ヴェアヴォルフ~ヘルシングの大尉が転生~   作:むらやま 

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今回は2部構成で、緋弾AAのキャラを出す実験的な話ですが、暖かい目で見てください。あと意見があればどしどし言ってください。


第27話 狼のララバイ 前編

休日 大尉の家

 

「♪〜♪♪〜」

 

「・・・なんだ神崎、最近はご機嫌だな・・・」

 

「ふふっ、今度あたしの戦妹のあかりがランク考査を受けるのよ!」

 

「・・・そうか、じゃあ受かったら俺と同じか・・・」

 

間宮とは神崎の戦妹で、なぜか大尉の事を毛嫌いしている強襲科の一年生だ。どうも大尉に神崎を取られたと思っている節があり、大尉がたびたび関係改善を図るも失敗に終わっている。ちなみにランクはDだ。

 

 

「・・・受かりそうなのか?・・・」

 

「あの子、実技に関しては目を見張るものがあるわ。それに、あの子友達が多いから色々教えてもらってるみたい。あんたもぼやぼやしてると追い抜かれちゃうわよ!」

 

「・・・それはそれで嬉しい事だ・・・後輩が自分より優秀に育つなんて、先輩としては嬉しいことこの上ない、だろ?・・・」

 

「ふふっ、確かにあんたの言う通りね。」

 

とぅるるるるるるる、とぅるるるるるるる

 

と、神崎と雑談をしていると大尉の携帯が鳴る。

 

ピッ

 

「・・・もしもし、はい、そうです・・・仕事の依頼ですか・・・はい、わかりました・・・では30分後に指定の場所で・・・」

 

「なに?こんな時に仕事の依頼?」

 

「・・・ああ、別に急ぎでは無い様だが頼みたい事があるらしい・・・」

 

「ついてった方がいい?」

 

「・・・いや、依頼を聞くだけだ・・・俺1人でいい・・・」

 

そう言うと、大尉は身支度を整えて指定の場所へ向かって行った・・・

 

 

 

 

 

「・・・大きな犬を工事現場で見た?・・・」

 

「は、はい、この前こんなおっきなワンちゃんを見たんです。そ、それで気になってて・・・遠山先輩に調べて欲しくて・・・あと、出来れば飼いたいな〜・・・なんて・・・」

 

今大尉は救護科の棟の一つ、獣医学などを行う棟に来ていた。もちろん仕事の話である。

 

どうやらこのおどおどした娘、獣医学科の1年の宗宮つぐみ

が建設中の武偵高新棟で大型の犬を目撃したらしく、それが気になり大尉に調査、あわよくば捕獲を頼んで来たのである。

 

「・・・大型の犬か・・・特徴は?毛の色は?・・・」

 

「え、えーっと、もふもふしてて、白かったです。なんて言うか・・・その、狼に似ていました。」

 

「・・・狼か・・・シベリアンハスキーじゃないのか?・・・」

 

「す、すみません、よく見ようとしたらメガネを落としてしまって・・・つけた時にはもういなかったんです。」

 

・・・狼か、大型犬か・・・もしかしたら密輸組織から逃げてきた個体かもしれん・・・少なくともこの辺りにそんなデカイ犬を飼ってる奴はいないからな・・・

 

「・・・わかった、引き受けよう・・・」

 

「本当ですか!?あ、ありがとうございます!・・・あの、よろしければついて行ってもいいですか?」

 

「・・・いいよ、そんなに危険でもないだろうし・・・じゃあ明日、その工事現場で集合しよう・・・」

 

「わかりました!」

 

・・・シベリアンハスキーぐらいなら俺に怯えて襲って来ない・・・この子が来ても何とかなるだろう・・・

 

 

・・・この時大尉は気付いていなかった、裏で事態が進行して行くことに・・・

 

 

 

 

 

 

 

翌日 教室

 

「ねえキー君、話があるんだけど・・・」

 

授業が終わり、昼休み時間に入った所で理子が話しかけてくる。

 

「・・・なんだ?」

 

「今日の放課後、救護科の第7保健室に来てくれない?大事な話があるんだよ。」

 

「・・・あー・・・ダメだ、仕事が入ってる・・・」

 

「えー!仕事断れない?大事なんだよぉ〜」

 

