特典を喰らう騎士   作:ボルメテウスさん

22 / 25
EPISOOD21 ワキワキ!拳法入門

「はぁ疲れたぁ」

 

「まったく、これぐらいでへこたれるな」

 

キャプテンマーベラスがこの世界に来訪してから数日、その間連を始めとした多くのメンバーが特訓を受けていた。

 

だが、模擬戦においては彼に勝つ事ができずにいた。

 

「まぁスーパー戦隊の経験もそうだけど、次々と姿が変わるのがとんでもない」

 

「我々にはなく、様々な状況に対応できるのは恐ろしい」

 

「スーパー戦隊の力を知らなければ、どういう風に使えば良いのか分からないからな。

言葉で説明するよりも拳でやった方が早いだろ」

 

「得意武器も全然違うし、本当にどうなっているのか」

 

「そういえば」

 

ふと疑問に思った響は立ち上がり、質問する。

 

「あの、拳メインで戦うスーパー戦隊っていますか?」

 

「おいおい、変身しているんだぞ、だいたいは武器とか「あぁいるぞ」いんのかよ」

 

「俺が知っている限りだと、3つのスーパー戦隊がいる。

マスクマンにダイレンジャー、それにゲキレンジャーだ」

 

「さすがに多く存在するだけはあるわね。

私達との相性が良いスーパー戦隊もいるのかしら?」

 

「さぁな、なんだ気になるのか?」

 

「それは勿論!」

 

「なんだ、お前、ゲキレンジャーにニキニキなのか!!」

 

「ニキニキって、なんですか、マーベラスさん」

 

「いや、俺じゃないぞ」

 

突然出てきた言葉に驚く響だが、マーベラスはすぐに否定する。

 

ならば何者かと気になり、振り返ると、そこには赤い漢服を着た青年が立っていた。

 

「えっ誰!?」

 

「んってめぇは確か」

 

「俺、漢堂ジャン、ゲキレンジャーだ」

 

「えっ嘘、そんなにあっさりと!!」

 

「丁度良いじゃないか、修行をつけさせてもらえ」

 

「えっそんな急に言っても「別に良いぞ」良いんですか!!」

 

そうあっさりと答えるジャンに驚きを隠せない響だった。

 

「これは気になるわね、スーパー戦隊の特訓」

 

「マーベラスさん以外の特訓」

 

その特訓に気になり、とりあえずは様子見という事で響の後をついていく。

 

「お前も付き合え」

 

「えっ俺も!!」

 

特訓で疲れ切っている連も連れて、その場から離れる。

 

「さて、まずはこの基地が丁度上がったことだし」

 

そう言い、S.O.N.Gの潜水艦に乗るとジャンが二人に手渡したのは

 

「これは」

 

「雑巾?」

 

「おぉ、今から潜水艦を雑巾がけする」

 

「「ええええぇぇぇぇ!!!!」」

 

その言葉を聞き、二人は驚きの声を出してしまう。

 

「なんと、まさか、これは」

 

「司令何時の間に!!」

 

「というよりも、これはって?」

 

何やら弦十郎は興奮した様子で雑巾を見る。

 

「カンフーアクションの映画の中でも有名な作品で、日常の中にある動きが特訓になるというあの有名な特訓に似ている。

無意味な行動の中に重ねている」

 

「俺の所では日常の中に修行ありという方針がある。

まぁそんな感じだな」

 

「しかし雑巾がけって、この上を全部」

 

そう言い、改めて見渡してもとてもじゃないが雑巾がけをできるとは思えない広さをしていた。

 

「何を言っているんだ、ここ全部だぞ」

 

「いや、だからここ一帯じゃないんですか?」

 

「まぁ俺が見本を見せるから、見ておけ」

 

「見ておけって」

 

そう言うとジャンが雑巾を持ち、走り出した。

 

その速さは常人を超えており、瞬く間に潜水艦の端に行き、そのまま下に落ちた

 

「えぇぇ!!」

 

「じゃっジャンさん!!」

 

思わず心配になり、見に行こうとするが

 

「まだまだぁ!!」

 

「えぇえ!!」

 

なんと、ジャンはそのまま潜水艦の側面をも拭きながら帰ってきたのだ。

 

