【完結】CombatZone   作:Allenfort

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今回は空中戦が入ります。

「俺は飛べないけども?」

まあ、別キャラ視点ですね。(モブだけど)

それでは本編をどうぞ!


mission41 2つの戦場

8/15

15:23

福岡空港

side土岐野宗也 中尉

 

スクランブルの指示を受け、俺はターミナルから自転車で自分の愛機の元へと走る。

 

F-2A。日本とアメリカがF-16を元に共同開発した戦闘機だ。俺の機体には鷲のエンブレムが入っている。僚機は既に準備を終えていた。

 

「ファルコ1からファルコ総員、通信感度は?」

 

「ファルコ2、感度良好。」

 

「ファルコ3、問題なし。」

 

「ファルコ4も問題ありません。」

 

通信感度は良好。俺達ファルコチームは滑走路へ向かう。

 

「ファルコチーム、34番滑走路からの離陸を許可する。」

 

「了解。ファルコは34番滑走路から離陸する。」

 

スロットルを全開に、俺は空へ飛び立った。

 

ギアを格納し、隊列へ加わる。F-15Jと

F/A-18E、E-767がいた。

 

空中管制機からデータが送信されて来る。ターゲットは敵戦闘機。F-16CとMig-21、試作段階のJ-20が混じってるとのことだ。

 

今回は対空戦闘なので、武装は空対空ミサイルAIM-9サイドワインダーとAIM-7スパローを装備している。

 

「会敵まで30秒!」

 

いよいよだ。

 

「全機、交戦を許可する!」

 

空中管制機から通達。前方にミグが見えた。

 

「「「「FOX2!」」」」

 

全員が一斉にミサイルを発射!同時に敵も撃って来た!

 

操縦桿を左に切り、敵機を回避。減速しながら左に旋回しミグを追う。

 

捕捉した。20mm発射!

 

命中!翼がへし折れたミグは黒煙を吹き出し、堕ちていく。お休み。いい夢見ろよ。

 

「オメガ11、イジェークト!!」

 

・・・誰だふざけた奴。だがツッコんだら負けだ。スルーしよう。

 

「ファルコ1!チェックシックス!」

 

ケツに付かれたか。ミサイルアラート!

 

「フレア発射!誰か援護を!」

 

「ファルコ2、援護します!」

 

ファルコ2に回り込まれたミグは俺から離れて逃げる。が、ファルコ2のミサイルがエンジンを直撃、爆散した。

 

「助かったファルコ2。」

 

ん?13時の方向に黒の三角翼機。J-20!プロトタイプだからなのかバッチリレーダーに映っている。

 

すれ違う寸前に左に急旋回し、奴の背中に20mmを叩き込む。右エンジンをやったようだ。黒煙を出してノロノロと飛んでいる。

 

「FOX2!」

 

チェックメイトだ。エンジンを破壊。爆散した。

 

また後ろ!F-16か。

 

急減速しながらバレルロール。オーバーシュートさせた!

 

サイドワインダー発射!・・・フレアか。ミサイルが目標をロスト。

 

敵機は右に旋回している。逃がすか!こっちも右に旋回。ラダーで微調整し、20mmを撃つ。

 

命中!敵機は尾翼が吹っ飛び、回転しながら地に堕ちていく。

 

他は味方が落としたようだ。元の隊列に戻る。

 

「ん?ミサイルアラート!ブレイク!ブレイク!」

 

右に回避しようとしたファルコ3にミサイルが命中し、ファルコ3は爆散した!

 

「ファルコ3!応答しろ!・・・クソ!」

 

他の隊も襲撃されている。J-20!?まだいたのか!

 

奴は俺の背後。右に出ようとしている!

 

急減速しながら旋回。目の前に来た瞬間、20mmを撃つ。

 

煙が出ているがまだ落ちない。

 

急上昇。奴は一瞬、俺にオーバーシュートさせたが、急降下しながら急減速し、奴に追い越させる。

 

奴はフラップを降ろした。まさか!?

 

すぐにブレーキで減速。奴は急上昇し、機体を逆さにして一瞬停止。ストールターン!?

 

チャンス!ギリギリでこっちも機首を上に向け、奴に照準を合わせる。終わりだ。

 

止まっているJ-20にありったけの20mmを叩き込むと、スロットルを上げ、再加速。

 

エンジンが炎上している。終わりだ。

 

「総員!福岡空港へ帰還せよ!博多港が敵の攻撃を受けている!」

 

空中管制機からの通信。なんだと!?何があった!?

 

15:52

博多港

side函南

 

「おい鷹見!もっとスピード出ないのか!?」

 

M2についた長谷川が怒鳴る。

 

「これでもアクセルベタ踏みだよ!だいたい、グロウラーに5人も乗っけてるんだから文句言うな!」

 

なんでこんな時に敵の上陸部隊が来るんだ!

 

まあ、堤防だらけの港を選んだ敵は馬鹿だな。どうやって上陸する気?それとも停泊している第6艦隊と第7艦隊が狙いだったのか?

