ヴェアヴォルフ~ヘルシングの大尉が転生~   作:むらやま 

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ふう、スマホになってから更新がだいぶ早くなったな・・・でも何か少しずつ雑になってるかも・・・気を付けないと・・・
あとサバイバル様の考えた技名「ミラージュ・ボディー」を採用させていただきました。


第17話 魔弾の射手と幻術使い

学園島 武偵高校舎屋上

 

「うぇ〜・・・土砂降りじゃないですか・・・」

 

「ウダウダ言ってないで集中しな。あたしらが失敗したら大尉達が死ぬんだ。」

 

屋上にいるのはリップヴァーンとゾーリンの二人組である。

大尉に呼ばれて来たリップヴァーンが支援役にゾーリンを呼び、大尉達の着陸を手伝うために射線の確保できるこの辺で一番高い建物・・・武偵高校舎屋上に陣取ったのである。

 

「でも突然呼び出されたと思って出てみれば戦闘機撃ち落とせなんて・・・いや~大尉私達のことよくわかってますね。」

 

「全くだよ、せっかく危険な仕事で有名な武偵になろうってここに入ったのにちっとも暴れられなかったからねぇ・・・」

 

 

『・・・作戦はこうだ、まず旅客機についた戦闘機を退かすためリップヴァーンのいる学園島に高度を下げて接近する・・・戦闘機には機体のコントロールが上手くいかないとでも言っておこう・・・接近したらまず前にいる戦闘機をゾーリンの幻術で引き剥がせ・・・その後はリップヴァーンの好きにしろ。』

 

これが大尉から伝えられた大まかな作戦である。超大雑把である。

 

「ああ~シャワー浴びたい~カッパ着てるけど服びしょびしょ〜」

 

「ううっ、寒い、風邪引いちまう・・・お、見えて来たよ、随分低く飛んでるわね」

 

「う〜ん、3〜400mぐらいですかね」

 

そう言ってゾーリンが指差す先には飛行機の光がぼんやりとだが確認出来る。

 

「やっと出番です!さあゾーリン!さっさと終わらせてください!私の出番が減ってしまいます!」

 

「はあ!?1人1機ってさっき決めたばっかじねえか!私にも暴れさせろ!」

 

「でも良く考えたらゾーリンは飛行機から引き剥がせとは言われてたけど、ゾーリンが撃墜しろとは言われてないじゃないですか!」

 

「そんな屁理屈で獲物横取りすんなバカ!」

 

「バカって言ったほうがバカなんですぅ〜」

 

これが世に珍しい戦闘機を撃墜したがる女子である、名付けて撃墜系女子。

 

 

作者(・・・こいつらが生きるには、世界は平和過ぎた。)

 

 

 

 

『イーグル1・2定時報告を』

 

「イーグル1異常なし。目標の撃墜地点到着まであと6分。オーバー」

 

「イーグル2異常なし、目標に不審な行動は確認出来ない。オーバー」

 

『了解した、撃墜地点に近づいたらまた連絡する。アウト』

 

「・・・けっ、なんて貧乏くじ引かされたんだ俺達は。」

 

『イーグル2、これも仕事です。あれを撃墜しないと着陸に失敗した時凄まじい被害が出てもっとたくさんの人が死ぬ。』

 

今回の作戦ではイーグル1が飛行機の前方を塞ぎ、後方をイーグル2か塞いでいるのだ。

彼らは上層部の決定だからやるだけで本心では撃墜なんてしたくないのだ。

 

「何でこんな・・・ん?ANA600便どうした?機体が傾いているぞ。元の位置に戻れ。」

 

『すみません、エンジンの出力が不安定でうまくバランスが保てません。』

 

言葉通り、機体は進路を外れて行く。

 

「ANA600便、今すぐ所定の位置に戻れ。君は重大な命令違反をしている。」

 

『だ、ダメです!コントロールが上手く効きません!』

 

チッ、いよいよだな。まだ目標地点まで距離はあるが洋上の上だ、撃墜しても問題ない。むしろ、このまま市街地に行く方が危険だ。

 

「こちらイーグル1から司令部へ、ANA600便の撃墜許可を出してください。このままでは市街地上空に出てしまいます。今ならまだ間に合います。」

 

『了解した、撃墜を許可する。』

 

まるで元々言う気だったかのよにすぐ許可が降りる。

 

「イーグル1、ANA600便を撃墜する。退避しろ。」

 

『・・・』

 

ANA600便の前を飛ぶイーグル1に連絡する。が、応答がない。

 

「イーグル1、聞こえているのか?応答しろ。」

 

『・・・イー・・・機体が・・・かしい、操縦が・・・』

 

「?どうしたイーグル1、報告しろ。」

 

・・・その瞬間だった。

突然、ANA600便の前を飛んでいたイーグル1が切り揉みしながら機首をさげ急降下したのだ。

 

「なっ!?イーグル1どうした!?」

 

聞こえていないのか、それとも答えられないのか。機体はそのままぐんぐん高度を下げて行き・・・200mぐらいの高度でキャノピーが吹き飛び、パイロットが射出される。

 

「なんだ!なにがどうなってる!」

 

 

「げきつ〜い、まあこんなもんだね」

 

そう言いながら普段は見えない顔と右腕に彫られた呪文がまるで生き物のように蠢きながら元の位置に戻って行く。

 

「さて、じゃあ私の番ですね」

 

そう言って魔弾の射手は、銃に弾をこめた・・・

 

 

 

『イーグル2、なにが起こった!イーグル1がレーダーから消えたぞ!』

 

