「ここまで来たか。やるぞ!」
それでは本編をどうぞ!
7/16
15:00
USSポセイドン ブリーフィングルーム
side 函南
「諸君。チャンの野郎からフィル・サージェンスキーのアジトを吐かせた! これで決着をつける!」
とうとうこの時が来た。ようやく、この戦いも終わる。
「南西諸島の無人島。そこに奴の研究施設がある。戦いが終わったら沖縄の海でバカンスと行こうじゃないか!」
ブリーフィングルームが歓声に包まれる。沖縄の海でバカンスか。悪くないな。泳ぎは下手だけど。(25m以上泳ぐと沈む)
「また、各国の軍が感染者の殆どを殲滅したとの情報が入った。最後にここを抑える事に成功すれば、この戦いに終止符を打つ事が出来る。失敗は許されない。」
タックゴーグルにマップが表示される。
「この建造物は5階建てで、辺りには敵がいる。こっちも総力戦になるだろう。既に海軍が艦隊戦を繰り広げている。彼らの犠牲を無駄にするな。SEALsが上陸地点を確保次第、我々が上陸する。予定は明日。以上。」
明日は俺の17歳の誕生日だ。誕生日プレゼントは終戦だな。
そして、フィル・サージェンスキー。奴は、何を思ってあのウイルスを作り出したのだろう?
奴は、本当にイかれたマッドサイエンティストなのか?
「函南?」
「どうした長谷川?」
「
「ああ。」
「俺達の手で終止符を打とう。」
「背中は任せたぜ。」
「任せろよ相棒。」
俺と長谷川は拳を突き合わせる。
さあ、踊ろうじゃないか。
7/17
2:00
南西諸島
USSポセイドン ドック
「よーし海兵! 行くぞ!」
「了解です大尉殿。」
俺達バルチャーチームは複合艇に乗り込む。最後の戦いは、この5人でだ。
俺はステアリングを握る。ゾディアックのステアリングを握るのも、これが最後かもしれない。
「行けるか?」
ベッカーは全員に聞く。
「もちろん。いつでも行けるぜ。」
鷹見はそう言って少し微笑む。
「俺もM249も万全だ。」
長谷川はニヤリと笑う。
「ナイフもAN-94も万全です。」
宮間軍曹も笑みを浮かべている。
「万全だ! これで決着を付ける!」
俺も笑って見せる。
「ハッチオープン!」
ドックに水が入り、俺達を乗せたゾディアックはクレーンから落とされ、水の上に浮かぶ。
『Start the last mission!』
ゴーグルの表示と共に、俺はスロットルを全開に、外へと飛び出す!
他の艦隊からも上陸部隊が展開する。
「前方から敵のゾディアック!」
宮間軍曹が敵を見つける。
「長谷川! すり抜けながらぶっ放て!」
「任せろ相棒!」
すかさずステアリングを右に切って敵を避け、今度はステアリングを左へ切りながら急減速する。
すれ違いざまに長谷川が放った大量の7.62mm弾が敵兵を見事に蹴散らす。
「タンゴダウン! 上陸地点へ向かう!」
「オラオラオラ! 邪魔する奴は俺の
ゾディアックが砂浜に乗り上げる。
「各自交戦しろ!」
ベッカーの指示。俺達はゾディアックから降り、上陸地点に展開している敵部隊と交戦する。
マグニファイアをセット。やや遠いところの敵を狙う。
トリガーを引き、狙った敵を確実に倒して行く。
隣では宮間軍曹のAN-94が規則正しいリズムで5.45mm弾を放っている。
「これが最後のコンサートだ! ゆっくりしていってね!」
長谷川は仁王立ちでM249を腰だめ撃ちしている。撃たれる前に撃つので被弾していない。まるで銃弾が長谷川を嫌っているかのようだ。
「敵の重機関銃!」
ベッカーが指差す先には敵のグロウラー。M2をぶっ放している。
「長谷川! 援護しろ!」
「任せろよ鷹見!」
長谷川がグロウラーに制圧射撃。鷹見がガンナーを狙う。おっと、鷹見を狙う敵を発見。撃たれる前にそいつのド頭を撃ち抜いて倒す。
同時に、鷹見がガンナーの頭を撃ち抜いて倒した。
「前進しろ!」
ベッカーに続いて、バルチャー、ジャッカル、ヴィンペル、ユニオンが敵施設へ向けて走る。
上陸地点にはIFVが上陸している。
「敵施設にスナイパー!」
ユーリの声。建物に熱源反応。俺達は即座に物陰に身を隠すと、地面を弾丸が抉った。
「マジかよ!?ありゃ50口径だぞ! 鷹見!」
「任せな!」
鷹見は一瞬だけ遮蔽物から出ると、一瞬で狙いを定めて撃つ。
建物から血飛沫。タンゴダウン!
