【完結】CombatZone   作:Allenfort

82 / 93
さて、新しい小説を書くのは今か、それともこれが終わってからかと悩んでおります!

それでは本編をどうぞ!


File13 援軍

ポセイドンへ帰還して3日。バルチャー、ヴィンペル、ジャッカル、ユニオン、ベッカーはモリソン将軍から呼び出しを受けていた。

 

「今日呼んだのは他でもない。『円卓の騎士』の異名を持つ君達で小隊を組み、SGSに資金を出している富豪を捕まえてきてほしい。これは国連からの命令だ。今頃出しゃばりおってあの無能ども・・・」

 

モリソンは文句を言いながらも、地図を出して指示する。

 

「いいか、今回はロシア南部の渓谷を越え、草原をブチ抜く幹線道路、その先の豪邸を目指す。警備は手薄との情報だが・・・念のためバッグアップは用意する。ベッカー、お前が小隊長だ。」

 

「Yes,sir.小隊は・・・メメントモリ小隊でよろしいでしょうか?」

 

「なんでもいい。作戦は2週間後だ。ポルナレフ大統領には話を通してある。今のところ、ロシア国内で3回はドンパチやるくらいの貸しがあるしな。」

 

その日は解散となった。初夏の新緑を楽しむ暇もなく、彼らはまた戦場へと赴く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

 

「なあ、俺のロッカーにカミソリレターが入ってたんだが・・・」

 

函南は食堂で昨日組んだばかりのメメントモリ小隊のメンツと昼食を摂っている時に切り出した。指に絆創膏を貼っている。

 

「カミソリレター? なんでそんなもんが?」

 

キリルはボルシチを口に運ぶのを中断して問いかける。

 

「それに、意味わからない手紙つきだ。」

 

「見せてみろ。」

 

ヴィクトルがその手紙を読む。

 

「えーと、『貴様は士官でありながら女性にうつつを抜かし、風紀を乱す恐れがあると判断。ここに断罪する。 軍内風紀是正委員会より。』おいこれはまさか・・・」

 

函南が巫女と仲良くなったという話は昨日のうちにポセイドン中に広まっていた。それにより、独身の兵士達が危機感を抱き始めたとか・・・

 

「まさかの・・・リア充を憎む会だと!?」

 

ウラッドが声を荒げた。

 

「ウラッド、その『リア充を憎む会』って?」

 

函南の問いにベッカーが答える。

 

「『軍内風紀是正委員会』と言う名の非正規部隊。通称、『リア充を憎む会』。リア充に嫌がらせをしまくるクソッタレ集団だ。ポセイドン七不思議の一つだったんだが、実在とは・・・」

 

「リア充じゃねーってのに全く・・・」

 

余談ではあるが、前のバイオテロの時にもリア充を憎む会が暗躍し、モリソンによる大粛清(インタビュー)が行われたとか・・・

 

ちなみに、モリソンの『守るものがある者は強い』という考えから、TF148海兵隊では恋愛OKということになっている。節度を持てるなら。

 

「これは、近いうちにまた大粛清かな・・・」

 

アランは苦笑いを浮かべながら呟いた。のちに、モリソンに報告したところ、一ヶ月後にはマクスウェル中佐以下50余名が関与していたと判明。アランの予言通り大粛清(インタビュー)が行われ、さらに七不思議の一つ、『特別反省室』へ送られることとなったとか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2週間後

 

7/6 10:00 ロシア南部 渓谷

 

 

敵の待ち伏せに備えて小隊は二手に分かれて合流地点へ向かっている。函南はアラン達ジャッカルとともにグロウラーに乗って先へ進んでいる。

 

鷹見の運転するグロウラーの後ろにはヘンリーの運転するグロウラー。アランがダルそうに銃座に立っている。ベッカーとユニオン、ヴィンペルは既に合流地点へ到達しているとのことだ。

 

辺りは木々に覆われ、地面はデカい岩があったり隆起していたり、道路はその間、谷間のようになっているところを走っている。

 

「にしてもよ、グローバルリスクの狙いはなんなんだ?」

 

長谷川は銃座に着いたまま言う。

 

「わからない。だが、今回動いたPMCがなぜ国連を狙ってるのか調べる必要があるな。」

 

鷹見がそう言う。その瞬間、グロウラーのボンネットに銃弾が命中した!

 

「敵襲! 林の中!」

 

長谷川はそう叫ぶと迷わずM2で敵兵を狙って撃ちまくる。

 

「ガンナー以外は降車して応戦! 始末するぞ!」

 

函南はそう叫んですぐにグロウラーから近くの木の裏に移動し、攻撃を開始。鷹見と宮間、ジャッカルの面々も応戦する。

 

「12時方向!移動中!」

 

函南が敵の位置を伝えると、宮間はAN-94のトリガーを引き絞り、走っている敵兵の大腿部を撃ち抜き、その場に倒す。そこへ函南がトドメの一撃を食らわせ、射殺する。

 

函南はすぐに他の敵へ狙いをつけ、撃とうとしたまさにその時、その敵が頭から血を吹き出して倒れた。

 

「鷹見め、人の獲物を取りやがって・・・」

 

仕方ないと他の敵を狙い、撃つ。8人から攻撃を受けた敵部隊は割とあっさり壊滅した。どうやら、林の中で待ち伏せしていたようだ。

 

「よしクリア!」

 

「あー、函南。悲しいお知らせだ。さっきの銃弾でエンジンのクランクが死んだ。オマケにラジエーターも冷却水が漏れてる・・・」

 

「どうする?」

 

「あと1kmだ。走ろう。」

 

結局、バルチャーは徒歩で移動する羽目になった。今日は厄日だと4人は心の中で思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メメントモリ・リード!第二陣、ただいま参上!」

