函南達はどうなる?
それでは本編をどうぞ!
side 函南
カン!
ククリで刀を防ぎ、押し出すような蹴りを奴の腹に入れ、押し返す。
さっきの銃撃で左腕を潰してやった。これで互角には持ち込めるだろう。
「その程度か?」
奴が口を開く。
「何?」
斬撃を防ぎながら言う。
「お前の様な奴がチームを率いるとはな。部下が可哀想だ。こんな無能なのがボスなんだからな。」
「んなことねぇ!」
長谷川が叫ぶ。
「そうだ。俺達は函南のおかげでここまで生き延びてきた! 俺達のリーダーが函南である事を誇りに思ってる! お前に分かるもんか!」
いつもは冷静な鷹見が感情的になっている。
「お前ら・・・」
「
長谷川・・・
「ったく、バカバカ言いやがってこのクソ野郎が! お前らアホで最高な分隊員だな!」
G36Cをスリングで背中に掛け、代わりにカランビットを取り出し、右手に持つ。左手にはククリナイフ。
仲間の為にも、必ず勝つ!
低姿勢で奴の懐に飛び込み、刀をククリで受け流しながらカランビットの刃先を膝のジョイント部に食い込ませ、掻き切る。
奴は片膝を着く。が、すぐに回復して立ち上がり、俺に斬りかかる。
すぐにククリとカランビットを駆使してガードからのカウンターを繰り返していく。2つの刃が火花を散らし、カランビットは血飛沫を上げる。
刀の刃が俺の体をかする度に血が滲む。だが、痛みは感じない。
思考が加速して行く。奴の刀へ瞬時に反応し、的確に反撃して行く。体力面では俺に勝るはずの奴がジワジワと押される。
そして、刀を弾き飛ばし、肩にククリナイフを突き刺して奴を床に倒し、Mk.23をホルスターから抜き、頭を撃つが.45ACP弾は禍々しい模様のヘルメットに弾かれる。
連続して撃つと、ヘルメットが割れた。同時に弾切れ。
「う・・・ああ、祐介か・・・」
「まだ抵抗するのか?」
「いや、もういい。」
その時、C4で長谷川と鷹見がガラス板を吹っ飛ばしてこっちに入ってきた。
「どうも。覚えてますか?」
「ああ。長谷川君だろ? 祐介が世話になった。これからも世話になるだろう。」
「いや、世話になってるのはこっちです。」
「そうか。あの懐中時計、どこにやったかな。」
「懐中時計?」
俺はしゃがみながらベストの胸ポケットから懐中時計を取り出して開く。あのオルゴールが響く。
「なんだ。祐介が持ってたのか。よかった。お前にそれをプレゼントしようと買ったんだが、あのどさくさで落としてな。お前の手に渡ったならば良かったよ。」
「俺への・・・プレゼント?」
ありえねぇ。親父が俺にプレゼント? あれだけ冷たくしていたのにか?
「祐介、すまなかった。お前には将来いい思いをして欲しくて厳しくしようとしたが、お前も俺の子供なのだからもっと平等に接してやるべきだった。俺のせいでお前を傷つけてしまったな。」
どう言うことだよ?
「なあ、祐介。お前の階級は?」
「・・・曹長。上級曹長だ。バルチャーチーム分隊長。」
「立派になったな。お前は誰かの痛みが分かる心優しい人間だ。お前と組んだ仲間は幸せだろうな。そうだろ、2人共?」
父さんの手は俺の頬傷を撫でる。
「ええ。」
「もちろん。俺達の自慢のリーダーですよ。」
涙が溢れ出す。止められない。
「祐介、お前ならば大丈夫だ。いつか立派になったおまえと酒を飲みたかったよ。出来ることならばお前のチームに入りたかった。」
父さんも涙声になってくる。
「最後の頼みだ。あのヘルメットが壊れて、こうして正気を取り戻したが、俺はもうすぐ自我を失ってただの感染者になるだろう。だから祐介、
お前の父親でいられる内に、俺を殺してくれ。」
Mk.23のマガジンキャッチを操作し、慣れた手つきで空のマグをリリースし、胸のハンドガンのマグポーチから取り出したマグを装填、スライドストップを解除する。
「今度こそ、お別れだな。」
「ああ。お前はまだ来るなよ。必ずこの事件にケリを付けてから、ゆっくり来い。じゃあな。」
父さんは瞳を閉じ、俺は立ち上がって眉間の間に照準を合わせる。
「さようなら。父さん。」
指に力を加え、重いトリガーを引く。
ハンマーは撃針を叩き、撃針は雷管を叩く。
そして、薬莢の炸薬が破裂し、.45ACP弾を撃ち出し、父さんの眉間を貫いた。
あたりを破裂音が反響する。そして、空薬莢が床を跳ねる音が響く。
パン、パン
拍手が聞こえる。
「ブラボー! 実に見事だったよ! さて、俺はここでお暇させてもらうよ。」
上の方で奴が言う。逃がすか!
