色々とデレマス編の妄想が膨らみましたが、想定していた設定と違うところもあるのでどう折り合いを付けるか頭を悩ませています。(事務所とか所属アイドルとか)
とりあえずアニメ内で先輩アイドルポジになるであろう美嘉を早い内に出演させておかないと……。
それは、とあるビルの一室において交わされたとある会話。
「公式プロフィール以外、一切の過去が謎に包まれた『銀色の王女』こと四条貴音、か。何とも程度の低い売り方だ」
「ネットやらなんやらでは異国の王族説や、実は宇宙人なんじゃないかっていう馬鹿話まであるぐらいですね」
「実に下らん! ナンセンス! 宇宙人などあの周藤良太郎だけで十分だ!」
「いや、それも噂……」
「765プロめ、再三警告してやったにも関わらず、虫けら同然の弱小プロダクションの分際で……どうやらこれまで手緩すぎたようだ。……君を呼んだ理由は、わざわざ口にしなくても分かるな?」
「もちろんです、プロですから」
「頼んだぞ。……あぁ、あとあの忌々しい周藤良太郎が765プロを護る為に何かしらの行動を起こす可能性があるから注意しろ」
「え?」
「え?」
「………………」
「………………」
「あ、自分ちょっと持病の癪が……」
「ちょっと待て何を言っている貴様!? 依頼された仕事をキチンとこなすのがプロじゃないのか!?」
「プロでも嫌なもんは嫌ですって! あの周藤良太郎に睨まれるとかマジ勘弁してくださいよ!」
「ええい何を怖がっている!? 相手はたかがアイドルだぞ!?」
「周藤良太郎が『たかがアイドル』のわけないでしょうが!? とにかく俺はこの仕事降りますよ!」
「だから待てと言っている!」
――そんな会話が、あったとか無かったとか。
「きゃー! 良太郎くーん!」
「冬馬ー!」
「しょうたーん!」
「ほくほくー!」
「ふぅ、お疲れー。いやー、疲れたなー」
「せめてそういうセリフは少しでも疲れた素振りを見せてから言えや……」
「同感……」
「良太郎君の動きに釣られてこっちまでいつも以上に気合が入っちゃってもうヘトヘトだよ……」
ジュピターの三人と共にステージの上に立つようになってから早二週間である。歌番組の出演を主軸に、その他にもイベントに呼ばれたりとそこそこ忙しい日々を送ってきた。一人での仕事は殆どなく、仕事やレッスンが無い日は受験勉強と忙しさが際立ってきた今日この頃。
今はつい先ほどミニライブにて『Alice or Guilty feat.周藤良太郎』と『Re:birthday feat.Jupiter』の二曲を歌い終えて観客の興奮冷めやらぬまま俺たち四人に宛がわれた控室に戻って来たばかりである。
余談だが、本来ならば「A feat.B」だと「A with B」よりも若干の上下関係が出来てしまう表現なのだが、最近では別に特別意識するわけではないらしい。最初は両方とも「with」でいいんじゃないかと話を持ち掛けたのだが、ジュピター側が「それは流石に周藤良太郎ファンに怒られそうで怖い」と言い出したのでそれじゃあいっその事両方とも「feat.」にしようということになったという裏話。
閑話休題。
「そう言えばりょーたろーくん、この記事読んだ?」
「? 何の記事だ?」
ポカエリアス(以前CM出演してから大量に送られてきて消費に困りジュピターにお裾分けしてもまだ余っている)で水分補給をしていると、翔太が一冊の雑誌を差し出してきた。俺はそれを受け取ると、反対の手で机に化粧台に置いてあった眼鏡を取ってつるを開く。
そんな俺の行動を見てタオルで汗を拭いていた冬馬が首を傾げた。
「ん? 何でわざわざ伊達眼鏡なんてかけるんだよ」
「あぁ。これ、もう伊達眼鏡じゃなくなったんだ」
「ってことは……」
「そう」
俺は頷き、片手で眼鏡をかける。
「実は『
「知らねーよ」
そこは「それは後天的になるもんじゃねーだろ」と突っ込んでもらいたかった。
「ちなみに冬馬、『
「しねーよ」
残念。なんとも硬化魔法が得意そうな声をしているというのに。
とまぁ冗談はさておき。
