ヴェアヴォルフ~ヘルシングの大尉が転生~   作:むらやま 

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そろそろ書き直しのことも考えて行こうかな。あの設定いらなかったとか、これやれば良かったとか、そんな感じて書き直したいな・・・


第34話 吸血鬼に人権はない

「・・・あっ・・・」

 

リュパン4世・・・いや、峰理子が目を覚ますと誰かのベッドの上に居た。ブラドに蹴られたせいで絆創膏の貼ってある顔がズキズキと痛む。

 

「・・・」

 

部屋をぐるりと見回す。部屋には大量の銃火器とその弾薬が壁や床に置かれており、机もあったがそこは教科書とノート筆記用具で埋まっていた。

 

「・・・ここ、キーくんの部屋だ・・・」

 

(なんでこんな所に・・・そうだ、あたしブラドに気絶させられてそれで・・・)

 

あの時の記憶を呼び覚まそうとするが、モヤがかかった様に思い出せない。覚えていたのはブラドに気絶させられた後、そしてブラドの足を一撃でへし折ったキンジに背負われた事だけだった。

 

(・・・とりあえず隣の部屋に行こう、確か隣はリビングのはずだから誰かいるはず・・・)

 

そう思うと理子は思い身体を引きずってベッドから這い出て、隣の部屋へのドアを開けた。

 

 

 

ガチャ

 

「・・・」

 

リビングにはソファに腰掛けてコーヒーを飲んでいるキンジがいた。時間は12時を過ぎた頃だろう。

 

「・・・うーむ、やはりこのソファ買って良かった・・・」

 

そんな事を言いながら撮りだめしていたらしい深夜アニメを鑑賞している。ヘッドホンをして見ているため理子には気が付いていない様だ。

 

「キーくん・・・」

 

「・・・ん?・・・お、理子、起きたのか・・・ちっとも目覚めないから心配したぞ・・・」

 

キンジは理子に気付くと、心配した様子で声をかけて来た。

 

「・・・あたしどうしてここにいるの?ブラドはどうなったの?」

 

「・・・あの後お前は意識を失ったんだ・・・それで病院に運ぶわけにを行かないからここに運んだんだ・・・顔の傷はすぐに治るそうだ、ウチの名医が言うんだから間違いない・・・ブラドに関しては後で説明する・・・大丈夫だ、あいつはもう襲って来ないから安心しろ・・・」

 

「・・・キーくんは怒って無いの?」

 

「・・・何が?・・・」

 

「あたし、キーくん達を裏切ったんだよ?2人を倒そうとしたんだよ?」

 

そんな人物を助けた、キンジの真意が理子にはわからなかった。

 

「・・・」

 

理子が聞くと大尉は少し困った顔をして、口を開いた。

 

「・・・気にしてないと言えば嘘になる・・・が、俺もお前に黙っていたことがあるんだ・・・」

 

そう言うと、キンジはポケットから十字架を二つ取り出し、机の上に左右に置いた。

 

「・・・実はな、お前から泥棒話を持ちかけられたあと、俺はある友人に頼んで本物を盗んで来て貰ったんだ・・・」

 

「え?」

 

「・・・お前があの時本気が出せなかったのはそれが原因だ・・・よく出来てるだろ?平賀さんの自信作だ・・・」

 

キンジの言った事を頭が徐々に理解し始める。

 

あたしがキンジを騙した様に、あたしはキンジに騙されてたんだ・・・と。

 

「なんで、騙したの?・・・」

 

「・・・お前に仕事を頼まれた時、お前がただ十字架を盗ませるわけがない・・・利用してあの続きでもやるんじゃないかと思ったんだ・・・」

 

「・・・」

 

「・・・本当は穏便に済ますために使うつもりだったんだがな・・・こんな事になってしまった・・・すまなかった・・・」

 

そう言うとキンジが申し訳なさそうな顔をして、頭を下げた。

 

