【完結】CombatZone   作:Allenfort

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さあ、やっとここまで来た!

「長かったような短かったような・・・奴を必ず仕留める!」

それでは本編をどうぞ!


mission56 リトリビューション作戦

6/25

3:45

USSポセイドン

no side

 

夜明け前、函南達はオスプレイに乗り込んだ。

 

準備は万全。覚悟は決めた。夜明けと共に出撃し、嵐の前にバルチャーは敵の裏に回る。

 

他のオスプレイには上陸部隊が。車両甲板では複合艇、AAV-7アムトラックLAV-25、そしてM1A2エイブラムスと10式戦車を乗せたホバークラフトが出撃を今か今かと待ちわびている。

 

函南は機内で目を瞑り、今までの事を思い出す。今度こそ、奴を仕留める。そう決意して。

 

戦えども報われることのない兵士達は、それぞれの思いを胸に、戦う事を選んだ。

 

各々が装備をチェックする。持てるだけの弾薬と、勇気を持って。

 

「総員、モリソン将軍からお話がある。」

 

艦内に放送が入り、モリソンの話が始まる。

 

「ここに集いしタスクフォースの兵士諸君。我々は傷付き、友や愛する者、故郷を失い、報われる事も無く、今まで耐え続けて来た。」

 

誰も言葉を発せず、今までの事を静かに回想する。中には涙を流している者もいた。

 

「君達が払った犠牲は無駄ではなかったと証明して見せよう。今は亡き部下()に誓って。」

 

モリソンは力強く言う。

 

「現在、敵基地には大型の台風が接近している。これで敵は航空兵器を出せない。我々も戦いにくい状況となるが、君達ならば必ずやり遂げてくれると信じている。

 

かつて、元の侵攻から日本を護ったという神風は今、多くの者を護るために再び吹き荒れようとしている。

 

KIA(戦死)報告は許さん。必ず生きて帰ってこい!

 

叶う事ならば私も君達と前線に立ちたいが、この歳では足を引っ張ってしまうだろう。代わりにここから君達を援護する。ありったけのミサイルでな。だから、危なくなったら遠慮せずに支援を要請しろ。ミサイルの1発2発と君達の命は変えられん。

 

もうすぐ夜明けだ。

 

進め! 仲間との絆を信じて!

 

以上。」

 

USSポセイドン内は、しばしの静寂に包まれる。

 

「・・・ぉぉぉ」

 

小さな声。そして

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「モリソン将軍万歳!」

 

「Урааааа!!」

 

それを聞いた他の者が喚声を上げる。叫ばない者は無く、涙を流している者もいる。

 

喚声は艦に響き、誰もが勝利を信じている。

 

そして、後部のゲートが開き、ドックに水が入る。甲板ではオスプレイやべノムがローターを唸らせる。

 

「状況開始!」

 

モリソンの号令一下、複合艇、歩兵戦闘車、ホバークラフト、ヘリがポセイドンから出撃し、上陸地点を目指す。第6艦隊のUSSクラーケンからも上陸部隊が出撃し、ポセイドン組と合流する。

 

台風の直撃まで5分。その前に函南達は敵施設の裏に降下しなければならない。

 

 

USSポセイドン CIC(戦闘指揮所)

 

 

「なあ、ギャリソン。」

 

「どうしたモリソン?」

 

2人はモニターに映し出された函南のゴーグルカメラの映像を見ている。

 

「最初は広告塔にとあいつらを入隊させたが、とんだ見当違いだったようだ。」

 

「どういうことだ?」

 

「たかが高校生。そう思っていた少年は私が思っているよりも強かった。」

 

「そんなの見てりゃ分かるだろ。と言うか、ヘリを撃墜したって報告が入った時点で分かってただろ?」

 

「ああ。あいつらにあの重要な役割を与えた事に後悔は無い。必ずやり遂げて来るさ。」

 

「ああ。今はバルチャー(少年達)を信じて、上陸部隊を指揮しよう。必ずあいつらは生きて帰って来る。」

 

モリソンとギャリソンはディスプレイに向かい、上陸部隊の指揮を始める。

 

 

上陸部隊

 

 

複合艇に乗った部隊が先陣を切る。

 

夜が明け始め、朝日が兵士達を照らす。

 

敵の防御は今のところは手薄だ。今なら上陸できるはずだ。兵士達は確信した。

 

「行くぞ野郎共! Ураааааааааа!!」

 

「「「「Урааааааааааа!!」」」」

 

ヴィンペルチーム+宮間軍曹が喚声を上げる。

 

