「お前、冬休み中にもそんなことあったよな?」
たまにあるんですよ。眠りたくても眠れない時が。それはさて置き、今回はモリソン将軍に本気を出してもらいますか。
「何が起こるんだよ? とりあえず本編をどうぞ!」
6/21
10:15
USSポセイドン
side函南
朝食後のトレーニングなう。
にしても、朝食の時に飲んだジャックのコーヒー美味かったな。昼食の時も淹れてもらおう。
「12・・・13・・・14・・・」
そんな事を考えながら腕立て伏せだ。隣で長谷川、鷹見、宮間さんも腕立て伏せだ。
その後は腹筋と背筋だ。
12:12
昼食中。ジャックにコーヒーを頼んだ。
ハンバーガーにポテトと、いかにもアメリカ式だ。脂っこい食事だったからかジャックがサッパリした味のコーヒーを淹れてくれた。美味いと言ったら、別にと無表情で言われた。顔がちょっと赤かったのは見逃してないぞ?
「総員、あと10分でUSSレグルスと合流する。所定の位置で待機せよ。」
放送が流れる。
「ベッカー、俺何も聞いてないが?」
「いや、言ってた。お前が寝てただけだぞ?」
鷹見が長谷川にツッコミを入れる。
「モリソン将軍が面白いから寝かせとけって言ってましたね。」
宮間さんが補足。
「所定の位置って?」
「俺達は船外通路だ。」
俺は長谷川に教えてやる。船内で迷子になられたら困る。
「そういえば、USSレグルスは単独で来るのか?」
鷹見がベッカーに聞く。
「いや、第6艦隊と一緒に来る。」
「第6艦隊?」
「中国海軍と海上自衛隊の混成部隊だ。ラウ大佐と川口大佐が率いている。」
ちなみにTF148では階級の呼び名を統一している。
問題解決のようだな。鷹見が納得した顔をしている。
で、俺達は早速タックゴーグルのマップ機能を使って船外通路へ移動する。
10分後・・・
特にコレと言った事は無かった。
で、ブリーフィングルームに移動して講義の続きだ。
「さて、今日はお前らの敵についてだ。」
ゴーグルに1人の男の写真が表示される。誰だこれ?
「こいつがこのテロの首謀者、フィル・サージェンスキー。お前らがデパートで遭遇したのはこいつの弟のロイだ。」
嘘だろ?
「ということは、あの時奴を殺していてもこのテロは止められ無かったのか?」
鷹見が言う。
「残念ながらそうだ。だが、お前らのおかげで情報を入手でき、こうして対策が出来た。気を落とすな。」
結局このテロは止められないものだったか。溜息が自然と出る。
「続きだ。こいつになんの得があってかは知らんが、各国の正規軍の一部やテロリストが味方についたそうだ。ここに来る途中に襲って来たと言うロシア軍は離反して奴についた部隊だと思われる。」
長谷川が漏れなくミンチにしたがな。
「奴はかなりの兵器を所持している。注意しろ。また、奴らの略称はSLFだ。」
サージェンスキー・ラボ・フォースの略だそうだ。
「そしてタスクフォース148について。TF148は日本に奴が潜伏しているとのタレコミがあり、奴を拘束、または殺害するために日本へ派遣されている。各国はタスクフォース組と国内組に軍を分けて派遣したそうだ。全滅を避けるならそれが現実的かな。」
それからはパラシュートの使い方などの授業だった。
「さて、今日はここまでだ。これから食堂の掃除だ。行くぞ。」
お掃除という新人限定の任務が課せられた。
15:30
食堂
「よし、掃除終わりっと。」
俺は背筋を伸ばしながら言う。
「こっちも終わりましたよ!」
俺達5人は掃除用具を片付ける。そこへ、ウラッド達ヴィンペルチームとアラン達ジャッカルチームがやってきた。
「掃除か?」
「もう終わったぞ。」
アランの問いにベッカーが答える。
「なら、少し休憩と行こうじゃないか!」
とまあ、合計13人はその辺に腰掛け、雑談していると、
「キリル・パトルシェフ! パトルシェフ軍曹はどこだ!?」
なんかモリソンが怒ってる!
「そこに隠れてます。サー。」
ウラッドがいつの間にか隠れていたキリルを指差すと、物凄いスピードでモリソン将軍はキリルを捕らえた。なんか黒い笑みを浮かべている。
「お〜う、パトルシェフ軍曹? 前に基地にある私の部屋から無くなったワインの空き瓶が君のベットにあったのだが、どういうことかね?」
・・・キリル。そんなことしてたのか?
「え〜、これはバイカル湖より深い訳が・・・今朝起きたらワインが枕元にあったのであります! そうだ! ワインが歩いて来たんです!」
バレバレの嘘をついてやがる。
「とか言ってますがどうします? 同志モリソン?」
「よろしい。シベリア送りだ。」
「余計な事言うなユーリ!」
キリル、モリソンに睨まれてガクガク震えてるよ。こっちからはモリソンの後ろ姿しか見えないが。
「さて、パトルシェフ軍曹が有罪と思う者は?」
全員(キリルとモリソンを除く)が手を挙げる。モリソンが挙げなきゃ殺すとかいうオーラを放っているので挙げざるを得ない。
「さて、パトルシェフ軍曹? お話がいいか? それとも雑談? インタビュー? どれでも好きな物を選びたまえ♪」
「どれも死亡確定じゃねぇか! 祐介! 助けてくれ!」
まて、いくらなんでも今のモリソンに手出ししたら俺も死ぬ!