「まさか、全部って」

 

「おう、潜水艦全部だ」

 

「えええぇ!!」

 

「そっそりゃあ、そんだけやれば強くなるかもしれないけど」

 

「無茶苦茶よ」

 

そのあまりにもな特訓内容に思わず引いてしまうが

 

「「「やってやる!!」」」

 

「えぇ、やる気が出ている!!」

 

「というかおっさん、お前まだ仕事残って」

 

そう突っ込む事も間に合わず、三人は走り出した。

 

「あの馬鹿やおっさんはともかく、連の奴はあんな事をするのか」

 

「あいつ、朝起きたら結構運動して、コーヒー飲んでいる事多くなったな」

 

「以外と似た者同士なのね」

 

その感想を言いながら、3人の特訓は続いた。

 

「こんな事をしている場合じゃないと思うんですけど」

 

「まぁ司令も、結構ストレスが溜まっていたから、良い機会じゃないかな?」

 

「今後の打開策も考えないといけないし」

 

そう言いながら、3人の行動を黙認する形でそのまま放っておく事になった。

 

そして次の日

 

「「「これが拳法」」」

 

次の日、驚く事に3人の体はとてつもなく変わっていた。

 

特に元々の強さがとんでもない弦十郎はジャンの課す特訓により、映画の格闘術と本格的な格闘術の二つを学んだ事により、既に音を置き去りにする正拳を繰り出す事ができるようになっていた。

 

「いや、どんだけ強くなっているだよ!!」

 

「だが、今後は強さを抑える特訓をしなければならないな」

 

「強くなる為の特訓は分かるけど、まさか手加減をする特訓だとは」

 

「色々と複雑デース」

 

その感想を呟いていてると

 

「っこちらに急速に接近する物体を確認しました。

これは転生者!!」

 

「なに!!」

 

その言葉を受け、上空を見ると、そこには亀の甲羅から炎を出しながら回転し、接近する者が近づいていた。

 

「なっあれはまさか」

 

「ガメラか!!」

 

「違う、俺の名前は臨獣トータス拳の使い手のメカだ!!」

 

「なっ、まさかここがバレたのか!!」

 

「たまたま散歩していたら、まさかリュウソウジャー達の基地だとはな。

ここの基地をいじれば、お前達の邪魔になるだろう」

 

「そんな事はさせない」

 

「特訓の成果を」

 

「見せてやる!!」

 

そう言い、連と響、そして弦十郎が出るが

 

「おっさんが暴れると、基地が壊れるだろ」

 

「今回は諦めて、大人しくしといてください」

 

そう言い、弦十郎はそのまま基地の中へと戻っていき、連と響がメカの前に飛び出る。

 

「リュウソウチェンジ!」

 

【リュウソウCOOL!】

 

「Balwisyall Nescell gungnir tron」

 

各々の言葉と共に、姿は変わり、ソウゴはリュウソウジャーに、響はシンフォギアを身に纏うが、その姿は変わっていた。

 

その姿はまるでトラを思わせる鎧に変わっており、爪はまるでトラの爪のように鋭く変わっていた。

 

「えっあれって、もしかして心象変化で変わったのですか!?」

 

「俺達ゲキレンジャーは、獣の心を心に感じ、獣の力を手にする拳法だ。

だから、響があの姿になったのも当然だ」

 

「今なら、やれそうな気がする」

 

「あぁ」

 

その言葉と共に三名は各々が拳で構える。

 

一瞬の静寂の中で動きを見せず、ゆっくりと相手の出方を見る。

 

その緊張感は基地内でも広がり、そして

 

「はぁ!!」

 

メカの掛け声と共に始まった。

 

メカの拳が響に襲い掛かるが、響は虎のような動きで、メカの背後に回り、蹴り上げる。

 

だが、メカの背中に装着されていた甲羅により、その一撃は封じられる。

 

だが、リュウソウレッドは正面で、メカを殴る。

 

「無駄だ、俺の全身は完全な防御が可能になっている。

貴様らごときで突破など、不可能!!」

 

メカの言葉を受けながら、亀とは思えない素早い動きで二人を攻めこむ。

 