 

函南はアラン達とベッカーの元へ駆け寄る。

 

「おう祐介。グロウラーはどうしたんだ?」

 

「それが・・・」

 

「報告致します少佐。敵の銃撃でエンジンのクランクとラジエーターがぶっ壊されたため、走行不能であります!」

 

函南に変わってメカニックの長谷川が報告する。

 

「災難だったな。とりあえず・・・あれを見ろ・・・」

 

ベッカーが指差す空を見上げると、ろしあせいと思われるレシプロエンジンを積んだ輸送機の大群が部隊を降下させていた・・・

 

「マジかよ・・・ヴィクトル、距離は?」

 

ウラッドはヴィクトルに問う。

 

「着地地点はおよそ5km。こっちに向かってきてる。話が違うぜ・・・」

 

「フォートレス、メメントモリ・リードだ。敵の大部隊、恐らく一個連隊規模が降下中。現在の戦力では対抗不能。指示を請う、オーバー。」

 

「メメン・・・ド、現・・・日・・・連合・・・待機・・・オー・・・バー・・・」

 

「繰り返せフォートレス! 通信が乱れてる! 繰り返せ!」

 

「無駄だベッカー。あれを見ろ。」

 

長谷川は空を指差す。そこには、EA-6Bブラウラーが飛んでいた。

 

「奴ら、あんなもんまで持ってるのか!?」

 

ベッカーは驚愕の表情を浮かべる。

 

「・・・ベッカー、お客さんが来るぞ。」

 

ジェームスが指差す先、稜線から敵兵がわんさとやって来た。一個小隊で相手するのは幾ら何でも無理があるだろう。ここは203高地かよと函南は思った。

 

「ベッカー、これって国連からの出動命令だよな?」

 

「だとしたら?」

 

ジェームスはしばらく考え込んだ後に一つの結論に到達する。

 

「・・・俺達をここで葬る気か?」

 

「どうしてそんなことを?」

 

「考えても見ろ。前のパンデミックの時、各国は水面下でTF148を結成した。国連なんて無視してな。それで、本来、平和維持のための軍である国連軍の仕事を俺らがやって有名となり、初動でモタついてロクなことが出来ずに壊滅的被害を追った国連軍・・・」

 

「とどのつまり、権威を取り戻すために、精鋭部隊をわざと壊滅させ、そこで国連軍が奴らを制圧ってか? ふざけやがって! こいつら(仲間)の命をなんだと思ってやがる!」

 

「まあ待てベッカー。これはあくまでも推論だ。問題は、目の前の奴らをどうするか?」

 

「せめて通信が繋がれば・・・」

 

ベッカーは忌々しそうにブラウラーを見つめる。そして、とうとう敵が2km圏内に入った。

 

「・・・腹をくくろう。いいな?」

 

ベッカーはとうとう覚悟を決めた。命令なしに逃げるわけにもいかず、ここで玉砕覚悟で突っ込むしかないと。

 

「・・・やってやろうぜ!」

 

「ああ。年下がそんな勇ましいこと言ってるのに、いい年した俺らが逃げるわけにも行かないよな!」

 

函南とアランは覚悟を決め、他の面々もやるしかないと、腹をくくる。

 

その時、雲ひとつない青空を、1つの白煙が切り裂いた。不可視の距離から放たれたそれは、音を超える速さで飛翔し、ブラウラーのエンジンに命中した。04式空対空誘導弾だ。

 

次の瞬間、砕け散るブラウラーの横を一機の戦闘機が通り過ぎていった。翼には赤い日の丸。

 

「なんだあれ? F-22は日本に売ってないし、小さすぎる?」

 

ジャックはその機体を見て首をかしげる。

 

「あれ・・・F-3!?」

 

鷹見が声を荒げる。

 

「試験中じゃなかったのか!?」

 

Tu-50、F-22がその後ろに続き、前方の輸送機を次々と撃墜していく。

 

「ど、どうなってるんだ!?」

 

ベッカーが混乱していると、無線が回復したようで、ヘッドセットから聞き覚えのある声が聞こえる。

 

「こちら日本国自衛隊、統合幕僚長の川口洋一郎だ。聞こえてるかね円卓の騎士達よ。」

 

そう、第6艦隊で副官をしていた川口大佐改め、川口統合幕僚長だった。

 

「ちょ、大佐!? いや、統合幕僚長!? 今どこです!?」

 

「おう、その声は我が国の誇り、函南少尉殿ではないか。君達の真上、E-767だ。モリソンの頼みもあって、米海兵隊とロシア軍と一緒に助けに来た。国のトップ助けてもらったツケ、ここで返させてもらうぞ。今から指揮をとる。」

 

「いや・・・それはいいんですけど、直々に前線に出てこられてよろしいのですか?」

 

「構わん。昔の血が騒ぎおってな。少し話したいこともあったしな。それに無理言ってF-3をロールアウトさせたから、それをこの目で見たかったってのもあるがな。」

 

自分の周りにはにはどうしてこうも武闘派が多いのかと疑問に思う函南であった。

 

「さて、敵はうじゃうじゃいるな・・・そこで待機していてくれ。もうすぐ部隊が合流する。」

 

すると、LAV-25とBTR-90が現れ、次々と兵員を降ろしていく。

 

「よう! お困りのようだな!」

 

「ったく、スペツナズで十分だってのに・・・」

 

「おいロシア、今のは聞き捨てならねえな。米海兵隊(うち)とそっち、どっちが戦果挙げられるか勝負するか?」

 

「乗った。」

 

どうやら、自衛隊は航空戦力しか出していないようだ。理由は、あまりにも急な話だったので、陸上部隊の編成が間に合わなかったとか・・・


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。