ヴェアヴォルフ~ヘルシングの大尉が転生~   作:むらやま 

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投稿は遅れるといったな・・・あれは嘘だ。


第十三話 面会 後編

 「あら?アリア、そこの方は彼氏さん?」

 

 「ちっ、違「違います、彼女の所属するパーティーの者です」さ、先に言わなくても・・・」

 

 面会室のドアから入ってきた女性・・・神崎かなえさんは女神みたいな微笑みをアクリル板越しに向けてくれた。娘と違って落ち着いた雰囲気の淑女だ。

 

 「そうなの・・・お母さん、アリアがあまりみんなと遊ばないから心配してたのよ?安心したわ・・・どうも、わたしはアリアの母で神崎かなえといいます。娘がお世話になっています。」

 

 「ちょ、ちょっと!ママ!」

 

 神崎があわてて遮る。どうやら向こうでボッチだったのは本当らしいな。

 

 「・・・いえ、自分のパーティーは内向きな奴が多いので・・・神崎さんのようなグイグイ引っ張ってくれる子がいると助かります。」

 

 「ふふふ・・・アリアもいい友達を見つけたわね。お母さん嬉しいわ。」

 

 ・・・なんか神崎の母親なのか怪しくなってきた・・・なんで神崎はこんな性格子供っぽいんだ?父親に似たのか?

  

 チラッ

 

 「・・・なによ」

 

 「・・・いや、なんでもない」

 

 なぜこんな落ち着いた母親からこんな猪突猛進イノシシ女が生まれるのかが理解できないだけだ。

 

 「・・・」シュドッ!   

 

 

 

 

 「ママ、面会時間が3分しかないから手短に話すけど・・・このバカ面は『武偵殺し』の三人目の被害者なの。」

 

 「・・・4人目だってさっき説明しただろ・・・」

 

 神崎に踵で潰された足をさすりながら説明する。

 

 「・・・さらにもう一件、一昨日はバスジャック事件が起きてるの。奴の活動急激に活発になってるわ、だからきっと奴もしっぽを見せるはずよ。・・・奴を捕まえられればママの懲役793年が671年に減刑されるわ。最高裁までの間に他も全て何とかするから。」

 

 ・・・それって終身刑じゃ・・・

 

 「そして、ママをスケープゴートにしたイ・ウーの連中を全員ここにぶち込んでやるわ」

 

 「アリア、気持ちは嬉しいわ・・・けど無理をしてはダメよ、パートナーは見つかったの?」

 

 「パートナーは・・・」チラッ

 

 ・・・こっちを見るな・・・

 

 「・・・ふふふ、見つけれたみたいね・・・でもだからと言って焦るのは禁物よ、人生はゆっくりと歩むもの・・・走れば転んでしまうわ。」

 

 「神崎、時間だ」

 

 かなえさんの後ろに居た管理官が面会の終了を告げる

 

 「ママ、待ってて。必ず公判までに真犯人を全部捕まえるから」

 

 「・・・ダメよアリア、焦ってはダメ。」

 

 「やだ!あたしはすぐにでもママを助けたいの!」 

 

 「・・・神崎、行くぞ。管理官の人困ってる・・・」

 

 「ヤダヤダヤダ!」

 

 神崎がだだをこね始めた。・・・お前ホントに何歳だよ、幼稚園児か。

 

 「・・・ほら、お前のお母さん困ってるぞ。」ガシッ

 

 「うるさい!はーなーせー!」ジタバタジタバタ

 

 羽交い締めにして運ぼうとするが今度はむちゃくちゃに暴れ始めた。・・・こいつめんどくせえ。

 

 「・・・すいません、それでは・・・」

 

 「キンジくん・・・アリアのこと、よろしくね・・・」

 

 そう言うとかなえさんは管理官に無理やり引っ張られるようにして面会室から出て行った。

 

 

 

 「・・・親父、懲役793年って終身k「言わせねえよ?」」

 

 口封じされた・・・なんでだ・・・ 

 

 

 

 俺たちは面会を終わらせたあと、俺と神崎は武偵高へへ帰るため駅に向かっていた。オヤジはまた別の要件でかなえさんと面会するそうだ。 

 

 「・・・訴えてやる、あんな扱い、していいわけがない。絶対訴えてやるっ」

 

 神崎がミュールを鳴らしながらボツリボツリとつぶやく

 

 「・・・」

 

 一瞬、お前が暴れなきゃあそこまでの事にはならなかったんじゃ・・・と思ったのは内緒だ。

 

 そしてアルタ前まで戻ってきたところで神崎が立ち止まる。

 

 「?・・・どうした・・・」

 

 そう言って近づいたところで気がつく。神崎の足元にはポタポタと水滴が落ちていた。

 

 「・・・神崎・・・」

 

 「泣いてなんかない」

 

 後ろを向いているのでわかりにくいが神崎の体が小刻みに揺れている・・・まるで我慢しているように・・・

 

 「あー・・・これ僕いない方がいいですかね?」そろーり・・・  

 

 「・・・待て・・・」ガシッ

 

 「ちょ、そっちはそっちできゃっきゃうふふしててくださいよ!」   

 

 「・・・頼む・・・こんな時どうしていいのかわからない・・・」

 

 「・・・すいません。無理です」シュン

 

 その瞬間さっきまで掴んでいたはずのシュレディンガーが目の前から消える。

 

 逃げたか・・・覚えとけよ・・・!お前が女関係で困っても助けてやらんからな・・・!

 

 だが、悪態ついてる場合ではない。少し雨も降り始めのだ・・・

 

 「・・・おい、神崎・・・」

 

 ひとまず屋内に連れて行こうと神崎の顔を覗き込む。・・・彼女の目からは抑えきれなかった涙が溢れていた。

 

 「な・・・泣いてなんか・・・」

 

 神崎は必死に我慢しようとしていた・・・

 

 「ない・・・う、うああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 だが・・・我慢できず、まるで子供のように大きな声をあげて泣きはじめた・・・

 

 「うあああぁぁぁぁぁぁぁ・・・ママぁー・・・うああああああぁぁぁぁ・・・」

 

 俺は・・・どうすればいいか分からず、それをはたから見ていることしか出来なかった・・・

 

 

 




さーて、他のやつも書かないとな・・・
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