アイドルの世界に転生したようです。   作:朝霞リョウマ

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まだまだ新キャラ増えるよ何処までも。


Lesson325 サイコーなアイドルたち 3

 

 

 

「良太郎さ~ん……あれぇ?」

 

「こんちわー! リョータローさんいませんかー?」

 

 元気よく事務所のラウンジに入って来たのは佐久間と所。どうやら二人も良太郎を探しているらしい。

 

「こんにちは、二人とも。残念ながら良太郎君は事務所にいないよ」

 

「えー」

 

「残念ですぅ……」

 

 北斗から良太郎の不在が告げられると、二人とも不服そうな声を上げる。所は形だけだが、佐久間は露骨にガッカリしていた。

 

「もしかして二人も次のイベントのことかい?」

 

「はい、そーです!」

 

「紅組のことは麗華さんに聞いた方が早いんですけど、事務所に良太郎さんがいるなら良太郎さんからお話が聞きたいなぁって」

 

 完全に佐久間の私情じゃねぇか、というツッコミは口にするとまた絡まれて面倒くさいので黙っておく。

 

「それにしてもまゆちゃんがりょーたろーくんの居場所を知らないなんて珍しいね」

 

「……私にだって……良太郎さんの……知らないことぐらいあります……!」

 

「いやそこまで悔しそうな声出さなくても……」

 

 翔太の言葉に、まるで自らのアイデンティティーを自分の口で否定するかの如く苦しそうな声を出す佐久間。別に言わねぇけど、お前のアイデンティティー本当にそれでいいのか。……いいんだろなぁ。

 

「ちなみにリョータローさん何処に行ったんですか?」

 

「次のイベントに参加してくれることになった男性アイドルの事務所を見に行ったらしいよ。……えっと……315プロ、だったかな」

 

「315プロ……んーなんだか聞き覚えがあるようなないような……」

 

「知る人ぞ知るって事務所らしいからね」

 

 315プロ、ねぇ……。

 

「……ん? あれ? このホームページに映ってる社長さんって……」

 

 どうやらスマホで調べたらしい翔太が何かに気が付いたように顔を上げた。

 

「知ってんのか?」

 

「知ってるというか、この人じゃなかったっけ?」

 

 だから何が。

 

「ほら、961を辞めた直後にスカウトしてきた人」

 

「「何っ?」」

 

「ほら」

 

 北斗と共に翔太のスマホを覗き込む。そこはスマホの画面に映っていたのは315プロのホームページであり、そこにはやたらとガタイのいいポロシャツの男性の写真が掲載されていた。

 

 紆余曲折あって961プロを辞めた俺たちは、わずかな期間ではあるが同じタイミングで961プロを辞めた和久井さんと共にフリーで活動をしていた。そのときに「私が立ち上げる事務所へスカウトさせてくれないか!?」と無駄に力強く声をかけてきたの男性がいたのだが……。

 

「……確かに」

 

「この人だったね」

 

 流石にこのビジュアルを見間違えることはないだろう。

 

「……少し時間は空いたらしいが、本当に事務所を立ち上げたんだな」

 

「もしかして、この人の事務所でアイドルをするっていう未来もあったのかもしれないね」

 

「……どーだろーな」

 

 もしもあのとき、良太郎と幸太郎さんから手を差し伸べられなかったら……そんな未来もあったのかもしれない。

 

「アタシはジュピターの三人と一緒の事務所で良かったって思ってますよ!」

 

「ありがとう、恵美ちゃん。そう言ってもらえると俺たちも嬉しいよ」

 

「でもその場合、私たちのデビューが早まっていた可能性もありますよねぇ」

 

「そっか、僕たちのこともあったから二人は765プロに出向してもらったんだっけ」

 

「そうなったら二人は765プロのアリーナライブのバックダンサーにならなかったかもしれないのか。そう考えるとちょっとした違いで、大きく未来が変わってたのかもしれないね」

 

「……ふんっ」

 

 

 

 

 

 

「えっ、男性? 女性じゃないでゴンスか?」

 

「また語尾変わってるぞ」

 

