特典を喰らう騎士   作:ボルメテウスさん

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EPISOOD22 希望となる絆

特訓の日々は続き、錬金術師達の狙いを探り、日常は過ぎていた。

 

その日は連と神牙は買い物当番で外出していた。

 

「それにしても神牙は結構買い物上手なんだな」

 

「まぁな」

 

その日は近くのスーパーなどで買い込んだ材料を持ち帰っている中で連はふと思った疑問を投げる。

 

神牙はまるで手慣れたように荷物を持っており、彼がこの世界に来る前にどのような生活を送っていたのか疑問に思えた。

 

だが、連はそれを聞く事はしなかった。

 

そんな時だった。

 

「んっ?

 

「どうした?」

 

何かを感じた神牙は周りを見渡した。

 

気になる、手を伸ばすが、神牙はそれよりも早く走り出した。

 

「おい!!」

 

突然の行動に驚き、神牙の後ろへとついていくと、そこには神牙が纏っていた鎧とは違う黒い鎧を身に纏った存在がいた。

 

「まさか、また」

 

かつての戦いにおいて、神牙と同じまたは近い存在と二回戦った連は直感ではあるが、気付いた。

 

その事に気付く前に神牙は黒い鎧の後を追う。

 

「っ!!」

 

「おい!!」

 

急いでそのあとを追う。

 

「ここは!!」

 

辿り着いた場所、そこはかつて訪れた場所であるミッドチルダだった。

 

その世界への警戒を最大限に上げながら、連はいつでもミッドチルダから脱出できるように準備を行いながら、神牙を探す。

 

「神牙」

 

あの鎧を見た瞬間、彼の様子が変わった。

 

知り合いかどうかなど分からないが、それでも

 

「お前は、雨宮連!!」

 

「ちっ、こんな時に」

 

誰もいないと思える廃れた町の中で出会ったシシレッドことバンに出会い、舌打ちを打ちながら構える。

 

「お前は、なぜこの世界に!!」

 

「さぁな、どっちでも良いよ」

 

そう笑みを浮かべながら、ゆっくりと逃走経路を探るが、バンから隙を作るには戦うしかない。

 

「お前がなぜミッドチルダにいるか分からないが、この世界にいる以上、逮捕させてもらう」

 

「?」

 

ミッドチルダは確かに危険だと思うが、バンの言葉には何か別の事が含まれている。

 

そう感じる連だが、現在はそれよりも仲間である神牙の捜索が最優先であった。

 

すぐにリュウソウルを取り出し、構える。

 

「リュウソウチェンジ!」

 

「スターチェンジ!」

 

【リュウソウCOOL!】

 

【シシキュータマ!セイザチェンジ!】

 

その音声と共に連の姿はリュウソウレッドへ、バンもシシレッドへと変身する。

 

互いの武器を構え、先に動いたのはリュウソウレッドだった。

 

その手に持ったリュウソウケンから身を守るようにシシレッドはキューウェポンを構え、防ぐ。

 

「お前はリュウソウブラックの正体を知ってやっているのかっ!」

 

「さぁどうだろうか?」

 

突然現れた神牙の話題に驚きながらも、戦い続ける。

 

シシレッドはその手に持っているキューウェポンだけではなく、セイザブラスターによる牽制も同時に行いながら戦っていく。

 

リュウソウレッドはそんな攻撃をリュウソウケンで受け流しながら、戦いは続いていく。

 

「奴は神牙!

かつて、牙狼の世界において人々を守る戦士でありながら、自らの欲望の為に多くの人をその手にかけた最悪の戦士だ」

 

その言葉を聞きながらも、リュウソウレッドの攻撃は止むことなく、シシレッドは言葉を続ける。

 

「奴がどういう経緯でお前達の仲間になったかは知らないが、このままだと悲劇を繰り返すんだぞ!!」

 

「それで?」

 

「お前は、それをそのまま引き起こすつもりなのか!!」

 

そうい言い、リュウソウレッドを吹き飛ばしたシシレッドはペガサスキュータマを取り出し、セイザブラスターに装填する。

 

【ペガサスキュータマ!セイザアタック!】

 

「だから、その前に俺が止める!!」

 

その言葉と共にリュウソウレッドに向かって、突っ込む。

 

「はぁ、さっきから過去の事ばっかりだな、お前」

 

「なに!」

 

その言葉と共に、リュウソウレッドが取り出したメラメラソウルを取り出し、リュウソウケンに入れ、発動させる。

 

【メラメラソウル!】

 

「神牙がこれまで行った事なんて、知らないよ!

