ヴェアヴォルフ~ヘルシングの大尉が転生~   作:むらやま 

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スマホが壊れてだいぶたった・・・やっぱりラインが使えないのは相当キツイな。
こんな事ならガラケーのままににしとくべきだった・・・
あと今回は久々のパソコン投稿でいつにも増してグダグダです。勘弁してください。


第38話 夏祭り

兄貴の襲撃から数日後・・・

 

 

「・・・遅い・・・もう待ち合わせの時間は過ぎてるぞ・・・15分前行動を知らないのか・・・」

 

そう言うと大尉は時計を確認する。針は6時56分を指差していた。

 

そう、あの武藤と不知火が神崎に送ったお祭りへの誘いのメール通りにわざわざ来たのだ・・・ちなみに内容を要約すると「7月7日にお祭りあるから"可愛い"浴衣着て来いよ」と言うことだ・・・まったく恥ずかしい・・・だが嘘だと言ったら何されるかわからん・・・

 

・・・しかも本人は連絡しても一向に出る気配がない・・・あいつ電話派なのにおかしいな・・・襲われてないだろうな・・・

 

もう待ち始めて15分になる大尉としてはそう考えざるを得なかった。何せ兄貴は学校にすら現れた、何処に現れても不思議ではない・・・

 

・・・いや、考え過ぎか・・・そもそもあいつ、あれからつっけんどんになって殆ど会話してないからな・・・顔合わせるたびに真っ赤にして走り去って行くし・・・無視してる可能性もある・・・

 

「・・・一度ジャイアントパンダの周りを周ってみるか・・・もしかしたら反対側にいるかも・・・」

 

そう思って立ち上がって確認しようとした時だった。

 

 

・・・ささっ!

 

「・・・ん?」

 

大尉が探そうと動いた時、ジャイアントパンダのお尻の方に何かが隠れる様に動いた・・・あれ?あれは神崎のツインテールの片っぽじゃなね?・・・何隠れてんだあいつ・・・

 

「・・・お前何してるんだ?・・・」

 

大尉がジャイアントパンダ越しに話かけるとビクッ!と髪が動く。なんでバレたのかわかってない感じだなあれは・・・

 

「・・・に、にゃーにゃー」

 

「・・・」

 

どうやらこれで誤魔化しているつもりらしい・・・シュレディンガーに声真似を教えてもらったらどうだ?・・・

 

「・・・ったく、アホなことしてないで行くぞ・・・」

 

大尉がパンダの裏側にまわり込む。と・・・

 

「遅い!」

 

下駄を鳴らして浴衣を着た神崎が立ち上がる。・・・まあ、お世辞ではなく中々似合っている。

 

「・・・いや、俺15分前に着いてたらか・・・」

 

「うっ・・・あ、あたしを呼び出すなら30分前には来ること!次に待たせたら風穴活火山よ!」

 

「・・・お前、もしかして30分前に来てたのか?・・・なら何で声かけなかったんだ?・・・心配したじゃないか・・・」

 

「え、あ、い、いやそのえーっと・・・」

 

大尉が聞くと神崎が顔を真っ赤にして口ごもる。

 

・・・こいつがこんな感じになる時は聞かれたくない事を聞かれた時だな・・・まあ大した事ではないから別にいいか・・・

 

「・・・いや、気にすることでもないな・・・それにせっかくのお祭りだ、こんな事で気分悪くすることもない・・・ただ今度からは気を付けてくれよ・・・?」

 

「わ、わかったわよ。今度から気を付けるわ・・・」

 

「・・・よろしい、じゃあ警備してくるか・・・」

 

「そうね行きましょ、警備に。あくまで警備に。」

 

何故か警備を無駄に強調した神崎は早くお祭りに行きたいのか、早い足取りで下駄を鳴らしながら人の流れに向かっていく。そしてその後ろを見失わない様に大尉も着いて行った・・・

 

 

 

 

「・・・お前銃持って来たのか?・・・」

 

「え!?持って来てないの!?」

 

「・・・いや、お祭りに持って来ないだろ常識的に考えて・・・」

 

大尉と神崎の二人で屋台をみながら喋り歩く。どうやら神崎は拳銃を帯に刺して来たらしいのだ。

 

・・・そもそも今の俺は薄手のTシャツに半パンと言う銃を隠しにくい格好なのだ・・・トレードマークが帽子しかない・・・さらにモーゼルはデカイから持ち運びしにくいしな・・・

 

「まったく、武偵としての自覚がなってないわね。・・・あら?」

 

突然声を上げるとある屋台の前で神崎が足を止める。

 

「・・・?・・・どうした?・・・」

 

「ねぇねぇキンジ、これなに?」

 

「・・・わたあめか・・・懐かしいな・・・」

 

神崎はどうやらわたあめに興味を持ったらしく、屋台の店主がわたあめを作っている所を興味深く観察している。

 

