IS×AC<天敵と呼ばれた傭兵>   作:サボり王 ニート

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ACの一番の楽しみは強敵を倒すために何度もアセンを考え戦術を考え必死になって敵から逃げ回ることだと私は思います。そして負ける。

お気に入り数1000いった時はほぼイキかけましたね。
目標は完結しか目指してないですが今後もこの作品を閲覧していただけますと嬉しい限りです。


2章 仏と独と不規則
23 フランスの貴公子?


ミッションがない場合のエースの就寝時間は午前一時。

そして起床時間は午前四時だ。

起床後は50kgの重りを背負ったままグラウンドを歩いたり走ったり、腕立て腹筋といった体力と筋力の訓練。

IS学園にある射撃場で的撃ち、武道場にて格闘訓練。

計画を立て、徹底的にかつ無理をし過ぎない程度の訓練を一通り終えた後は軍手とゴミ袋を持って。

 

「アレス君今日もお疲れ様です」

「仕事だからな」

「精が出ますねー」

 

雑草取りをIS学園の用務員十蔵と生徒会長である楯無と共に行う。

すでに何日か行った事で土で黒く汚れた軍手をはめて、エースは雑草を抜いては袋に入れていく。

エースの日常は対抗戦が終わった後から少しずつ変わっていった。

例えば、一夏が強いなら訓練に付き合ってくれと強く迫られる用になったり、セシリアの雰囲気が軟化して、自然と二人で話す機会が多くなったこと。

そのセシリアと箒は勝手に出撃した罰として特別メニューと言う名の千冬の扱きを受けてげんなりしていること。

鈴は二組から一組へ来ることが多く、一夏のついでだが気さくに話す仲になったこと。

そして視界の端に僅かに熱が籠っている視線を送る簪が映るようになった。

 

「えーと、クラス対抗が終わってから五日経ったからあと四日だっけエース君?」

「そうだ。対抗戦後の土日を独房に入れられて、朝に学園の奉仕活動一週間と懲罰用の面倒な書類片付け。まぁ甘い処罰だったな」

「マリーさんだったかしら?メガネ掛けていた人。エース君が依頼で世界中のIS反対派の組織をドンパチしたおかげでテロリスト達がビビッて安直に動けない状況が出来たから、今回だけは見逃すけど次コアを勝手に破壊したら――」

「BINDから外されて国際指名手配。俺のIS没収、IS使えるからどこかの研究組織へゴールインそしてモルモット。めでたいですな用務員」

「めでたいですねアレス君。あ、ちょっとこの太い雑草お願いします」

「了解」

 

エースは雑草の根元を握り軽く引き上げる。

ブチブチと根が切れる音を立てながら草が抜け、そのまま袋へ投げ捨てる。

雑草すら生えない不毛な世界に長らく過ごしたせいで雑草すら自然を壊すことにエースは抵抗感がある。

だが、それを言い訳にしてサボるような性格をしていないので無心にしながら草の根を千切っては投げ、千切っては投げを繰り返す。

 

「まぁ冗談抜きで次もコアを壊したら言った内容そのまま実行する気だろうな。勿論、抵抗はするけどな」

「あら、一応学園や更識はIS委員会と繋がってるんだけど?」

 

少し試しているかのような口調で言う楯無にエースは不敵に笑う。

すでに亡命する組織の候補を絞り、亡命の際の手土産であるコアをIS学園の某所に設定した本人が完璧に記憶しなければ解けない不規則に大文字小文字の英数字を二十桁入力したパスワードと指紋認証やら網膜スキャン等付きの以前は純金を守るために使っていたチタン合金の金庫を埋め終えている。

保険はいくつあっても、身寄りする存在も信頼している存在もいないエースには困らないからだ。

 

「言ったところで俺は何も変わらんよ」

「エース君って頑固そうよね」

「当たってるな。さて、轡木用務員を見習って黙々と奉仕活動をしようじゃないか更識」

「いつになったら楯無と呼んでくれるのかしらねー」

「さぁな」

 

会話が途絶え、三人黙々と雑草を抜いていく。

エースの数日間でもっとも印象的だったことは監視役であろう楯無が、懲罰対象であるエースと用務員の仕事である十蔵が義務でやっている雑草抜きを三日間文句言うことなく純粋に楽しそうにやっている姿と、今まではまったく感じなかった明確な敵意を時折感じるようになったことだ。

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

「今日はなんと転校生を紹介します!」

「「「ええええええええええええ!!?」」」

 

