【完結】CombatZone   作:Allenfort

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これが最後の戦いとなります!

Typeδ デストロイヤーを倒せるのか!?

それでは本編をどうぞ!


Last mission CombatZone〜終焉の時〜

side 函南

広場に到着。上の方に手を振って合図する。広場は明かりが灯されている。

 

すると、タイルがスライドし、中央に穴が開いて球体型の檻に押し込まれたデストロイヤーが姿を現した。

 

デストロイヤーは檻を破る。ビルの3、4階位の高さはあろうかという身長で、下半身はない。背中からは無数に生えた太めの触手。幾つもの細い触手が絡み合って1本の触手になっているようだ。そして、皮膚は茶色で硬化している。

 

「・・・ワタシハ・・・ハカイシャ・・・スベテノモノニ・・・シノテッツイヲ!」

 

奴はカタコトで喋る。

 

「させねぇよ。俺達はここでお前を倒す!」

 

アランが言う。

 

「てめえはこの世にいてはならない存在。化け物は物語の中へお帰り願おう!」

 

ウラッドが銃口を向けながら言う。

 

「貴様はここで終わりだ。この世と地獄で苦しむがいい!」

 

ジェームズが言う。

 

「俺は貴様を許さん。ここで息の根を止めて、終止符を打つ!」

 

俺はそう言い、銃口を奴に向ける。

 

『Kill the enemy of mankind.』

 

ゴーグルに表示。人類の敵を殺せ、か。

 

「全武器使用許可! 攻撃開始!」

 

ベッカーの叫び声とともに、火蓋は切って落とされた。

 

奴は触手を叩きつけて俺達を潰そうとする。

 

左右に散開して回避し、奴へ銃撃する。

 

奴の触手に黄色く光る肉塊が付いている。わかりやすい弱点だな。

 

肉塊へ銃撃を続けると、奴は悲鳴を上げた。効果アリだ!

 

奴は地面に触手を叩き付け、停止する。まさか!?

 

思った通り、触手を使って辺りを薙ぎ払って来た! あんなのに当たったら間違いなく圧死だ!

 

俺は迫り来る触手に銃撃するが、止まらない!

 

覚悟を決めた瞬間、俺達の銃とは比較にならない爆音。そして、触手が千切れ、止まった。

 

5階からフィルが狙撃したのだ。Barrett M82A1を使ったようだな。

 

「やるじゃんあの爺さん。」

 

奴は触手の叩き付けで攻撃してくる。回避するが、振動でよろける。

 

「宮間軍曹! 避けて!」

 

長谷川の声。俺の目には宮間軍曹に襲い掛かる触手が見えた! 触手は宮間軍曹の左腕に絡みつく!

 

「っ! 離せ!」

 

宮間軍曹はホルスターからマカロフを抜いて肉塊に向かって撃つ。

 

「ぐっ! ああああああ!!!」

 

「宮間軍曹!」

 

奴は宮間軍曹を離したが、左腕を引きちぎって行ったようだ!

 

「マジかよ! キリル! 治療してやれ! ヴィンペルは援護!」

 

ウラッドが指示を飛ばし、ユーリ、ヴィクトルと共にキリルを援護する。

 

「このクソ野郎! よくもやったな!」

 

ブチ切れた鷹見が大雑把な狙いで肉塊へ7.62mm弾を叩き込むと、触手の肉塊から先が千切れた。

 

奴は悲鳴を上げて仰け反る。

 

「Fuck!奴の弱点は他に無いのかよ!?」

 

バーンズが悪態をつく。

 

「伍長も少しは撃って下さい!」

 

チャーリーが触手を躱しながら言う。

 

「弾切れかよ! クソッタレがぁぁ!!」

 

ペチェネグの弾が切れたヴィクトルがホルスターから2丁のマカロフを取り出して撃つ。

 

「治療完了!」

 

キリルが叫ぶ。デストロイヤーはキリル達に触手を振り上げる!

 

「やめろぉぉぉぉぉ!!」

 

次の瞬間、触手が仰け反り、地面に力なく倒れた。ギリギリで宮間軍曹が肉塊を撃ち抜いたのだ。

 

「聞こえるか!? 奴の背中にコアが付いている! そこを直接狙え!」

 

フィルが上から怒鳴っている。

 

「分かった! ヴィクトル! これ使ってろ!」

 

俺はヴィクトルにG36Cを投げ、鞘から2本のククリを抜き、直径1mはある触手に登り、そのままコア目掛けて走る!

 

「ああああああ!!!」

 

「野郎ども! 祐介を援護してやれ!」

 

ベッカーが叫ぶ。

 

項垂れるデストロイヤーは他の触手を振り回して俺を狙う。が、みんなが肉塊を攻撃し、触手の攻撃を阻む。

 

背中に回り込み、触手の付け根近くにある黄色いコアが見えた。

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

 

長谷川が触手に足を掴まれ、逆さ吊りにされているのが見えた!

