そして、ここからは前話までに変えた設定をところどころ修正していくだけなので更新が楽でいいです。
ちなみに整理がてら、にじファン時代との設定違いを以下に
・アイシテルがこの時点では響のヒロインになっていないこと(もといヒロイン未定。誰か一人だけを考えています。)
・フェイトとの面識があること(ちょっとしたフラグ、フェイトがヒロインになった際にある程度導入しやすいようにという予備フラグ的な感じ)
・はやて家を除く原作組すべてに対して主人公が苦手意識を持っていること。
です。
アンブッシュ
「くそったれめぇえええええっ!!」
ここは地球。
なんだかんだで戻って来れた響。
響はもう叫ぶしかなかった。
その顔は憤怒に染まっていつつも、涙がちょちょ切れんばかりである。
あのあとはおっぱいチートで自分の胸を揉みつつ傷を治しながら、命からがら逃げてきた。
はっきり言って、もう完全に原作組み関わるのをやめようかと決意したところで、しかしさすがにこれはひどい。
ひどかった。
人がせっかく善意で助けようとした結果がこれである。
アルフとグルでハメたのだ。
響をいじめるべくハメたのだ。
アルフをボコっていたのも響に信用させるために違いない。
アルフを助けようとしたところで・・・というやつである。
もちろん先も言ったように全くの事実無根の誤解なのだが、原作を知らない人間にとっては無理もない考えである。
さすがの響もこれには怒る。
いつもならば逃げて逃げて逃げまくるところを、「さすがに今回は仕返しをしなくては気がすまない」と考える。
「アイシテル・・・ここにいながらほかのあそこに攻撃を加えることは可能か?ぐず。」
鼻を鳴らしながらもアイシテルにそう聞く響。
『可能かどうかで聞かれたら可能だけれど・・・え、何?
仕返しするの?』
アイシテルはちょっとびっくり。
仕返しをしようという響の反抗精神にだ。
響らしくないと思ったが、それほどに腹に据えかねていたのだろう。
『ちょっと準備が必要だし、私に蓄えられてる魔力を使う必要があるけどいいの?
私(デバイス)が持つ魔力は貯蓄型。一度使うと半月くらいは使えないけど・・・』
「構わない・・・あいつらに目にものを見せてくれる・・・くくく・・・はーっはっはっはっ!!
絶対にだ!絶対に復讐してやるぞ!!原作組どもプラス山田君がっ!!」
それから数日後。
『・・・のんべんだらりとゲームしてるところ悪いけれど・・・もう終わったわよ?』
響はのんびりソファーで寝転がりながら携帯ゲーム機をプレイしていた。
ぷれせーしょんBATAで発売された討鬼伝(とうきつて)である。
「・・・ううん・・・何が?」
『次元誘導魔法の準備。』
「・・・何それ?」
『この前、響が言ってたんでしょ。絶対に復讐するからここにいながらにして攻撃できる魔法を使ってくれって・・・』
「・・・あ、それもういいです。」
『は?』
響の言葉に思わず気の抜けた声を出すアイシテル。
「いやさ、こう何日も経つと怒りも収まっちゃうっていうの?
あれだよ?
いまどき復讐とか流行んないから。
漫画の中だけで十分でしょ。木ノ葉崩しとかさ。」
『おい、もう一度聞いてやる。なんだって?』
「・・・な、何を怒ってらっしゃるアイさんや。
ほら、ね?
復讐の念を自ら克服した少年誌における少年主人公っぽい俺に対してもう少し何か・・・」
『要は、一晩寝たら恨みが消えたんでしょ?』
「・・・そうとも言うかな?」
『・・・君は小学生かっ!?
・・・厨房召喚。』
痛かった時期の響の幻影、『厨房』を呼び出し、それによって響をお仕置きするアイシテル。
「ぎゃあああああああっ!?
ちょ、ちょっとアイさんっ!?
アイシテルさんっ!?
