ヴェアヴォルフ~ヘルシングの大尉が転生~   作:むらやま 

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原作で起きた出来事ほとんどすっ飛ばしてる・・・まあいいか。


第23話 たまには恋愛フラグを折らないのもいい

ピッ!

 

「すまない、大事な用でね。」

 

そう言って携帯を切りシャーロックは軽い会釈をする。

 

「・・・いい・・・気にしない・・・」

 

先程の屋上には大尉ともう1人、イ・ウーの実質ボスであるシャーロック・ホームズであった。

 

・・・とうとう姿を現したな・・・ふむ、思っていたのより若いな・・・殺気も感じない・・・戦う気は・・・ないか・・・

 

「・・・で、イ・ウーのボスが何の用だ・・・悪いがイ・ウーには入らんぞ・・・」

 

「それは残念、でも私が来たのは別の理由なんだよ。」

 

「・・・別の理由?・・・」

 

大尉が首を傾げる。

 

「曾孫のパートナーに一度会っておこうと思ってね。」

 

・・・ああ、そう言うことか・・・随分孫思いなおじいさんだな・・・

 

「・・・だが俺は今、あいつを助けようともせずにむしろ追い込んでいるんだぞ?・・・それでいいのか?・・・」

 

「アリアに必要なのはあらゆる面で彼女をフォローできるパートナーだよ、私にワトソンが居た様に、自分に無いものを補う存在がね。彼女はある一点に関しては他の追随を許さない、だがそれはとても極端でできない事は中々出来ない、私もそうだったよ。」

 

「・・・」

 

「それに、追い込むつもりなら止めに来たりしないだろう?君はアリアの事をちゃんと心配してくれている。それなら大丈夫さ。」

 

「・・・」

 

「私はあの子に強く育つ様願い、様々な事をして来た。君とアリアに武偵殺しを送り込んだのも私さ。」

 

「・・・そうか・・・で、今回はジャンヌを俺らにぶつける気だったんだな?・・・」

 

「察しがいいね、ただ今回は君とアリアがバラバラに行動してしまったのは誤算だったかもね。私が思っていたより君が好戦的ではなかったのと・・・」

 

「・・・」

 

「君の使い魔かな?シュレディンガーとジャンヌが仲良くなってしまったのも誤算だった、まったく、ここのところ推理が外れてばかりだよ。」

 

「・・・歳だろ・・・引退したらどうだ?・・・」

 

・・・普通に考えたら何百歳だよ・・・

 

「そのためにあの子にこんな事をしているのさ。」

 

「・・・で、孫思いのお爺さんは今度はどんな奴を送り込む気だ?・・・」

 

・・・こいつの言うことが正しいのなら・・・こいつは次にまた別のやつを送り込むつもりだ・・・

 

「映画のラストを見てもないのに教えられてはつまらないだろ?」

 

「・・・」

 

・・・はぐらかされたな・・・

 

「それではそろそろ時間だな・・・さようなら、日本の若い武偵君、願わくばアリアと仲良くしてあげてくれ。」

 

「・・・さようなら・・・また会おう・・・」

 

そう言うとシャーロックは屋上から姿を消した。

 

・・・一体、何者なんだあいつ・・・あの曾爺にしてこの曾孫ありだな・・・やっぱりイギリス人は変人ばかりだな・・・

 

そう思いつつホテルの方を見る。

 

「・・・トバルカイン・・・よくやってるな・・・」

 

 

 

 

「いい加減諦めろ神崎ぃ!いつまでだだこねてるつもりだ!」

 

「うるさい!うるさい!うるさい!!風穴ー!」

 

トバルカインVS神崎の戦いはトバルカイン有利に進んでいた。神崎は銃や剣への切り替えが必要なのに対してトバルカインはトランプだけで近中距離をカバー出来る、さらにリロードも不要。神崎が押されてジリ貧になるのも当たり前であった。

 

「もうジャンヌの撤退は終わったんだ!お前が戦う必要はないんだぞ!」

 

「わかってるわよ!でも・・・でもママの裁判まで悠長に待ってられないのよ!1分1秒が貴重なのよ!」

 

「っつ!もう面倒くせえぇ!無理矢理気絶させてやるぁ!」

 

その瞬間、焦れったくなったトバルカインが一気に神崎との距離を詰める。だがそのままやられる神崎ではない、それに素早く反応せて反撃を行う。

 

「そこよ!」バンバンバンバン!!

