特典を喰らう騎士   作:ボルメテウスさん

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EPISOOD20 燃えるレスキュー魂

現在、リュウソウジャーのメンバーが住んでいる喫茶店に客はほとんど入っていない。

 

そんな状況の中で、ソーマ、不知、神牙は三人揃って店番をしているのだが

 

(((何を話したら良いんだ)))

 

それが三人の考えだった。

 

(いつもならば、連が中心になって話してくれるから良いが、俺一人で話すのなんて無理がありすぎる)

 

(マシュちゃんがいれば、なんとか話の場を和ませる事ができるけど、下手な事を言ったら一生きまずくなる)

 

(時々、あの忍の堂々とした態度がうらやましい。

まさか、ここまで話す事が苦手だったとは)

 

 

(((どうすれば良い)))

 

この三人は基本受け身で話す事が多い為、積極的に話す事を苦手にしている。

 

これまでは連や響などが場を盛り上げたりした為に話せたのだが、現段階では居心地が悪すぎる。

 

そう思っていた時だった。

 

「んっ?」

 

「どうしたんだ?」

 

不知が突然外を見始めた。

 

「なんだか、焦げ臭い匂いがする」

 

「焦げ臭い?

今はカレーも温めていないし、コーヒーも」

 

「まさか、火事!?」

 

その言葉と共に三人は外を一斉に出る。

 

すると、店からそれ程遠くない場所で多くの人が集まっており、近くのビルが燃えている。

 

「なっ、どうなっていやがるんだ!?」

 

「分からない、だがっ!!」

 

不知はその言葉と共に、隻眼になると共に見つめる。

 

「あそこに子供がっ!!」

 

「なに!?」

 

その言葉を聞くと、そこには家事の中で逃げ遅れたと思われる子供がいた。

 

だが、既に煙によって、他の人からは見えない状態になっていた。

 

「ちっ、階段は使えない。

ならば、おい、ソーマ、不知」

 

「なんだ」

 

「協力しろ、俺があそこに行って、子供を助ける」

 

「そんな無茶な」

 

「無茶でもやるだよ。

俺はもう」

 

そう言った神牙は震える声と共に見つめる。

 

「・・・不知、なんか受け止める為の毛布を用意しろ」

 

「はぁ、たく、無茶な事ばっかり言う」

 

そう言い、不知は急いで店の中へと入る。

 

「行くぞ!!」

 

「あぁ」

 

その言葉と共に人々の中を潜り抜け、ソーマは両手を構える。

 

神牙はそのままソーマの両手に乗り、飛び上がる。

 

人間を超えた身体能力を持つ二人だからこそできる連携を行う。

 

「おい、持ってきたぞ」

 

「あぁ、広げろ!!」

 

不知が布を持ってきたのを確認すると、布を広げる。

 

「神牙!!」

 

ソーマはそのまま神牙に向けて叫ぶと、窓から勢いよく飛び出す。

 

子供を抱えながら、子供の盾になるように背中を向けながら落ちていく。

 

そんな中で、一人の男が飛び出す。

 

「そこじゃ駄目だ。

こっちだ」

 

「えっあぁ!!」

 

「急げ!!」

 

男の言葉を聞き、ソーマ達はすぐに移動した。

 

その直前、建物から爆風が起き、神牙は先程よりも少し遠くの場所へと落ちる。

 

だが、男の指示によって、神牙は無事に着地し、子供も無事だった。

 

「はぁ、死ぬかと思った」

 

「お前は無茶をしてっ!!」

 

「そうでもしないと、助からなかった。

俺はもう見捨てたくなかった」

 

そう言いながら、神牙は助け出した子供を親の元へと送り届けながら、その様子を見る。

 

「かつて、俺には弟がいた。

だけど、俺は自分の間違いで弟を殺してしまった。

だから、弟のような子の未来を少しでも守りたい」

 

「ふっ、どうやらお前らは思った以上に熱い奴らだったみたいだな」

 

「あっおっちゃん!!