これはいたっ!?いだだだっ!?
ちょっ!?訓練っ!?訓練ですかっ!?でも俺バリアジャケット着てないっ!着てないよっ!?」
『全く、せっかくさすがにひどいと思ったから・・・心配したし、協力してあげようと思ったのに。』
響は一般人である。
一般人である響は確かに腹に据えかねるものがあったが、それも三日くらいまで。
さらに一日、二日と経っているうちに割とどうでも良くなってしまったというのが真相である。
つまりだ。
復讐なんて流行らないということである。多分。
ちなみにすでにプレシアテスタロッサ事件は収束を迎えていたりした。
☆ ☆ ☆
そんな感じでなんとも締まらいままさらに数ヶ月が経った頃のことである。
「てめぇのリンカーコアをもらいに来たぜ。」
「・・・え?」
いきなり紅い服の柄の悪い美少女に絡まれる。
おじいちゃんおばあちゃんのスポーツ。ゲートボールに使うゴルフのパットみたいな物。すなわちスティックと呼ばれるカナヅチを長くした物みたいなのを持ってである。
ちなみにゲートボールとは高齢者のスポーツとして浸透しているが実際はそういった意図なく考え出されたスポーツで、五人一組が基本となる。GBボンバーと呼ばれるいのまたむつみさんが描く漫画ではゲートボールを題材に描かれている。
そんな豆知識はさておき、響は既視感を感じた。
そうこれはいつぞやの鎌を持つ少女と同じだ。
何かよこせと言われるに違いない。残念ながら、ないしは幸いにもパピ○を今日は持っていない。
武器を片手にやってくる。
ドウ見ても友好を深めようと言う気では無いだろう。
もしかしたら愛の告白?とちらっと昔の響の思考が漏れ出たが、そんなことがありえるわけがないとかぶりを振る。
もちろんそんなはずが無い。
響は考えた。
今回は何も持っていない。持っているとすればアイシテルのみ。
また何かの誤解だろうか?
そんなことをのんびり考えながら少女の言葉を待っていると。
「聞こえなかったか?
てめぇのリンカーコアを渡せ。
大人しくしてれば痛い目には遭わない。」
「は、はぁ・・・」
りんかーこあとは?
なんじゃそら?
響の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。
今までの経験的にきっと何かの誤解だろうと思った響はまずは話をすることにした。
痛い目に遭うのはゴメンだ。
「まぁ待ってくれ。何が欲しいのか良く分からないんだが・・・りんかーこあってなぁに?」
「ああん?
おめえ・・・それだけの魔力を持っておいて関係者じゃないって言うのか?」
「・・・なんの関係者?
とりあえず何かの誤解だと思うんだ。まずは落ち着いて話をーーー」
「まぁ良い。
だったらそれはそれで手間が省ける。」
「・・・いや、自己完結されても・・・きっちり誤解を解いておかないと大変なことになる気がする。というわけでちゃんと話をーーーどわぁっ!?」
問答無用でヴィータはグラーフアイゼンを振るう。
一応非殺傷設定であることから面倒になって気絶させることを狙ったようである。
・・・ハンマー状の武器を扱いながら非殺傷というのもどうなってるのか良く分からないが。
「ちっ!
運のいい野郎だ。・・・いや・・・その身のこなし。オマエ、やっぱり関係者だろ?
一般人を装って油断を誘うってところか?
騎士の風上にも置けねぇ野朗だ。
男ならーーー」
『カートリッジロード。
ラケーテンフォルム。』
グラーフアイゼンの無機質な声が響き、少女。
もといヴィータはデバイスを振りかぶる。
言わずもがな響は騎士ではない。とは言っておこう。
結局言っているじゃん!というツッコミはナシの方向で。
「正々堂々、勝負しやがれぇぇぇえええええっ!!」
ブースターが出現したスティック改め、グラーフアイゼンがブースターの勢いを得てその尖った切っ先を響に向ける。
響は変形機構を持ったスティックを見て、「なるほど、スティックに見せかけた尖ったハンマー・・・だったら良かったのに。」と勘違いを改め、相手も自分と同じくデバイスを持つ魔導師だと気づく。
『ぷろてくしょん。』
「ちっ!