 

「長谷川!」

 

「行け! 俺ば大丈夫だ!」

 

長谷川は逆さ吊りにされたままM249を乱射し、奴の顔面に銃弾を叩き込む。

 

俺はコアに向かってジャンプし、コアにククリを突き刺す!

 

「ギャァァァァァ!!」

 

デストロイヤーが一際デカい悲鳴を上げて仰け反る。

 

振り落とされないよう、もう片方のククリもコアに突き刺して踏ん張る。奴はコアを刺された瞬間に長谷川を離したようだ。

 

「っ! あああああ!!」

 

そのまま下に2つの切れ込みを入れ、地面に着地する。

 

「ギャァァァァァァァ!!!」

 

奴は悲鳴を上げ、触手が地面に全て倒れる。

 

「厄介な触手はやった! 本体を吹っ飛ばせ!」

 

「任せろ!」

 

ベッカーが答える。

 

俺はククリについた奴の体液を振り払ってから鞘に戻し、ホルスターからMk.23を抜いてみんなに合流する。

 

「よう祐介! 弾くれ!」

 

「ほらよ!」

 

ヴィクトルにマガジンを投げ渡す。奴は倒れたまま動かない。

 

「やったのか? 確認します!」

 

チャーリーが奴に接近する。

 

その瞬間、奴が動き、両手でチャーリーを掴んだ!

 

「うわぁぁぁぁ!! クソ! 離せ!」

 

チャーリーがM4A1を乱射するが、奴は離さない。そして、チャーリーの体を両手で引きちぎった・・・

 

「おい嘘だろ・・・チャーリー!!」

 

ジェームズが叫ぶ。無情にも、インカムからはチャーリーの心肺停止を告げる電子音が響く。

 

奴は2つに千切れたチャーリーを投げ捨て、俺達に向かって咆哮する。

 

「テメェ・・・許さねえ・・・貴様だけは何があっても許さん! 殺してやる! お前は必ずブチ殺してやる!」

 

ジョンがブチ切れ、奴に怒鳴る。

 

俺達は散開して奴の両腕による叩きつけを躱す。精度が悪いな。恐らく、チャーリーが乱射した時に片目を潰したのだろう。死に際に一太刀浴びせたようだ。

 

チャーリー。お前の犠牲は無駄にはしない。

 

俺の頭上から迫って来た手をローリングで回避する。上からはフィルの狙撃支援。

 

だが、奴の硬化した皮膚には銃撃が効いていないようだ。嫌がらせにすらなっていない!

 

「おい! そろそろ弾切れだ!」

 

ジョンが叫ぶ。

 

「こっちもだ! どうする!? 嫌がらせにもなってないぞ!」

 

ジェームズは回避に徹する。

 

奴は拳を地面に叩きつけ、振動で俺達をよろけさせた後に張り手で狙ってくる。どうにか回避しているが、その内喰らってしまうだろう。そうなれば一撃即死だ!

 

「フォートレスから全ユニット! デストロイヤーの弱点が判明! 奴の体内のコアだ!」

 

タックゴーグルに画像が送信されて来る。

 

「クソ、どうやって潰す?」

 

「俺がやるぜアラン。」

 

ヘンリーがSMAWを構えて、奴の胸板へロケット弾を撃つ!

 

が、着弾するかと思われたロケット弾は、奴の手に掴まれてしまった!

 

「嘘だろ!?」

 

「どうするんだ!RPG無しで奴の胸板は破れないぞ!」

 

焦るアランとヘンリー。

 

「・・・方法ならあるぜ!」

 

「どうするんだユーリ!?」

 

「見てろよウラッド。俺のバックパックにはC4がギッシリ詰まってるんだ。」

 

「おい待て! まさか!?」

 

その時、俺達の銃撃に耐えかねた奴が再び地面に倒れる。

 

「・・・希望を捨てるなよ、お前ら!」

 

ユーリは奴の腕によじ登ってその上を走り、自ら口の中に飛び込んで行った!