朝のHR、真耶の一声で教室内に甲高い声が響く。

一年一組の一部生徒、正しくは男子二名を除く大半の生徒は、椅子からこける。

ノリツッコミ、大声で反応とまるで芸人さながらの体を張ったリアクションまでするので賑やかだ。

エースは両耳を塞いで声の暴力から逃れつつ、開かれた教室のドアを見て多少は驚く。

教室に入った少女の美しい金色の髪色には見覚えがあったからだ。

ただ少しおかしな点があるとしたら制服が男子用のズボンで、それなりにあるはずの胸を故意に抑えているところだった。

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、皆さんよろしくお願いし――」

 

エースは自身を傭兵だと知っている人物であるシャルロットに強く含みを持った視線を送り。

その視線に気が付いたシャルロットもエースに銃口を突き付けられた記憶を思い出したのか、あっという間に顔面が蒼白へと変わっていく。

絶賛ピンチであるシャルロットを知らずに女子生徒達はパッと見たら少年にしか見えない少女に質問を飛ばす。

 

「もしかして男?」

「は、ははははい。こっこちらに同じ境遇の方がいるときき聞いて本国より転入しにゃ!」

(大丈夫か……)

 

舌を噛んだシャルロットをフォローしてはならないのでエースは無関心を装うことに決めた。

不用意に関わっては矛盾を生み、面倒なことになる恐れがある。

エースが知っているのはあくまでシャルロットであり、シャルルではないからだ。

困っている人を助けないのは人によってはエースの行動を非情と思うかもしれないが、彼は元から非情だ。

 

「「「きゃぁぁぁああああ!!!」」」

「美少年!」

「守ってあげたくなる系!」

「舌噛んで可哀そう付き合ってください!」

 

男と知った途端に色々と盛んな少女達の声の暴力から再びエースは耳を塞ぎ。

女の身でありながら同性に黄色の声を送られているシャルロットには、盗賊団から命を奪われなかった理由の一つに男娼の素質ありだったエースもさすがに同情せざる負えなかった。

 

「静かに!」

 

暴力をすぐ振るうことで色々と恐れられているが教師として役目をしっかりと果たしている千冬の一喝によって騒動は鎮圧され、エースもやれやれと呆れの気持ちと今後のシャルロットの生活を案じて息を吐く。

シャルロットもエースと同じような感情を抱いたのかやや疲れたかのような顔をしていた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

一時間目始まってすぐのIS実戦訓練。

訓練をするためにISスーツの着衣しなければならない。

スーツを着るためには更衣室に行かなければならない。

そこは服を着替える場所。

つまりはISスーツを着るためには半裸状態にならなければならない。

そこには男子二名、女子一名。

それを理解しているのは二名。

エースがやるべき行動は決まっていた。

 

「さっさと行け。放課後特訓とやらに付き合うから」

「何だよ!押すなよ!絶対に押すなよ!」

「却下だ」

 

エースは一夏をスーツをすぐに着用するように強要し更衣室から押し出して、シャルロットと二人きりの空間を強制的に作り出す。

 

「時間が押しているさっさと着替えろ。覗き見る性癖もない安心しろ」

「あ、うん」

 

体にある古傷を晒す訳にはいかないのでエースも早く裸体をなるべく見せないように着替えるコツを理解しているので制服を脱ぎ捨て、ダイビングスーツのようなパイロットスーツを着込み、その上に外骨格フレームや人工筋肉やら搭載している耐Gスーツを着る。

後ろでゴソゴソと衣服が擦れる音にエースは然したる興味を示さず、少ない時間を活用するために口を開く。

 

「それにしても、随分とまぁ思い切りの良いと言うか、馬鹿なことをしたと言うか。IS学園内の情報が流さないよう統制されているとは言え運がなかったな」

「うん……そうだね。初日からいきなりバレちゃうとは思わなかったよ。なんでエーアストさんがいるんですか?」

「ISが使えるからな。依頼という形で色々とあってここにいる。あと今後はエースと呼べ。さすがにさんは不自然だ」

「え?」

 

自身が女だと知っているエースがいる以上、シャルロットの脳内ではすでに良くて牢屋の中で一生を過ごすだろうと諦めていた。

傭兵であるエースがシャルロットを庇う必要はないからだ。

だが、エースの口から今後という単語が出たので、遠回しに見逃すと言ってると同然なのでシャルロットは何故と疑問せざる負えないのだ。

 

「どうして?」

「不思議か?当然だ。見逃しても俺にメリットはないからな。だが、一応はお前を送りこんだ阿呆に後で何を考えているのか聞こうと思ってな」

「つまり保留ですか?」

 

エースは言葉を発さずにシャルロットに対し頷きで返し、そのまま更衣室を出ていく。

 

