IS×AC<天敵と呼ばれた傭兵>   作:サボり王 ニート

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時間が全然なくてつらいサボリ王です。
IS九巻出たりフロムが角川に買収されたり色々あった四月でしたね。
とりあえず九巻の感想は(色々と)やばいです。
角川についてはラノベ原作高難易度キャラゲーが出そうな気がします。
最後に前回のあらすじ。

エース「面白い奴だな気に入った。ちょっかい出すのは後にしてやる」
シャル「」


24 故郷の味は変な味

箒とセシリアとの模擬戦後、勝敗はどうあれ三人の戦いを称える声にエースは複雑な感情で聞いていた。

自機をただの自身の目的を叶えるための力として扱ってるエースにとっては生徒達の見せ物にされたようなものなので、ISという人命を簡単に奪い去る兵器を扱うにしては生徒達はその重要性や責任感が欠けているのではないかという冷やかな考えと、何も全員がISを兵器として扱う兵士ではなく、純粋にスポーツマンとして強くなりたいと願う人間もいると先ほどの考えを幼稚と判断する考え。

AMS使用後の頭を引っ張られるような頭痛も相まってエースの気分は少し悪いが、すぐに頭を切り替えて先ほどの戦闘を振り返り、悔しそうな顔をしながらエースを凝視するセシリアに話しかける。

プライドが高いセシリアの性格からして、目の敵にされて勝手に張り切ってもらってはエースも対処に困るからだ。

 

「オルコット良いアシストだったな。ミサイルはともかく、レーザーは避けれなかった」

「……ですが本命が当たらなかったらは意味がありませんですわ」

 

顔を膨らませるセシリアにエースは僅かに口角を上げて返す。

戦場においてのアシストとは、自身より火力のある相方の命中率を少しでも上げることだ。

セシリアの行動は逃げ場を奪い、あわよくば敵に被弾させようとしていたため決して卑下する必要はない。

ただ相手が悪かった。

セシリアはオルコットの名を守る為に努力を続けたからこそイギリスの代表候補生という一握りにしか名乗ることを許されない称号を持っている。

しかし、エースも生き残るための努力を怠らず、ネクストに乗る以前から地獄のような世界を生きてきた人間で、修羅場と呼ばれる激戦を幾度となく潜り抜いている。

実戦での経験量が並みの軍人と比べても段違いだ。

一対多、特に役割がはっきりとしている相手には特に戦い慣れている。

最もリスクが低い選択を瞬時に判断し、勝利と言う結果で終わらせたエースから褒められた所でセシリアからしたら皮肉にしか聞こえないだろう。

だが、皮肉で終わらせないようにしっかりと配慮するのもエースなりの優しさだ。

 

「たしかに意味がない。だが、即席のタッグにしてはよくやった方さ。俺が保証する」

 

戦闘中ならば何をしても構わないし構う気はないと考えているエースだが、根は武人気質だ。

相手の動きを評価し参考し。

反省するべき場所は反省し。

性能に驕らず努力を怠らず。

勝つために常に考え続ける。

セシリアは普段の皮肉屋な態度から想像出来ないほどの真摯な眼差しをするエースに戸惑いながらも、勝利者の言葉に満足そうに頷き。

 

「ふふん。私を誰だと思ってますエースさん!この私セシリア・オルコ――」

「話が長くなった。じゃこれで」

「エースさん!!?」

 

セシリアの十八番となりつつある決めポーズをしながらの長い自己紹介をエースが無理矢理遮ったことに怒りの声を上げるセシリアをエースは無視して続いて箒へ話しかける。

箒は先ほどの戦闘中にエースにダメージを与えることが出来なかったが評価すべきところはある。

愚直にまでに真っ直ぐ攻める箒にはエースは少し肝を冷やした。

的確に急所を狙った冷静な太刀筋や力強さを感じるブレードを振り下ろす勢い。

どれも剣道の全国大会を優勝者の名に恥じないものだった。

当たっていたのなら間違いなく痛手だったとエースは最優先に対処して正解だったと心底思うほどだ。

 