「GOGOGO!!!」

 

それに釣られて他の部隊も喚声を上げる。数の少ない防御部隊はその姿にたじろぐ。

 

複合艇で浜辺へ乗り上げ、ヴィンペル、ジャッカル、ユニオンが先に展開し、上陸地点の確保をする。

 

「コンタクト! 12時方向!」

 

ウラッドが敵を発見し、ヴィンペルチームはそいつらへ銃撃し、倒す。

 

その間に上陸したIFVからどんどん歩兵を降ろし、本格的な戦闘を始める。人員を降ろしたヘリは全速力でポセイドンへ戻って行く。暗雲が立ち込め、風が強まる。

 

「行け野郎ども!」

 

前線の指揮に来ていたグリーンランド中佐が叫ぶ。

 

「てめぇら! マリンコ(海兵隊)に遅れを取ったらネイビー(海軍)の恥だぞ!」

 

海軍の誰かが叫ぶ。

 

敵は数で劣っているが、懸命に応戦する。とうとう暴風雨が吹き荒れ始めた。

 

「無駄無駄無駄!!」

 

アランがACOGスコープのレティクルを敵の頭に合わせて撃つ。が、風に煽られ弾道が横に逸れ、外れてしまう。

 

「クソ! 風で弾道がズレる!」

 

「ならばどうにかしろ! おいユーリ! ATはあるか!?」

 

ウラッドがユーリに叫ぶ。

 

「RPG-29があるけど1発しかない!」

 

「ならここぞという時に使え! ヴィクトル! 制圧射撃!」

 

「やってる!」

 

すると、敵からの銃撃が増えて来た。

 

「どうやら増援のようだな。」

 

ジェームズは冷静に状況を読む。

 

「分かってる。チャーリー、しっかりC4持ってきたよな?」

 

「持ってきてますよウィンターソン軍曹! いくらおっちょこちょいでもこんな時にミスはしません!」

 

「さあ、暴れてもらいますよ私の可愛いAN-94(アバカン)ちゃん♪」

 

敵の設置していた土嚢や塹壕を利用して応戦している。敵の数が多い。

 

「どけー! 熊井軍曹のお通りだぜ!」

 

熊井軍曹の乗る10式戦車が前進する。

 

「敵のIFV!」

 

ジャックの指差す先から敵のBTR-90が迫る。

 

「なら、スクラップにしてやれ! 逸波!」

 

「分かってるわよ。HEAT(成形炸薬)弾装填、距離100!」

 

「てーっ!」

 

車長の横山軍曹が叫び、逸波軍曹はHEAT弾をBTRへ撃ち込む。

 

あらかじめ熊井軍曹が最適の地点へ移動していたので見事1撃でBTRを破壊した。

 

「熊殺しの猛のお通りだ! 道を開けろ!」

 

熊井軍曹はアクセル全開で敵の陣地に攻め込む。

 

「行くぞ海兵! バルチャーの為に奴らを引きつけろ!」

 

「ウーラー!」

 

嵐の中の攻防は激しさを増して行く。

 

「モンテスが撃たれた! メディックを寄越せ!」

 

「敵のT-90!」

 

「クソ! ユーリ!」

 

「RPG!」

 

ユーリのRPG-29はT-90の砲口に入り、内部を破壊した!

 

「どストライク!」

 

「今度は感染者の集団だ!」

 

SLFは大量の感染者を送り込んで来た!

 

「うわ!」

 

「うぎゃぁぁ!!」

 

リッパーの爪に数名が首を貫かれて倒れる。

 

「手に負えない! フォートレス! ヴィンペル2-1だ! ポイント30A(アルファ)に爆撃を!」

 

「フォートレス了解。トマホーク発射! 着弾に備えろ!」

 

艦隊からの大規模なミサイル攻撃で感染者の集団を吹き飛ばす。

 

「バルチャーはまだか!?」

 

誰かが叫ぶ声は嵐に掻き消された。嵐の中では終わりの見えない死闘が続く。

 




今回は上陸した陽動部隊の視点でした。

「私が後書きに出るの、いつ振りでしょうか? そしてなんで私は上陸部隊サイドで?」

この後の展開と3人の因縁で。

「メタなのは置いといて・・・因縁ですか?」

今回狙っているのはロイ・サージェンスキー。デパートの中で一度捕らえたものの、逃げた野郎です。函南が家族を亡くすハメになったのはこいつが原因ですし。

「それで、デパート事件の時にいなかった私は上陸部隊サイドって事ですね。」

そういうこと。今回はこの辺りで

「「次回もよろしく!」」

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