「何してたんだよ?」

「同性とは言え、着替え姿を見られるのが恥ずかしいからなるべく早く出て行ってほしかっただってよ。口で言えば良かったな悪かった」

「いや別にいいけど」

 

更衣室を出た後、一人腕を組んで待機していた一夏に詫びを入れつつ。

内心ではデュノア社に対する行動を考えていた。

 

(さて、フランソワがどう考えているか知らんが)

 

シャルロットとの模擬選の後、エースはデュノア社と競い合う関係である企業と手を組み産業スパイを送り込んだり、テロリストを送り込んで取引を妨害したり、エグザイルという偽名で株を買い徐々に支配を強めたりといった様々な嫌がらせをエースは繰り返し、デュノア社は弱っている。

元々経営が不調気味だったのでエースの攻撃はそれなりに効果があり、王手まで一歩手前の状態となっている。

止めを刺さなかったのはクアッド・ファランクスを開発したことにデュノア社から対IS兵器生産会社としての将来性を感じとりIS一強となっている世界を変える切っ掛けになると考えたからだ。

 

(デュノアの件は少し敵を増やすかもしれんな。今更だけどな)

 

エースは今後の動きを考えつつ、実戦訓練を行う第二アリーナへと向かった。

 

―――――――――――――――――――――――――

 

上空高くに浮かぶ三人。

一人は黒。

一人は青。

一人は灰。

お互いがお互いを見つめ合い、手に持つ武器と意識を洗練に研ぎ澄まし開始の合図を待つ。

アセンブル――

HEAD

047AN02

CORE

063AN01

ARMS

063AN03

LEGS

047AN04

 

R―ARM WEAPON

051ANNR(ライフル)

L―ARM WEAPON

LR04-AVIOR(レーザーライフル)

R―BACK WEAPON

PC01-GEMMA(パルスキャノン)

L―BACK WEAPON

MP-O601JC(PMミサイル)

SHOULDER WEAPON

09-FLICKER(フラッシュロケット)

戦闘モードで起動したディターミネイションはBFFの製品で機体を構成させ、主に両手武器で削り、PMミサイルとフラッシュロケットでかく乱、近距離ではパルスキャノンで応戦。

これから行われる戦闘は一対二。

エース対セシリアと箒のコンビだ。

 

「エーアストさんのISは姿形が本当によく変わりますわね」

「そういうものだからな」

「セシリア。随分と余裕だな」

「当然ですわ。貴族たる者常に優雅で落ち着きのある態度でなければなりませんので」

「頼もしい事だな。まぁ多数の側で戦うのは少し苦だが、負けたら懲罰メニューが増えるからな申し訳ないが全力で行くぞアレス」

「了解した。……俺も少し苦なのだが全力で戦おう」

 

勝手に出撃した罰として戦わされることとなったエース達だが、シールドエネルギーで守られている箒達はいいが、エースはAPが尽きたらどうなるか分からないので負けるつもりはない。

それを除いても戦いには慢心せずに全力で尽くすことを信条としているのでエースは両手の武器を構え、照準を箒に向ける。

 

『始め!』

 

通信によって聞こえた千冬の声を合図に、エースは09ーFLICKERを箒へと射出。

特殊化合物を含んだロケットが目標である箒の目の前で破裂し、眩い閃光を放つ。

 

「フラッシュ!?センサーが!」

 

強烈な光によって怯んだ箒に攻撃せずに抜き去り、箒の奥でスターライトmkⅢを構えていたセシリアへとQBで接近する。

 

「当たりに来ましたの!」

「撃つと篠ノ乃に当たるぞ。武器は状況に合わせて使え」

「ッ!ブルー・ティアーズ!」

「だからと言って敵の言葉に素直に従うな」

 

レーザービットを展開したセシリアのビットを狙い051ANNRで撃つ。

FCSの予測射撃によって音速を纏った弾丸が意志を持って動くビットの側面を抉り貫き青い電気を発しながら爆発した。

エースはそのままQT。

180度向きを変え、フラッシュロケットから立ち直り、近接ブレードで今まさに突撃しようとしてた箒にMP-0601JCを放つ。

斜め上、左右に一発ずつ出された変則的に動くミサイルが箒に迫る。

 

「はぁああああああああああ!!」

(おいおい……)

 

エースはミサイルで逃げ回ってくれることを期待していたが、ミサイルを打鉄の両肩のシールドで受け止め果敢に攻めてきた箒にエネルギーを使用したチェーンガンとも言うべきイオン化された粒子を連射できるPC01-GEMMAを接近する箒に向け起動。

青白い荷電された粒子を排熱口からガスが上げながら連射する。

 

「何だその馬鹿げた威力は!」

 