「篠ノ乃もプレッシャーを感じられる良い攻めだった」

「私も銃をあんな使い方をするとは思わなかった。驚いた」

「俺から言えることは次は何があってもブレードを手放すな。武器がある限り勝てる可能性はゼロじゃない」

「あぁ……次もあったらよろしく頼む」

「その時はもっと楽しませてくれよ」

「何を!?おいエース!剣道だ!剣道で勝負しろ!」

 

戦闘に負けた悔しさからか、眉をしかめる箒にエースは不敵に笑い煽る。

箒は良くも悪くも真っ直ぐなので煽った方が、対抗心を促し成長へと導くことをエースは理解している。

見せ物にされたが、学園生徒として学び合う友の成長に少しでも貢献できればいい。

エースは戦闘に納得していない損得でしか動けない自分自身の為にそう思い込むことにした。

その後、三人で勝手に戦闘の反省を始め、歓声を上げていた女子生徒達は真剣な雰囲気を出しながらマシンガンのように反省点を上げて改善案を出し合う三人に飲み込まれ次第に口を閉ざす。

だが、実戦形式とはいえ模擬戦なので当然授業時間だ。

生徒に勝手に盛り上がり過ぎてしまっては困る人物が二人ほどいる。

パン。パン。スカッ。

 

「チッ」

「おぉ千冬姉の一撃を避けた」

 

パン。

僅かに眉を顰めてエースを睨みつける千冬とおろおろしている真耶に、エースは手で頭を押さえている三人の代わりに口を開く。

 

「すみません熱中し過ぎました。どうぞ織斑先生」

「熱中するのはいいがほどほどにしておけ」

「分かりました。今後は気を付けます」

「分かればいい……篠ノ乃、オルコット。即席にしては悪くもない動きだった。だが、次は敵とパートナーの行動予測して柔軟に動け」

「「はい!」」

「そして特別メニューは楽しみにしておけ」

「「えー……」」

 

千冬の特別メニューに扱かれることが決まっている箒とセシリアだが、両者ともに嬉しそうに口角を上げていた。

その理由は勿論、世界最強の称号を持つ女性に褒められたこと他ならない。

千冬はISを扱う人間にとっては憧れの対象だ。

自然と羨望の視線が箒とセシリアに集まっていた。

エースは箒とセシリアから離れ、今度は千冬の元へと向かう。

今回の模擬戦に少しだけ疑問があった。

それは約二ヶ月もの間、エースはデータ流出を押さえるために戦闘を控えるように心がけ、千冬も模擬戦時にはエースを指名することがなかった。

それが突如、千冬から指名されたのだからエースは疑問を湧かざる得なかった。

 

「指名されるとは思っていなかった。委員会かマリー・エバンが何か言ったか?」

 

千冬に小声で心当たりがある組織の名前をエースが出すと千冬は肯定するように頷く。

エースもそれだけで事情を察して口を閉ざす。

 

(堂々と俺に言えばいいものを……まぁサボっていたのは事実で、俺の責任だな)

 

無理に断っては千冬に責任が回されかねないのでエースはそれ以上の追及を止め、心の中で人命を軽視している組織に暴力を振るうものの、根は真面目で弟思いな人間である千冬を関わらせてしまった自身の不甲斐無さを責めた。

うまく立ち回れば千冬はただ静観しているだけで良かったのだから猶更である。

だが、エースは目的の為にもIS委員会の従順な犬に成り下がる訳にはいかないため、後味の悪さを感じながらも話題を逸らすことを決めた。

起きたことはすでに取り返しようがなく、進むしかないからだ。

 

「……ところで、あの二人だが最初からメニュー追加する気だっただろ?」

「当然だ。今後勝手に行動されては困るから見せしめにしようと思ってたんだ」

「フッフッフッフフッ大変だなぁあの二人。あぁそうだ、俺も織斑に指導を頼んでいたんだ。ちょうどいい一緒にそのメニューに入れてくれ」

「いいぞー楽しもうじゃないか」

 