「また間違えたでヤンス」

 

 相変わらず語尾が安定しないが、今回ばかりは思わず間違えてしまう気持ちは少し分かる。俺も()と初めて会ったときは似たような反応だった。いやこんな可愛らしく髪をツインテールにして目元パッチリメイクしてたら、ちょっとハスキーな声の女の子だって思うよ普通。

 

「っはぁ~……見れば見るほど可愛い女の子でヤンス」

 

「えへへっ」

 

 感心した様子のリョーさんに対して、()は「改めまして!」と姿勢を正した。

 

「あたし、水嶋(みずしま)(さき)! よろしくお願いします!」

 

「こちらこそよろしくでヤンス。気軽にリョーさんと呼んで欲しいでヤンス」

 

「あははっ! なにその喋り方~!」

 

 なんとなく咲はすんなりと受け入れるかもなぁって思っていたけど、その通りだった。

 

「先ほどチラリと聞き及んだでヤンスが、咲さんはデビュー前なんでヤンスね?」

 

「はい、先日プロデューサーさんにスカウトされたばかりで。でもそろそろデビューっていう話が出てるので、リョーさんも応援してくださいね!」

 

「勿論でヤンス。こう見えても自分、全てのアイドルを応援するというスタンスでお仕事をさせていただいているでヤンスからね。今から咲さんのデビューを心待ちにさせていただくでヤンス」

 

「ありがとうございます! あたし、パピッと頑張るのでよろしくお願いします!」

 

 ニッコリと笑顔でリョーさんに握手を返す咲。一方のリョーさんは、終始無表情のまま。

 

 数分前に会ったばかりであるが、リョーさんは一切表情が変わらない。声色から感情の起伏が豊かなのは間違いないだろうが、ここまで表情が変わらない人は初めて見た。まるで『周藤良太郎』のようで……ん?

 

「よーし! 咲っちの自己紹介が終わったら、次はオレたちの番っすよー!」

 

 何かが気になった俺の思考は、そんな大声によって遮られた。

 

「なんだかよく分からないっすけど、とりあえずお客さんに自己紹介すればいいんすよね!? だったらオレから()()()()()()()紹介させてもらうっす!」

 

「待ってましたでヤンス!」

 

 多分よく分かっていないはずにも関わらず、ピーピーと指笛を吹いて煽るリョーさん。基本的にノリがいい人だということはなんとなく分かっていた。

 

「まずはリーダーでギター! 秋山(あきやま)隼人(はやと)!」

 

「あっ、ど、どうも」

 

「続いてクールなベース! (さかき)夏来(なつき)!」

 

「初めまして……」

 

「次! アグレッシブなドラム! 若里(わかざと)春名(はるな)!」

 

「よろしく!」

 

「そしてエレガントなキーボード! 冬美(ふゆみ)(じゅん)!」

 

「……どうも」

 

「ラスト! ボーカルのオレ、伊勢谷(いせや)四季(しき)! 五人揃って! ハイパーメガマックス高校生バンドアイドルグループ! 『High×Joker(ハイジョーカー)』っす!」

 

「まだ四季君は正式なメンバーじゃありませんけどね」

 

「ぬわー! 旬っち厳しいっす!」

 

 旬からの一言に四季は頭を抱えて大げさに仰け反る。これだけ一緒に活動をしておいて、まだメンバーとして認められていないっていうのは流石に無理あると思うんだけどなぁ。

 

「でもオレは諦めないっすよ! いずれは旬っちにバンドメンバーとしてだけじゃなくて、ファンにトップアイドルとしても認められるように頑張るっすよ!」

 

「……いいねぇ、その志の高さは嫌いじゃない……でヤンス」

 

「っ」

 

「? 輝さん? どうかしましたか?」

 

「あ、いや……何でもない」

 

 心配そうに顔を覗き込んできた翼に、大丈夫だと首を横に振る。

 

 ……一瞬、一瞬だけ、リョーさんの声にゾクッとした。この感覚はその昔、超大物先輩弁護士と相対したときに感じたそれとよく似ていた。今のは、一体……?

