移動中とかにもチマチマ小説の下書きをしながら楽しもうと思います。
それでは本編をどうぞ!
朝の5時。函南はいつも通り目を覚ます。とはいえ、トレーニングしようにも朝っぱらから物音を立てたら他の人に迷惑ということで、少しだけ境内を散歩することにした。
参拝客用の入り口に置いてあるタクティカルブーツを履き、外に出る。すると、箒で境内を掃いている青葉がいた。
「おはよう。えーと・・・青葉。」
「おはようございます祐介さん。早いですね。」
「俺っち5時起きだからな。」
「おじいちゃんみたい。」
青葉はそう言って笑うが、函南には結構ダメージが入っていたようだ・・・
「俺・・・まだ17歳なのに・・・」
「え!? 2つ上!? もっと年の差あるかと・・・」
函南は童顔ではあるが、兵士ということもあり、もう少し年を取っていると青葉は思っていた。(ちなみに、函南は7月生まれなのであと2ヶ月ほどで18歳になる)
「本当に17歳だ。身分証見てみるか?」
「いえ・・・」
函南は少し伸びをする。朝日が眩しく、少し目を細める。
「俺も掃除手伝うよ。」
「え? いや、いいですよ。」
「いいからいいから。しばらく厄介になるんだし、このくらいはな。」
「足は大丈夫なんですか?」
「なんとかな。」
函南は箒を見つけ、手に取ると掃除を始める。ポセイドンの清掃当番をやった経験が活きる。
「上手いですね・・・」
「慣れてるからな。」
「男の人って掃除とか出来なそうで・・・」
「特殊部隊たるもの、これくらい出来なくてどうする?」
「特殊部隊ってすごいですね・・・」
青葉は函南の肩のエンブレムを眺める。
「鳥?」
「鷹だよ。紅い三日月に飛びかかる鷹。俺の率いるバルチャーチームのエンブレムだ。」
函南は喋りながらも手際良く参道を掃き清める。
「青葉、こっちは終わったよ。」
「え? もうですか!?」
青葉も慌てて自分の分の掃除を終わらせようとし、巫女服の袴を踏んづけて転んでしまう。
「きゃっ!」
「おいおい・・・大丈夫か?」
青葉は函南が差し出した手をとって立ち上がる。
「服が・・・」
青葉は巫女服についた砂埃を払う。
「おっちょこちょいだなぁ・・・」
「むー・・・神主様にも言われましたよ・・・」
青葉の膨れっ面に函南は思わず吹き出す。
「まるで本当の兄妹だな。」
目を擦りながら現れた仁が声をかける。
「おはようございます神主様!」
「おはようございます。」
2人は仁に挨拶する。
「おはよう。函南君、もう動いて大丈夫なのか?」
「足はなんとか。傷は浅いから大丈夫だと思います。」
「そうか。」
それから1時間後、掃除は終わり、朝食の支度。函南は手伝いを申し出たが、やんわりと断られ、居間で待機した。
服装はBDU。腰には常にMk.23を入れたホルスターを装備している。
朝食後、間近で兵士を見るのが初めてな巫女の方々に質問攻めにされたり、BDUを引っ張られたりしながら待つ。函南の腕に青葉がぶら下がるという余興もあった。(函南はガタイがいい)
「すごーい! ビクともしない!」
今は腕相撲で勝負中だ。鍛えてる函南が華奢な巫女さんに負けるわけもなく、連戦連勝(かなーり手加減しているのだが・・・)
そして、9時くらいにはそれぞれの持ち場に散ってしまい、函南は何もしないでいるわけにはいかないと、神社の中を掃除することにした。
掃除といっても、そんなに大掛かりなことではなく、床を雑巾掛けするくらいだが。
奥からは神主の祈祷の声が聞こえる。何と言っているかはよく分からなかったが。
その頃USSポセイドン
USSポセイドンはしばらく補給のために横須賀基地に停泊している。補給の間も函南の捜索は続いていた。
「・・・ビーコン反応なし。バッテリーが外れてるのか?」