一発一発それなりに攻撃力を持ちながら、数秒で弾切れを起こすほど連射することが出来る性能を持っているので接近しようものなら一気にシールドエネルギーが削られる。

打鉄の肩部物理シールドの着弾箇所が熱によって蒸発し、打鉄がシールドを修復するがそれが追いつけぬほどの速さで溶けていく。

数十発は被弾した箒は一度距離を取り、エースもそれに合わせ距離を取る。

そして横QBで隙を伺っていたセシリアのスターライトmkⅢの攻撃を避けて、051ANNRとLR04ーAVIORを射撃する。

正確無比に撃ち込まれた弾丸とエネルギー弾がセシリアを襲い、衝撃に揺さぶられ着弾した後に空を切る音が鳴り響く。

セシリアもスターライトmkⅢで応戦しながら三つのレーザービットを展開してエースを包囲する。

 

あんなもの(ソルディオス・オービット)に比べたら動きが分かりやすくて助かる)

 

エースは射撃をしながら前と横QBを連続で行い。

射出されるレーザーを掻い潜り、包囲網を突破してブーストの加速力を活かして近距離ではブレードやアサルトアーマーがある上脚部が壊れる危険性があるので普段は使わない格闘攻撃、飛び膝蹴りする。

 

「イ、インターセプター!」

 

セシリアも普段は使わないショートブレードを呼び出し、蹴りをブレードで防ぐ。

 

「何だブレードを持っていたのか」

「慣れていないので本当は出したくなかったのですが、貴方相手では出し惜しみする暇がありませんので!」

「嬉しいね。無茶した甲斐があった」

「随分と余裕ですわね!」

 

エースはメインブースターの出力を上げ、左膝を押し付けセシリアのインターセプターによって少しずつ減るAPに意識しながらPC01-GEMMAを再び起動。

セシリアは展開していたレーザービットをエースに向け射出。

だが、PAによって貫通はするものの減衰され威力が減少したレーザーを見向きもしないエースを恨めしそうに見つつ。

 

「箒さん!」

「任せろ!!」

 

エースの真後ろから再接近し、真上から近接ブレード葵を振り下ろそうとしている箒のアシストをするためにインターセプターを粒子化させて、ブースターの加速力によって勢いが増している膝蹴りを直撃し飛ばされながらもミサイルビットを展開。

そして左右発射し、スターライトmkⅢをエースに向けて射撃する。

 

(ミサイルで横を封じ、スターライトで前を防ぐ。そして後ろには篠ノ乃か。良いアシストだ。潰すけどな)

 

エースは発射されたばかりのミサイルをロックオン、そしてPC01-GEMMAを乱射して二つミサイルを迎撃。

スターライトmkⅢのレーザーは避けることが出来ずに被弾するが、本命である箒の近接ブレード葵をエースはQTをして勢いをつけ、051ANNRの銃身でブレードの側面を叩きつけて吹き飛ばす。

金属同士がぶつかり合う音が空気を震わし、操縦者の手から離れたことによって粒子となって消えていくブレードをエースは確認しながら衝撃を右腕を後ろへと振って逃し、そのまま051ANNRの銃口をレイピアのように突き出し、射撃。

 

「ぐっ……はぁ!」

 

突かれた衝撃と弾丸が生身に直撃したことによって、絶対防御を発動させながらも、箒は痛みを堪えつつ咄嗟に葵の鞘を握りそのまま横に振る。

エースも咄嗟にLR04ーAVIORとPC01-GEMMAをパージ。

鞘を左手で受け止め、そのまま再びQTを繰り出しセシリアを蹴飛ばした方向へ投げ。

 

アセンブル――

R―BACK WEAPON

OGOTO(グレネードキャノン)

 

箒は弾丸、セシリアは爆風によるダメージをイメージしつつエースはOGOTOの長い砲身を左手で掴み。

炸薬の塊であるグレネードを空中では反動によって当たる可能性が低いのでマニュアルで反動によるブレを考えながら射出。

時には繊細な射撃技術を求められる戦場において磨かれたエースの経験と勘によってグレネードの弾が箒の肩部シールドに直撃し。

大爆発と形容するに値する爆炎と黒煙が箒とセシリアを包む。

 

「うわぁああああああああああ!!」

「きゃぁああああああああああ!!」

 

そして全ての武器をパージし、落ちていく二人の手を両手で掴み。

 

「懲罰メニュー頑張れよ」

「「あ」」

 

エースは模擬戦の勝利宣言をした。

 

 




Q:偽名のエグザイルについて
A:AC3の補充ランカーさん。追放者、亡命者の意味があり、ここの首輪付きに色々とマッチした偽名です。

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