先生が出て行った後、明久と姫路は席に座った。姫路はさっきから、ゴホッゴホッと咳をしている。まだ、完全に治って無いのだろう。それを見た明久は坂本に話しかけた。
「雄二、ちょっといい?」
「何だ?」
明久は、坂本を廊下へ連れ出した。もちろん俺は明久の胸ポケットに潜んでいる。
「Aクラスに試召戦争を仕掛けようと思うんだ。」
「……お前の事だ、どうせ姫路の為だろう?」
「…うん。姫路さんにはこの教室は体に悪いだろうからね。」
「設備を良くしてやろうって事か…いいだろう。俺もちょうどAクラスに仕掛けようと思っていたとこだ。」
「そうれじゃあ!」
「おう、明久のその案、乗った。 教室に戻るぞ。」
それだけ話をして、中に入った。なるほど…な…。福原教師が戻り、新しい教卓が置かれた。
「最後に、学級代表の坂本君。よろしくお願いします。」
その言葉を聞いて、坂本は教卓に立った。
「Fクラス代表となった、坂本雄二だ。坂本なり好きに呼んでくれ。さっそくだが、皆この教室に不満は無いか?」
『『大有りじゃぁー!!』』
Fクラス皆の言葉を聞き、坂本はニヤッと笑った。
「そこでだ、FクラスはAクラスに試召戦争を仕掛けようと思う!」
だが、その言葉にFクラス皆は賛成しなかった。無理だ…とか勝てるはずがないとか…。坂本はまた喋りだした。
「大丈夫だ、このクラスには強力なスケットがいる!」
いや、このクラスにいる時点で助っ人じゃなく、仲間だと思うんだが…。違うのか…?
「おい、康太。姫路のスカートを覗いてないでこっちへ来い。」
「ひゃぁ!?」
土屋があからさまな覗きのしていた。しかし、本人は首を横に振る。教卓の横に立たされた土屋は坂本に紹介される。
「こいつは土屋康太。あの、
『何!?』
『こいつがあの!?』
『あれを見てみろ、あからさまな覗きをしても尚、全否定している!』
何故か、三番目の奴の言葉で皆、納得したようだ。土屋に皆の期待が集まる。
「次に姫路だ。皆も知っている通り、次席クラスの成績を持つ。」
『おー!』
『姫路さんがいれば、勝てるかも知れない!』
『姫路さんさえいれば何もいらない。』
おーおー、最後の奴その発言は駄目だろう。明久が少し怒ってるぞ…。
「最後に、明久!お前だ。」
「へ?僕?」
明久が前に出る。
「吉井明久。学園始まって以来、最初の観察処分者だ!」
『『なっ、何ーー!?』』
さすがFクラス、ノリがいい。
「あの~、観察処分者って何ですか?」
姫路が質問をしてきた。
「そうだね、ちょっとお茶目な「バカの代名詞だ。」…勝手に答えないでよ!」
明久が答えようとして、坂本が本当のことを言う。
「こいつの召喚獣は他とは違い、物体に触れられる。まぁその分、召喚者に半分ダメージがフィードバックされるけどな。」
「丁寧な解説どうも、雄二。」
「じゃぁ、明久。Dクラスに宣戦布告してこい。」
「Aクラスじゃないの?まぁ、雄二の考えならいいけど…何で僕?」
「お前が一番たよりなんだ行ってくれ!」
「それなら、喜んで行くよ!」
明久は廊下に出て歩き出す。俺は、明久に話しかける。
「明久、騙されてるぞ。いいのか?」
「わかってるよ…それぐらい。でも、僕が行かなきゃ。」
「そうか、じゃぁ宣戦布告した後、俺に代われ。」
「いいけど、何で?」
「そりゃぁ、返り討ちにするためだ。」
「……いいよ!」
明久はDクラスの前に立ち、扉を開けた。
『何だ!?』
「Fクラスの吉井明久だ!FクラスはDクラスに試召戦争を申し込む!」
どうどうと行った明久。Dクラスはしばらくポカンとしていたが急に怒りはじめた。明久は逃げる。
「明久!代われ!」
「オッケー!」
明久…いや、俺は止まった。
『なんだ?止まったぞ?』
俺はクルリと向きを変え、ニヤッと笑い口を開く。
「さぁ……」
『『?』』
「俺と遊ぼうじゃないか!!」
『!!??』
俺はしばらく、楽しいひと時を過ごした。
◆
「あ~、楽しかった。」
「ハハッ…凄いねヤヨイは…。襲ってきた人たちが全滅だよ…。」
そこには、倒れ伏したDクラスの人たちがいた。