特典を喰らう騎士   作:ボルメテウスさん

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EPISOOD13 異世界での出会い

ワイズルーの進撃から夕方頃、未だに警戒を解かないように交代で見張り続けていた。

 

その時の担当である連達も錬金術師達を警戒していた。

 

「それにしても、また来るのでしょうか?」

 

「あぁ言う奴は何か仕掛けてくるはずだ。

油断はできない」

 

「それはそうじゃが・・・」

 

そう言いながら忍は手元にあるドーナツを食べようと口を開けようとした時。

 

忍の目に映ったのは奇妙な青帽子だった。

 

その特徴的な青帽子を見た瞬間

 

「ワイズルー、またお前か」

 

思わず突っ込むように立ち上がると、まるで待っていたようにぴょんと跳ねあがりながら、現れた。

 

「また私だ!

なに、前回は見事な戦いをしてくれたからね。

私から素敵なプレゼントを用意したのさ」

 

「はぁ?」

 

ワイズルーの言葉に疑問を覚える連を余所に、ワイズルーは地面にステッキを叩いた。

 

その瞬間、連達の足下に巨大な穴が開き始める。

 

「なっ!!」

 

「がっ」

 

「ちょっ」

 

「デス!!」

 

「うわぁ!!」

 

突然の出来事で上手く反応できずに、その場にいた5人はそのまま穴の中へと吸い込まれていってしまう。

 

「皆!!」

 

突然の出来事で、急いで響は手を伸ばすも穴はすぐに閉じてしまう。

 

「はっはぁ、さって、私はここで失礼するよ」

 

既に用事は済ましたばかりに、ワイズルー自身の足元にも穴を開けた。

 

「てめぇ、リーダー達をどこに連れて行った!!」

 

そう言い、不知は叫ぶが、ワイズルーは笑みを浮かべるように振り向く。

 

「なに、自然豊かな星だよ。

まぁ、今はどうなっているのか、私も分からないがね、では」

 

そう言って、ワイズルーは今度こそ、姿を消した。

 

そして、ワイズルーが姿を消した時、連達は

 

「むぎゅ」

 

連、ソーマ、忍、切歌、調の順番で地面に埋め込んでいた。

 

「ぷはぁ、なんだ、ここぉ!!」

 

すぐに目を覚ました連はすぐに起き上がると、目の前にある光景を見て、思わず叫んでしまう。

 

「綺麗」

 

「こんなの見た事ないデス」

 

目の前に広がるのは、これまで見た、どの景色よりも綺麗な森が広がっている場所だった。

 

澄み渡った空気に、透き通りそうなぐらいに綺麗な河、溢れる緑、どれも彼らが生きる世界ではあり得ない程の光景だった。

 

「だが、妙じゃ。

あのワイズルーが、なんでこんな所に」

 

「絶対に罠だが、その罠は一体」

 

目の前に広がる景色に感動する連達を他所に忍とソーマはワイズルーの企みについて考える。

 

「とりあえず、考えるとしても、ここを調べる必要はあるな。

何か手掛かりは」

 

そう言うと奇妙な違和感を感じた連は鋭く目を光らせた。

 

「連?」

 

「・・・どういう状況か、分からないが、どうやら思っていたよりも厄介な事がありそうだな」

 

そう言い、連が指を指した方向では、なんと空を飛んでいる二人の女性がいた。

 

女性は地面から何かに注意をしながら、飛んでいるが、突然、森の中から雷が現れ、二人を襲い掛かる。

 

「なっなんデスか!!」

 

「状況はさっぱりだけど、困っているようだから、助けるか」

 

「そうですね」

 

「・・はぁ、まったく、どこでも変わらないな」

 

「罠というのも考えて動けよ」

 

「あぁ」

 

既に行動が決まると同時に二人の女性が落ちた場所に向かって走り出す。

 

森の中は変わらず、まるでファンタジーの世界のように綺麗な光景だったが、その先にある焦げ臭い匂いが、それを邪魔している。

 

「いい加減、諦めてくれないか?