うぜぇっ!!」
グラーフアイゼンはアイシテルの張った障壁(バリア)に阻まれる。
「まてまてっ!!
まずは話をーーー」
「無抵抗か?
ベルカの騎士としては気が進まねぇな。」
「それはイイ事を聞いたっ!
なんかすいませんでしたっ!!
見逃してくださいっ!!」
『いやそれは・・・どうなんだろう?』
無抵抗ならば襲ってこないかもしれないという発言を聞き、響は情け容赦ない土下座を繰り出した。
10歳前後にしか見えない少女にこれまた10歳前後の少年の土下座である。
シュールな光景だ。
「うぉっ!?
・・・お、おまえ、プライドとか無いのかよ!?」
効果は抜群のようだ。
しかしヴィータとて引き下がれない。
「・・・ちっ・・・わりぃけど・・・こっちにも引けない事情があるんでなっ!
ちょっとおねんねしてもらおうかっ!!」
「ちょっとっ!?
話が違いますよっ!?」
そのままグラーフアイゼンを振りぬくヴィータ。
障壁を突き抜け、響は瞬時にアイシテルをナイフに。
それで受ける。
「へっ!やるじゃねぇか。
腑抜けかと思えば・・・アイゼンっ!!」
『カートリッジロード。
ハンマーフォーム、シューター。』
ヴィータがどこからか円球の弾をとりだし、それを投げる。
そして弾をグラーフアイゼンでぶっ叩いて相手目掛けて射出する。
響はアイシテルをセットアップして、西洋鎧とロングソードを身にまとう。
アイシテル本体であるナイフ二刀は右手と左手の篭手の中にそれぞれ収納されている。
「・・・ちっ!」
『カートリッジロードッ!』
剣で受け、弾き、斬り飛ばす。
黒い魔力が迸り、その剣は黒い輝きを増す。
「暗黒的なエクスカリバー!!」
名前にツッコミをいれてはいけない。
下手に厨二な名前よりはマシだと思われる。
ロングソードとグラーフアイゼンがぶつかり、火花が散る。
魔力で鍛えてるのにも関わらず、ヒビが入るロングソード。
魔力強化を行っていなければ玉を全て弾いた段階で折れていただろう。
攻撃力が高い。
そう思った。
「はっ!
てめぇも古代ベルカ式を使ってんのかっ!!
意外と見所があるじゃねぇ・・・かっ!!」
「そらどうも・・・いだぁああっ!?
なんつーバカちからっ!?」
「てめぇが軟弱なだけだ。」
剣はいともたやすく折れ、響にハンマーが襲い掛かる。
甲冑がなければそれなりの怪我をしていた。
「・・・ところでりんかーこあって何?」
「はぁ?まだとぼけてんのか?
それとも本当に分からないのか?」
「・・・アイシテル、知ってなくちゃ不味いの?」
『別にそんなことは無いと思うけど・・・早い話、魔法を使うために必要な器官のこと。
響はそれを狙われてるみたい。』
「はよ言えよ。無駄な恥かいちゃったじゃん。正直それをお渡しして帰ってもらいたいんだけど。」
『うーーーん。でもリンカーコアを取られると最悪魔法が使えなくなるよ?』
「・・・マジデ?」
『少なくともそれ専用の機関に入院することになるね。』
「・・・そうなん?
でも痛くしないとか言ってなかった?」
『いや、痛いかは分からないけど・・・一応内臓の一種みたいなものだからね・・・なんの影響も無いってのはちょっと楽観的かな?
内臓を引き抜かれて何の影響も無いなんてことは無いでしょ?
