アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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あけましておめでとうございます。

色々と大変なことが起こっていますが、過度に不安がらないように普段通りの更新をさせていただきます。


番外編87 もし○○と恋仲だったら 賀春

 

 

 

 それは、あり得るかもしれない可能性の話。

 

 

 

「「あけましておめでとー」」

 

「新年最初の挨拶としては間違ってないけど、そうじゃない!」

 

 今日も変わらず日課の早朝ランニングから帰ってきたら『お嫁さん』が怒っていた。

 

「別に怒ってないわよ……」

 

 それじゃあどうしたというのだろうか。

 

 一緒にランニングをしていた『二人目のお嫁さん』である緋田美琴ちゃんに視線を向けてみるが、彼女もまた分からない様子で首を横に振った。

 

「日課をこなすのはいいわよ。だからって元旦の早朝までする?」

 

「毎日やらなきゃ日課じゃないじゃん」

 

「そうだよ冬優子ちゃん」

 

「……美琴さんの脳筋がうつった……」

 

 頭が痛そうに額を抑える(まゆずみ)冬優子(ふゆこ)ちゃん。

 

 ……なるほど。

 

「確かに笑ってる冬優子ちゃんも可愛いけど、ちょっと困ってる表情も可愛いね」

 

「は、はぁ!?」

 

 顔が赤くなって恥ずかしがってる姿もソーキュート。普段外で見せる『ふゆ』ちゃんは可愛いの権化というか自分の好みドストライクなところがあるんだけど、こうして家族の前でだけ見せてくれる素の冬優子ちゃんも本当に可愛い。

 

「……良太郎君」

 

 クイクイと隣から袖を引かれたので横を見ると、屈んで目線を落とした美琴ちゃんが何かを訴えるような目で見ていた。

 

「勿論、美琴ちゃんも可愛いよ。美人系だけどそうやって自分のことも気になっちゃうところが本当に可愛い」

 

「ふふっ、ありがとう」

 

 ほんのりと頬を染めて微笑む姿がソーキュート。大人のお姉さんが照れている姿からしか得られない栄養素が確かにある。

 

「………………」

 

「ん?」

 

 視線を感じたのでそちらを見ると、寝室の入り口から顔を半分だけ出す形で『三人目のお嫁さん』がこちらの様子を覗いていた。その視線は何かを期待しているようにも見えて……その理由に気付く。

 

「勿論、果穂の元気一杯な笑顔も可愛いよ。新年初笑顔見せて欲しいな~」

 

「……!」

 

 パァッと表情を輝かせると、小宮(こみや)果穂(かほ)はテテテと寝室から駆け出してきた。

 

「はい! あたしの笑顔、良太郎くんにあげます!」

 

「う~ん可愛い!」

 

 ()()()として年不相応の身体と年相応の元気いっぱいの笑顔がソーキュート。前世基準で考えると小学生のお嫁さんなんて到底許されるものではないのだが、そもそも俺自身も小学生なのでセーフ。

 

 この世界では一夫多妻制および十歳からの婚姻が認められているので、セーフと言ったらセーフなのである。

 

 

 

 

 

 

 それでは改めて。

 

「「「「あけましておめでとうございます」」」」

 

 四人膝を突き合わせて頭を下げ、しっかりと新年の挨拶をする。

 

 この世界に転生して早十二年。そんな世界でトップアイドルとなって僅か三年……そして三人のアイドルのお嫁さんとのラブラブ夫婦生活二年目のお正月を迎えた。前世では考えられないことではあるが、未成年同士での結婚や新婚生活は珍しいものではないのである。本当に異世界。

 

「はい、三人にお年玉」

 

 フローリングのカーペットの上に正座をして新年の挨拶をした後は、去年から引き続き三人へポチ袋を差し出した。

 

「「………………」」

 

「え、えーっと……」

 

 しかし美琴ちゃんと冬優子ちゃんは俺が差し出したポチ袋になんとも言えない微妙な視線を向け、果穂ちゃんもポチ袋を受け取るか受け取らまいかと手が宙を彷徨っていた。

 

「去年も言ったんだけど、あんまり年齢のことは気にしなくていいのに」

 

「そうは言っても……」(24)

 

「いくらアンタがふゆたちの数倍稼いでるトップアイドルだからって、小学生からお年玉を貰うこと躊躇しない大人はいないのよ……!」(19)

 

 まぁ確かに逆の立場だったら俺も躊躇したと思う。

 

「えっと……あたしは……」(12)

 