「わたあめって言うの?あめって言うからには食べれるのよね?」

 

「・・・ああ、砂糖菓子だからな・・・なんだ、食べたいのか?・・・」

 

「た、食べたいなんて言ってないでしょ!」

 

・・・口ではそんなこと言っても体は正直だな・・・口からヨダレ垂れてるぞ・・・あんまりお金ないけどしょうがない、買ってやるか・・・

 

「・・・すいません、わたあめ二つください・・・」

 

「あいよぉー」

 

「ねぇ!ももまん味ある?」

 

「・・・何だそのゲテモノな味は・・・」

 

「あるよぉー」

 

「・・・あるのかよ・・・」

 

・・・一体誰得なんだ、ももまん味って・・・こいつしか喜ぶ奴いないぞ・・・

 

と、大尉が驚愕している横で神崎はわたあめが出来上がるのを今か今かと目をキラキラさせて待っている。

 

「ほい、お兄さんのカノジョ、可愛いからおまけだよ」

 

屋台の店主がそう言って少し大きめのサイズのわたあめを渡す。

 

「ねぇねぇ!これ何処から食べるの!」

 

そう言って神崎が大尉のシャツの袖を引っ張る。

 

「・・・そんなのどっからでも食え・・・別に決まった食い方はないからな・・・まったく、本当に子供だな・・・」

 

 

 

 

 

その後、神崎は焼きそば、串カツ、ベビーカステラ、たこ焼き、お好み焼き、チョコバナナ、りんごあめなどなどを片っ端から食べて行った。

 

「・・・よくそんなに食べるな・・・太るぞ・・・」

 

大尉が神崎の体重を心配して聞く。女は割と体重に気を使ってるはずなのだが・・・

 

「ふんっ!この前の体重測定の時同じ身長の理子より軽かったから大丈夫よ。」

 

大尉が神崎に体重の事を聞いたところ、神崎が不機嫌になる。

 

・・・何でそんな事で不機嫌に・・・ああ、そうか

 

「・・・胸の分あいつの方が重いもんな・・・」

 

「・・・〜〜〜っつ!!バカキンジ!!」グシャ!

 

神崎のかかと落としが大尉の無防備な足に突き刺さる。

 

「!?・・・ぐおぉぉ・・・!お、俺のマイレフトフットが・・・!な、何するんだ、俺今サンダルなんだぞ・・・!」

 

「ああそうですよね!どうせ男は大きな胸が好きなのよね!よぉ〜くわかりました!」

 

・・・あーいてぇ、折れてないだろうな・・・いきなりわけのわからない事で怒りやがって・・・

 

そんな事を思いつつ大尉が涙目でうずくまっていると・・・

 

 

「あれ?たい・・・遠山君じゃないですか?神崎さんも。」

 

突然、人混みの中から聞き覚えのある声がする・・・この声は・・・と、後ろを振り返る。

 

「・・・リップ・・・じゃなかった、森宮じゃないか・・・奇遇だな・・・」

 

そこに立っていたのはティーシャツにジーパンのラフな格好のリップヴァーン・・・いや、後ろにもう一人。見たことのない腰まである長い黒髪の子がいる。

 

「・・・その子誰だ?・・・」

 

「あ!そう言えばまだ紹介してませんでした!」

 

大尉が聞くとリップヴァーンが気づいたらしく、紹介させる為前に出す。

 

「どうも初めまして、鑑識科の夾竹桃です。このたび森宮先輩のアミカになりました。遠山先輩の噂はかねがね聞かせていただいています。」

 

「・・・そうか、アミカが出来たのか・・・しかしこの時期に珍しいな・・・」

 

 

「実はですね、この前文芸部の部室で同人誌書いてたら部活見学に来た夾ちゃんと気が合いましてね〜。この子も同人誌書いてて結構有名なんですよ?」

 

 

ちなみにリップヴァーンの同人誌は揃いも揃って男同士の"モノ"を書いた物で、一度大尉×シュレディンガーの作品を本人達に無断で書き、危うく部屋ごと爆破処分されかけた事もある。

 

 

「・・・へー・・・俺はよく知らんがドクに聞いたらわかるかも・・・ああ、そうそう、変な事はするなよ、今度前みたいな事したらドクに設置してもらった遠隔発火装置を作動させるからな・・・」

 

「いつの間にそんな物騒な物取り付けたんですか!?」

 

 

・・・コミケか・・・少佐がいたならこう言うのすぐわかるんだけどな・・・毎年コミケには行ってるんだけどちっとも会わないし・・・やっぱりさみしいな・・・折角監視の目を気にせず行ける様になったって言うのに・・・

 

「・・・しかし、この時期に部活見学ね・・・転校生か何かなのか?・・・」

 

