【完結】CombatZone   作:Allenfort

67 / 93
これでCombatZone完結となります!

それでは本編をどうぞ!


Epilogue 兵士達の選択

USSポセイドン CIC

 

 

俺達は帰還後、モリソン将軍に呼び寄せられた。

 

「今回の戦闘で海兵隊の戦死者が27名か。」

 

ギャリソンは溜め息をつく。

 

「ところでドミトリエフ少尉。マヤコフスキー軍曹のビデオログがデータベースに残っていたのだが、何か聞いていないか?」

 

「いえ。」

 

「ふむ・・・見てみようか。」

 

将軍が手元のコンソールを操作し、正面のスクリーンで再生した。そこには、ユーリが映っている。

 

「このログを見てるのはモリソン将軍かウラッドあたりだろうな。そして、俺は死んでるだろう。」

 

どうやらユーリの遺書代わりのログらしい。

 

「なあウラジーミル。覚えてるか?俺とお前らの出会い。多分、ヴィンペルの面々以外は知らないだろう。俺は軍に入る前、レフ・イリンスキーっていうゴロツキだったんだ。」

 

初耳だった。

 

「ある日、男3人から俺は金を奪おうとした。覚えてるかキリル? 『おめーなんかに負けるわけないだろ〜?』とか言ったクセにパンチ一発でノックアウトしたこと。あれ、滑稽だったぜ。」

 

キリル、だせぇ。

 

「そして、ヴィクトルと殴り合って、ウラッドは俺を軍に誘ってくれた。そして、俺にユーリ・マヤコフスキーという新しい名前をくれた。ありがとうな。友よ。そして、さようなら。お前らはゆっくり来い。そして、土産話を聞かせてくれよ。」

 

ログはここで終わっている。

 

「ふざけんじゃねえよ!」

 

キリルが叫んだ。

 

「このクソ野郎! 俺の黒歴史をバラしやがって! 今すぐぶん殴ってやる! だから・・・こんなとこから出てこいよ・・・なあ、スクリーンの裏に隠れてないで出てこいよ・・・ユーリ・・・」

 

キリルは叫びながらスクリーンを何度も殴り、その場に崩れ落ちた。

 

俺達も、涙を堪える事に必死だった。ユーリとチャーリー。大切な仲間を2人、亡くしたのだから。

 

出来ることなら、この話は直接、ユーリの口から聞きたかった。

 

俺は死ぬまで忘れることはないだろう。

 

多くの犠牲の上に、自分達が生きている事を。

 

俺達の為に命を投げ出した者達の事を。

 

 

数日後

 

 

キリルはポセイドンの仮眠室に置いていた荷物を片付けていた。

 

「ここともお別れか。」

 

「パトルシェフ軍曹。ちょうどいい所に。」

 

「将軍? どうしたんです?」

 

モリソンはワインを取り出した。

 

「ビンテージ物だ。飲むか?」

 

「いいんですか!?」

 

「これはな、この事件にケリを付けた時、ワインに詳しい奴と飲もうと決めていたものだ。どうだ?」

 

「お言葉に甘えて。」

 

 

一方函南

 

 

「さて、俺達はしばらくポセイドンに残る訳か。家ないし。」

 

「あるにはあるけど安全確認中だからな。冷蔵庫の中とかヤバそうだ。」

 

「おいバカ! 想像しちまったじゃんか!」

 

鷹見が函南の愚痴に答える。

 

「俺達、この先どうなるのかな。」

 

長谷川がベッドに横たわって言う。

 

「さあな。4人でルームシェアでもするか?」

 

「それいいですね。」

 

宮間軍曹は片腕を無くしたが、命に別条はない。不便な事は函南達がサポートしているし。

 

「このメンツで生活か。おっかねえな。」

 

函南は苦笑いしながら呟いた。

 

 

その数日後

 

 

函南はある場所を訪れていた。

 

そこは、全ての始まりのデパートがあった場所。

 

デパートはあの事件の後、解体された。

 

そして、今は事件での犠牲者の慰霊碑がある。

 

函南は慰霊碑に花束を置く。

 

「・・・やっと終わったぜ。まさか、こんな事になるとはな。向こうに行ったら、土産話を聞かせてやるよ。」

 

函南は、ようやく割り切ることが出来た。家族の事、過去の事。そして、この事件の事。

 