 

「何でもいいから飛ばせ!」

 

「分かってるって!」

 

港へ着くと、既に敵1個小隊が上陸していた。

 

「全員降車して応戦!敵艦は第6艦隊に任せよう!」

 

ベッカーが叫ぶと同時に俺達は降車してグロウラーを盾に応戦する。

 

長谷川はM2で敵をなぎ払い、残りを俺達が片付ける。

 

「敵のグレポン来るぞ!」

 

長谷川が叫び、前方を見ると、白い煙を引きながら何かが飛んで来た。

 

マズイ、すぐにそこから退避すると近くに榴弾が着弾し、足に破片が当たり、爆風でよろける。

 

グレネードランチャーを撃った敵は長谷川の機銃掃射に巻き込まれて倒れた。

 

容赦の無い銃撃に、1人また1人と倒れて行く。

 

とりあえず出血はそれ程でもないので包帯をきつく巻いておく。

 

敵小隊を片付けた。その時、USSポセイドンから通信が入る。

 

「フォートレスから上陸阻止部隊!敵艦がミサイルを発射!退避しろ!」

 

「鷹見!グロウラーを出せ!」

 

「分かった!全員乗れ!」

 

俺達はグロウラーに飛び乗る。

 

「全員乗りました!」

 

「掴まってろよ!」

 

鷹見はアクセルをベタ踏みにし、急加速した。

 

次の瞬間、港にミサイルが着弾!破片が飛んでくる!

 

「避けろ鷹見!破片が飛んでくる!」

 

鷹見はギリギリでハンドルを右に切って避ける。

 

まるで集中豪雨の如く、コンクリートの破片やら何やらが降り注いで来る。

 

どうやらミサイルの範囲外へ逃げ切ったようだ。ミサイルが来ない事を確認し、現場へ戻る。

 

そこには、爆発によって砕け散った亡骸が転がっていた。

 

周りには、それを見て膝をつく者、口や目を押さえる者、友の亡骸を探す者がいる。

 

「フォートレスから上陸阻止部隊へ。今すぐUSSポセイドンへ乗れ。これからの任務について説明する。」

 

複合艇で俺達はUSSポセイドンに乗り込んだ。やり場の無い悲しみと怒りを抱えて。

 

17:20

USSポセイドン ブリーフィングルーム

 

「諸君。先程の敵の攻撃により、27名が戦死、又は行方不明となった。亡くなった者への冥福を祈る。それで本題だ。これから撤退して行く敵艦隊を追撃する。敵の基地を発見次第、内陸から攻撃を行う。それまで待機していてくれ。」

 

ギャリソン艦長からの話しはこれだけだ。福岡空港は防衛部隊と空軍の1部が守る。モリソン将軍も福岡空港で留守番だ。

 

ジャッカル、ヴィンペル、ユニオン、バルチャーは奇跡的に損害無しだ。だが、代わりに他の隊員が犠牲となった。

 

18:00

食堂

 

「クソ・・・SLFめ。戦死者の中には俺の親友のアンドレイもいたんだ。奴らめ・・・」

 

ウラッドの隣でキリルが嘆いている。今日のキリルのボルシチは、いつもよりしょっぱい気がする。

 

「キリル、今のうちに泣いて全部出しちまえ。」

 

「うぁぁぁぁ!ぁぁぁぁ!!」

 

キリルは酒が入っていた事もあってか、テーブルに突っ伏して泣き出した。いつもなら無茶飲みをするとヴィクトルが止めるのだが、あんな事の後もあってか、今日は止めにこない。

 

俺は家族を亡くした時、泣けなかった。感情を無くしかけてた事もあるが、誰かに頼る事が出来なかった。

 

長谷川達が信用できないという訳では無い。人にどう頼ればいいのか分からなかったのだ。

 

もしかしたら過去の俺も、キリルのように泣いてしまいたかったのだろうか。

 

俺はただ、キリルを見守っている事しか出来なかった。

 

人はいつか死ぬ。誰かに思い出を残して。

 

それとどう向き合うか。

 

それに答えは無い。

 

俺はそう思う。

 

後日、アンドレイの墓参りをしている正装のキリルが目撃された。その墓には、アンドレイが好きだったという銘柄のウォッカと、2枚組のドッグタグが供えられていた。ドッグタグの片方はキリルの、もう片方はアンドレイのものだったそうだ。

 




「土岐野中尉? 会ったこと無いけど?」

土岐野中尉は海軍所属なので、海兵隊の函南とはあまり接点が無いんですよね。その辺ですれ違ったりはするんだろうけども。

「にしてもキリル・・・」

しばらくそっとしておいてあげなよ。

「鷹見や長谷川に宮間軍曹とベッカーを亡くしたら俺もあんな風になっちまうのかな。立ち直れるかどうかも分からないが。」

仲間を亡くすのはやっぱり辛いんでしょうね。自分にはそういう経験が無いですが。

「そんな事にならないようにするんだろ? あいつらならば大丈夫だろう。」

だといいですね。それでは

「「次回もよろしく!」」

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