 

「おい!何やってるんだあいつ!?」

 

ヴィクトルが叫ぶ。

 

その時、ユーリから通信が入る。

 

「くせぇなここ・・・おい聞こえるか!? こいつを吹っ飛ばしてやる!」

 

「待てユーリ! そうしたらお前は・・・」

 

「ウラジーミル。今までありがとうな。そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Прощайте. (プラシャーイチェ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユーリ!!!」

 

ウラッドが叫んだ瞬間、奴の体から爆発音。

 

奴は悲鳴を上げてのたうちまわり、仰け反った後、力なく地面に倒れた。

 

「ワタシハ・・・ワタシハ・・・」

 

苦しげにデストロイヤーは呻いた後、動かなくなった。死に真似じゃない。本当に、死んだのだ。

 

「これで・・・終わったのか?」

 

長谷川がよろけながら言う。

 

「呆気ないな。」

 

鷹見が呟く。

 

「馬鹿野郎が・・・ユーリ・・・チャーリー・・・」

 

俺はその場に膝をついた。

 

『Yuri Mayakovsky Dead

 

Charles Dransfield Dead』

 

ゴーグルの表示は、見るまでもなかった。

 

「宮間軍曹。プラシャーイチェとダスヴィターニャって何が違うんだ? どっちもロシア語で『さようなら』だろ?」

 

長谷川が聞く。

 

「・・・ダスヴィターニャはまた会いましょうで、プラシャーイチェはしばらく会えない時の挨拶です。」

 

「・・・全員。フィルのところへ行くぞ。」

 

俺達はベッカーに黙ってついて行く。

 

「主よ、彼らの魂を救いたまえ・・・」

 

去り際にジェームズが涙ながらに呟く。

 

安らかに眠れ。ユーリ、チャーリー。

 

 

研究室

 

 

「・・・ようやく、あの悪魔のプログラムを葬ることが出来た。ありがとう。」

 

俺達が研究室に入ると、フィルはそう言った。

 

「このコンソールに全てのデータが入っている。君達に開け渡そう。平和の為に使ってくれ。さて。私はそろそろお暇させてもらうよ。最期に、人類が団結するところを拝めてよかったよ。」

 

フィルは机の上に置いてあったトカレフを取り、自分の頭に突きつけた。

 

「お前、死ぬつもりか?」

 

「ああ。弟のやったこととは言え、私も共犯だ。せめてもの償いのつもりだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋に銃声が響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・何故だ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺がホルスターから素早く抜いたMk.23でトカレフのハンマーを撃ち抜いたのだ。

 

「死んで償うのは簡単だ。だけど、生きて償うのは難しい。」

 

俺はフィルに歩み寄り、手錠をかける。

 

「フィル・サージェンスキー。貴様を拘束する。」

 

「憎くないのか? 私は君の家族を奪ったのだぞ?」

 

「それを言ったら俺はお前の弟を殺してる。お前をここで殺しても誰かが俺を憎む。そんな憎しみの連鎖はいらない。ここで断ち切る。」

 

俺は無線をモリソン将軍に繋ぐ。

 

「こちらバルチャー3-1。タンゴ・マジシャンを拘束した。」

 

「フォートレス了解! これで、全てが終わる!」

 

「バルチャー3-1、アウト。」

 

俺は無線を切った。

 

「さ、回収地点へ行こうか。おい、行くぞ魔術師。」

 

俺達はまた来た道を引き返す。

 

正面玄関を出て、広場に着く。そこで俺は施設を振り返る。

 

「終わっちまったな。函南。」

 

長谷川が言う。

 

「そして、始まりだな。」

 

朝日が俺達を包んで行く。

 

じゃなあ。友よ。

 

失われた命に弔いを。

 

そして、生きるものには明日を。

 

俺は、また1歩、前に進んでいく。

 




後はエピローグだけか・・・なんだか寂しいな・・・

「ああ。ところで、デストロイヤーってモデルいるんだろ?」

はい。気づいていた人もいましたが、ハウスオブザデッド4のラスボスと、実はDead Spaceのラスボスをモデルにしてます。

「うげ、あいつかよ。で、なんであの2人を犠牲に?」

チャーリーとユーリ・・・死なせたくなかったけど・・・今回の戦闘は『犠牲の上に成り立つ平和』をテーマにしました。

ちなみに、函南vsデウスエクスマキナは『過去の清算』です。

また、この小説のキャラ達はほとんどの場面で仲間と行動しています。

「なんでだ?」

『仲間との連携』がこの小説の屋台骨だからです。例え負傷しても、仲間が必ず助け、ここまで来ています。1人1人は弱いけど、誰かとなら強くなれるということです。函南も、単独ならここまで来れなかったはずです。

さて、長々と続いて来ましたが、明日投稿予定のエピローグで完結となります。時間があったらチマチマと番外編も書こうと思います。

「ここで、函南曹長からのお知らせだ。ウチの頼りない主が書いている『東方〜2つの世界の()り人』の主人公として、俺達バルチャーの3人や、TF148の愉快な面々が出るぜ。よければそっちも見てくれ。というか、こっちの話で伏線をちょっと張ってたから、気づいてる人いるかもな。」

個性的な面々なのに、こっちで活かし切れなかったし(苦笑)

「それでは、次回もよろしくな!(敬礼)」

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