クルーが函南のタックゴーグルの反応を探すが、一向に見つからない。
「仕方ないな。捜索部隊を出して山狩りと行こう。」
ギャリソンは冷静に指示を出す。函南が死んでいるとは毛頭思っていないからだ。
「あのアホ・・・心配させやがって。暇な奴を捜索に出すぞ。」
捜索部隊を即座に編成し、翌朝に出撃することとなった。
その部隊が厄介事に巻き込まれるのはまた別の話だ。
萩月神社
この時期、神社では夏祭りに備えて準備を進めている。色々必要な物があるので、その用意を1、2ヶ月前からしているのだ。
函南はその手伝いをしている。
「青葉! これはどこに運ぶ?」
「納屋に仕舞っておいてください!」
周りでも他の巫女達があれこれ運んでいる。函南は主に重い荷物を運ぶ役目を仰せつかっている。普段は仁が運んでいるらしいが。
「にしても、兵士って本当に力持ちなのねー! お姉さん感心したわ〜♪」
巫女の一人が函南の頭を撫でまわす。
「わ!? ちょ!!」
「おやおや〜、意外と可愛い反応するじゃないの〜♪」
「あ、面白そう! 代わって代わって〜」
「順番!」
「遊び道具にしないで〜!」
とはいえ、函南も満更でもないようだが。
萩月神社は近くに村があるが、途中の道が舗装されていない上に森の中を通るので、祭りや初詣など、イベントが無い時にはあまり参拝客が来ない。そんな暇を持て余した巫女達にとって、函南は格好の獲物だった。
「お前ら・・・仕事はまだ残ってるぞ?」
仁が函南の救助に乗り出す。その仁の一声で巫女達は仕事に戻っていく。
(・・・なんだったんだ今のご褒美?)
「ところで函南君、ちょっと頼み事をしてもいいかい?」
「ええ。次は何を運べば?」
「いや、護衛と言った所かな。青葉を村におつかいに行かせるのだが、最近熊やら猪が途中の道に出るようになってね・・・頼めるかい?」
「いいですよ。」
ただ、熊や猪のように毛皮や皮下脂肪がしっかりしている動物に5.56mm弾は効かない。.45ACP弾なんて尚更だ。万一の時はククリナイフで白兵戦を挑むことになるだろうと函南は覚悟を決めた。
一時間後、函南は青葉と森の中を歩いていた。
「すみません、お手数かけちゃって。」
「いやいや、このくらいどうってことないし、青葉には助けられたからこのくらい当然だ。」
函南はどうせ効かないし村に行くには目立ちすぎるとG36Cを神社に置いて、Mk.23だけ持ってきていた。服も仁から借りたジーンズと灰色のシャツだ。
その辺りにはローター音が響いている。
「ヘリコプター?」
「いや、この音はオスプレイだな。俺を探しているのか?」
函南は何度かオスプレイに乗った事があり、ヘリコプターかオスプレイかローター音で聞き分ける事が出来る。
「探してるなら、山を下りなくていいんですか?」
「こう言う時は下手に動かないで救助を待った方がいい。捜索隊と行き違いになるかもしれないしな。」
その時、茂みが動いた。函南がその方向を見ると、そこには熊がいた・・・
「青葉、しゃがめ。騒ぐなよ?」
函南は冷静に指示する。青葉はそれに従って静かにしゃがむ。
熊は立ち上がって周囲の匂いを嗅ぐ仕草をした後、のしのしと森の中へ戻って行った。
「・・・行ったな。」
「見つからなかったんですか?」
「ああ。熊に会った時は下手に刺激せずにゆっくり後ずさりするのが正解だ。大声出すと逆にやられる。」
進路の安全を確認した2人は村に向かって歩いて行く。
さてさて、12月7日にCombatZoneは1周年を迎えます!
函南「長かったような短かったような・・・そこで、1周年記念に何しようか主が色々考えてるものの・・・」
案がなかなか出ないので、活動報告やメッセージでリクエストを募集します!期限は11月15日まで!
函南「何やらされることやら。それでは次回もよろしく!」