「健闘を祈ります。パトルシェフ軍曹。」
「この悪魔! ウラッド! ヴィクトル! ユーリ!」
「「「ワイン飲む奴なんか知らん。」」」
あ、ヒドい。
「聞いて下さいモリソン将軍! ウラッド達も飲みました!」
「ロシア軍の中でワインを嗜むのは君だけだぞ? さあ、インタビューに行こうか♪」
「た〜す〜け〜て〜!!!」
キリルはモリソンに襟を掴まれ、引きずられて行く。俺達はただ見ているだけしか出来なかった。
「やめてくれ! こんな死に方いやだぁ! うわ! なにするやめ・・・」
廊下に続く扉が閉められた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
悲鳴が聞こえて来た。
ここからはボーイズトーク(BGMはキリルの悲鳴)をお送りします。
「な、なあウラッド。あれ、何やってんだ?」
「モリソンはな、精神にじわじわ攻めるタイプなんだ。」
ウラッドが答える。そこにアランが補足する。
「モリソンは相手のプライドだのなんだのをじわじわと折れるギリギリまで追い詰めるんだ。」
(ここからキリルの悲鳴がひょぇぇぇ!に変わった)
で、アランが続けて言う。
「で、最後にゆっくりと心を折るんだ。前もキリルの奴、同じ事やって1週間くらい悪夢にうなされた挙句、カウンセリングを受けるハメになったんだ。」
そこで放送が入る。
「総員に告ぐ。食堂前廊下は現在危険地帯に指定されている。近寄るな。万一、身体に異常をきたした場合、すぐに医務室へ出頭せよ!」
「そうとうヤバいみたいですね。」
(この辺からキリルがメスシリンダーと叫ぶだの、歌い出すだの、そろそろヤバくなって来た)
「聞いてるこっちも頭が狂いそうでな。ジャック、コーヒー入れてくれ。苦味で正気を保つぞ。」
アランはジャックにコーヒーを頼む。全員が俺も俺もと手を挙げた。
そしてユーリが口を開く。
「タスクフォースの全員がこの場面に遭遇したからな。今ではこれを25m以上50m以内の距離で聞くことが新人の通過儀礼となっているんだ。通称、悪夢の洗礼。こんな近くで聞く新人はいないがな。」
「函南、俺頭が痛い。」
長谷川がダウン寸前だ。
さっきからモリソンの声がちょっと聞こえるが、その度に寒気がする。本能が危機を感じ、モリソンのセリフを片っ端から忘れて行く。
「ほら! コーヒーだ! しっかりしろ!」
流石に慌てたジャックがコーヒーを長谷川に飲ませた。
「あ、俺何してたんだ?」
長谷川、とうとう記憶障害か?
「あのインタビュー中は逃げようにも逃げられない不思議なもんでな。耐えるしかない。拷問に耐える訓練にしたらどうだろうか。」
ヘンリーが頭を抱えている。
鷹見なんかぶっ倒れてる。医務室送りだな。
「で、捕虜への尋問の時にインタビューをやると必ず情報を聞き出せるから、『落としのモリソン』っていう刑事みたいなあだ名があるんだ。」
「『お年のモリソン』とかいったら殺すぞ☆」
ユーリが言った瞬間、モリソンがドアを開けて
それから10分後・・・
ドアが開くと、なんかスッキリした顔のモリソンが出て来て、その場にはミイラと化し、シャチホコのような体勢で倒れているキリルの残骸があった。
「キリル、大丈夫か?」
とりあえず聞いてみる。
「大丈夫大丈夫。この川を渡ればいいんだな?」
「待て、それ絶対ヤバい奴だろ! 戻って来い!」
「ウラッド、どうするこれ?」
ヴィクトルは呆れ顔だ。
「これを回復させるには十分なカウンセリングとウォトカとボルシチが必要だな。とりあえず祐介、そこの担架で2人を運ぶぞ。」
ウラッドの指差す先ではガクガク震えて倒れてる鷹見がいた。泡まで吹いてやがる。
鷹見は1時間で回復したが、キリルは復活に3日掛かったという。
「モリソンの本気ってこれかよ!」
まあ、モリソンの必殺、インタビューです。食らった者は精神を病みます。読者に被害が出ないようにモリソンの声はカットしております。
「病むどころの話じゃねぇよ! あのキリルの倒れ方、もはや芸術の域に達してたぞ!」
いやね、たまにはギャグを入れたくなってね・・・
「被害甚大なギャグ(?)を入れてくれたな。鷹見がヤバい。」
・・・(黙祷)
「で、キリルもモリソン将軍のワインくすねるとか勇気あるな。」
勇気どころか無謀ですね。詰めが甘くて毎回バレてる。ちなみに最初の設定では、キリルが説教受けたのちに天井に吊るされて発見されるだったんですが、あれこれ考えているうちに干物になって発見に変わったんですよ。
「どっち道キリルが被害者か。にしてもアレは某ガキ大将の歌の方がマシに思えてくるぜ。それでは」
「「次回もよろしく!」」