だけどな!!」

 

その言葉と共に、炎を纏ったリュウソウケンを一閃に切り裂き、シシレッドを吹き飛ばす。

 

「仲間ぐらい信じないで、何が戦隊だ!」

 

「ぐっ」

 

ペガサスアーマーを身に纏ったシシレッドはその高い運動性能でリュウソウレッドを追い詰めようとしたが、リュウソウレッドはリュウソウケンから伸びた炎の鞭でシシレッドを切り裂く。

 

「ぐぁ!!」

 

同時にシシレッドの変身は解除され、リュウソウレッドはその場から立ち去ろうとする。

 

「次に過去の事とかくだらない事を引きずったら、今度は容赦しない」

 

「待っ」

 

シシレッドはすぐにリュウソウレッドを追いかけようとするも、気絶し、言葉が途切れる。

 

その言葉と共にリュウソウレッドは走り出す。

 

辿り着いた先に待ち受けていたのは、魔戒騎士としての鎧を身に纏った神牙と同じく暗黒騎士の鎧を身に纏った転生者が戦っていた。

 

「どうした魔戒騎士!!

その程度じゃないだろ、貴様はぁ!!」

 

「ぐっ!!」

 

戦いとしては一方的な攻められているが、神牙は迷いを隠しきれてない様子で、防御しているだけだった。

 

そんな中で、神牙の剣は吹き飛ばされる。

 

「しまっ」

 

「つまらん!!」

 

そう言い、転生者が槍を突き刺そうとした瞬間、間一髪に間に合ったリュウソウレッドが斬りあげる。

 

「なっ」

 

「連っ!!」

 

突然現れたリュウソウレッドに驚きを隠せない両名のうち、転生者はその場を離れ、見つめる。

 

「良いぞ、まさか魔戒騎士以外にこれ程の強者がいるとは」

 

「お前は」

 

「俺はナイト、強者を求め、再び生を受けた男だ!!」

 

「連、逃げろ!!

奴は強い」

 

「仲間を置いて、逃げれるかよ。

それに、どうもこれが、さっきから光って仕方ないから」

 

そう言い、取り出したガロソウルは点滅していた。

 

まるで自身を使えと言うばかりに。

 

連はそのままガロソウルに応えるようにリュウソウケンに挿入する。

 

【ガロソウル!】

 

その音声と共に、リュウソウケンから溢れ出す光はリュウソウレッドに包み込まれ、体を黄金の輝く装甲に変える。

 

同時にリュウソウレッドの後ろから現れたアルセーヌは、そのままリュウソウレッドに身に纏う。

 

そうして誕生したのは、リュウソウジャー、ガロ、ペルソナ、異なる3つの力が合わさった戦士『リュウソウレッド 牙狼・闇アーマー』だった。

 

「あれはっ」

 

「牙狼!!」

 

その場にいた神牙とナイトは驚き、目を見開いた。

 

「悪いが、ナイト。

お前をここで倒させてもらう」

 

「良いぞ、良いぞぉ!!

闇に落ちた牙狼と戦えるならば、喜んで戦うぞ!!」

 

その言葉と共にナイトはその身に暗黒騎士の鎧を身に纏い、構える。

 

「行くぞ、牙狼!」

 

その言葉と共に狼の兜から出てきたミイラのような顔を露わにし、その手に持った槍を構えてリュウソウレッドへと近づく。

 

それに合わせるようにリュウソウレッドはリュウソウケンを構えると、リュウソウケンは牙狼が使っていた武器、牙狼剣のような形に変わり激突する。

 

互いの武器がぶつかり合った衝撃は周りの建物を崩壊する。

 

「ははあぁ!!

良いぞ、この力、素晴らしいぞ!!」

 

ナイトから繰り出される槍による素早い連撃、それに対抗するように力強いリュウソウレッドの剣劇は瞬く間に町が崩壊しそうになる。

 

「貴様は転生者から人々を守ると言った。

命を奪わない為に戦うと言った!!