当然のように言い放ちギラギラと目を光らせる千冬に、エースも肉体年齢とはかけ離れた妖艶な笑い声を上げながら面白そうな物を見つけた少年のように意地悪く口を歪める。

この後地獄を見ることになっている三人の背中に寒気が走った瞬間でもある。

 

―――――――――――――――――

 

昼休み。

屋上にて、一夏に昼食を誘われたエースは全速力で購買部にて米、鮭、ほうれん草のおひたしといった値段が手ごろで簡素な弁当と飲料水を購入し草が花々が生い茂る屋上へと足へ運んだ。

 

(今更だが凄い面子だな)

 

屋上にいた人物は一夏や箒、セシリア、鈴、シャルロットと言った、ISの世界大会優勝者やそのISの開発者の近親、そして貴重なISを個人で持つことを許された人間。

誰もが大なり小なり世界に影響力を持つことを思い出しながら、草の絨毯に腰を下ろす。

 

「男共はどこじゃぁああああああああ!!」

「探し出せ!そして捕獲しろ!」

「イケメン万歳!全ては薔薇色の学園ライフのために!!」

「「「イケメン万歳!!!」」」

 

下の階から学園の建物全体を震わす程の活気に満ち溢れた声を上げながら動く部隊にエースは昼食の誘いを断らなくて良かったとしみじみ思いながら、ふと一夏とシャルロットを除く女子達が一人用にしては大きな弁当箱を持っていることに気が付いた。

 

(……苦労はするが参加しない方が良かったか)

 

エースは少しデリカシーが足りなかったと後悔したが、座ったからには立つ訳にはいかずに、何も言わずに昼食の参加を受け入れた箒達には今度何かを奢ろうと決めた。

そして、睨み合う三人組を放置して重苦しい雰囲気の中食事をとる気は毛頭もないのでエースは積極的に場を盛り上げる役に徹することを決めた。

 

「さっそく食べよう……と言いたいところだが、織斑。お前の飯はどうした?」

「あぁ今朝、何故だか知らないけど箒達がご飯作ってくれ――うわぁあああああああ」

「そうか、良かったな。昼飯代が浮いて」

「そうだなお金は大事だから本当に良かったけど頭振り回すなー!」

 

エースは文句の言いたそうな女子達の代わりに一夏の頭を片手で掴み、ブンブンと左右に激しく振る。

静観を徹するエースでも何だか知らないは、あまりにも箒達が不憫なので一夏の失言を許容することは出来ずに手を出さざる負えなくなった。

しかし、全国大会優勝者の木刀やらISを使った下手をしたら死ぬ攻撃やらが普段から一夏の身に降り注いでいるので軽い物だろう。

 

「……助かる」

「さすがですわ。エースさん」

「これはグッジョブね」

「な、何だよ?シャルルもまだ学園のこと分かってないだろうし、皆で食べた方が上手いだろ」

「それは……」

「たった三人しかいない男子同士仲良くしたいしな。これから部屋も一緒だし」

 

頭を振り回された意味を理解していない一夏は心底不思議そうな顔をしていたのでエース達四人は深淵の如き長く暗いため息を吐き、一夏なりに考えがあったから仕方ないと気持ちを切り替えることを決めた。

エースの隣に座っているシャルロットも場の雰囲気を何となく察したのか、少々気まずそうな笑みを浮かべていたので、エースはシャルロットに気にするなと小声で伝えた。

一夏の鈍感さは日常茶飯事なのだから、もはや仕方のない事で済まされるように訓練された結果である。

 

「あーそういえば一夏、エース。前に酢豚食べさせてあげるって言ったから作ってきてあげたわよ」

「おぉ酢豚だ!」

「ありがとう、凰」

 

エースは鈴に手渡しされた割り箸とほのかに温かみがあるタッパーを開けると、中にはつやつやと輝くあんに厚い肉と色艶やかな野菜。

そしてタッパー内にこもっていた酢豚の濃厚な香りがさっそく胃を刺激した。

割り箸を割って、玉ねぎをエースは口に入れる。

玉ねぎのあっさりとした甘みと、あんのこってりとした甘味が口の中でじんわりと広がり。

豚肉の旨味が舌を優しく包み込む。

文句の付けようがない味にエースは入学当初よりは慣れた手付きで箸扱い食を進める。

 