 

神崎のガバメントから放たれた弾丸がトバルカインを捉える。が・・・

 

「なぁぁぁぁめぇぇぇぇるぅぅぅぅなぁぁぁぁっ!!」ヒュパヒュパ!!

 

「っ!」

 

まるで蝋細工を切る様に弾丸を空中で切り落とす!しかし神崎も武偵、瞬時に理解しトバルカインが弾丸を切った隙を着いて懐に飛び込む!

 

「うらぁっ!!」どごぉっ!

 

「ごほっ!」

 

神崎はそのまま拳をトバルカインの鳩尾に向けてめり込ませた。

 

「げほっ!がはぁ!」

 

鳩尾を攻撃されトバルカインは呼吸困難に陥ってしまった、この瞬間、神崎とトバルカインの状況が逆転したのだ。

 

「伊達俊之!犯罪擁護の罪で逮捕するわよ!」

 

そう言って神崎が懐から手錠を取り出してトバルカインの手にかけた。

 

「やった!伊達に勝ったわ!後はジャンヌを捕まえれば・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「・・・誰をやったって?神崎さんよぉ?」

 

「・・・え?」

 

その瞬間、捕まえていたトバルカインがバラバラと崩れ・・・トランプの山になったのだ。

 

「!?」

 

「残念、そんなに簡単にはやられませんよ。」

 

「か、変わり身の術!?何逃げてるのよ!このバカ!」

 

「・・・いや、今の流れで罵倒される意味がわからない。」

 

「伊達!今度こそ捕まえて豚箱に放り込・・・え!?あれ!?」

 

突如神崎が素っ頓狂な声を上げる。

いくら前に進もうとしても体が動かないのだ、まるで地面に縫い付けられた様に・・・!

 

「な、なにしたのよ!」

 

「足元、よーく見てみろ。」

 

「足元?」

 

神崎の足元には先程トバルカインが使った分身のトランプが散らばっている・・・いや、ただ散らばっているのではない。神崎を丸く囲む様に薄く光っているトランプが配置されている場所があるのだ。

 

「まさか、さっきの分身はこれを隠すためのフェイク・・・!」

 

「正解、でも解答時間が過ぎてしまったなぁ。惜しかったぜぇ?」

 

トバルカインがそう言うと神崎を囲んでいたトランプが一斉に立って神崎の腰の高さぐらいまで浮き、凄まじいスピードで周りを回り出した。

 

「そう言うわけで、ボッシュートになります。」パチンッ!

 

そしてトバルカインが指を鳴らした瞬間、円の内側が爆発した。

 

 

 

 

「・・・これはひどい・・・」

 

戦闘が行われたホテルはある階を除いてとても綺麗な物だった。ある階を除いては・・・

 

戦闘の中心となったジャンヌの泊まっていた階はそこだけ爆弾テロが起きたかの様にめっちゃくちゃになっていてもとの姿も見る影もなかった。

 

「ああ、大尉遅かったですねぇ、もう終わりましたよ。」

 

「きゅぅぅ・・・」

 

その階の中央部分にはトバルカインとのびた神崎がいた。

 

「・・・よくやってくれた・・・神崎には俺から言っておく・・・ドクとシュレディンガーの方も心配だ、様子を見て来てくれ・・・」

 

「へへ、今度何かおごってくださいよぉ?」

 

「・・・いいぞ・・・それじゃあまた後で・・・」

 

そう言うと神崎を抱えて大尉はホテルを、トバルカインはシュレディンガー達の所へ出て行った。

 

 

 

 

空き地島

 

ババババババババババババッ!!