 

「咲ちゃんへの自己紹介を聞いてたかもしれないけど、アッシは『仕事人リョーさん』でヤンス。今日は齋藤社長から招待されてきたこちらの事務所にお邪魔させてもらったでヤンス」

 

「そうなんすね! よろしくお願いしますっす!」

 

 うん、四季も受け入れるだろうなって思ってた。ハイジョの他のメンバーに関しては、旬が露骨に怪しそうにしていて、隼人もそこそこ怪しんでる。夏来と春名は……まぁ様子見してるってところかな。

 

「リョーさん、もしかして雑誌の記者さんとかそういう感じっすか!?」

 

「ん~……ちょっと違うでヤンスけど、やってることは大体同じでヤンス。だから皆さんのことを教えてくれると嬉しいでヤンス」

 

「そういうことなら、オレがハイジョのことを熱く語らせてもらうっすよ! まずはオレとハイジョの四人の出会いから聞くっすか!?」

 

「うーん、興味はあるでヤンスけど、そういうのはもうちょっと時間があるときに腰を据えて教えて欲しいでヤンスね。今はあくまでも社長がコチラに戻ってくるまでの間の時間で事務所を案内してもらっている最中でヤンスから」

 

「それじゃあ、あたしが最近使ってるおすすめコスメの話とか?」

 

「それもまた別の機会にじっくり教えて欲しいでヤンス」

 

 それも聞くのか……。

 

「えっと、これでまだ紹介されていないアイドルは……四人でヤンスか?」

 

「ああ。あとは三人組ユニットの……」

 

 

 

「ヤフー! 道夫たちからここでお客さんへの自己紹介大会してるって聞いたよー!」

 

 

 

 バンッ! と勢いよく金髪の少年が会議室に飛び込んできた。その後ろから一緒に入って来た二人も含め、俺が今リョーさんに紹介しようとした三人がタイミングよくやって来たらしい。

 

「すみません突然。さっき廊下ですれ違った硲さんたちから話を聞いて……」

 

「いやいいタイミングだった。丁度そのお客さんにお前たちの紹介をするつもりだったんだ……ん?」

 

 何やら一人、部屋に入ってくるなり目を見開いて驚いている奴がいた。頬は引き攣った笑みを浮かべていて、その視線の先にはリョーさんが……。

 

「……え……え?」

 

「あっ、こんにちはでヤンス」

 

「ヤンス!? いや今更君が変な語尾を使い始めた程度では驚かないけどさ!?」

 

 気軽にリョーさんが声をかけたところを見ると、どうやら知り合いだったらしい。反応から察するにそれなりに付き合いは長そうだった。

 

 

 

「改めてアイドルデビューおめでとうでヤンス。……渡辺みのりさん」

 

 

 




・もしもあのとき
このルートの場合、志保と良太郎との確執が解消されないので志保の123入りもなくなります。

・水嶋咲
アイドルマスターsideMのキャラクター。
可愛いものが大好きな17歳(原作18歳)の男性アイドル。
もう一度言います、男性アイドルです。
ツインテールでめちゃくちゃ可愛いですが 男 性 アイドルです。
気になる人は検索検索ぅ!

・秋山隼人
・榊夏来
・若里春名
・冬美旬
・伊勢谷四季
アイドルマスターsideMのキャラクター。
五人組バンドアイドルユニット『High×Joker』のメンバーたち。
流石に多いので個別の紹介は、またメイン回で……。

・渡辺みのり
Lesson250では回想のみでしたが、ついに本登場!
アイドルオタクお兄さん!

 新キャラ追加六人! ……多いなぁ!

 流石にキャラ増えすぎたので、今更ながらキャラシート作って登場キャラの整理始めましたよ。寧ろ今までなんで作ってなかったんだっていうね。

 ちなみにエムマスだと咲ちゃんとみのりちゃんが最推しなのでどんどん出番は作っていく所存です。



『どうでもいい小話』

 先日はライブお疲れ様! 我は配信参加でした!

 いやぁ……クソコラお面ラインダンスには度肝を抜かれましたね()

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