「実は夏頃から視力が落ちてきててな。普段の生活やダンスには支障無いんだが近くのものが見辛くて、こないだ度を入れてきたんだよ」
ほれ、と翔太の目の前に眼鏡をかざすと「あ、ホントだ、度が入ってる」とレンズを覗き込んできた。
「何? 夜に暗い部屋でパソコンでも見てたの?」
「そんな夜一人でギャルゲやってる冬馬じゃあるまいし」
「バッ!? あれはギャルゲじゃねーよ!」
北斗さんの言葉にそう返すと、冬馬が焦ったような声を出して否定してきた。じゃあ具体的には何をしているのかは武士の情けとして聞かないでおいてやろう。
「ただしゆきのんが至高」
「馬鹿野郎! ツァンに決まってんだろ!」
そんな男二人がバカみたいな話でヒートアップしたのを五分ほどかけてクールダウン。
「特に理由は思い当たらないんだけど、気が付いてたら視力が落ちてたんだよなぁ」
本当になんなんだか。
「まぁ、それは置いといて、雑誌の記事だっけ? えっと……貴音ちゃん?」
翔太が差し出してきた雑誌の開かれたページに大きく映る貴音ちゃんと一人の男性の姿。……あれ、この人に見覚えが、と考える暇も無くその男性の正体はその写真の下に大きな見出しとして掲載されていた。
――765プロ四条貴音、エルダーレコードオーナーと白昼堂々、会合!
――引き抜き確実か!?
「なんだ、ただのゴシップ記事か」
「……りょーたろーくん、ゴシップだって断定しちゃうんだね」
そう呟くと、俺にどんなリアクションを想像していたのか分からないが翔太は苦笑いをしていた。
「そりゃあなぁ。あの765プロのアイドルが他の事務所に移籍するなんて到底思えないし」
正直所属アイドル全員があんなに和気藹々としている事務所は初めて見る。普通は同じ事務所とはいえもうちょっと隔たり的なものがあるはずなんだが……事務所が狭いおかげかな?(失礼)
「……怒ったりしねーんだな?」
「へ? 何が?」
それにしてもいいなーこのオーナー貴音ちゃんと二人きりでフレンチとかテラ羨ましすとか考えていると、冬馬が妙なことを尋ねてきた。
「い、いや……その、765プロはお前のお気に入りだって話を小耳に挟んだから……そこのアイドルのこういうゴシップ記事書かれたらお前も怒るんじゃねーかと思って……」
何やら気まずそうに目線を逸らしながらゴニョゴニョと話す冬馬。
「いくらお気に入りだからってそこまで過保護なつもりはねーよ」
大体。
「この手のゴシップ記事はアイドルにとっちゃ通過儀礼みたいなもんだろ。人気者故に妬まれる。妬まれる故に噂が立つ」
わざわざ興味の無い人物の噂を流す人はいない。興味があるから人はその話に食い付き、他者に話すことで噂となる。まぁそれとゴシップ記事はまた別物のような気がしないでもないけど、根本的なところは同じのはずだ。
「写真撮られてるから『葉』はあるだろうけど『根』は無さそうだし。しっかりと否定して、堂々としてれば噂も自然に収まるさ」
ほら、えっとなんだっけ。
「人の噂も四十九日ってな」
「そりゃあの世に行けば噂も何もねーだろーよ」
七十五日だ七十五日、と冬馬から突っ込みを貰ったところで俺は雑誌を閉じた。
「人気者故に、って話してたけど、良太郎君のそういう噂話っていうのは聞いたことないね」
閉じた雑誌を翔太に返すと、今度は北斗さんがそんなことを言ってきた。
「そう言えば聞いたことねーな」
「噂話自体はよく聞くけど『実は立体映像』とか『実は宇宙人』とか『実は転生者』とか『実は提督』とか変なのばっかりで、そういうゴシップ的なのは全然聞かないからねー」
何やら翔太が挙げた例えの中に俺の
あと提督では断じてないです。
「んー、多分、普通にプライベートで見つからないからじゃねーかな」
「「「あー」」」
ジュピターの三人から一斉に納得した声を出されてしまった。
ある意味認識阻害に近い効力を発揮する俺の変装のおかげで、ゴシップ記事にされるほどの写真がパパラッチによって撮影されないというのが真相だろう。おかげで噂が流れたとしてもそれは本当に『根も葉もない』噂にしかならないのだ。
しかし全く無かったという訳ではない。