「・・・俺の仕事のやり方知ってるだろ?・・・頼まれた依頼は断らない・・・」

 

「ぶぅー!キー君のいけずぅー!」

 

「・・・頬を膨らましたってダメだ・・・」

 

「先っちょ!先っちょだけでいいから!」

 

「・・・俺を先っちょだけ入れてどうするんだよ・・・しょうがない、考えとくよ・・・」

 

「よっしゃ!さすがキー君!」

 

理子の説得に大尉が折れる。

 

・・・まあ、別に仕事は俺が行かなくても誰か代役を立てとけばいいか・・・

 

と、考えた時だったん、大尉の直感・・・いや、危機管理能力が何かを察知した。

 

・・・いや、こいつの事だ、また面倒な事を考えてるに違いない・・・なら、仕事には俺が行って、保健室の方に代役を送った方がいいな・・・まあ、流石にあいつも反省してるだろうし、考えすぎかもしれないが・・・

 

大尉はそう考えると理子に空返事をしてひとまず別れることにした・・・

 

 

 

 

「・・・トバルカイン、頼みがあるんだが・・・」

 

「何ですか?」

 

・・・とりあえずトバルカインに頼んで見ることにした、こいつは信用出来るし不足の事態にも対応出来るからだ・・・

 

「放課後暇か?・・・」

 

「あー・・・すいません、用事が・・・」

 

・・・珍しな、まあ用事があるならしょうがない・・・他を当たるか・・・

 

「・・・所でどんな用事だ?・・・別に言いたくないならいいが・・・」

 

「え?えーっとですねぇ・・・大尉、ちょっと耳を貸してください。」

 

「?」

 

トバルカインの言ったとおり、耳を近づける。

 

「実はですね、今日の放課後に救護科の1階の第7保健室で女子の身体検査があってですねぇ・・・しかもみんな成績優秀者な子ばっからしくて・・・武藤と2人でこっそり見に行くんですよぉ。武藤の奴がいい感じの隠れ場所を見つけたみたいでしてねぇ」ヒソヒソ

 

「・・・・・・」

 

・・・理子ェ・・・あいつを信用した俺がバカだった・・・やはりこの件はトバルカインに任せよう、と言うか頼む必要がない・・・まったく、危うく女ばかりの保健室に騙されて行く所だった・・・

 

「・・・いや、それならしょうがない・・・そうだ、もしかしたら隠れている時にメールするかもしれない、気を付けておいてくれ・・・」

 

「わかりました・・・大尉は来ないんですか?」

 

「・・・仕事があってな・・・まあ、楽しんでこい・・・」

 

「へへへっ、沢山写真撮って来きますから期待しててください。」

 

・・・どうせ来るのはヤバそうな奴ばかりだろう・・・拳銃振り回すチビとか、極悪怪盗女とか、無口でなに考えてるのかわからないスナイパーとか・・・ここの成績優秀者なんてそんなもんだ・・・君子危に近寄らず、だ・・・

 

 

 

 

 

放課後 工事現場

 

一通りの準備をして約束通り宗宮と合流し、目的地に難なく着いた。が・・・

 

「・・・ヤバイな・・・」

 

大尉は考えを改めねばならないと感じていた。とてもじゃないがこの子を連れて行くのは危険すぎる。

 

まず臭い。大体の動物は自分の縄張りを示すためマーキングをする。犬が電柱にションベンをしているのもそれだ・・・そして、この工事現場からする臭いは・・・

 

「?・・・遠山先輩、どうしたんですか?」

 

「・・・これはヤバイ・・・犬じゃない、本物の狼だ・・・それもただの狼じゃあない・・・かなり訓練された奴だ・・・」

 

・・・軍用に訓練された奴か・・・もしわかってたらつれて来なかったものを、ここまで来たらもう奴の範囲だ・・・しかも、周りの音のせいで気配もつかめん・・・

 

・・・種類もわからんな・・・そんなに犬に詳しいわけでもないしな・・・俺、猫派だし・・・ちなみに関係ないがシュレディンガーは犬派である。

 

「・・・え、本物の狼ですか?」

 

「・・・ああ・・・それにこれを見ろ・・・」

 

そう言って大尉が指し示す先にあるのは犬の足跡・・・だがそれも、見たことのないぐらい大きい。

 

「・・・この足跡の埋まり具合でどれぐらいの大きさかがわかるが・・・これは100キロはあるな・・・」

 

・・・少し甘く見ていた・・・まさかここまで大きな狼が学園島いるとは・・・だが、気配がないな・・・いないのか、気配を消しているのか・・・どちらにしろ早く捕まえないと被害者が出るかもしれない・・・

 

ジャキン!