最初の頃と違い、目には光が宿っていた。

 

「函南。そろそろ行こうぜ。迎えの時間だ。」

 

函南は懐中時計を開いて時間を確認。またあのメロディが響く。

 

「分かったよ長谷川。」

 

函南が振り返ると、そこには長谷川、鷹見、宮間の3人がいた。

 

「じゃ。また来るぜ。」

 

函南は一度慰霊碑の方を振り返って言った。

 

一瞬、強い風が吹き上げ、手向けの花を散らし、花びらを空へと舞いあげた。

 

そして、函南は見た。

 

笑顔でそこに立っている家族と、その中で笑っているあの日の自分を。

 

「・・・いい笑顔じゃねーか。バカめ。」

 

 

それから1年後

 

 

タスクフォース148は国連の対テロ特殊部隊として活動することとなった。

 

入隊を志願する者の国籍は問わない。自らの良心と人類に忠誠を誓うのが条件と言ったところだ。

 

USSポセイドンの仮眠室に、あの5人が集まっていた。

 

「にしても、宮間曹長の腕、元通りになったな。」

 

少尉になった函南が言う。

 

「まさか私達を苦しめたウイルスの改良版に助けられるとは、予想外でしたよ。」

 

宮間は上級曹長に。あのウイルスの改良型によって、失った腕を再生した。

 

「よし! 今度は俺の勝ちだ!フォーオブアカインド(フォーカード)!」

 

「甘いな長谷川。俺はファイブカード。賭け金よこせ。」

 

「マジかよぉぉぉぉぉ!!!」

 

一等軍曹になった長谷川と、専任曹長になった鷹見はポーカーをしている。

 

「おい祐介! 弘行の勝ちだからお前の賭け金よこしな。」

 

「ほらよベッカー!」

 

ベッカーは中佐になった。

 

「にしても、皮肉なもんだな。」

 

「何がだ祐介?」

 

「あの事件で、こうしてみんなが国籍も何も関係なく協力するようになったんだから。」

 

「まあな。フィルの野郎はバイオテロ対策の研究室に配属されたぞ?」

 

「あいつの技術ならそれが妥当だろ。」

 

その時、全員のタックゴーグルにデータがアップロードされた。

 

「今度はあの国への攻撃か。」

 

「なあベッカー、あの国ってSLF側についたんだっけ?」

 

「ああ。例のウイルスを隠し持ってる危険があるってな。査察を拒否してやがるから実力行使だな。」

 

函南はベッドから飛び降り、装備をチェックする。

 

「函南少尉。隊を率いろ。」

 

「了解ですベッカー中佐。行くぞ野郎ども!バルチャーチーム出撃!」

「「「Sir,yes sir!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人は何度、出会いと別れを繰り返し

 

何度、仲間と共に戦い

 

何度、絶望し

 

何度、立ち上がって前へと進むのだろう。

 

消えていく命を目の当たりにして、その尊さと儚さを知った。

 

そして、命が散る瞬間、ほんの少しだけ輝いて見えた。

 

失ってから初めて、大切さを知った。

 

それらの過去を受け入れ、前を見据えることにした。

 

やっと分かった。俺の生きる意味

 

兵士であり続ける意味。

 

それは・・・

 

(函南の手記より。最後の部分は塗りつぶされていた。)

 

CombatZone end




とうとう完結!

読んでくださった皆さん、そして、お気に入り登録や感想をくれた方々、本当にありがとうございました!

この先、思い付き次第によっては番外編も書いていく予定です。

また、函南達は別の小説でも活躍してもらっています。やっぱり、初めて作ったキャラクターなので愛着があることと、兵士故に戦闘能力が高くても不自然じゃないので(苦笑)

さて、長々続いたこの小説もとうとう完結。なんだか晴れ晴れとした寂しさを感じています。

函南「この先、どうなるかな。」

長谷川「まさかとは思うが、これと東方の小説以外でも俺達が出るハメになったりしないよな?」

鷹見「可能性は低いが、うちの主ならやりかねないな。」

さあ、あまりいいアイディア出なかったらそうなるかも?

「「「やめてくれ!俺達を休ませて!」」」

それでは

「「「「今までありがとうございました!またどこかで!(敬礼)」」」」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。