少なくとも私の知る方法だと後遺症が出るかな・・・』
「おし、逃げるか。」
『それが上策ね。相手が女の子だとやりにくくもあるでしょうし。』
「全くその通りだ。」
そんな会話をしつつもヴィータを凌ぐ響。
一応、チートデバイスのアイシテルの性能をフルに使えば勝てることは勝てるのだが、勝つ意味が無い。
それに相手だって本気でやっているというわけではあるまい。
響も知らぬ奥の手を持っているかもしれない。
逃げるのが一番無難と言うものである。
「降りかかる災厄を、我が身に宿し、全てを屠る悪意の牙
ディザスター・・・ブレイカァァァアァァァアアアアッ!!」
周囲の魔力素を急激に収束、圧縮し、打ち出される黒色の激流。
「なっ!?これほどの大技をこの短時間に!?」
『カートリッジロード。バリアブル。』
ちなみにコレは見た目が派手なだけの目くらましであり、ゆえに即発射が可能だっただけである。
特別才能あふれるわけではない、ほかの人と比べたら『きみ、飲み込みいいね?』と言われる程度でしかない響にそんな芸当は無理である。
しかし、まんまと引っかかったヴィータは勝ち誇るが、すでに響はどこぞへと消えていた。
「はっ。見た目に反して大したことねぇな・・・って、ん?
・・・くそっ!!
めくらましかっ!!
あの野郎っ!!次にあったら覚悟しろよっ!!」
『帰りましょう、マスター。』
「・・・ちっ、分かったよアイゼン。はやてが心配するしな。」
こうして逃げただけなのに響は敵対視されていた。
逃げると敵対視されるであろう性格の人間(守護騎士)はもう1人いる。
めげずにがんばれよっ!相馬 響っ!!
☆ ☆ ☆
『そういえばグラーフアイゼンと言えば、鉄槌の騎士と呼ばれた守護騎士のデバイスだった気がする。』
「は?
唐突に何を言ってるの?」
『ほら、夜天の書についての本を見つけたでしょ?
そこにそう書いてあったのよ。』
「ふーん。それで?」
『だーかーらー。彼女達を撃退。その後をつけていけば夜天の書を見つけられるかもしれないってこと。』
「ほうほう。なるほど・・・ってバカ言うなよ。
そう都合よく見つかるわけ無いだろ?
漫画の読みすぎだ漫画の。たまたま名前が一緒だったとかの方がまだ説得力があるわ。」
『響が言うなっ!』
「・・・試す価値はあるかもしれないけどさ。このままだとアイシテルの擬人化は下手をすれば20年後とかになりかねないし。」
『一応言っておくけど、何も無いとこから20年前後で守護騎士プログラムを作り出すなんて普通は不可能だからね?』
「はいはい、分かってます。アイシテルは凄いっ!
可愛いっ!!格好いいっ!!」
『馬鹿にしてるでしょ?』
「少なくとも可愛いは本心だ。」
『ふーん、なら許すけど。』
「そこは照れて欲しかった。」
『それよりもどうするの?』
「どうもしないってば。そもそも戦うのは勘弁。理想を言えば横から掻っ攫うのが一番。あれほど強い人間ともなると多分原作組みの誰かでしょ?あんなモブ今までに一度も出会ったこと無いし、キャラ濃いし。主人公と戦わせて撤退するところか、主人公組みとやりあってる隙に彼女を捕縛して詳しい話を聞こう。敵ならば彼女を捕縛しようとしても少なくとも高町さん達は敵に回ることはない・・・と思いたい。」
『漁夫の利ってやつ?
・・・主人公にはなれないタイプね。』
「ほっとけ。」
なんだかんだで彼はこの物語の主人公ではあるのだが。
響達はというと夕食をとりつつ、自宅でのんべんだらりと過ごしていた。
母親はすでに魔法については知っているため問題は無い。
当初、魔法もといデバイスが普通に売られているものと思っていたため、普通に使っていたのだ。
それを見て、最近の玩具はすごいのねぇとつい最近まで思っていた文香も文香だが。
この親ありにしてこの子ありというやつだろうか?