「はい、あなたはよく知ってると思いますが・・・元イ・ウーよ。ああ、司法取引は済んでいますのであしからず。」

 

それを聞いて大尉が一瞬、げっ、と言う顔をしたがすぐにいつもの無表情に戻る。

 

「・・・あー、なら理子とかジャンヌと同じか・・・ま、俺はそんなの気にしないし、後輩だからって気を使わなくてもいいぞ・・・困った事があったら言ってくれ・・・」

 

「では、また困った時に・・・それでは」

 

「じゃあ遠山君、私達はこれで失礼しますね。お二人で祭りを楽しんでください。」

 

「・・・ああ、また今度・・・」

 

 

そう言うと二人は祭りの人込みへとまぎれていき、大尉と神崎はその後姿を見送った。

 

 

 

 

 

 

・・・そうか、あいつにも後輩が出来たか・・・ゾーリンも後輩が出来たって言ってたし・・・そう言えば最近風魔と訓練してないな・・・今度誘ってやるか・・・

 

大尉がいつも貧乏でヘンテコな口調の後輩を思い出す。と・・・

 

「ねえキンジ、これ・・・なに?」

 

神崎が大尉の服の裾を引っ張られて、その方向を見る。

 

「・・・これは短冊だ、あそこにある紙に願い事を書くと神様が願いをかなえてくれるとか何とか・・・」

 

「へえー・・・じゃ、じゃあ書いてみようかな?あんたも書く?」

 

「・・・俺は無神論者さ・・・気にせず好きに書け・・・」

 

そう言って大尉が肩をすくめる。

 

「ふーん、あんたって夢がないわね。」

 

「・・・リアリストって言え・・・」

 

・・・神崎が短冊にさらさらと英語で願い事を書き、笹につるそうと手を伸ばす。

 

・・・日本語で書けよ、織姫と彦星、英語読めないだろ・・・あと背が届かないのならもう少し下に括り付けろよ・・・他の子供たち不思議そうに見てるぞ・・・

 

と、大尉が心の中で突っ込んでいると・・・

 

 

 

わっしょいっ!!わっしょいっ!!わっしょいっ!!

 

 

 

「・・・ん?・・・」

 

見ると向こうから大きな掛け声と祭囃子と共に何人ものごつい男達が神輿を担いでこちらに向かってきている。さらにそれを見るためにかなりの人だかりも付いて来ている。

 

「・・・おい、神崎・・・どかないと巻き込まれるぞ・・・」

 

「むううー!もう少しー!って、ちょ「「「わっしょいわっしょい!!」」」みぎゃー!」

 

さすがに一流武偵と言えどあの体格では無理があったのだろう・・・神崎の小さな体は男達の波にさらわれ見えなくなった・・・

 

「・・・なにやってんだよ・・・しょうがねえ・・・」

 

そういうと大尉は神崎を探すため人ごみの中へと分け入って行く。

 

・・・こうも人が多いと見つけられんな・・・てか蒸し暑い・・・

 

と、諦め半分で手を人ごみの中へ突っ込みまさぐっていると・・・

 

 

ぎゅっ!と誰かの小さな手が大尉の手をつかんだ。

 

 

「・・・神崎か?・・・今出してやるから離すなよ・・・!」

 

ぐいっ!すぽんっ!

 

大尉が人ごみの中から神崎を無理矢理引っこ抜く。

 

「ぷはあっ!死ぬかと思った!なんなのよあれ!?」

 

もみくちゃにされて崩れた髪を整えつつ、神埼が聞いてくる。よほど怖かったのか額には脂汗が浮いている・・・

 

「・・・あれが神輿だ・・・一旦広いところまで行くぞ・・・ここじゃ邪魔になる・・・」

 

そう言うと大尉が神崎の手を引っ張って少し広いところまで出ていった・・・

 

 

 

 

 

「・・・まったく・・・ほんとに世話が焼けるなお前は・・・」

 

「・・・」

 

少し移動して路地に入ったところで大尉が手を繋いだまま神崎に向き直る。

 

「・・・?・・・おい、聞いてるのか?・・・」

 

「・・・」

 

大尉が話をしているのだが神崎は上の空と言った様子で、大尉とつないでいる手を見て湯沸かし器のように湯気を出しそうな勢いで顔を真っ赤にしていた。

 

「・・・おい、顔赤いぞ・・・大丈夫か?・・・」

 

神崎の様子を見るため大尉が神崎の身長に合わせて頭を下げる。その瞬間だった・・・

 

 

「・・・こんのおっ!バカキンジッ!」

 

 

バキッッ!!

 

 

神崎の手・・・大尉と握っている反対側の手が握り拳になり・・・そのまま左ストレートが大尉の顔面にめりこんだ。

 

 




今回の追加設定は、リップヴァーンってなんか同人誌書いてても違和感ないなーと思ってちょっとやってみました。

意見・感想お待ちいております。

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