「でも一応あったことにはあったぞ。つってもデビューして間もない頃に一回だけ記事にされただけだし」
加えて例の『ビギンズナイト』の一件でまだ騒がれてた時期だったから人々の記憶に残っていないのも仕方がないだろう。
「ちなみにどんな記事だったの?」
「んー。『人気急上昇中のアイドルはテレビ局上層部の若いツバメ』みたいな、そんな感じの記事だったはず」
確かその時の記事も今回の貴音ちゃんみたいに某テレビ局のプロデューサーの女性と一緒に食事をした時(当然他の人物もいた)の写真を使われていた。あの時は番組の打ち上げでテレビ局から団体で移動して、食事の時も変装してなかったから俺だと認識されたのだろう。
当時は本当に凄い勢いでテレビ出演の機会が増えていたから、ある意味流れても何の不自然も無い噂だったと思う。
「その時はどうしたんだい? さっき言ったみたいに、自然に消えるのを待ったの?」
「自然消滅といえば自然消滅なんですが……よく分からないんですよ」
何故かその記事以外で取り上げられることなくあっという間に話を聞かなくなったのだ。別に気にしていたとかそういう訳ではないのだが、本当に何があったのか今考えても不思議な話である。
「いい加減な話だな」
「まぁ当時は本当にデビューしたばかりの忙しさで噂とかゴシップとか気にしてる余裕が無かっただけなんだけどな」
麗華曰く「新人(笑)」の俺も慣れない芸能界は大変だったのだ。
「俺としては、そろそろお前らのゴシップ記事とか見てみたいんだけどな~?」
恋愛絡みとか面白そうである。
「ネットだとりょーたろーくんととーま君が付き合っているっていうゴシップが……」
「よしこの話は止めよう」
本当にもうあの腐ってる連中はぁぁぁ!?
(そーいえば)
当時の俺の記事の写真を撮ったカメラマンの名前がさっきの貴音ちゃんの記事の中にあったような気がした。
しかしわざわざ翔太に返した雑誌をもう一度渡してもらうのも面倒くさかったので気のせいだったということにする。
おまけ『良太郎の恋愛ゴシップ』
「でも普通に良太郎君の恋愛関係の噂はネットでちらほらと見るけどね」
「まぁ局内とはいえあれだけ堂々と魔王エンジェルの連中と一緒にいれば噂されない方が可笑しいよな」
「えー、そんなに?」
「でも逆に言えばなんでネット内での噂止まりなんだろうな?」
(……りょーたろーくんのファンのみんなが認めたくないだけなんだろうなぁ……)
・「もちろんです、プロですから」
しかしこのベネットは百万ドルポンッと貰っても
・『Alice or Guilty』
アニメ内で使われているジュピターの持ち歌の一つ。
・『霊子放射光過敏症』
・『甲冑!』
・硬化魔法が得意そうな声
冬馬の中の人ネタを兼ねた劣等生ネタ。今更ながらハマって来訪者編まで既読。真由美さんが正妻。異論は認めない。
ちなみに翔太の中の人も『くり☆ぷり』役として出演。
・「視力が落ちてきててな」
番外編02のあとがきで触れていたことを覚えている人は果たして何人いるのだろうか。
・「バッ!? あれはギャルゲじゃねーよ!」
しかし中の人はギャルゲ好きとして有名。
・ゆきのん ツァン
TFネタ。不満足時代満足さん参戦とかいいから彼女たちの参戦はよ!
・提督
「大丈夫、無課金でできるから」と謳うゲームに手を出すと間違いなく課金に手を染めてしまうので本気で自重。(仮面ライダーのソシャゲで思い知った)
ちなみにデレマスは課金云々の前にデッキ構築のコストシステムが理解できずに投げてしまった。
・『ビギンズナイト』
予告編もしたことだし本編でもこの呼び名を使うことに。流石にいつまでも『覇王翔吼拳』はアレかと思った。
・腐っている連中
医者が黙って首を横に振りつつ全力疾走で逃げ出すレベル。
・おまけ『良太郎の恋愛ゴシップ』
原因は恐らく嫉妬やらなんやら。
というわけでアニメ19話の貴音回のお話となります。
実はこの前には真回や律子回もあったのですが諸事情により割愛。まぁ律子は番外編でメイン貰ったからいいよね?
真「訴訟も辞さない」