一応響は前世の親の記憶を持っているのだけれども。
「何の話かは分からないけれど、悪いことはダメよ。」
「大丈夫、母さん。そんなことしないつもりだから。」
「つもり、じゃなくてダメよ。」
「分かってるって。」
『で、じゃあ待つの?』
「おうさ。伏して機を待つ・・・ってね。」
『名言臭いけど、別に名言じゃないね。』
☆ ☆ ☆
それから数日後のことである。
「おわーっ。ドンパチやってるなあ。」
『なのはちゃんを助けなくていいの?』
どうやら赤のゴスロリ少女。ヴィータになのはが襲われている。
響は黙って隙をうかがうのみ。
「助けに入って、まとめて撃墜されるフラグですね?わかります。」
『・・・卑屈になりすぎでしょう。』
「サーチャーの映像見たろ?
お話とか言っておいて友達になりたがってた相手を全力で撃墜するんだぞ?
正気を疑うわ。子供は残酷だって良く聞くけど、それを目の辺りにしたね。戦慄しました。確かに可能性は低いだろう。性格的に。だがアレを見た後だと彼女ならやりかねないと思わせる何かがある。」
なんだかんだで気になっていた響はサーチャーで様子だけは見ていたのであった。
『で、堕ちるフェイトを助けた山田君が何気に好感度アップと・・・』
「妬ましい、妬ましい、妬ましい・・・三段活用。」
『活用されてないよ。』
「しかも撃墜されて置いて普通に友達になろう的なことを言ってそれを了承するあの金髪少女・・・フェイトとか言ったっけ?まぁ俺にとっては憎い憎い怨敵だと思っていればいいとして、あのフェイトとやらもすぐに仲良しこよしじゃん?
なのはが撃ったスターライトブレイカーとやらで服が破れてたから・・・殺傷設定の収束砲喰らっておいてだよ?
それを受けておいて友達になるとか・・・心が変態的なまでに広いか、もしくはドMとしか思えない。
見目麗しいというのに、変態だったんだ。今更ながら深く関わらなくてラッキーだったね。」
『どことなく悔しさがにじみ出てるけど?
あのフェイトとか言う女の子にまで好かれた山田君に対する負け惜しみにしか聞こえないよ。』
「そ、そんなこと・・・あるはずないだろ。あの鎌少女なんて俺をわざわざハメて殺そうとする性悪糞女だぜ。ちっとも嬉しくないねっ!!」
『・・・声が震えてるよ。意地を張るならもっと気張りなよ・・・』
「うるさいな。例え今更あの鎌少女が“私を好きになって”と言ったとしても俺はことわーーー」
『ぷふっ。』
「・・・。」
あまりなあまりにありえない状況につい吹き出してしまうアイシテル。
『ほら馬鹿な話はここまで。決着がつきそうだからセットアップしといて。』
「夢を見るくらいいいじゃん・・・せっとあっぷ。」
響の西洋甲冑が出現する。
毎度の事ながら脱げる。
ロングソードを抜く。
このロングソード。一応バリアジャケットの一部として展開されているため、バリアジャケットと同等の耐久性を持つのにも関わらずにちょいちょい折れる。
周りの人間がどれほどチート性能なのかが分かるというものである。
いまや魔力を纏わせないと使い物にならない。
重ねて言うがバリアジャケット並みの強度はあるはずなのだ。
下手なアームドデバイスよりも頑丈なはず、なのだ。
「その辺の魔導師ならこれで十分なんだけどなぁ・・・まぁいいや。いくよ、アイシテル。」
『ちゃんと覚悟決めて、ちゃっちゃと攻め込まないと援軍が来るからね。』
「わかってる。」
『目標は?』
「それもわかってる。
今回の目標は鉄槌の騎士・・・もといあのスティック使いの少女の捕縛。そして離脱。」
『おっけー。んじゃ・・・カートリッジロード。
