いや〜へたくそだなぁ、なんでこんなに下手なんだ(涙)
新宿 駅前
駅の前の広場、そこにシュレディンガーとジャンヌの姿があった。
「まずどんなところに行きたいですか?」
「そうだな・・・あの建物は?」
そう言ったジャンヌが指差すのは有名な大型ショッピングモールだった。
「ショッピングモールですよ、あそこなら大体の探し物は見つかると思いますよ。」
「ふむ、ではあそこに行こう。日本の服が欲しかったんだ。」
10分後、二人は目的のショッピングモールに入ったのだが・・・
チラッ
「・・・」
チラッ、チラッ
「・・・シュレディンガー、聞きたい事がある。」
「なんですか?」
「さっきから誰かに見られてる気がするんだが・・・」
「・・・」
確かに見られてるね・・・すれ違う男という男、いや、女もいたけど、みんな振り返って見とれてる・・・
日本にはなかなかいないであろう凛とした空気とキラキラした感じ二つを持った美人・・・これにはどんな男でも振り向いてしまうだろう。
「まさか・・・これは罠!」
だがジャンヌの予想は斜め上を行っていた。
・・・この人強くて頭いいんだけどな、こういうとこ残念・・・いや、天然なのか。なら許す。
「ちがいますよ、みんなジャンヌさんが綺麗だから振り返ってるんですよ。」
ひとまず罠ではないと教えとかないと・・・衆目の前で刃傷ざたになっては困るので、なぜ見られているのか説明しておく。
「き、綺麗?私がか?お世辞なんていらないぞ!」
それを聞いたジャンヌがシュレディンガーに詰め寄る。
その瞬間、ふわっとしたいい匂いがする。
「・・・むしろ自分のことどう思ってたんですか・・・僕は可愛いと思いますよ?」
「か、可愛いだと・・・綺麗にとどまらず、可愛いだと・・・!」
そう言うとジャンヌさんは顔を赤らめてそっぽを向いてしまった。そしてそのままシュレディンガーを置いてズンズン先に進んで行ってしまう。
「な、何か失礼な事いいましたか?」
「なんでもない!行くぞ!」
「あ・・・ちょっと!待ってくださいよ!」
一先ずなぜか不機嫌になったジャンヌを捕まえて、服を買いに行く事になった。
とりあえずはジャンヌさんが服を選んでいる間、シュレディンガーは暇なのでその買い物をのんびり眺めることとなった。
女の人の買い物って長いんだよな〜・・・キンイチさんもおばあちゃんもかなり遅かったし。そう言えばお兄さんもしかしたら生きてるかもしれないって大尉が言ってたな。
・・・正直、あの人ちゃんと結婚出来るか心配だな、あんな容姿で男だし。案外、フィリピンで性転換手術してそう。
「・・・今すごく失礼な事を飼い猫に言われた気が・・・」
30分後・・・
「あ〜・・・パズ○ラ飽きたな・・・何か面白いアプリないかな・・・」
暇つぶしにスマホのアプリで遊んでいると重大な事に気付いた。
「・・・あれ?ジャンヌさんは?」
店内を見渡してみるがジャンヌらしき人影はどこにもないのだ。
や、やべえ、見失った。どこ行ったんだジャンヌさん・・・ただでさえここ迷いやすいのに。
そう思ってお店を出ると辺りを見回す・・・いた、だいぶ先に行ってるな・・・でもあれ?誰かいるぞ?
「でも君みたいな娘が日本にいるなんてよぉ、日本も捨てたもんじゃねぇなぁ。」(キメ顔)
「まったくですね、さてどこへ食べに行きますか?我々がおごりましょう。」(キメ顔)
「・・・な、何してるんですか二人共・・・しかも平日の昼間から。」
「「げ!?何でお前ここに!」」
なんとそこにいたのはトバルカインとドクの二人だったのだ。まさか知り合いがいると思ってなかったのか二人の顔はこわばっている。
・・・むしろこっちの方がこわばったわ。
「あんたら何こんな時間にナンパしてんですか!?」
「ち、ちげぇし!ジャンヌさんを食事に誘っただけだし!あわよくばメルアド交換とか考えてねぇし!」
「今日の授業サボってナンパしに来たわけじゃないですよ!大尉に彼女っぽいのが出来たことに危機感抱いたわけでもないですよ!」
「わかりやすすぎるわ!そんな事言われても説得力のかけらもねーよ!ジャンヌさんもほいほい付いて行っちゃダメですよ!」
そう言うとシュレディンガーはジャンヌの手を掴むとずかずかと二人と反対の方向に向かって歩きだした。
「シュ、シュレディンガー・・・!な、なぜ手を繋ぐんだ!」
ジャンヌが顔を赤らめながら聞いてくる。
「当たり前じゃないですか!何も言わず勝手にお店を出て!」
「だ、だからなんだと言うのだ!何故そんなことをお前にとやかく言われなければならないのだ!」
そう言ってジャンヌは怒ったようにシュレディンガーと繋いでいた手を無理やり振りほどく。が・・・
パシッ!
「!?」
シュレディンガーがそれをまた素早く掴み直したのだ。
「・・・何でそんな事を言うんだって?ジャンヌさんが心配だからに決まってるじゃないですか!」
「なっ!?」
「日本は確かに治安はいいと思います、けど全員が善人じゃあないんです!今回は僕の知り合いだったからよかったけど、女の子に平気で酷い事をする奴がたくさんいるんですよ!」
「・・・」コクッ
「・・・まったく、もう心配かけさせないでくださいよ?悪い人に襲われても僕は戦力にならないんですから。」
「・・・」コクッコクッ
先ほどよりも顔を真っ赤にしながらジャンヌが頷いた。
「よろしい!じゃあ買い物の続きをしましょう。」
そして、この買い物が終わるまでジャンヌはカチコチに固まっており、握られた手を離さなかったと言う。
「・・・や、やべぇ、シュレディンガーの野郎もリア充じゃん。とうとう男子チームで彼女いないの俺とお前だけじゃねぇか。」
「・・・なんか、自分には彼女ができない運命な気がして来ました。」
「何諦めてんだ!大尉に出来て俺らに出来ねぇわけがねぇ!もっと熱くなれよ!」
「・・・いい男は引き際を知ってるものですよ・・・」
・・・この後二人は計5人にナンパを仕掛けてみたが相手にもされなかったと言う。
今回初挑戦のデートシーン、どうだったでしょうか。
しかし、これがうまく行けば大尉ハーレムとシュレディンガーハーレムの二つを作ることが出来るかも・・・あくまで予定ですけどね。
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