こちらは、それを渡してくれたら、良いけど?」

 

「あんた達みたいな奴に渡してたまるもんですか!」

 

「どのような理由であっても、いきなり侵略行為をしてきた貴方達に渡す物などありません」

 

「はぁ、たっく、面倒だなぁ」

 

森を抜けた先にある光景を見て

 

「先輩、あっちの悪そうな人は」

 

「転生者だな」

 

「まぁ、どっちにしろ」

 

「あっちから倒すのは変わりないデス」

 

「じゃな」

 

その光景を見ていた全員一致で、森から抜け出すと同時に転生者に向けて、ルパンマグナムを放ち、牽制する。

 

同時に二人の女性の前に連達は並び立つ。

 

「えっ貴方達は?」

 

「通りすがりの正義の味方かな?」

 

「何を言っておるんじゃが」

 

とりあえず、応えた連に対して、呆れたように忍は言う。

 

「やる事は変わりないな」

 

「では久しぶりに行くデス!!」

 

「切ちゃん、これはある意味初めてだから」

 

張り切る切歌を落ち着かせるように調は言いながらも、手に持ったシンフォギアをルパンチェンジャーにセットする。

 

それに少し遅れて連達もその手に持ったルパンソウルをリュウソウチェンジャーに挿入する。

 

【ゲボーン!】

 

「えっ」

 

その音声と同時だった。

 

連達の周りを囲むようにタキシードを着た人形達が現れ、連達はそのまま構える。

 

「怪盗チェンジ!」

 

その言葉と同時に、各々の手に持っている変身アイテムを動かす。

 

【怪盗チェンジ!】

 

連達の言葉に応えるように、周りにいた人形達はそのまま連達の元へと走っていき、一体化する。

 

変身を完了するのと同時に連達はマントを翻しながら指を弾く。

 

「ルパンレッド」

 

「ルパンブルー」

 

「ルパンイエロー」

 

「ルパングリーンデス!!」

 

「ルパンピンク」

 

「「「「「怪盗戦隊!ルパンレンジャー」」」」」

 

各々が自分の居場所を証明するように叫ぶ。

 

「何が起きているの?」

 

「さっさぁ」

 

目の前に現れ、叫んだルパンレンジャー達に対して、疑問の言葉を投げるが

 

「ルパンレンジャーだとっ!?」

 

「あれ、向こうは知っているようだけど」

 

ルパンレンジャーという言葉を聞き、驚いた様子で見つめる。

 

「さぁ、あんたらのお宝、頂くぜ!!」

 

連のその言葉がきっかけとなり、ルパンレンジャー達は各々の手に持ったリュウソウガンを放ち始める。

 

「遅いぜ」

 

「っ!!」

 

その言葉に応えるように、既にルパンレンジャー達の間を通り過ぎていた。

 

それに驚いている間にも、ルパンレンジャー達の身体には一瞬だけだが、切り裂かれた形跡があった。

 

「なんデスか、あの速さは」

 

「見れなかった」

 

その事で驚いている間に、すぐにでも行動を移そうとする敵に対してルパンレッドが行ったのは

 

「速いんだったら、速くなれば良いだけだ」

 

「あっそうデスか!!」

 

「今のルパンレンジャーだったら」

 

「何を言っているんだ」

 

その言葉に応えるよりも前にルパンレンジャー達が取り出したのはリュウソウルだった。

 

【ハヤソウル!】

 

その音声と共に、ルパンレンジャー達の背中にあるマントの模様は変わり、同時に走り出した。

 

「なっ!

ぐっ!!」

 

急激なスピードの変化に驚くも、すぐに対応するように転生者も動き出す。

 

「なに、これ、全然見えない」

 

「凄い」

 

その言葉通り、二人の目の前に映っているのは、影と雷がぶつかっているようにしか見えない光景だった。

 

余りの速さに対応できない中で、彼女は一つ思い出す。

 

「彼らが使っていたのは、もしかして」

 

その言葉と共に、懐に仕舞っていた物を取り出し、見つめる。

 

同時にルパンレンジャー達の姿が再び見えるようになり、転生者の姿も現す。

 

「まさか、この獪岳をここまで追い詰める速さがあるとはな。

さすがはルパンレンジャーと言った所か」

 

「誉めてもなんもねぇよ。

さて、どうしたものか」

 

その時、彼らは追い詰められていた。

 

速さをなんとか互角に持ち込む事ができたが、近接武器がなく、リュウソウガンでは弾丸の速さが獪岳に追いつかない。

 

そして、ルパンレンジャー達は自身の武器を使おうとしても、それはできなかった。

 

それは、本来はなかったシステムであるリュウソウルの力を使っている間、リュウソウガンとリュウソウケン以外は使用できないという弱点だった。

 

その為、近接武器を使う事ができないルパンレンジャーにとって、この状況はまさにピンチだった。

 

だが、その状況は

 

「これを!」

 

その言葉と共に赤髪の女性が投げた物によって、変わった。

 

すぐに受け取ったルパンレッドは、それを見ると同時に、驚愕だった。

 

「なんで、これが。

まぁ考えている暇はないよな」

 

その手に握られていたのは、なんとリュウソウルだった。

 

すぐにリョウソウガンに先程投げられたリュウソウルを挿入する。

 

【ビュービューソウル!】

 

【強!リュウ!ソウ!そう!この感じ!ビュービューソウル!】

 