「・・・だが、今回はお互い様だ・・・人の懐に3発も拳銃弾撃ち込んだんだからな・・・あと、これは返す。俺が持っていても無用の長物だ・・・」

 

そう言うとキンジは十字架を投げて理子に渡す。その十字架を取った瞬間、理子は体に力が湧いてくるのを感じとった。試しに髪を動かしてみると、この前に比べて力強く動いた。

 

「・・・うん、本物だね。間違いないよ。」

 

「・・・ じゃあこれで貸し借りなしだな・・・さて、じゃあ行くか・・・」

 

そう言うとキンジはテレビを消してソファから立ち上がる。

 

「・・・行くってどこに?」

 

「・・・隣の滝沢の部屋・・・ブラドがどうなってるか気になるだろ?・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ブラドは今日の夕方6時に警察に引き渡すことになってる・・・それまでは滝沢が色々調べたいと言ったから好きにさせてるんだ・・・あ、後でその関係の書類渡すから・・・」

 

その滝沢の部屋は玄関の前からでも異様な様相を醸し出していた。外から中を見れない様に新聞受けやドアをの覗き窓がダンボールとガムテープで何十にも塞がれているのだ。

 

「・・・あとこれ持っとけ・・・」ガサッ

 

「・・・ビニール袋?何に使うの?」

 

「・・・まあ、すぐにわかる・・・」

 

カチッ

 

そう言うとキンジは部屋のチャイムを鳴らす。すると少しして音もなく扉が開き、滝沢が出てきた。

 

「ああ、大i・・・おっと、理子さんもいらしたんですか?危ない危ない・・・」

 

その威容を見て理子は驚愕した。

 

滝沢の白衣は大量の赤い飛沫が飛び散って白い所がほとんどなくなっており、髪もその飛沫が固まってがちがちになっている。そして手には真っ赤になった大きな布切り鋏が握られていた。

 

「・・・そのハサミは?・・・」

 

「ああ、これですか、彼の体はすぐに再生してしまうので元あったハサミが彼の脂で全部使えなくなってしまいまして・・・とりあえずあり合わせの物でどうかしているんです。」

 

・・・さらにドアの裏側には防音材が・・・玄関から見えるだけでも壁、天井にまで防音材が敷き詰められていて、その上をビニールで覆った簡易的な防菌措置が部屋を覆っていたのだ。

 

「あの実験体はいいですな、身体のどこを切り刻んでもたちどころに回復してしまう。特にあの人にはない臓器、あれの存在のおかげで彼は日の元で生活する事が出来た様です。」

 

そう言う彼の顔はとても楽しそう・・・恍惚としているといっても過言ではないだろう。

 

 

「そうだ、先程彼の魔臓を全て抜き取ったんですよ。これです。あ、今回は念には念を入れて発火装置と爆発装置を取り付けました。もしふざけたことしたらこのリモコンで、ボーンです。」

 

そう言って彼は銀色のトレーに乗っかった心臓のような物体を持って来て二人に見せた。魔臓は今もドクンドクンと鼓動を続けていた。

 

「・・・うっぷ」

 

「・・・」(−_−;)

 

「いやー、麻酔がなかったんですけど風邪っぽいって仮病で休んだもんだから麻酔を取りに行けなくてナシでやったんですよ。もーうるさくて大変でしたよ、あっはっはっ」

 

と、ドクがそんな事を笑ながら話していると・・・

 

「だ、誰か!!おい!そこに誰かいるんだろ!4世か!?私を助けてくれ!」

 

部屋の奥・・・二人からは見えない位置からブラドの声がする。

 

「おやぁ?もう起きたんですね、先程人泡吹いて気絶しちゃったんですよ・・・」

 

「頼む!私が悪かった!もうあんなことしないから助けてくれぇ!」

 

「はーい、次は痛覚の調査ですよー。すみません、それではこれで・・・」

 

部屋の扉がゆっくりと閉まって行く・・・

 

「く、来るな!あっち行けぇ!俺の側に近寄るなぁーーーッ!」

 

「はーいチクっとしますよ。」

 

グサッ!