さっきはありがとうな、にしても凄いなぁ、なんで爆風が起きるって分かったんだ?」

 

「仕事柄、こういう現場は多く見るんだよ」

 

「仕事?」

 

ソーマは一瞬、男の身柄が気になり、警戒するが、そう思っていると、男が取り出したのは何かのマークだった。

 

「人の命を奪わないからと言って悪人じゃないとは言えない。

そう思って見させてもらったが、人の為に動けるお前達だったら、俺達の力を預ける事ができそうだな」

 

「俺達って、まさかスーパー戦隊!?」

 

その男の正体が分かり、驚き目を見開きながら不知は言う。

 

「あぁ、俺はゴーゴーファイブの一人、巽マトイだ」

 

その言葉と共に窓から飛び出る小さな何かにソーマは気付く。

 

「あれは、蝿?」

 

「えっ蝿ぐらいは「あいつ、全然燃えていなかった」はい?」

 

「焦げ目もなにも」

 

「そこまで見えるのか、だとしたら」

 

「あぁ」

 

確信のない推測だが、ソーマ達はすぐにその蝿を追いかける。

 

一目の少ない路地裏に入ると、ソーマはリュウソウガンを取り出し、蝿に向けて撃つ。

 

「ぎゃあぁ、なっ何をしやがる!?」

 

「嘘だろ、マジで」

 

「お前は、ピエール!!」

 

「ちっ、まさかゴーゴーファイブまでいるとはな」

 

「知ってるのか?」

 

「あぁ、俺達がかつて戦った災魔一族の一人だ。

だけど、なんで」

 

「私はあの方によって、蘇ったのだ。

もう少し力を溜めたい所だったが、仕方ない」

 

「てめぇ、そんな事の為にっ!!」

 

「絶対に許さねぇ」

 

その言葉を聞き、三人は一気に構える。

 

「行くぞ、お前ら!」

 

「「あぁ!!」」

 

ソーマの叫びに応えるように不知と神牙は答え、各々の手にあるリュウソウケンを構えながら、走り出す。

 

「ここで倒されてたまるか!!」

 

その言葉と共にピエールはカードを取り出し、自身に押し込む。

 

「悪の魔力よ、我らに最後の力を与えたまえ。アミアス・アミアス・アミダーク、災魔合身!」

 

その言葉を言い終えると共にピエールの姿は変わり、そこには先程まで胡散臭い詐欺師のような姿ではなく、真っ黒な鎧を身に着けた存在へと変わった。

 

「この合成災魔ボリピエール、最強の姿に勝てるかぁ!」

 

ボリピエールは、叫びながら、迫りくるソーマ達に対応するように剣を取り出し、応戦する。

 

先程まで逃げていた弱気な態度からは想像できない程のパワーで、ソーマ達を圧倒していく。

 

「なっなんだよ、あいつ、急に力を上げた!?」

 

「どうやら、切り札のようだな」

 

「これでも食らえ!!」

 

その一言とともにボリピエールはその手に集めた炎をソーマ達に向けて放った。

 

「さっき渡したバッジをリュウソウルに着けろ」

 

「リュウソウルに」

 

その言葉に従うようにリュウソウブルーは取り出したバッチをリュウソウルに近づけると、リュウソウルは二つに分かれ、形が変わる。

 

「これは、いや今は迷っている場合じゃない!!」

 

リュウソウブルーはそのままゴーゴーソウルを、リュウソウケンに装填する。

 

【ゴーゴーソウル!】

 

その音声と共にゴーゴーファイブが使っていたアイテムの一つであるビルドディスチャージャーが現れ、構える。

 

「はぁ」

 

リュウソウブルーはその雄叫びと共に引き金を引くと、ビルでディスチャージャーから高圧の冷凍ガスが放射され、ボリピエールの炎を食い止める。

 