そのままルパンレッドはリュウソウガンのグリップを引いていくと、その度にリュウソウガンから溢れる風をルパンレッドを包み込む。

 

そして、最後に引き金を引くと同時にルパンレッドの姿は変わる。

 

ルパンレッドの両肩にはまるで蛇を思わせる黄金の鎧を身に纏い、ルパンレッドの両手には二つの双剣を手にしていた。

 

「なっ、まさかとは思っていたが、リュウソウルとは」

 

「なんだか、向こうは知っているようだけど」

 

突然の事で戸惑う獪岳達だったが、そんな中でもルパンレッドは冷静に剣を振るう。

 

「ふむ、なるほどね。

使い方は、サイクロンダイヤルファイターの力と似たような感じだな」

 

その一言と同時に、剣を振り下ろすと、一瞬で獪岳の目の前に迫った。

 

「っ陸ノ型 電轟雷轟」

 

「もう、知っている」

 

獪岳は、すぐに周囲に向けて攻撃に移ったが、連の身体に雷が当たっても、それ程衝撃はなかった。

 

「なっ」

 

疑問に覚えるよりも先に獪岳の身体は既に宙に舞っており、ルパンレッドは既に構えていた。

 

「ショータイムだ」

 

「なっ」

 

その一言と共に獪岳は周りを見つめると、手足はワイヤーによって縛られ、身動きが取れない状態になっていた。

 

一瞬で宙に飛ばされていた時、他のルパンレンジャー達が取り出したワイヤーによって、身動きが取れない状態になっていた。

 

【超!超!超!超!イイ感じ!】

 

その音声と共に空中に投げた剣は回り始め、巨大な空気の球を作り出した。

 

その空気の球に向けて、リュウソウガンの引き金を引く。

 

引き金を引いた瞬間、空気の弾丸となり、獪岳は空気の球に激突した。

 

「がはぁ!!」

 

同時に獪岳は白目を向きながら、地面へと落ちていった。

 

「凄い、あいつを倒すなんて」

 

「・・・もしかしたら」

 

その戦いを見ていた二人はすぐに決心をつけると同時に近づく。

 

そして、ルパンレンジャー達も既に戦闘を終え、変身を解除した所で、近づいて来る二人に目を向ける。

 

「それで、聞きたい事があるけど、良いか?」

 

「えぇ、それは構いませんが、その前に一つ聞きます。

貴方達はオカマ魔女の手下ですか」

 

「・・・ふざけているのか」

 

「この反応は大丈夫だと思うよ、お姉ちゃん」

 

あまりにも真剣な表情で、とんでもない事を言ったので、その場にいた全員が声を揃えて突っ込んだ。

 

その反応を見て、ピンク髪の女性も少し呆れたように言った。

 

「いえ、これは、その本当なんですよ!!

だって、この事態を起こしたのは、そのオカマ魔女と名乗る変態なんです」

 

「・・・・」

 

「なんというか、無茶苦茶デス」

 

「うんうん、私も反対の立場だったら、そう言うわ」

 

「もぅキリエも!!」

 

そう言いながら、赤髪の女性も慌てた様子からして、連達は彼女達が嘘をついていない事が分かり、とりあえずため息を吐く。

 

「とりあえず聞きたいが、ここはどこなんだ?

とても地球とは思えない場所だが」

 

「えっ、もしかして、貴方達地球から来たのですか?」

 

「地球の事を知っているのか?」

 

「えぇ、以前色々ありまして。

もしかして、時空管理局の事も」

 

「・・・・まぁ関係はあるな」

 

「なんだか色々と含みがある言い方だねぇ」

 

「ぶっちゃけ敵対関係デス」

 

「切ちゃん、ぶっちゃけすぎるよ」

 

「っ、それじゃあ、犯罪者!?」

 

「いや、たぶんだけど、そういう感じじゃないと思うよ。

うん、なんだか少し親近感がわくかも、とりあえず、自己紹介だけしましょう。

私の名前はキリエ・フローリアン、こっちはお姉ちゃんのアミティア・フローリアンよ」

 

「ルパンレッド、雨宮連だ」

 

「おい」

 

「向こうは明かしてくれたんだ。

こっちも明かさないと信用関係はできないだろ」

 

「ふんっ、儂はルパンイエロー兼リュウソウイエロー。

それ以上は言わん」

 

「俺はルパンブルー兼リュウソウブルー。

こちらも同じだ」

 

「私は暁切歌、ルパングリーンデス!」

 

「はぁ、切ちゃんは、私もルパンピンク。

一応は名前は言わない」

 

「うんうん、連君と切歌ちゃんは教えてくれて嬉しいな。

けど、ブルーとイエローちゃんはなんで名前が複数?」

 