「させるか!」
鷹見がトリガーを引く。7.62mm弾は奴の足を貫く。
よろけた所を今度は長谷川の弾幕が襲い、足に命中する。
俺はG36Cを構え、3発の5.56mm弾を放つ。
3つの弾丸の内2発は心臓を、もう1発は頭を貫き、奴の生命活動を停止させた。
「タンゴジョーカー
「ウーラー。」
「了解だ。リーダー。」
俺はショルダーバッグから白いタオルを取り出して、父さんの姿勢を整えてから、顔にタオルを被せた。せめてもの弔いのつもりだ。
その時、何かの警報が鳴り響く!
「何事だ!?」
鷹見は近くのコンソールにディスプレイを繋いでハッキングする。
「ゲ! あの野郎、死に際に自爆装置セットしてやがった! とっとと逃げないと巻き込まれるぞ!」
「クソが! とっとと撤収! 走れ!」
俺達は元来た道を走り、上に出る。
「そういや、来る時の入り口は塞がってるんだよな!? どっから出るんだ!?」
長谷川が叫ぶ。
「地下の車両搬入口だ! データをアップロードする!」
鷹見は走りながらもディスプレイを操作し、情報を送る。
「よし、こっちだ!」
その時、激しい振動で俺達はよろける。
「自爆装置が起動したな・・・函南!」
「分かってる!」
振動は続く。恐らく、さっきいた場所が崩れているのだろう。
上へと上がると通信リンクが回復する。また大きめの振動だ。
「走れ!」
俺は叫ぶ。この辺も崩れ始めた。
「クソ! 崩落が始まった! とっとと逃げないとヤバい!」
鷹見が叫ぶ。横のコンクリート壁が爆発し、破片が飛び散る。
「分かってるっつーの!」
「2人共黙って走れ! じゃなきゃ俺達3人まとめてヴァルハラ送りだぞ!」
その時、通信が入る。
「フォートレスからバルチャー3-1! 何が起きた!?」
「バルチャー3-1からフォートレス! タンゴジョーカーのKIAを確認! だが奴が施設の自爆装置を起動しやがった! 車両搬入口から脱出する!」
「了解! ヘリを送る。絶対に乗り込め!」
だが、コンクリート製の天井が崩れ、俺達の頭上から降り注いだ!
「だぁっ! クソが!」
瓦礫が降り注ぎ、視界がブラックアウト。意識は途切れた。
no side
「バルチャー3-1! バルチャー3-1! 応答しろ! ・・・クソ!」
モリソンは必死にマイクに叫ぶが、函南からの返事は無かった。
「モリソン、捜索チームを出すか?」
「今は台風の目が過ぎ去り掛けている。今は危険だ。上陸部隊を引き上げさせる。捜索は台風が行ってからだ。」
「Yes,sir.」
ギャリソンはモリソンに代わって撤退命令を出し、同時に敵へ狙いを定めてトマホークミサイルを撃った。
部隊がそれぞれの艦へ帰還すると同時に再び嵐が強まる。
「将軍! 函南さん達は?」
宮間はモリソンへ駆け寄る。
「・・・敵施設の自爆に巻き込まれて
「そんな・・・」
それを他の面々も聞いていた。元から兵士である彼らにとって仲間を失う事はこれが初めてではない。
だが、バルチャーは別だった。いかなる時も強くあろうとし、彼らにとってはライバルみたいなものだった。
誰もが、喪失感を感じていた。
さて、長々と続いて来ましたが、もうすぐラストとなります。
そしてお知らせ。東方projectの小説を書く事にしました。但し、こちらは不定期になると思います。
また、東方の方の主人公は函南達となります。この話のラストからの続きとなります。(こっちを読んでいなくても分かるように最初はTF148などの説明が多いかと思います)
今後の予定としてはCombatZoneの方は土日に投稿して行きます。
それでは、次回もよろしくお願いします、