 

「有象無象の区別なく・・・」

 

 

「わからない!突然、切り揉み状態になった!風に煽られたのかもしれない!パイロットはパラシュートで脱出した、救助を!」

 

 

「私の弾頭は許しはしないっ!」

 

 

 

『救助を要請した、そちらはANA600便が市街地に到着するまでに撃墜しろ。』

 

「了解!」

 

そう言うと機体を反転させANA600便のうしろに着くと照準を合わせる。

 

「これでおわーーーっ!?」

 

ミサイルがANA600便をロックオンし、発射しようとした時だった。突如、機体に損傷を示すランプが点灯し、機内にブザーが鳴り響く。さらに機体の至る所から何かが当たる音が断続的にす。

 

「今度はなんだ!?」

 

システムチェックで破損個所を調べる。が・・・

 

「クソっ!どんどん油圧が下がってる!ラダーも反応しない!?」

 

破損個所が次々と増えて行く。まるで対空砲で撃たれているように・・・

 

「システムダウン!だめだ!脱出する!」

 

 

 

 

「あースッキリした、じゃあ帰るか。」

 

「後は自力でがんばってくださいね、大尉」

 

2機目が落ち、パイロットが脱出したのを確認すると、彼女らは帰路に着いたのであった。

 

 

 

ところ変わってANA600便コックピット

 

「・・・やったな・・・」

 

「僕らの番ですね、大尉。頼みましたよ。」

 

「・・・本当に出来るのか・・・まあいい、こっちは俺に任せておけ・・・」

 

そう言うと、大尉は操縦席、シュレディンガーはコックピットを抜け、バーへと走っていった。

 

「・・・機体は水平にしたままストールさせる、か・・・この嵐の中無茶を言う・・・」

 

そう言うと一度深呼吸をして、操縦に向き直る。

 

『いいですか?今このANA600便には飛行機の着陸経験のある人がいません。そして、着陸はとても難しい。なので、万全を期すための方法を取ります。よく聞いてください・・・』

 

『やる事は言うのは簡単です、機体を水平に保ったままストールさせて下さい、そして速度がゼロになったら機体を僕の能力で滑走路の上に着地させます。上手くいけば機体を傷つけず着地させられます。』

 

「・・・全く、無茶な頼みをする・・・」

 

そう言う大尉の顔には笑みが張り付いていた・・・

 

 

シュレディンガーは機体の速度が下がっていくのを感じながら窓から羽田空港を探す。

 

「・・・あった!」

 

機体の速度が下がるにつれて機体の振動が激しくなる。

その中でシュレディンガーは意識を研ぎ澄まし、飛ぶ場所を念じる。

 

「・・・こんな大きい物、上手くできるか・・・」

 

そう言いながら壁に手を添え、じっとその瞬間を待つ・・・

 

「・・・・・・・・・今だ・・・!」

 

その瞬間、ANA600便はこの世のどこにでもいて、どこにもいない存在となった。

 

 

羽田コントロール 管制塔

 

「何!消えた!?そんなバカな!」

 

「いえ、間違いありません!レーダーから消えました!」

 

羽田コントロールはまるで蜂の巣をつついた様な騒ぎになっていた。

 

「空自の戦闘機は落ちるし・・・一体なにがどうなっているんだ!」

 

「た、大変です!」

 

顔を真っ青にしながら管制官の1人が駆け込んでくる。

 

「今度はなんだ!?」

 

「あ、あそこを見てください!」

 

そう言って管制官は滑走路の端を指差す。

・・・そこには、先程レーダーから消えたANA600便の姿があった。

 

「・・・ぐうっ」バターン!

 

「た、大変だ!気絶して倒れたぞ!医務室に運べ!」

 

「メ、メディークッ!」

 

 

 

「・・・う、うまくいったな・・・」

 

・・・流石に今回ばかりは肝を冷やしたぜ・・・

 

安堵しながら操縦席に体を預ける。

 

・・・しかし、兄貴が生きている・・・か、生きているのなら確かめないといけないか・・・まあ、おいおいわかるだろう。

 

ドタドタドタドタバタン!

 

「バカキンジ!あんた何したの!」

 

神崎がコックピットのドアを蹴破って入ってくる。

 

「他の乗客に指示してたらいつの間にか着陸してるし、わけわかんない!ちゃんと説明しなさい!」

 

「・・・シュレディンガーの能力だ・・・まあ、その内教えてやるよ・・・」

 

・・・まあ、その内、な・・・少なくとも、今話すべきではないな・・・

 

「・・・まあいいわ、大体こんな事が出来るのは時を操る能力ぐらいなんだから。あたしもローマでこんな感じの能力者とあった事があるわ。」

 

「・・・ほう、どんな奴だ?」

 

「元マフィアらしいローマ武偵高の教員よ、ピンク色の髪で『キングクリムゾン!』って叫ぶと過程が消えて結果だけ残るとか何とか」

 

・・・なんか聞いたことが・・・うっ、頭が・・・

 

 

「・・・まあ、ひとまず一件落着だな・・・」

 

「ええ、そうね・・・でもこれで終わりじゃないわよ」

 

「・・・ああ、そうだな・・・でも今は休もう・・・疲れた・・・」

 

コックピットから見える景色は、空港の消防車と救急車で真っ赤っかになっていた。

 

 

・・・ちなみに、この事件は『ANA600便瞬間移動事件』と呼ばれ、オカルトマニア達の間で長きに渡り語られる伝説の事件となるのであった。

 

 




やっとここまできたか・・・!あとは後日談だ!
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