「複数の名前も当たり前じゃからよ」

 

「そうかそうかぁ」

 

二人はそのまま笑みを浮かべているが、キリエと忍の間は明らかに笑顔ではない何かが激突しており、色々な意味でハラハラさせる。

 

「それで、なんで敵対関係を?」

 

「まぁ話すと長くなるけどな。

とりあえず、向こうにむかつく奴がいたから、敵対している。

けど、まぁ仲が良い人はいるけどな」

 

「はっそれは初耳だぞ」

 

「えっ言ってなかったけ?」

 

連の言葉に思わず素で返したソーマ。

 

二人はそのまま森の中へと入り話し合いを始めた。

 

「あははぁ、なんだか混乱しちゃうね。

とりあえずは当面の味方だと思ったら良いわね」

 

「そうじゃな、未だに敵の影が見えない以上は妥当じゃな」

 

「うん、そうですね。

だけど、とりあえず、私を挟んで会話するの辞めてくれません」

 

そう言いながら、未だに睨み合いが続くキリエと忍の間に立つ調は明らかに疲労しながら答える。

 

「それで、オカマ魔女って、一体何者なんだ?」

 

「分かりません。

ある日、突然侵略してきた謎の奴らです。

奴らは先程縛り上げた獪岳のような人達と共に攻め込んできました。

私達も必死で戦ったのですが、今はこうしてバラバラになっております」

 

「それで、さっきのリュウソウルは一体」

 

「それが、随分前にレビィが見つけた物なのよね。

あっレビィはうちの家族の一人だけど」

 

「以前まではなかったのですが、数ヶ月前に突然現れたのです」

 

「なるほどなぁ」

 

そう言いながら連は手元にあるビュービューソウルを見つめる。

 

「だったら、早くオカマ魔女達を倒すデス!!

私達も、元の世界に帰りたいけど」

 

「困っている人は、見捨てれない」

 

「・・・なるほどな」

 

「どうしたんじゃ?」

 

何か理解したようでソーマは苦虫を噛むような表情をしていた。

 

「ワイズルーの作戦だよ」

 

「えっ?」

 

「もしかして、この人が嘘を」

 

「いいや、真実だろう。

あいつはどういう意図でか分からないが、この世界に侵略を仕掛けた。

おそらくはオカマ魔女はその刺客だろ」

 

「ほうほう、でもそれが、なんで罠に?」

 

「俺達が人を助ける事に迷わない事だよ。

ここで俺達がオカマ魔女を倒す為に行動していたら、その分だけ時間がかかる」

 

「その間に、響さん達が!!」

 

「あぁ」

 

その考えが分かったソーマ達にとっては最悪な作戦だった。

 

オカマ魔女達の侵略を防げば、その間に味方に大きな被害が出る。

 

反対に、彼らを放って、元の世界に帰れば、この世界はオカマ魔女に侵略される。

 

まさに究極の板挟みだ。

 

「どうすれば「簡単な話だ」えっ?」

 

悩んでいる調の言葉に応えるように、連は立ち上がる。

 

「速攻でオカマ魔女達を倒して、速攻で元の世界に帰る。

それだけだ」

 

「無理です!!

相手はオカマ魔女以外にも多くの戦力があります。

対抗しようにも、この人数じゃ」

 

「何を言っている。

お前達が持っていたこれが最大の味方を知らせてくれたんだよ」

 

そうビュービューソウルを見せつける。

 

「リュウソウルが?」

 

「あぁ、こいつを纏った瞬間、最初は分からなかったけど、今はようやく分かった。

こいつは俺を導いている、自分の元に」

 

「まさかっ!!」

 

「あぁ騎士竜が、この世界にいる」

 

「騎士竜とは一体?」

 

「騎士竜ってのは、世界を守る為に誕生した恐竜デス!

色々と謎が多いデスけど、どの騎士竜もとんでもなく強いデス!!」

 

「しかも、こいつ、俺が感じた限りだとティラミーゴと同じか、それ以上だ」

 

「だったら、できるかも!!」

 

「えっと、つまりは」

 

「勝てるかもしれないという事!!」

 

未だに見ぬ騎士竜に対して、希望を抱き始めた一同。

 

「なら、行動は早くしないとな。

その騎士竜とは一体どこにいるんじゃ」

 

「それじゃあ、とりあえずはついてこい。

本当は空を飛べれば早いけど」

 

「すみません、さすがにこの人数では」

 

「まぁ幸い、場所はそれ程遠くない。

行くぞ」

 

その言葉と共に出発する。

 

未だに見ぬ、騎士竜を求めて

カリオストロ戦での連の姿は

  • リュウソウジャー
  • ルパンレンジャー

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