「果穂も、同い年だけど遠慮せずに貰って欲しいんだけどな」(12)

 

 同じお嫁さんである二人が受け取らないため、果穂も受け取りづらいだろう。果穂のためにも是非美琴ちゃんと冬優子ちゃんにも受け取ってもらいたいところである。

 

 しかし「果穂のためと思って」と言っても二人は「それならば果穂だけ受け取ればいい」と言うし、果穂はそんなことを言われて素直に受け取れる性格ではないし寧ろ先ほどよりも受け取りづらくなってしまった。このままでは悪循環である。

 

「こうなったら、二人には無理矢理受け取ってもらおうと思います。覚悟はいいね?」

 

「無理矢理……」

 

「覚悟って、なんの覚悟よ」

 

「答えは聞いてない!」

 

 

 

 正座をしている冬優子ちゃんの太ももにポチ袋を差し込んだ。

 

 

 

「きゃあああぁぁぁ!?」

 

 可愛らしい悲鳴助かる。

 

「アアアアンタ何してくれてんのよ!?」

 

「俺だってこんなことしたくなかったんだ……! でもポチ袋を受け取らない冬優子ちゃんが悪いんだ……! だから冬優子ちゃんのそのムチムチとした太ももに差し込むしかなかったんだ!」

 

「ムチムチって言うな!」

 

「差し込んだときに触れたけどめっちゃ気持ちよかった!」

 

「やかましいわ!」

 

「それはそれとして怒ってる顔も本当に可愛い!」

 

「ありがとねっ!」

 

 いや本当にムチムチしてて最高の太ももだった。こんな寒い時期だって言うのにミニスカートにニーソックスという絶対領域黄金装備をしてくれているおかげで視覚的にも最高である。

 

「本当にありがとう、冬優子ちゃん」

 

「無理矢理お年玉を渡した側の台詞じゃないでしょ……!」

 

 しかしようやく観念したらしい冬優子ちゃんがお年玉を受け取ってくれた。

 

 この調子で次は美琴ちゃんである。

 

「とはいえ美琴ちゃんは冬優子ちゃんほど……」

 

「冬優子ちゃんほど? なに? 良太郎君は何を言おうとしてるのかなぁ? ふゆ、気になるなぁ?」

 

 滅茶苦茶可愛い笑顔で滅茶苦茶可愛い声を出す冬優子ちゃん。それは言わぬが華ってやつだよ。

 

「それじゃあ、いくよ美琴ちゃん!」

 

「う、うん。どうぞ」

 

 何故か腕を広げて待ちの姿勢の美琴ちゃん。受け取る意志を見せてくれるのであれば素直に受け取ってくれればいいのにとは思うものの、既に俺もちょっと楽しくなってきた。

 

 

 

 ということで、美琴ちゃんの少し開いたTシャツの胸元へとポチ袋を差し込んだ。

 

 

 

「ふふっ、良太郎君のえっち」

 

「ごちそうさまでした!」

 

 おぉ……大人のお姉さんからの『えっち』発言……! 精神年齢的な関係で言えば美琴ちゃんも余裕で年下になるんだけど、お姉さんっていうのは概念だから……! そして勢いよく差し込んだので指先はしっかりと美琴ちゃんのお胸に触れてしまった確信犯です本当にありがとうございます大変柔らかかったです……!

 

「このエロガキ」

 

「この年齢の男の子はみんなエロガキなんだよ」

 

「なんでアンタはそんなに堂々と開き直ってるのよ……」

 

 冬優子ちゃんにジト目を向けられるがなんのその。自分の好きなことを好きと言える人間になると決めたから……。

 

 さて、冬優子ちゃんと美琴ちゃんの二人にお年玉を渡すことが出来たし、これで果穂も心置きなくお年玉を受け取ってくれることだろう。

 

「というわけで、はい果穂、お年玉」

 

「………………」

 

 あれ、なんか果穂さん不機嫌ですか? 唇を尖らせて不満そうな表情とかかなりレアな表情では?

