何気に書いた二次作品集   作:青火

9 / 19
オリ主ばっかだな…。


問題児たちが異世界から来るそうですよ?
問題児×オリ主


「今日もなしかぁ…」

 

 

 神社の屋根の上に座る少年。彼はため息をつきながら、手元を見る。そこには五円玉が三枚あった。

 

 

「これじゃぁ、食っていけないよ…。」

 

 

 ぼーーっと星を眺めていると、

 

 

「ん?」

 

 

 視界に封書が映った。封書はひらひらと飛び、少年の手元に来た。

 

 

「なんだろ?コレ?空から飛んできたけど…」

 

 

 そういいながら、少年---片桐満は手紙の裏を見る。そこには、『片桐満殿へ』と書かれていた。少年は不審に思いながら、封書を開ける。そこにはこう書かれていた。

 

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能(ギフト)を試すことを望むならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの〝箱庭〟に来られたし』

 

 

「おかしな、文。」

 

 

 満は、封書をそばに置いた。置いた直後、ふわっという浮遊感におわれたと思うと、視界が一変していた。

 

 

「なっ!」

 

「わっ!」

 

「きゃっ!」

 

 

 綺麗な夜空から、広い青空になっていた。しかも、高度4000mに投げ出されたようだ。他にも三人いたようだが気にしてはいられなかった。なぜなら、ここは完全無欠の異世界だったのだから。

 

 

ザバァアン

 

 

 そんな音と共に、四人と一匹は湖に落ちた。どうやら、幾えもの薄い水膜があったおかげで死にはしなかった。それぞれ、陸に上がっていく。

 

 

「し、信じられないわ!まさか問答無用で引きずり込んだ挙句、空に放り出すなんて!」

 

「右に同じだクソッタレ!場合によっっちゃ、その場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ。」

 

「……。いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」

 

「俺は問題ない。」

 

「そう、身勝手ね。」

 

 

 二人はフンと鼻を鳴らし、服を端を絞る。その後ろを猫を抱いた少女と満は陸に上がる。

 

 

「ここ……どこだろう?」

 

「さぁな。世界の果てっぽいもの見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねぇか?」

 

 

 短髪の少女の呟きに金髪でヘッドフォンをした少年は答える。

 

 

(水、苦手なのに…ううっ)

 

 

 満は、眉間にしわを寄せる。

 

 

「まぁ間違いないはずだけど、一応確認しとくぜ。お前達にも変な手紙が?」

 

「そうだけど、まずは“オマエ”って呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ。以後、気をつけて。それで、そこの猫を抱きかかえてる貴女は?」

 

「……春日部耀。以下同文。」

 

「そう、よろしく春日部さん。じゃぁ、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま、野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様。」

 

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君。」

 

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しておけ、お嬢様。それで、そこにいる和装ショタは?」

 

「和装ショタって何!?…まぁ、いいけど…僕は片桐満。よろしく、お嬢様と十六夜。」

 

「…そう、よろしく、片桐君。」

 

「おいおい、最初から呼び捨てかよ。」

 

 

 心からケラケラと笑う逆廻十六夜。

 傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥。

 我関せず無関心を装う春日部耀。

 微笑みながら皆を見る片桐満。

 

 そんな彼らを物陰から見ていた者がいた。

 

 

(うわぁ……なんか、問題児ばっかりみたいですねぇ……)

 

 

 彼らが強力する姿が思い浮かばない彼女、黒ウサギはため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

「呼び出されたはいいけど、なんで誰もいねぇんだよ。この状況だと、紹介状に書かれていた箱庭いうものの説明する人間が現れるもんじゃねぇのか?」

 

「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの。」

 

「…。この状況に対して落ち着きすぎてるのもどうかと思うけど。」

 

「それは、君もだと思うけど?」

 

(アナタもですよ。)

 

 

 黒ウサギは満の発言にツッコミを入れた。もっとパニックになってくれれば、飛び出しやすいのだが、場が落ち着きすぎているので出るタイミングが計れないのだ。

 

 

(まぁ、悩んでいても仕方がないデス。これ以上不満が噴出する前にお腹を括りますか。)

 

「---仕方ねぇな。そこの隠れてる奴にでも話を聞くか。」

 

 

 物陰に隠れていた、黒ウサギは跳ね上がる。四人の視線が黒ウサギに集まる。

 

 

「なんだ、貴方も気づいてたの?」

 

「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?そっちのお前らも気づいてたんだろ?」

 

「風上に立たれたら嫌でもわかる。」

 

「音を立てすぎてるね。」

 

「へぇ、面白いなお前ら。」

 

 

 軽薄そうに笑う十六夜の目は笑ってない。四人は、殺気の籠もった冷ややかな視線を黒ウサギに向ける。

 

 

「や、やだなぁ御四人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じて、ここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」

 

「断る。」

 

「却下。」

 

「お断りします。」

 

「遠慮しとくよ。」

 

「あっは、取り付くシマもないですね♪」

 

 

 バンザーイと降参のポーズをとる黒ウサギ。しかし、その眼は冷静に四人を値踏みしていた。

 

 

(肝っ玉は及第点。この状況でNOと勝ち気は買いです。まあ、扱いにくいのは難点ですけども。)

 

「えいっ。」

 

「フギャ!」

 

 

 黒ウサギが考えに浸っていると、横から春日部耀が黒ウサギの耳を引っ張った。

 

 

「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」

 

「好奇心の成せる業。」

 

「自由にも程があります!」

 

「へぇ?このウサ耳って本物なのか?」

 

 

 今度は十六夜が右から引っ張る。

 

 

「……。じゃぁ私も。」

 

 

 飛鳥は左から。黒ウサギはまだ、何もしていない満に助けを求める。------が、

 

 

「僕も触らせて。」

 

 

 満は黒く純粋な笑顔だった。唯一の希望をなくした、黒ウサギ。黒ウサギに満は歩み寄り、耳を掴む。

 

 

「ちょ、ちょっと待ー----!」

 

 

 黒ウサギは言葉にならない悲鳴をあげ、近隣に木霊した。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。