だが、二人はその攻撃を軽々と避け、さらに攻撃を仕掛ける。

 

「やべぇな、この状況」

 

「えぇ」

 

数としても攻撃の速さとしてもリュウソウレッドと響の方が圧倒的に有利だが、メカはそれを補う防御力が備わっており、カウンター狙いでの攻撃を行っている。

 

どれほどに優れた素早さを持っていたとしても、体力が尽きれば二人の敗北は確実。

 

「何を言っている。

この勝負、あいつらの勝ちだ」

 

「えっ」

 

「「はああぁ!!」」

 

ジャンの言葉に合わせるように、前後に立っていた二人は同時に拳を当てた。

 

同時に、メカの体にヒビが割れ、砕ける。

 

「がぁ、なっ何が!?」

 

「どうなっているんだ!?」

 

「どんなに強力な防御でも一点で当て続ければいずれ崩れる。

しかも、あの二人は互いにそれを悟られないように動き、戦っていた」

 

「そんな事を!!」

 

「同じ特訓を乗り越え、より強い信頼関係を結んだあいつらだからこそできた事だ」

 

その言葉と共に響とリュウソウレッドは後ろに下がる。

 

「これで決めるぞ」

 

「うん」

 

その言葉と共にリュウソウレッドが取り出したのはキョウリュウジャーの力が宿ったリュウソウル【キョウリュウソウル】を挿入する。

 

同時にリュウソウケンから飛び出たのはガブティラファングが二つ現れる。

 

「っ!!」

 

メカはすぐに目の前に巨大な盾を作り出し、防ごうとする。

 

「騎士「絶唱拳 龍虎突拳」」

 

その言葉と共に恐竜と虎を思わせるエネルギーが二人の拳に宿り、放たれる。

 

「ぐぅ」

 

その威力はメカにとっては予想外に高く、盾は崩壊し、そのまま二人は突き進み、砕ける。

 

「がぁ」

 

盾が崩壊した後、拳はそのままメカを貫き、そして爆散する。

 

「「よっしゃぁ!!」」

 

そのまま爆散したメカは海に落ちたが、S.O.N.Gの職員の迅速な行動により、特に問題なく救助される。

 

「それにしても、さっきのは一体?」

 

「切ちゃんと私が一緒に連携をしている時に行うような感じだけど」

 

「もしかしたら、これは使えるかもしれない」

 

「えっどういう事?」

 

「連さん達は異世界に行っていたので状況はまだ説明していませんでしたが、錬金術師側にある賢者の石の能力によって、イグナイトを使う事ができなくなったのです」

 

「通常の姿でも戦闘は可能だけど、相手は幹部。

とてもじゃないけど通常の姿では無理だったわ」

 

「だけど、先程響さんと連さんの二人が放った技の威力はイグナイトの放つ技と同等かそれ以上の出力が出ていました」

 

「つまりは」

 

「はい、スーパー戦隊とシンフォギアの技を一つにすれば、錬金術師に対抗できるかもしれません」

 

「ユニゾン技という事か」

 

その言葉と共に、新たな希望を持てた一同を見ながら、ジャンはゆっくりと笑みを浮かべる。

 

「お前、まさかこの為に?」

 

「さぁ、どうだろうな。

俺は声が聞こえたから、来ただけだから」

 

そう言いながら

 

「けど、俺達が最後には叶う事ができなかった事を、あいつらには叶えてほしいからな」

 

それだけ呟くと、ジャンはその場から消えていった。

 

「まったく、あいつは。

でもまぁ、俺も人の事は言えないか。

最後まで気にくわなかったけどな」

 

その言葉と共にマーベラスは呟くと共に、響と連を見る。

 

「あいつらがどんな選択を選ぶかだな」

 

その言葉を聞く者はその場にはおらず、ただ、その言葉が実現するのは、そう遠くない話でもあった。




今回登場したユニゾン技のような、スーパー戦隊とシンフォギア奏者との合体技は活動報告の「特典を喰らう騎士 スーパー戦隊 」でも募集しております。
興味がありましたら、ぜひお願いします。


https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=221874&uid=45956

カリオストロ戦での連の姿は

  • リュウソウジャー
  • ルパンレンジャー

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。