 

ヘリのローターの音が島に響きわたる。

 

「「・・・」」

 

「さて、迎えのヘリが来たな・・・」

 

「た、たしかにヘリだね・・・」(ドン引き)

 

「ロシアの重装攻撃ヘリが迎えのヘリですか・・・」(ドン引き)

 

目の前を飛んでいるのはMiー24ハインドF・・・それも新型テイルローターを装備した少数生産型である。

 

それは少しシュレディンガー達の上を滞空してジャンヌの位置を確認し、ジャンヌの近くに着地する。

 

「・・・では行かなくてはな・・・」

 

ジャンヌがヘリに近づくと中にいるパイロットが扉を開く。と、そこへシュレディンガーがジャンヌに向かって行った。

 

「どうしたのだシュレディンガー?」

 

「いや、なんて言うか・・・すみませんでしたジャンヌさん、こんな事になるとは・・・」

 

そう言ってシュレディンガーはジャンヌに頭を下げた。

 

「シュレディンガーが謝る事は何もない・・・こんな事もあるさ。」

 

「・・・ジャンヌさん・・・」

 

「・・・何だ?」

 

「ご武運を・・・何かあったら呼んでください。どこにだってかけつけますよ。」

 

「シュレディンガー・・・」

 

「また・・・来てくださいよ。今度はもっとすごい所に行きましょうよ、また案内しますから。」

 

「・・・わからんよ、来れるかなんて・・・」

 

「そうですか・・・」

 

「・・・そ、そうだシュレディンガー、少し目をつむっていてくれないか?」

 

「え?いいですけど。」

 

シュレディンガーは言われるまま目をつむった・・・

 

チュッ

 

「!?」

 

その瞬間、シュレディンガーの唇に何か温かくて柔らかい物があたる。

 

「え!?あ、え?」

 

突然の事に反応も対処も出来なかった。

 

「ジャ、ジャンヌさん!?な!何してるんですか!?」

 

「バ、バカ者!私も初めてなんだぞ・・・///」

 

「いやー僕も初めてなんですよ・・・ってそうじゃなくて!何でそんな大事なもの僕に・・・・・・あ」

 

え?まさか・・・え?ジャンヌさん本気ですか?・・・やばい、なんか急に恥ずかしくなって来た・・・

 

「・・・」モジモジ

 

「・・・」モジモジ

 

「・・・」ドンッ!ドンッ!

 

キスの理由がわかってモジモジし始めるジャンヌとシュレディンガー、そしてそれを見て地面を殴っているドクの図。

 

 

 

『ジャンヌさま、早くお乗りください。幾ら何でもこのままでは目立ってしまいます。』

 

「も、もう行かなくてはな・・・さよならだ、シュレディンガー。滝沢とやらも運転ご苦労だった、後で伊達にもお礼を言っておいてくれ。」

 

そう言うとジャンヌはヘリへと向かって行き、ヘリに乗り込んで行く。

 

「さらばだシュレディンガー!また会おう!」

 

ジャンヌがそう言うとヘリは空高く舞い上がって行った・・・

 

 

 

 

「行っちゃった・・・」

 

空に光るライトを目で追うシュレディンガー・・・

 

「「リア充死ね・・・」」

 

「うぉ!びっくりした!」

 

いつの間にか後ろにドクと事情を聞いたトバルカインが恨めしそうな顔でこちらを見ていた。

 

「おうおう、シュレディンガーてめぇいい身分だな?おお?」

 

「とりあえず異端審問にかけましょう。」

 

「へ?いや、トバルカインさっきは一緒に行けって言ってたじゃ・・・」

 

「それはそれ、これはこれ。」

 

「ちょ!ちょっと待ってくださいよ!うわっ!ドク!メスなんかどこに隠してたんですか!?トバルカインもトランプを構えないで!」

 

「「ダーイ」」

 

悲鳴が夜の空にこだました・・・

 

 




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