「前進! 前進!」
ベッカーの合図で全員が突撃する。
「フォートレスからバルチャー3-0。海岸線はクリアだ。お前達の手で終わらせろ!」
「了解! 行くぞ!」
俺達は施設に突入する。中には誰もいない。まるで、招かれているようだ。
階段を駆け上がり、最上階のドアの前に張り付く。
「音声スキャン・・・中には1人。バルチャー、お前らが行け。」
ヘンリーが言う。俺はドアを思い切り蹴り、中へ突入する!
「やっと来たか。君達を待っていたよ。」
広い部屋の奥、白髪の男性が立っていた。
「フィル・サージェンスキーだな!」
俺は奴に銃口を向ける。
「そうだ。これを見たまえ。」
フィルは近くのデカイコンソールをいじり、画面に何かを映し出す。
「これは?」
「私の研究データだよ。少し話をさせてもらえないかね?」
ベッカーの方を向く。アラン、ウラッド、ジェームズや他の面々とアイコンタクト。
「いいだろう。」
「・・・私はね、滅びに向かっていく人間を見ていられなかった。考えてみたまえ。人間は自分達で生態系を壊し、自らの首を絞めてしまった。そんな中、私は考え続けた。そして、考え付いたのだ。傷付いた木や生き物を治す細胞を作ることを。」
フィルはコンソールに一つの写真を映し出した。
「こうして、枯れた木を再生させる事が出来た。だが、弟はこれを使って自分の欲を満たそうとした。それが、君達の言う感染者だ。ロイはこれを生物兵器として、軍幹部やらに売りつけようとした。そして、その試験が」
「デパートでの事件、か?」
「そうだ。奴は植物を蘇らせる細胞を改造して感染者を作り出した。私には止められなかった。」
フィルはまたコンソールを操作し、何かのアンプルを取り出した。
「あのパンデミックから、私はこの島に篭り、研究を続けた。あのウイルスを倒す為のカウンターウイルスを。それがこれだ。私は待ち続けた。ここまで辿り着く事が出来た者にこれを、未来を託そうと。君達ならば、悪用することはないだろう。」
フィルはコンソールにアンプルを置く。
「その前に頼みがある。」
「なんだ。命乞いか?」
「いや、私の命はどうだっていい。元より、このカウンターウイルスを託した後で死ぬつもりなのだから。私がこの島に篭った理由はもう一つある。あの悪魔のプログラムを抑え込む為だ。これを見たまえ。」
画面を見る。
「これは?」
そこに映し出されたのは、上半身だけで背中から幾つもの触手を生やした巨人だった。
「Type δ デストロイヤー。こいつ1体で人類を滅ぼす事も可能だ。私も止めようとしたが、カウンターウイルスでは力不足、ここの護衛もチンピラの集まりだ。こいつを止めることは出来ない。どうにか抑え込むのが精一杯だ。だが、ここまで辿り着いた君達なら出来るだろう。どうか最後の頼みだ。パンドラの箱を閉じてくれ。」
フィルは嘘を言っているようには見えなかった。むしろ、止めようとしていたのだ。
「・・・フォートレス、バルチャー3-1だ。」
「状況は把握している。データをアップデートする。」
タックゴーグルに暗号化されたデータが転送されて来た。
『フィルは破壊者ではなく、むしろ止めようとしていた。”円卓の騎士"はデストロイヤーを倒せ。人類を終わらせるな。君達が、パンドラの箱に残った最後の希望だ。』
・・・やってやろうじゃねえか。
これが、最後の戦い。
そして、亡き者に捧ぐ
「フィル。デストロイヤーはどこだ。」
「この施設の入り口前に、三角形のタイルを敷き詰めた広場があっただろう? そこの下に封印している。本当にやるんだな?」
「ああ。」
「分かった。君達が外に出たのを確認したら、ロックを解除する。頼む。」
「見てろよ爺さん。」
俺達は来た道を引き返す。
この絶望に、終止符を打つ!
「まさかこんな展開になるとはな。」
次はラスボスです。覚悟は?
「いつでもいいぜ。ところで、後何話あるんだ?」
次とエピローグ。日曜日には完結の予定です。
「了解だ。」
函南達がデストロイヤーを倒せるのかにかかってます。
「上等だ。ラスボスだろうと吹っ飛ばしてやる!」
それでは次回もよろしく!