「にしても、やりすぎなんじゃない?」
「そうかぁ?手加減したんだけどな…。」
(え?)
俺たちはFクラスに戻るべく、廊下を歩いていた。
「でも、容姿まで変わるとは思ってなかったなぁ。」
「そうだね。」
さっき、気づいたのだが何故か入れ替わると、髪が黒っぽい茶色になり目つきが変わる。
「そろそろFクラスだから、ポケットに戻って。」
「りょーかい」
俺は明久の胸ポケットに入った。明久はFクラスの扉を開けた。
「おー明久、戻ったか。…てっきり、ボコボコになって帰ってくるかと思ったぞ。」
「そう仕込んだのは、雄二でしょ!?」
「じゃぁ皆、今日の昼に試召戦争をDクラスと行う!!」
「無視!?」
「ぜってぇ、勝つぞーーー!!!」
『『おぉぉぉぉぉ!!!』』
こうして、試召戦争の火蓋がきって落とされた。
◆
屋上。皆がいる所から少し離れた場所。
「なぁ、明久。」
「何?ヤヨイ?」
「よく、そんな量で大丈夫か?生きてるか?」
「生きてるよ!!そんな量って、リッチじゃないか!」
「いや、それでもパン一個じゃねぇか……たく、これから試召戦争だってのに…半分くれ」
「ちょっと待って。今の流れからどうしてそうなるの?」
「ん?俺が頑張るからくれ!ということだ。」
俺は明久から貰ったパンを食べる。
「体小さいのに、よく入るね……」
「心配ない。人間の胃袋と同じだ。」
「逆に心配だ!君の体より大きいよ!!」
「そんな事、言われても知らん。俺はオカルトと科学から生み出されたんだろ?」
「そうだけど……ヤヨイがいる時点でその領域を超えてると思うよ……」
他愛も無い会話をしていると、遠くから声がかかる。
「おーーいっ、明久ーー!!そろそろ、行くぞ!!」
坂本の声だ。明久は返事をして、まだ食べている俺を胸ポケットに強引に押し込み、坂本の元へ走る。
「ふごっ!?」
「我慢して」
◆
「明の胸ポケット、いつも膨らんでるよね?何か、入れてるの?」
「え?あ、うん。」
急に、島田から声がかかる。バレそうだな。こりゃ…いきなり。
「あ、私も気になります。」
気にならんでいい!
「そうだな。何、入れてるんだ?明久」
「雄二まで…」
「ワシも気になるぞい。」
「………俺も」
「秀吉とムッツリー二まで……」
明久は悩んで、こちらを見る。
「大丈夫だ…ぬいぐるみになりきる。」ボソッ
「りょーかい」ボソッ
「早く、見せて。」
「……これなんだけど。」
明久は俺を出した。
「ん?これは、ぬいぐるみか?明久の召喚獣にそっくりだな。」
「まぁね……」
「何でそんな物、持ち歩いてるんじゃ?」
「……大事なもの……とでも言っておくよ。」