だが、そのような使命に囚われていたら、弱くなるだけだ!!」

 

その言葉と共に槍は深々とリュウソウレッドへと突き刺さる。

 

「くだらねぇ」

 

「なにっ!!」

 

だが、深く突き刺さっているはずの槍をリュウソウレッドは掴みながら、立ち上がる。

 

「囚われている?

それが何が悪い!!」

 

その言葉と共にリュウソウレッドはナイトを蹴り飛ばす。

 

「守るべき人々を見失わない道標になるならば、俺は使命に喜んで囚われてやるよ!!」

 

「っ!!」

 

その言葉を聞いた瞬間、ナイトの脳裏に映し出されていた光景はかつて戦った牙狼の姿と重なった。

 

「なるほどぉ、貴様もあの黄金騎士と同じという訳かぁ!!」

 

ナイトは歓喜の声を出しながら、さらに攻め込む。

 

地を駆り、空を舞い、光と闇がぶつかり合いながら、戦いは激しさを増していく。

 

その戦いは永遠に続くと思われる戦いは

 

「っ!!」

 

【超!超!超!超!イイ感じ!!】

 

その音声と共に、リュウソウケンに纏った光と闇がナイトを切り裂く。

 

同時にナイトの体から鎧は消え、変身が解除した連は向き合う。

 

「やったか?」

 

「多分な」

 

そう言い、連と神牙はナイトを向き合う。

 

「はははぁ、まさか二度も敗れるとはな!!」

 

戦いに負けたはずのナイトは高笑いをしながら、連を見つめる。

 

「お前は勝てないよ。

例え、この場に俺達以外のリュウソウジャーが来たならば、止められる」

 

「そうか、そうか」

 

その言葉と共にナイトは目を閉じ、気絶した。

 

そして、神牙の目の前にはナイトから現れたリュウソウルがその手に収まった。

 

「・・・連、俺は」

 

「別に気にするな」

 

「だが、お前もキュウレンジャーから聞いたはずだ!!」

 

「まぁな、でも俺はお前から直接聞いてない」

 

「何を」

 

「俺はお前が過去に何をやったのか、それを知ってから判断する。

ただ、それだけだ」

 

「・・・はぁ、分かった。

お前に、いくら言っても分からないなら、言うしかない

 

その事を真っすぐと連は伝えると同時に諦めたように神牙は語り始める。

 

神牙の人生、それは裏切りと殺戮、欲望と後悔、人々の負が合わさったような狂った物語だった。

 

語っている神牙の顔は暗く、冷や汗が出始めるが、連は最後まで聞いた。

 

「そうして、俺は死神様の力を借り、結末を変え、ここに来ている。

分かっただろ、俺がどうしようもない屑だと」

 

「あぁ、分かった。

お前は人々を守る守護者で裏切り、闇に落ちた。

けど、闇から人々を守る為に戻ってきたじゃないか」

 

「何を言っているんだ、俺は!!」

 

「間違えて、全てが悪だと思うな。

お前は間違って後悔して、本当にやりたい事を思い出したんだろ」

 

「俺の本当にやりたい事」

 

「お前がやりたい事はなんなんだ」

 

その言葉を聞きながら、ゆっくりと手の中に納まっているリュウソウルを握りしめる。

 

「俺は今度こそ人々を守る騎士となりたい!!」

 

その言葉は既に弱弱しく、自殺しそうな言葉ではなかった。

 

そして、黒かったはずのリュウソウルは白銀に変わり、目の前に鎧が現れる。

 

「これはさっきまでナイトが纏っていた鎧?」

 

その鎧は闇だと思われる部分が剥がれ、現れたのは白銀に輝く鎧だった。

 

【ボルグソウル!】

 

その音声と共に、神牙の手の中に納まった。

 

「鎧が、俺を」

 

「お前にしかやれない使命あるかもしれないな」

 

「・・・あぁ」

 

「だったら、さっさと帰るとするか。

キュウレンジャーの奴らが来ても面倒だからな」

 

そう言い、神牙の背中を叩き、連は走り出す。

 

それに笑みを浮かべながら、神牙もまた走り出す。

 

カリオストロ戦での連の姿は

  • リュウソウジャー
  • ルパンレンジャー

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