【完結】CombatZone   作:Allenfort

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さて、今回はちょっとだけ函南の過去に触れます。上手く書けてるかはちょっと自信ありませんが。

函南「こんな主だが、暖かい目で見守ってやって下さい。」

それでは本編をどうぞ!


mission16 迷走

16:45

(函南視点)

 

アウトドアショップ

 

「えーと、ワンバーナーは、あったあった。ついでにガスもっと。」

 

今、長谷川に車で留守番させ、俺と鷹見で物資を確保している。

 

「バルチャー1からバルチャー2、物資はあったか?オーバー。」

 

移動中にコールサインをバルチャーと決めた。コールサインを決める必要は無いのだが、万一あのクソ野郎が傍受してたら嫌だからな。

 

物資を集めながら移動しているのが死体を漁るハゲワシみたいだからという理由だ。意味はどうあれ、響きが気に入ってるからいいかな。

 

「こちらバルチャー2、寝袋と調理器具を確保。オーバー。」

 

「了解。こっちも物資は揃った。車に戻るぞ。バルチャー1アウト」

 

さて、カゴに荷物を詰め、入り口へ向かおうとした。その時、

 

「バルチャー3からバルチャーチーム総員へ!正面大通りからリッパーが接近!」

 

マジかよ。

 

「数は!?」

 

とりあえず数を把握するべきだ。

 

「目視出来るだけでも6!」

 

「バルチャー2!荷物は置いてすぐ支援に行くぞ!」

 

「了解!」

 

俺は背中にスリングで吊ってあったG36Cを構え、車に戻る。耐えてくれよ、長谷川。

 

ガガガガガガガ!!!!!!!!

 

銃声が聞こえる。長谷川がM249をぶっ放しているのだろう。弾幕の嵐でリッパーを始末している。

 

「待たせた!」

 

車の右側面から敵が来ている。

 

俺はボンネットの後ろに陣取り、マグニファイアをセットする。

 

長谷川の弾幕で動きが鈍った奴を狙い、セミオートでヘッドショットを決める。無駄弾は使いたくない。

 

「悪い!遅れた!」

 

鷹見が来たのでカバーポイントを譲る。

 

物陰から出た俺は、マグニファイアを外し、左へスライド移動しながら撃つ。

 

やっぱ移動しながらだと精度落ちるな。胴体や外れが多くなった。

 

ダン!

 

鷹見がバイポッドをボンネットに固定し、狙撃する。さすが鷹見だ。外さねぇ。

 

ダン!

 

鷹見の放った7.62mm弾がリッパーの頭を貫通し、後ろのリッパーの頭も吹き飛ばす。

 

というか、いつの間にか敵の増援が来てやがる。

 

目視出来るだけで15か。

 

「おい!これじゃキリがねぇぞ!」

 

「クソが!」

 

鷹見と俺がちまちま片付けるが、終わりが見えない。

 

「リロード!援護を!」

 

マズいぞ、M249はリロードに時間がかかる!

 

「仕方ねぇ。長谷川!あのクソ野郎共を燃やせ!」

 

こうなりゃ奥の手だ。こんなとこでやられてたまるか!

 

長谷川はニヤリと笑うと、車の中からあるものを取り出す。

 

「燃えちまえ!」

 

ポン!ドン!!

 

そう叫ぶと、長谷川はいつの間にか入手していたM320をぶっ放す。

 

榴弾は見事リッパーの群れのど真ん中に着弾する。

 

「撃ち方止め!鷹見!荷物取りに行くぞ!」

 

「あいよ。」

 

とりあえず殲滅したので、置いてきた荷物を回収する。あらかじめカートに積んで置いたので素早く運ぶことが出来た。その間、長谷川は車でお留守番だ。

 

「よっと。これで最後だ。」

 

鷹見から物資を受け取った長谷川がトランクに積む。

 

物資を積み終わり、俺達は出発する。

 

「で?どこ行くんだ?」

 

長谷川は鷹見に聞く。そういや目的地どうしようか?

 

「さあな。取り敢えず南下するぞ。」

 

「ドライバーに任せる。」

 

思いつかないので鷹見に任せる。シェフのお任せコースならぬドライバーのお任せコースだな。

 

「それなら助っ人呼ぶか?」

 

「助っ人?・・・まさか!」

 

「誰?」

 

長谷川、助っ人ってまさかあの人か?

 

「いや、鷹見は面識無いけど、俺と長谷川はしょっちゅう会ってるんだよ。」

 

「ナイフとロシア軍が好きな人だ。」

 

ちょっとヤバめな人なんだよな。

 

「戦闘能力は?」

 

「リベットガンがあれば1ヶ月は戦えるんじゃないか?あの人は。」

 

俺的にはそう思う。即席ナイフとリベットガンでサバイバルをやってのけそうな人だもんな。

 

「オイオイ、どんだけだよ。」

 

「・・・にしても、腹減ったなぁ。」

 

長谷川の腹の虫が鳴き始めた。

 

「今日はどっかで休もう。色々あったから休息が必要だ。」

 

「だな。俺も寝たい。」

 

鷹見も俺を迎えに来たりと色々疲れてるだろう。

 

俺達は近くの河原へ向かった。

 

 

17:00

 

「ん〜。こんくらいだな。」

 

俺は今、入手したバーナーを使って料理をしている。

 

カップ麺とかは緊急時まで温存しておきたいからな。

 

んで、ちゃっちゃと炒めたバラ肉を輪切りにしたトマト、千切りキャベツと共にフランスパンにはさむ。簡単なサンドイッチだ。肉入りだから食い応えあるだろう。

 

「出来たぞ〜野郎ども!」

 

全員の銃のメンテをしていた長谷川と双眼鏡を使って見張りをしていた鷹見がやって来る。

 

「お!肉か!」

 

鷹見が嬉しそうな表情で言う。カレーもよかったが、作ってる最中に襲撃されたらたまったもんじゃないからな。

 

「生肉は保存がきかないから食えるのは今のうちだぞ?」

 

「では、」

 

長谷川がサンドイッチを手に取り、

 

「いただきま〜す!!」

 

フライングしやがった!