 

と、大尉はコートの中から拳銃・・・USPを出し、宗宮に警告する。

 

「・・・いいか、絶対に俺から離れるな・・・死ぬかもしれないぞ・・・あと銃を出しておけ・・・」

 

「へ?わ、わかりました!」

 

大尉の気迫に押されて、宗宮が返事をする。そしてたどたどしいながらホルスターからハンドガンを取り出す。

 

「・・・行くぞ・・・」

 

「りょ、了解!」

 

そして、2人は工事現場へと突入して行った・・・

 

 

 

 

 

 

その頃、救護科第7保健室・・・

 

「ウヘヘヘ〜、眼福眼福!」

 

「武藤もいい場所知ってんな、まったく罪深い男だぜ」

 

2人は今、保健室の中にあるロッカーに隠れているのだが、これがなかなか・・・部屋を一望出来る位置にロッカーがあるため、容易に部屋を見渡すことが出来るのだ。

 

「逃走手段は確保してんだろうな?」

 

「バッチリだぜ、窓の外に迷彩塗装した大型二輪を隠してある。土壇場になったら逃げんべ」

 

「完璧だな・・・しっかし、何か珍しいメンツばっかだな」

 

「そうなんだよ、大漁には変わりねえんだけどな。あそこでじゃれあってんのが神崎と理子だろ、そこのぺったんこが平賀で、お、キンジの戦妹の風魔もいるな・・・で、あとはレキか・・・」

 

と、そこでトバルカインがある事に気が付いた。

 

「・・・おい、レキの奴こっちガン見してるぞ。」

 

何時もの無表情でなにを考えているのかわからないが、間違いなくこっちを見ている、とトバルカインは素早く理解したのだ。

 

「気のせいだろ、いくら視力がよくたって透視能力があるわけじゃないんだからよ。」

 

「いや、でもあれ・・・」

 

「やべっ、静かにしろ、先生が来る」

 

そう言われて武藤とトバルカインが黙る。そしてそれと同じぐらいのタイミングで講師である小夜鳴が入って来る。一言で言い表すと爽やかイケメンである。

 

「あいつが小夜鳴か・・・」

 

「ああ、いけすかない奴さ。あいつ善人面してるが、女子に手ェ出すってうわさもあるんだぜ?あいつが間借りしてた研究室から女子がフラフラになって出て来たって話もある。」

 

「うへぇ、クズ野郎じゃん。ゲロ以下の臭いがプンプンするぜーってか?」

 

ふざけつつ視線を外に戻す。その小夜鳴はと言うと・・・

 

「ぬ、脱がなくていいんですよ?再検査は採血だけですから。メールにも書いたじゃないですか。ほら、服を着る!」

 

と、椅子に座りながら苦笑いしていた。

 

「くそリア充め・・・余裕ぶっこきやがって・・・」

 

「不平等だ・・・なんであんな奴がモテるんだよ・・・」

 

と、武藤と小夜鳴の悪口を言っているとトバルカインの耳にある言葉が聞こえた・・・

 

「・・・フィー・ブッコロス・・・」

 

・・・ん?今小夜鳴なんつった?確か今の言葉、聞いた事があるんだけど・・・何かだいぶ昔に大尉が言ってたような・・・

 

横の武藤を見ると先ほどの言葉は聞こえていないらしく、女子の着替えをよだれを垂らしながら見ていた。女子達も先生に言われて右往左往しながらも着替えている・・・が、1人着替えようとしない奴がいた。

 

「・・・」

 

レキだ、彼女はジッと窓の向こうを見ているのだ。

 

「バ、バイク、見えてねえよな?」

 

「め、迷彩柄だし・・・」(震え声)

 

その瞬間だった、レキがリノリウムの床を蹴ってものすごいスピードで・・・こっちに向かって走ってく来たのだ。

 

そしてロッカーの扉を掴むと・・・思いっきり開け放つ。

 

「やっぱりばれてんじゃねえかぁ!」

 

「うわあああ!ちょ、話を聞いて!」

 

そしてそのままレキは武藤とトバルカインのネクタイを掴むと、引きずり倒すようにしてロッカーから2人を引っ張り出す。

 

「ま、待て!話せばわか・・・」

 

突然、ロッカーから引きずり出された2人を見て女子が悲鳴を上げる・・・が、その瞬間、ある物に遮られた。

 

ガシャアアアアンッ!