「こちらも使わせてもらう」

 

食い止めている間にマトイから渡されたもう一つのリュウソウルを、神牙はそのままリュウソウケンに装填する。

 

【ジークソウル!】

 

その音声と共にリュウソウブラックの手には両手で抱える程の大きさのバズーカ砲・ジークブラスターを手に持ち、構える。

 

「まさか、銃を使うとはな。

だが、悪くない」

 

その一言と共に引き金を引くと、ボリピエールに向けてエネルギー弾が放たれる。

 

「うわぁ!?」

 

炎による攻撃に集中していたボリピエールはその攻撃を防ぐ事ができずに吹き飛ばされてしまう。

 

その隙を見逃さないようにリュウソウブルーは構える。

 

「一気に決めるぞ」

 

「でもどうやって?」

 

「これを使ってだ」

 

その言葉と共にリュウソウブルーはその手に持っているディスチャージャーを投げると、ディスチャージャーの元に光が集まる。

 

そこに現れたのはディスチャージャーとは別の5つのアイテムが集い、完成したのはゴーゴーファイブの武器であるライブバード。

 

その最後の姿であるライフバード・ブレイカーモードだった。

 

「うぐぅ」

 

リュウソウブルーはそのままライブバード・ブレイカーモードを構えると共に、リュウソウブラック、リュウソウグリーンは彼を支えるように構える。

 

「ターゲット」

 

その声と共にリュウソウブラックから溢れ出る緑色のエネルギーはライフバード・ブレイカーモードへと注ぎ込まれる。

 

「ロックオン!」

 

注ぎ込まれたエネルギーはライフバードの先端へと集まる。

 

「ファイア!」

 

そしてリュウソウブルーの一言と共に引き金は引かれる。

 

ライフバードから出たエネルギーはボリピエールへと向かっていき、彼の胴体を容易く貫く。

 

「そんなぁ、私が、負けてしまうなんてぇ」

 

その声と共に倒れ、ボリピエールの体から特典は漏れ、リュウソウケンに食われる。

 

「なんとか、勝てたな」

 

「あぁ」

 

そう言い、三人は手を合わせる。

 

「へっやればできるじゃないか」

 

「まだ、いたのか」

 

「まぁな、お前達の熱いレスキュー魂、確かに見させてもらった」

 

その言葉と共にマトイは親指を立てながら、その場から消えていった。

 

「まったく、最後までお騒がせな奴だぜ」

 

「まったくだ」

 

そう言いながらも、マトイが消えていった先を見つめていた。

 

「あれ、ソーマ達も帰りか」

 

そんなソーマに声をかける声に気付き、振り向くと連がいた。

 

「リーダー、今までどこに行っていたんですか!?」

 

「まぁちょっとな。

おかげでとりあえずはデカ先輩に認められたからな」

 

そう言い、懐に仕舞っていたデカレンジャーソウルを見せると、不知は驚きの表情で声を出す。

 

「えっリーダーも!!」

 

「俺もって、お前達も?」

 

「まぁゴーゴーファイブの力をな」

 

「凄いなぁ、だったらこの調子で大丈夫そうだな」

 

「なんじゃ、お前達、こんな所で」

 

「皆さん、どうしてここに?

 

そう話している間に忍達も合流してきた。

 

「いやぁ、少し厄介事に巻き込まれて」

 

「えっ皆さんもですか!!

実は私達もなんです」

 

「少々手間はかかったがな」

 

「へぇそうなんだ、だったら、皆無事で良かった」

 

「あぁ」

 

そう言い、その場にいる全員が見まわした。

 

「それで、誰が店番しているんだ?」

 

「「「「「・・・・・あっ」」」」」

 

連のその一言で場が凍るのと同時に全員が走り出す、店に向かって。

カリオストロ戦での連の姿は

  • リュウソウジャー
  • ルパンレンジャー

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