 

「うめぇ!」

 

長谷川はサンドイッチをがっつき始めた。

 

「おい長谷川、喉につまらすなよ?」

 

こんなとこでパンを喉に詰まらせて死ぬなんてやめろよ?

 

数分後

 

「何かフランスパン3分の1でも腹に溜まるな。」

 

長谷川がベルトリンクをBOXマガジンに詰め込みながら言う。

 

「そりゃ、フランスパンは良く噛んで食うからそう感じるんだよ。」

 

俺は片付けを終え、ダンプポーチに入っている空のマグに弾を込めている。

 

念入りに手入れしなくちゃな。こいつが壊れたら俺が死ぬ。

 

「暗くなって来たな。」

 

「ほれ、電池式のランタンだ。車のライトはバッテリー食うからな。」

 

「お、サンクス。」

 

長谷川にランタンを渡した俺はお気に入りのオレンジジュースを1本取ると、外に出た。

 

ちゃんとSOCOM Mk.23を持って。G36Cは長谷川が絶賛分解中だ。

 

街は暗い。

 

人が殆どいないのか、電気が殆どついていない。

 

だが、

 

星が綺麗だな。

 

余計な明かりがないからなのか、星空がいつもより綺麗だった。

 

(鷹見視点)

 

ちょっと外の様子が気になったので、俺は缶コーヒーを手にとって外に出た。

 

どうやら先客がいたようだ。

 

「何してんだ?函南?」

 

「ん?まあ、ちょっとした天体観測かな。」

 

「そうか。まあ、確かに普段より綺麗だな。」

 

街の明かりが無いお陰で空には星が輝いている。こんな夜も悪くないな。

 

「カシオペヤ座ってあれかな?」

 

「お、あれか。理科の授業で散々出て来たな。」

 

函南が北の空を見上げて言う。

 

「カシオペヤ座の話か、確か椅子に縛られたまま星座にされたんだっけ。」

 

「おいおい、神様はサディストか?一体どうしてそうなった?」

 

「自分の娘のアンドロメダを自慢しまくってポセイドンを怒らせた。」

 

「あ、それでアンドロメダが化け物クジラに食われかけた訳か。」

 

「んで、ペガサスに乗ったペルセウスが切りたてホヤホヤのメデューサの生首を化け物クジラに見せて退治したワケで。」

 

「印籠の代わりにメデューサの生首とかヒデェな。」

 

それは初耳だ。ちょっと吹き出しそうになった。印籠の代わりにメデューサの首はないだろ。

 

「だろ?で、今も昔も変わらずにこの後結婚というパターンだよ。」

 

「本当にそれはブレないよな。」

 

星を見る函南からは、悲しみを感じた。

 

函南の4つ下の妹だったかな。

 

あいつの妹が星が好きであいつもそれに釣られて星座のエピソードを覚えたんだよな。

 

その妹はあいつと違い、かなり頭が良かった。

 

あいつは、それに負い目を感じていた。

 

でも仲は良かったようだ。

 

だが、あの事件で・・・

 

まだ助けられなかったことを悔やんでいるのだろうか。それとも、どうでもよくなったのだろうか。

 

1番頭悪くて家族からあまりいい扱いは受けていなかったくせに。

 

お前の良さは勉強なんて尺度じゃ測れないのさ。現にお前というまとめ役があってこそ俺達はあの地獄から生還出来たんだ。

 

"お前を置き去りにはしない!誰1人見捨てはしないぞ!"

 

見捨てられる苦しみを知っていたから言えたのだろう。

 

お前は机上の学問より実戦の方が向いてるよ。だろ?祐介。

 

祐介の懐中時計のオルゴールが響く。優しく、悲しい旋律は、あいつを映しているようだ。

 

「風邪引いたらヤバイし、そろそろ戻るか。」

 

「あいよ。"祐介"。」




さて、コールサインが決まりましたね。

函南「必要か?」

今はあっても無くても変わりませんが。

鷹見「まあ誰が聞いてるか分からないからな。そういえば助っ人の話が出たが?」

次の話で助っ人について分かります。

長谷川「そして函南の料理スキル炸裂だな。」

実際は長谷川くんの方が上手いですが、長谷川くんはレシピを知らないと作れません。函南くんは思いつきで作れます。

鷹見「成る程な。」

ちなみに函南くんが後半で鷹見くんと話していたカシオペア座のエピソードはギリシャ神話のものです。中学校の授業で先生が話していたのを覚えてたんです。

函南「真っ暗な外で雑談するならこれだと思ったからな。」

はい。さて、そろそろ締めます。それでは

「「「「次回もよろしく!!」」」」






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