 

「ああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

バタン、という音と共に玄関の扉が閉まった。

 

 

「・・・おえっ!」

 

「・・・そうなるわな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10分後 自室

 

「・・・収まったか?・・・」

 

「う、うん、何とか・・・」

 

「・・・気にするな、他のメンバーも何人か吐いた・・・」

 

ちなみに吐いたのはドクを除く全員。俺も吐いた。可哀想に・・・何が可哀想って体があんな風になってるのに生きてて、精神がまともなことだよな・・・俺なら自殺するね・・・

 

 

「そう言えば書類は?」

 

吐いてスッキリしたらしい理子が聞いてくる。

 

「・・・これだ・・・お前の時みたいになかった事にするそうだ・・・まったく、何がそんなに怖いんだが・・・」

 

そう言うと紙袋に入った紙束を渡し、理子はそれを受け取ると。

 

「ありがと・・・あ、そうだ、キーくんに聞きたいことがあったんだ。」

 

「・・・?・・・なんだ・・・」

 

一度理子は帰ろうとするが何か聞きたいことを思い出して向き直る。

 

「キーくんとブラドが戦ってた時、キーくんを見てブラドが怯えてた様に見えたんだけど・・・どうしてかな?」

 

「・・・さあな・・・俺は知らんよ・・・」

 

「嘘だね」

 

「・・・どうしてわかる・・・」

 

「キーくん、嘘つくと眉間に皺が寄るんだもん」

 

・・・こいつに言われると本当かどうかわからんから困る・・・

 

「・・・やだね、絶対教えん・・・」

 

「ぶぅー!じゃあ話してくれないならキーくんのお兄さんの事も教えないよ!」

 

「・・・兄貴の事だ、そのうち向こうから会いに来るさ・・・」

 

「もー!キーくんのけちんぼ!」

 

「・・・どーとでも言え、俺は言わないからな・・・」

 

「ちぇっ、分かったよ。でも、いつか教えてもらうからね。」

 

「・・・その位自分で調べろよ、大怪盗だろ?・・・」

 

「ううん、ブラドはキーくん達に倒されちゃった。だからまだ初代を超えてない。次の目標はキーくん達だよ。いつかキーくん達を倒して初代を必ず超えて見せる。」

 

「・・・もうブラドは眼中になしか、面白い・・・そう言うのならいつでも歓迎だ・・・」

 

「ふふっ、じゃあね。」

 

「・・・ああ、また学校でな・・・」

 

そう言うと大尉は後ろを向いた。と・・・

 

「キーくん!」

 

「ん?」

 

理子に後ろから呼ばれて大尉が振り返る。

 

グイッ チュッ!

 

その瞬間、理子がいきなり大尉の襟元を掴んで頭を下に下げたと思うと、大尉の口にキスをしたのだ。

 

「!?お、おま、何を・・・」

 

「ふふっ、今のキスは理子のファーストキスだからね♪」

 

「え?え?」

 

「じゃあねー♪」

 

そう言うと理子はものすごいスピードで走って大尉から逃げて行った・・・

 

「・・・な、なんだったんだ?・・・」

 

・・・相変わらず、逃げ足だけはバカみたいに早いな・・・風みたいだ・・・

 

「・・・まっ、いいか・・・ただの美人にキスされたと思っておこう・・・」

 

そう言うと大尉は部屋へと戻る。唇には、まだあの感触が残っていた・・・

 

 

 

 

「・・・あ、俺もファーストキスじゃん・・・」

 

 

 

 

 

数時間後

 

ブラドの身柄を引き取りに来た警察が見たのは、精神崩壊しかけて顔を涙とよだれでベトベトしにてアへg・・・笑っているワラキアの姿であった。

 

 




次はパトラと姉・・・兄貴編ですね。ご期待下さい。
意見、感想お待ちしています。

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