「やっぱり鈴の酢豚は美味いな!」

「同感だ、甘過ぎないのも良い」

「ふふん当然よ。私が作ったんだから」

 

言葉では突っ張っているものの、頬を赤くしながら満更でもない表情は誰から見ても褒められて喜んでいる子供そのものだ。

エースは心から食材と調理した鈴に感謝をし、あっという間にタッパに入っていた酢豚の半分を食べ終える。

そして残りの半分は鈴の許可を取ったうえで、買った弁当に付いている未使用の割り箸をシャルロットに渡す。

肉体は一夏達と同年代だが精神は二十代後半のつもりなので場と他人を気遣うくらいは普通にする。

だが、勿論それは打算的思考の上での行動だ。

鈴とは違い、心なんてものは欠片も入っていない。

しかしシャルロットは、エースが気を使ってくれたと思ったらしく、心底驚くような表情をした後どうみても女にしか見えない満面の笑みで返した。

 

「うっ……」

 

そしてその笑みに真っ先に反応したのは一番鈍いはずの一夏だった。

理由は一夏からしたら男だと思っていた人間が一瞬でも女と認識してしまったからだろう。

そうでなければエースが一夏を見る目が間違いなく変わる。

 

「なーに照れてんのよアンタ」

「べ、別に照れてねぇーぞ」

(どう考えても女ってバレるのも時間の問題だな……動きや言動は付け焼き刃なりになんとか誤魔化しているが、明らかに男の骨格や肉付きじゃないからな……女だから当たり前か)

 

エースはマジックの種をすでに知っているのに無理矢理マジックを見せられているようなもどかしい気分を味わいながら買っておいた水を飲む。

目の前にいる早く料理を自慢したいと瞳をチラチラと忙しなく動かしているセシリアの為に、口の中に残っている酢豚の味を一度リセットする為だ。

 

「あーオルコット。ぜひ君の物も食べてみたいなー」

「なんで少し棒読みなんだ?」

「織斑もそう思うだろーそう思え」

 

箒のツッコミをエースは無視して言葉を続ける。

進行役、特に一癖も二癖もある人間を相手にするには一回一回気にしては面倒この上ないからだ。

 

「え?俺は別に何も――」

「そうか食べたいか」

「よろしいですわ!エースさんと一夏さんがそこまで言うのであれば!この私が手作りしましたこのお弁当を食べさせてあげましてよ!」

「セシリアさーん?」

「イギリスにもおいしい物があると証明しなければいけませんですので。さぁ、さぁ!」

 

一夏の声を完全に無視しているセシリアが国の名を背負いながら開けたバスケットの中身はトマト、卵、ハム、レタスといった材料をパンに挟むだけの簡単な料理、所謂サンドイッチだ。

エースと一夏はセシリアのサンドイッチ同時に受け取り、同時に口に入れる。

だが、反応はまったくの別だった。

一夏は顔を青くして汗を垂れ流し、ひくひくと頬を動かしながら無理矢理飲み込みように食べ。

 

(……パンにある黄色と白色からして卵サンド……だよな?トーラス傘下の食品企業に似た物があった気がするが……)

 

対するエースは故郷の味と形容するには余りにもおぞましいが、ふと懐かしさをこみ上げながら鳥肌が立つようなサンドイッチをしっかりと味わっていた。

 

「いかかですか?一夏さん。エースさん」

 

自信満々といった笑みを浮かべるセシリアにエースと一夏はお互いの顔を見合い。

おい、どうすりゃいいんだ?正直に言った方がいいのか?