なおかつブリッツフォーム!!』
鎧が離着(パージ)。
ヒラッとした服装に変わり、加速する。
なのはを倒し、本を構え、油断している今がチャンスだ。
なお、なのはに対する誤解はもう解くことを考えていないため、この件で助けが来たと思われても、むしろまた変な誤解を受けることになっても問題ないと考えている。
ゆえにためらいはない。
「暗黒的なエクスーーーっとやばっ!?」
大きな魔力反応が2つと小さな魔力反応が一つ。なのはへ飛来する。
それを見て瞬時にバックに下がり、魔力を抑えて隠れる。
「・・・は、早すぎるだろ・・・」
『どうも何かの手段で転移してもらったみたいね。』
「そういえば高町さんが主人公だということを忘れていた。主人公のピンチに仲間が助けに入るのはお決まりなのに・・・すっかり忘れてた。くそう。」
『悟飯が死にそうになった時にピッコロさんが助けに入るようにね。』
「ふっ、そこであのシーンを持ってくるとはオヌシもやるのう?」
『いえいえ、オヌシほどでは・・・で?
どうするの?』
「切り替えが凄いっすね。
・・・どうしようか?」
『今出ていっても・・・』
「うん、まぁ言わなくても分かる。
確実に面倒だよね。山田君(ヤツ)もいるし・・・少なくとも彼は俺を重点的に狙ってくるだろうから、捕縛どころじゃないな。」
『主人公組みが撃退するまで待つ?』
「そして逃げる赤服少女をつけるってところ?・・・そう簡単に後をつけることが出来るとも思わんが・・・それ以外方法もないし・・・」
『あ、敵方の援軍もやってきた。』
烈火の将シグナムと盾の守護獣ザフィーラだ。
激しくバトルをおっぱじめる2人。
『ますますつけるのが難しくなったね。』
「・・・今回は退こう。あいつら怖い。」
普通に剣で切り結ぶフェイトとシグナム。
そして殴り合うフェイトの使い魔アルフとザフィーラ。
正直この乱戦の最中に入るのは気が引けた。
『でも弱いみたいだよ?』
「弱いって?誰が?」
『あの守護騎士達。
多分、まだ夜天の書が覚醒して無いからじゃない?
今ならまだ叩ける。』
「・・・あれで?」
響はアイシテルから目の前の激戦へと視線を戻す。
そして逸らす。
『古代から戦ってる騎士たちが、いくら才能があっても10にも満たない子供にまともに戦う必要があるワケないでしょ。
本来ならとっくに潰されてる。カートリッジの有無もあるし。』
「へぇ・・・じゃあなんで?」
『だから彼女達(シグナムたち)が弱いって言ったの。覚醒して無いから主からの魔力の供給が不十分。
多分魔力ランクで言えばCかDあたりね。』
「・・・え?それで互角に・・・というか推し始めてるっていうのか?」
『戦闘経験と技術、デバイスの性能差・・・これでカバーしてるみたい。とんでもない力量よ。だからこそ夜天の書を確保する機会は今を置いて他は無い。いつ完成させられるかも分からないし・・・チャレンジは出来るだけしておくべき。どうする?』
「・・・どうするも何も時間制限があるなら参加するしかないだろう・・・そんなのが四体。ぞっとするな。今の内に夜天の書のことを聞かないと・・・」
ここらで、なぜ素直に話をして夜天の書を見せてくれないのかをたずねないのか?
と気になった人もいるだろう。
が、夜天の書と主はいわば彼ら守護騎士にとっては自身の身よりも大事な存在。
そんな存在にあわせようとするはずもないし、ヴィータという名の話が通じない前例がある。
とてもじゃないけどその手は使えないと判したのだった。
こうして響はただひたすらに機会を待つことに。
ただただ伏(ブッシュ)して。