を受け。それでも拓也は立ち上がる。

 じりじりと再生が始まる表皮、だが、ダメージを受けている事は明白。

 

 あの時、腹を押さえてしゃがみこんだあの時、既に持っていたのだ。ただ痛みによるもの、というだけではなく。自身が捨てた『雷機雷』を。

 拓也の思考が、赤色に染まっていく。それは、怒り、とはまた別の感情で。

 

 

 

 

 

「やってくれたな、俊輝ィィ!」

 

 抑えきれない笑みを浮かべ、拓也は腹に刺さった『雷機雷』を引き抜き握りつぶし、雄叫びを上げる。

 その目に、他に戦っている班員は映らず、ただ目の前の好敵手(ライバル)を見据えるのみ。

 

 

 

「ぶっ倒してやるよ拓也ァァ!」

 

 そんな指揮官としては失態も失態の拓也を正面に捉え、俊輝も叫ぶ。

 

 

 

 そして、再び、両者は激突する……かに思われた。

 

 

 

 

 

 ボッ

 

 

 

 

 

 

「……ああ?」

 

 

 

 拓也の左腕が、突然引きちぎれ、地に落ちる。

 

 

 

「!? 中国の人、後ろ、後ろ!?」

 

「はぁ? そんなバカみたいな罠にひっかか……っう!?」

 

 

 静香とドッグファイトを繰り広げていた鈴の羽が、何者かにいきなり掴まれ、ごきり、という音と共に折られる。

 

 

 

 

「じょう」

「じょうじ」

「じょうじょうじ」

「じじ」「じょうじょう」「じょーじ」「じょう」「じょうじ」「じょうじょう」「……じじょうじ」

 

 

 

 

 『アネックス1号』支援部隊派遣計画、現地での遂行開始から7日目。

 彼らは、黒い絶望と本格的な遭遇を果たす事となった。




観覧ありがとうございました。

ベース紹介の直後に制圧されるという若干のイザベラみを感じる恭華は以前のプロットではダリウスのかませで一瞬で死ぬという現行より悲惨なことになっていました。
この小説を読んでいただいている水生昆虫ファンの皆様は今後の活躍にご期待ください。

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