俺が知るか。

と、言った内容を言葉ではなく視線だけで全てを語り合い。

 

「あ、あぁうまいぞセシリア。な、エース?」

「……とりあえず次は余計な事を考えずにレシピ通り作ってみろ」

「あら?それはどういう……」

「ところでこのサンドイッチだが、残り貰っていいか?」

「エースお前!?」

「ここは俺に任せろ。お前にはまだ先がある」

 

そしてセシリアの了承を得る前に、エースはバスケットごとセシリアのサンドイッチを奪い。

もさもさと非常にゆっくりとしたスピードだが、トマトとレタスが挟んでいるはずのサンドイッチから何故か激しい辛さがしたり、ハムから異常な苦みと香水らしきラベンダーの香りがしたりと、どうすれば極めてシンプルな料理を改悪できるのかと疑問に思うほどのサンドイッチを食べ始める。

 

(俺以外食べきれる人間がいるだろうか……)

 

食べ続けていたら間違いなく味覚に異常を起こすであろう劇物を未来ある若者達から守るためにエースは黙々と劇物を口の中に入れる作業に徹する。

せっかくの天然食材が無駄になってしまっては勿体無いという気持ちと、その食材をわざわざ時間を割いてまで作ってくれたセシリアに失礼だと考えているからだ。

そして何よりも極限状態で生きてきた経験が、何日も食事にありつけない恐怖を体の芯まで記憶している。

もはや意地だ。

 

「それほど気に入ってくださいましたのねエースさん。私の分は別で買っておきましたので全部食べてもよろしくてよ」

 

エースは口内で暴れ狂うサンドイッチという名の暴力にひたすら耐えている最中なので、セシリアの言葉に突っ込む気力がすでにない。

だが、進行役としての義務を果たすべく、舌が麻痺し始めた口を開く。

 

「篠ノ乃、最後はお前だ」

「あ、あぁ……」

 

どこか威圧感すら感じるエースの声に気圧されながら箒が取り出した弁当箱。

その中身は金平ゴボウ、ミニトマトといった野菜と卵焼きに加えてから揚げといった見た目も栄養もバランスが取れている物だった。

 

「どれも手が込んでいそうだ」

「偶然、たまたま朝早く起きれただけだ勘違いするな」

「それでも嬉しいぜ」

 

一夏はそう言いながら、さっそくから揚げを一つ口に含み。

何回か口で噛んだ後に目を輝かせ。

 

「おお美味い!」

 

今日三人の中で最も大きな反応を表した。

そしてそれを聞いた箒も嬉しそうに顔を赤く染める。

 

「ッ!そうか美味いか!もっと食べてもいいぞ一夏」

「あぁ、じゃあエースも食べろよ!口なお――とにかく美味いから!!」

「はぁ?」

 

しかし、その嬉しそうな表情も一転。

素っ頓狂な声を上げて口を開けてしまった。

箒からしたら風呂上りに冷水を掛けられたようなものだからだ。

 

「いやいい。篠ノ乃は勿論、オルコットも凰も本来はお前の為に作ったからな」

「え、何で俺の為に?」

「自分で考えろ」

「んん?」

 

余計なことを言ったとエースは思ったが、もはや安心するぐらいの一夏の鈍感っぷりにただ長いため息を漏らすことしか出来ずにふと隣に座っているシャルロットへと視線を移す。

 

「うっ……くっ……」

 

そこには箸をうまく持てずに未だに酢豚を一口も食べることが出来ていないシャルロットがいた。

必死に慣れない手つきで割り箸を持つシャルロットは可愛げあるが、放置して楽しむような余裕が今のエースにはない。

エースはシャルロットに箸の使い方を教えながら、キャラじゃない事をするもんじゃないと心底思った。

 

「こらぁ一夏!私の酢豚ちゃんと食べなさい!」

「一夏さん次は何が食べたいかリクエストはありまして?」

「どうしてこう一夏はいつもいつも……」

「ちょっと待ってくれよ!」

「皆仲良いね」

 

だが、苦労しただけによく理解したことがエースにはある。

 

(皆で食べる飯は美味いか……分からんでもない)

 

好きな様に騒ぐ者達をエースは面白そうに眺めながら昼食時間を過ごした。




しばらく日常回が続きます。

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