 

「……あ、あたしには」

 

「ん?」

 

 

 

「……あたしには、そーゆーことしないの……?」

 

 

 

「「「………………」」」

 

 ちょっとだけ顔を赤らめて人差し指をツンツンさせる果穂の可愛さに、俺だけでなく冬優子ちゃんと美琴ちゃんも一緒になって絶句してしまった。

 

「……分かったよ果穂。確かにそうだ、果穂も俺のお嫁さんなんだから……公平に接するべきだった」

 

「良太郎くん……」

 

「今から俺は! 果穂にセクハラをする!」

 

「堂々と宣言するんじゃないわよ! というかセクハラの自覚はあったんかい!」

 

 冬優子ちゃんからのツッコミをいただきつつ、顔を赤くした果穂と向き合う。

 

 さて、果穂と俺は同い年ではあるのだが悲しいことに身体の発育という点において俺は惨敗している。俺の身長が152cmであるのに対し、果穂の身長は163cm。なんと十センチ以上も負けているのだ。

 

 身長だけではなく女性としてのスタイルも既に優れていて、少し余所行きのオシャレをした果穂を初見で小学生だと分かる人はまずいないだろう。具体的なことを言うと冬優子ちゃんよりも胸が大きいのだ。

 

「というわけで果穂、ちょっと胸を寄せてもらっていいか?」

 

「は、はい……!」

 

 恥ずかしさに顔を真っ赤にしつつ、それでも果穂は俺の要望に従って腕で胸を寄せる。するとシャツが胸で挟まれる形になり、僅かではあるがそれでもしっかりと胸の谷間が出来上がった。……いや本当に小学生のスタイルかよ……俺のお嫁さん半端ねぇ……。

 

 

 

 そんな果穂の胸の谷間に、俺は服の上からポチ袋を差し込んだ。

 

 

 

「……流石に服の中に手を突っ込むことは自重したのね」

 

「流石にね」

 

 不意打ちだった冬優子ちゃんや割とノリノリだった美琴ちゃんとは違い、お願いされたとはいえ恥ずかしがってる果穂にそこまで出来ない。

 

「うぅ……恥ずかしかった……」

 

「ごめんね果穂」

 

「う、ううん。あたしがしてって言ったんだから」

 

 顔は赤いままではあるが、果穂は気を遣うように笑顔を浮かべて手を横に振った。

 

「それに……大人のお姉さんの冬優子さんや美琴さんと同じように、ちゃんとお嫁さん扱いしてくれたことが……う、嬉しかったから……」

 

「ねぇ見て冬優子ちゃん美琴ちゃんこの可愛い子俺の嫁なんすよ」

 

「「知ってる」」

 

「そして可愛い冬優子ちゃんと美琴ちゃんも俺のお嫁さん!」

 

「……そうね」

 

「うん、お嫁さんだよ」

 

 さて、やたらと時間がかかってしまったが新年の挨拶とお年玉贈呈が終わったので、ようやく朝食の時間である。

 

 今日の朝食は前日から用意していたおせちとお雑煮……。

 

「良太郎」

 

「良太郎君」

 

「良太郎くん」

 

「ん?」

 

 

 

 三人から連続でキスされた。

 

 

 

「……お年玉のお礼よ」

 

「ありがとう、良太郎君」

 

「こ、今年もよろしくお願いします!」

 

「……うん、よろしくね」

 

 きっと今年も、良い一年になることだろう。

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

 というのが今年の初夢でしたとさ。

 

「なんか知らない女の子が二人いたような気がする……」

 

 なんだろう、神様(さくしゃ)からの不思議な熱意を感じた。

 

「まぁいいや」

 

 

 

 今年もよろしくお願いします。

 

 

 




・周藤良太郎(12)
今年の新年もショタ良太郎でお送りさせていただきます。
本編よりも身体的なセクハラをするのは、きっと三人のお嫁さんからの愛をしっかりと感じているから。

・緋田美琴(24)
最年長のお嫁さんだけど生活能力が乏しいためポジション的には次女。
おっぱいは一番大きい。

・黛冬優子(19)
しっかりものの長女的ポジションなお嫁さん。ツンデレチック。
本編に先だって先行登場となった現在の作者の激推し。早く本編に出したい……。

・小宮果穂(12)
元気いっぱいの末っ子ポジションなお嫁さん。
こちらも本編に先だって先行登場。覆面ライダートークで盛り上がらせたい。

・小学生のお嫁さん
良太郎も小学生だからセーフって言ったらセーフなの!

・「答えは聞いてない!」
辰年の良太郎ということで。

・「セクハラをする!」
こちらの世界の良太郎は生き生きとしています。



 今年の新春記念の恋仲も良太郎にショタ化してもらいました。基本的におねショタが癖なので許して。



 前書きでも触れましたが、自分は心配はしても過度な不安をしないように努めています。今の自分に出来ることは安全が確保できた後の僅かな娯楽の提供と募金だけだと思っています。

 一刻も早く皆さんが日常に戻れますように。

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