 

「「!?」」

 

突如保健室の窓を割って、巨大な物体が飛び込んで来たのだ。それは先ほどまで2人のいたロッカーを破壊すると・・・こちらを向いた。

 

それは、大きな狼だった。それもテレビでも見たことないような巨大な狼だ。そいつは部屋にいる全員を見定めるように見ている。

 

「お前ら!早く逃げろ!」

 

ドオン!!

 

横を見るとコルトパイソンを持った武藤が天井に威嚇射撃を来た所であった。

 

・・・だが、そいつは怯んだ様子も見せず女子の方目掛けて跳躍する。

 

「チッ!しゃあねぇか!」

 

ヒュンッ!

 

そう言うとトバルカインは素早く狼に向けてトランプを投げつける。もちろん動物に向けて放っても死なないようにする為にある程度威力を落とした技だ。

 

そして、狙いをすまして放たれたトランプは狼の腹の位置に吸い込まれるように飛んでいき・・・

 

ギャウン!

 

と、狼が悲鳴を上げる。そして不利と見たのか窓の方に体を向けると一気に跳躍し・・・

 

ドンッ!

 

「うわぁっ!?」

 

窓の近くにいた小夜鳴を体当たりで吹き飛ばすと、自分の割った窓から外へと逃げて行ったのだ。

 

「とことん頭の働く野郎だぜ!武藤ぉ!小夜鳴を任せた!あいつは俺が捕まえる!」

 

「頼んだぞ!あれが他の一般人に襲いかかったら大惨事だ!俺のバイクを使え!」

 

「サンキュー!任せろ!」パシッ!

 

武藤のバイクのキーを空中でキャッチすると、トバルカインは狼を追いかけて行った・・・

 

 

 

 

「うへぇー、こいつはすげぇ・・・BMWのK1200Rじゃねえか・・・おっと、見惚れてる場合じゃねぇ」

 

武藤が改造して増設したらしいキックスターターを踏み台にしてエンジンをかけ、いざ追跡しようとしたその時だった・・・

 

トスッ

 

「・・・ぇ?」

 

ヒラリ、とドラグノフを背負ったレキが飛び乗って来たのだ・・・下着姿で。

 

「ちょ、ちょっと、おまっ!なんて格好してやがるんだぁ!?」

 

「それよりも今は狼を追いかけるのが先決です。」

 

「でもお前、制服着てないからあぶないぞ?やめた方が・・・」

 

「あなたでは、あの狼を探せない」

 

「うっ」

 

レキの言っていることは正しい、トバルカインには大尉の様な嗅覚はないし、今も大尉に連絡して応援を求めようとしていたところだっからだ。

 

「えー、あー、じゃ、じゃあ俺のコートを着とけ、このバイク速ぇから寒いぞ。」

 

そう言うとトバルカインは着ていたコートをレキにかぶせるように着せる。トバルカインのコートは大尉の物とは違い、機能性より見た目を重視した諜報などに使う物で、防弾性は大尉の物に劣るがそれでもそこそこの防弾、防刃性がある。

 

「・・・」モゾモゾ

 

「よ、よし、着たな」

 

レキが黙って服を着るのを確認する・・・ボタンで止めて無いので前からだとあられもない姿が丸見えだが。

そして、着たのを確認してトバルカインは今度こそバイクを発進させた。

 

「頼んだぞ、狼探しはお前が頼りなんだ・・・!」

 

「・・・」コクリ

 

狼の追撃戦が始まった。

 




USP「久しぶりの出番キター!」

メリケンサック「解せぬ」

G3「右に同じ」

どうだったでしょうか?次の話で間宮あかりを出すつもりです。
え?それよりレキの方が気になるって?それは秘密です。

意見・感想、お待ちしています。

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